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2014年5月29日木曜日

Another War ―もうひとつの戦争― 第十二部














Another War  ―もうひとつの戦争―

第十二部


Another War  ―もうひとつの戦争―









1


フェンリスダンジョンの内部からあたりはめちゃくちゃに地割れのように壊れた。
「おおおう」
「すごい揺れだぞ」

地面を掘り起こすかのように、気がつくとひとつの山くらいある地面が抉れて空中に浮かびあがっている。

「まるで空飛ぶ城だ」

三匹の魔人…

魔剣士。剣を抜いて恐ろしげに威圧している。
ビックスケルトン…ターバンのような王冠を頭にのせた巨人の骸骨。指のつめにはマニュキアのように白骨化した骨の先に赤い色が塗ってあって恐怖の装いだ。
アーナーズバスラー。力強い魔人。手に石斧のような握る武器を持っている。

三匹の魔人は体が朽ちてなお、闘いをやめようとしない魔戦争の権化だった。

「巻き込まれるぞ…」

エドアール、オーブリー、セプティミウスの三人は魔剣士の後ろの大地に飛び乗った。

一方…

セルウィウスは異変に気が付き、スイッチをいれた。
ヘルメットが飛び出し、セルウィウスの頭を包む。
ローラースケートのひじとひざのガードのような防具が装着され、ジェットでダッシュの格好で空を飛んだ。
「ロケットアーマー!!この速度ならまにあう」

フォイエルバッハとクラークもテレポートのように空に浮かんだ大地に移動していた。
もう、空高く山くらいある大地は浮かんでいた。

アルカイオスが相手にしていたザール、シールド、ダガーもワープしていた。


三匹の悪魔はまた封印が解けて現世にあらわれてなお闘争をやめなかった。
その状態で乱戦が始まった。

魔剣士を相手にするのは…エドアール、オーブリー、セプティミウス。
ビックスケルトンは、ザール、ダガー、シールド。
アーナーズバスラーは、クラーク、フォイエルバッハ。

魔戦争が再び始まった!


2


天気雨がふりだした。
晴天だが…気温は大気が膨張して温まると同時に逃げるのか。
寒いような暖かいような。
あと一歩で温暖な霧が発生しそうな状態だ。

全員は一瞬にして状況を察知した。

エドアールが空気を吸い込む。
「こおおおお…」
オーブリーもかまえる。
セプティミウスがいった。
「かなり…というか、相当強そうだぞ。胃に来る。ダメージをうけるまえから…」


エドアールが炎の剣を抜いた。
ドン
飛びあがり切りかかる。

魔剣士はビックスケルトンをみていてエドアールをみていない。
「春雨!」

ぐあん

後ろを向いたまま魔剣士のひじがエドアールの剣と接触する。
ぐらん
エドアールは弾き飛ばされた。
着地はしたが汗をかいている。
「ダメージがあるのかないのか…」



3


エドアールはオーバーランスを地面に突き立てた。
天気雨で地面の草は濡れている。

「カルプだ…本物のネジ釘のカルプが襲ってきやがった」セプティミウスはおののいている。
ビックスケルトンが魔法を使った。
真っ赤な指先からサンダーシャワーの呪文がほとばしる。

ガガガガガドゴン

魔剣士が焼かれ、余波の魔法がエドアールたちを襲う。
エドアールはドラゴンシールドをとっさに構えて防いだ。
オーブリーは後ろに飛んだがダメージをうけた。
セプティミウスも避けようとしたが電撃をうけた。

「攻撃あるのみ」
エドアールは闘気を高めた。
「スーパーエドアール!!」
(どこまで通じるか…?)セプティミウスは様子見に回っている。

長距離ジャンプのように助走をつけて跳ぶ!
【レフトハングオン】

「いけ!エドアール」クラークがあっち側から叫ぶ!

ガオン 
2985

(スーパーエドアールでそのくらいの威力か)オーブリーは内心焦った。
魔剣士の鎧に傷ができた程度だ。剣の炎は効果がないくらいにしか見えない。

グオ
魔剣士が振り返る。
ラストソード!
致命的な破壊力の巨大な剣が振り下ろされる。
「アリスタンダーの魔王の剣よりまだでかい!!」
エドアールは空中で態勢を立てた。
かわしたが、ブルトーザーが目の前で動くように巨大な圧力を肌で味わった。
地面が抉れる。
オーブリーがエアーアタックの魔法を使った。
ゴウ
魔剣士に風圧が吹きつける。
一瞬動きが停止した程度だ。
五月雨!!
空中で鎧の上から喰らわせる。
2345

「気が遠くなって目がぐるぐる回ってきたよ」セプティミウスがそういって傍観していた。


4


アーナーズバスラーにクラークがファイブクラブモーニングスターをチェンジして備える。
「まっていろ。魔人殺しのストライクを決めてやる!」
ガャンガシャンガン

フォイエルバッハが剣を抜いた。
白竜刀。ハポネス製でドラゴンソード、エドガーのもつ黄龍刀の種類だ。

剣閃!
アーナーズバスラーの巨体に斬りつける。
「…」
敵は動じない。

クラークはネルガルスパイクにチェンジし、叩きつける。
「はあっ」

ゴン
肩に痛烈なダメージをおわせる。
「…」
さすがに巨体でもこたえたのかクラークのほうを見ている。
「ぐ、恐ろしいぞ、蛇に睨まれたカエルみたいになる」

≪うまそうだな≫
「ゲ、しゃべりやがった」
「気をつけろ、クラーク殿。やつはこっちをパンか何かと勘違いしている」フォイエルバッハはそういった。

ドン
鉄球が降ってきたみたいな痛劇な拳がクラークにたたきこまれた。
それは怒りとも違う、次元を超えた無慈悲だった。
「ちっ、あれでは助からない…」フォイエルバッハはあせった。

叩きつけられたクラークは楯を構えていた。
だが、顔から血を流している。
「危ねーぞ。楯がなかったら死んでた」
【結界の楯】

そのとき、セルウィウスがロケットアーマーで到着した。
「これは…あの化け物は!」
「三人で攻撃するぞ」フォイエルバッハがセルウィウスに怒鳴る。

「無論!」
エアロソードを抜く!
ロックが外れ、蒸気が吹きだす。
「ロケットアーマー装着時にのみ使える技」
ロケットローリングバースト!!

セルウィウスは回転して熱を帯びたエアロソードをたたき込む。

アーナーズバスラーは腕を持ちあげて、ひじと拳のあいだで受け止めた。

≪うおーん≫

「うおお、あんな巨体で弱音を吐いて暴れられたら怖いぞ。平気な位がこっちも楽かも知んねー」



5



ザールはわめいた。「なんだ!?こんなところまで招待されて大魔人と戦闘か!?まあ、いいだろう。進化したオレの力!」

大帝斬!
スカッ

【ミスハウジング】
お化け屋敷で中に入れてくれる親切な幽霊は朝になると廃墟になって消えている。
幻体で攻撃をかわす魔法だった。

「んなに!>空振り!?」

ビックスケルトンは武器を持っていないが魔法を連続して使ってきた。

【デットレイン】
すんだ、天気雨が血みどろの黒い雨に変わる。
全員の帝国とコインの戦士は戦意が損なわれた。
それとともに腐敗した空気で気分も悪化している。

だが、ザールは気がついていた。
アーナーズバスラーと魔剣士にも悪影響がある。

シールドはサイコシールドで魔法を吸収しようと待ち構えている。


6


セプティミウスがいった。
「しごかれるって話。さっきしたけど。男のオレたちにとって、しごかれるのと欲しいおもちゃを買ってもらえるってのは、表裏一体なんだ。最新のパソコン手に入るってしごかれることだし、スポーツやるってしごかれると楽しみが合体している。この中古のロボット魔人は分解するのが大変そうだ!」

セプティミウスはアイスソード・ブリザードスタイルで大冷凍を魔剣士にふきつけた。
(よし、ダメージはある…)

ぐおっと剣をセプティミウスに向ける。
「あれれ、モンチッチちょっとやっただけでもう怒る!?」

魔剣士の剣をかわし、紙縫いの構えをとる。
(よし、いける)
ギン!

紙縫い!

4125

魔剣士は魔法を使ってきた。
≪スパークエナジー!!≫

爆裂が連発して起きる。
セプティミウスは避けきれなかった。
「ぐっ!」
身をかがめて防御して着地する。

エドアールが前に出て立ちはだかった。
「アリスタンダーと違って硬い敵だ。鎧が邪魔だな」

「一か八か…エネルギーを消耗するが!」

オーブリーがラッキーフォースの構えをとる。
そのとき、アーナーズバスラーの突進が魔剣士にぶつかり二匹の魔人は転がった。



7


クラークはまだしゃがんで休んでいる。
「まだ立てないのか…」
フォイエルバッハがいった。
「まだだ、もう少し、あせらせるな…」
クラークはよろよろ立ち上がろうとする。

「むうう、危険な猛獣たちだ。なかま割れが幸いだが…」
セルウィウスがそういった。


ビックスケルトンがフレイムボムを放ってきた。
「来た!いまだ」

【サイコシールド】
フォンンン。
魔法を吸収しエネルギーをフルに蓄積した。
「よし、スマートコントロールアクスに出力!」
シールドはとびかかった。

メカニカルな斧の一撃がビックスケルトンの骨にひびを入れる。
同時に腐った血肉のエキスがとびちった。


8


エドアールが魔剣士に鉄兜を喰らわせる!
体勢を崩し頭部が地面に近い。
太陽がだんだん近くになるように抉れた陸地は空に上がっていた。

鉄兜! 
2345

「ダメージはある…だがいつになったら終わるかわからない闘いだ」

オーブリーがラッキーフォースを剣先から撃った。
金色の虹のような光が広がる。

「おおっ!?いけるか。ふきとばせ」
セプティミウスがそういう。

魔剣士の巨体もさすがにこたえたのか煙をあげている。
シュウウウウ!
ずうん

ラストソードが襲う。
エドアールはとっさにオーバーランスをひきぬいて構えた。
ガッ!

巨大な剣とオーバーランスがぶつかり合う。
「うおおお」
エドアールは当然グラグラいった。

「人間の力ではじけるのか」
「おおお、オレの力でも」
ガン
ガッ

小ぶりに剣をふりまわしているため魔剣士のラストソードは軽めになったが、それでもエドアールはしんどい。
オーバーランスでさばききれなくなってきた。

「後ろに飛べ!エドアール」オーブリーが叫ぶ。

「グッ、グッ、オッ、そういっても!」



9


オーバーランスの先はべこべこに壊れてきた。
「くそ、もう使えなくなる」
バチン!

とうとう弾き飛ばされ、クラークの近くに刺さる。

ラストソードが地面を再びえぐった。

クラークはオーバーランスをひきぬいたが、その衝撃でエドアールたちのグループにとばされた。反対にオーブリーはフォイエルバッハのグループに吹っ飛んだ。

「エドアールいけ!」
クラークはオーバーランスを魔剣士に向かって放り投げた。
天高くランスが舞う。

「おう!」
エドアールはジャンプしオーバーランスを空中でキャッチした。
右手でしっかり握りしめそのままのいきおいで魔剣士の額に突き立てた!
「おおお、くらえ!オーバーランス!」

≪ごおおおおおお≫
さすがの魔剣士もエドアールの槍を受けてもがいた。

「やったぞ…」
エドアールは槍を突き立てたまま落下し着地した。




10


セルウィウスがいった。
「バーチャルブースターを起動する。少し時間を…」
「わかった」オーブリーがかまえる。
「いや、わたしがやろう」フォイエルバッハが前にでた。
「来たぞ!」

アーナーズバスラーが懐剣のような武器で殴りかかってくる。
【リズムクロス】
いわゆるカウンター技で、敵の攻撃を封じるとともにダメージをあたえる。そのかわりしくじれば致命傷をおうことになる。

フォイエルバッハが白竜刀を構えて待ち構える。
(勝算は五分!)
そう計算していた。

リズムクロス
敵の攻撃を粉砕し二段ぎりのクロスのダメージ!

アーナーズバスラーは一回転して倒れた。
4578

「今だ!」
セルウィウスがバーチャルブースターを放つ。
ゴオオオウウウ

青い光がアーナーズバスラーを焼く。


アーナーズバスラーは倒れたまま動かなかった。
「やったか…?相当なダメージをあたえたぞ」オーブリーはつったってそういった。