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2014年5月23日金曜日

あの日の囚人 十二話

あの日の囚人 十二話

囚人は額に汗をかいたが…女を尾行することにした。

屋根の少し壊れた屋敷に入っていく。

バーン

≪アポロンのように自爆したければ奥に進め。これ以上あともどりできなくなりたくなければ帰れ≫

そう書いてあった。

「!!」

奥に行くとみえた。窓から。

十二人の女が夕食をとっていた。

「女子会…??というのとは…少し違いそうだ」

囚人は隠れながらうかがった。

「ねえ、今度は古墳をつくってくれる男にする…」

みると男性の死体がスライスされ、肉を焼かれて喰われている!!

囚人は恐怖に包まれた。









あの日の囚人 第十一話

あの日の囚人 第十一話


ある日元囚人が歩いていると、不気味な男が近づいてきた。
「味がしないだろ!?男の罪の味に女は樹液の味を感じるんだろ」
「!?」
「男女だからわかる。誠実な男に魅力を感じる女がいるかい?」
「誰です?あんたは」
「誰でもレベルに応じた罪を犯す。ファウルさ。罪を犯さなければ寄ってこない…」
「何の話だ
「悪いのは自分の罪に気がついていながら、罪を犯しているときだ。ブスにいいよられるだろ」
「罪を犯さなければいい」

弱いっていわれるだろ!?断片的なピースはあじわっているど ゴ」ン

女がたっていた。
「へへへ…ねえ、知ってる?こうやるんだよ。それにしてもアンタ最近レベルあがった?」
カナヅチでクルクルパーになるまで男を殴りもと囚人を残して去って行った。






Another War ―もうひとつの戦争― 第十部


Another War  ―もうひとつの戦争―



Another War  ―もうひとつの戦争―




1


とうとうグラウディウス帝国についた。
フォイエルバッハがクラークの相手をするとエドアールとオーブリーからひきはなした。
場所はユニークシティというハイタウン。
セルウィウスがエドアールとオーブリーを相手にすることになっていた。

クラークはハイスクールに案内されていた。
学校は今日は休みだ。
「こんな…高校につれてこられて見学させられてもな」
教会(チャーチ)風のつくりで、窓の外は結構高い。
でも、白い何もない空間のようながらんどうのようだった。
「質素だな。学校てのはそんなもんか…」
クラークは自分のハイスクールをおもいだしていた。
あれは、アメリカの…

彫刻がガラスケースに入ってすみにあるとかくらいだ。
かなり広い階段をのぼり踊り場のようなT字路のような場所にきた。
あっちの廊下を行くと、白いが教室などが並んでいる。
反対は?
よくわからないが特別な部屋、視聴覚室みたいなものとか物置みたいな。
バルコニーみたいなものもあるみたいだ。
フォイエルバッハは少し用事がとクラークを置いてどこか行った。
クラークは段が少しついたドアを開いて見た。
暗い。
ほこりとクモの巣だらけだが、中は倉庫なのか広い。
むきだしの電線のケーブルの束がみえる。
屋根裏部屋のような感じで四角くて長細い段がある。
目を凝らして見ると何かいる。
ズズ…
動いた。
白い大蛇があっちにみえる。
遠くて間に確かにかなりの段差があってはしごをかけるかしないとあっちにわたれない。
白い大蛇はムクと動いたような気がした。
ぞっとしたが目を離せなかった。
クモの巣がかかっていて埃まみれの大蛇は皮膚が乾燥してぬいぐるみのようだった。
学芸会の着ぐるみみたいにみえる。

みると二三匹白い大蛇が蠢いているようだった。
はじが見えないくらい長く、太い。
動くのかと思うと沈黙したようにだまってよこになっている。
あっちにも確かに…確かにいる。
ときどき暗くて埃にまみれケーブルの束か何かにみえる。

襲ってきたらどうしよう。クラークは汗をかいた。
だが、大蛇は無関心な様子でホッとした。
ドアを閉じるとクラークは思い出した。
白蛇の目にピエロのような化粧がしてあったきがした。
「どうされた!?」フォイエルバッハの声が聞こえた。
「いや…」
「お互い研修ということで…客ではあるが慣れ合いより厳しい態度という話です」
「ああ、それは」
クラークはみたことをどうしてもフォイエルバッハに問いただすことができなかった。
のちにコインメタトリーにもどるとき、クラークは志願してチャーチ風のハイスクールにもう一度入れてもらい、懐中電灯で照らしてもういちどのぞいてみた。
だが、埃とクモの巣だらけで倉庫にはなにもいなかった。



2


エドアールたちはセルウィウスの案内でユニークシティ市街地のショッピングモールにきていた。帯刀したままモールをうろつく。
セルウィウスなど地球でいう警察官がピストルを携帯したまま警備しているように一般客にとられる。
エスカレーターをのぼる。

あとでクラークはその話を聞いてうらやましがった。

「見てみろ、メンズコーナーのとこ」オーブリーがいった。
「弓矢!?」エドアールも思わず注目した。
ショーウィンドーのようなガラスに入って飾られた弓矢。
マネキンがスタイリッシュにならんでいる。

【ユニークアーチェリー】
「あれは?」エドアールがセルウィウスにたずねる。
「ああ、あれは弓矢を武器に使う人のために作られた…、まあ強力な武器です」
「ずいぶんプロモーションしているようだけど」
マネキンが彫刻風に弓矢を引いている。
金色で未来風のデザインのスタイリッシュなアーチェリーだ。
緑いろの模様がふちにてんてんとはいっている。
「ずいぶん力を入れて開発したらしく。予算とかですか。高級品の上、目玉商品で。TVをつけるとCMにもなってます」
「ゴルフクラブみたいな」

レストラン街につくとそのひとつにセルウィウスははいった。
窓際の席に札がついている。
「ああ、これか、予約してある席は」セルウィウスはそういって札をみたが、「違った、他の客の予約席だ」
もうすこし景色の悪い端の席にいくと札にコイン一行様とある。
「ここです。着席しましょう。高いんですよ、ここのレストランは」
「クラーク王は?」オーブリーは少しいぶかしがった。
「私と違うサムライがあいてしております」
「そうか…責任者同士の話し合いとかか」エドアールが席についた。

「どうです、ユニークシティは」セルウィウスがきいた。
「まあな」エドアールがいう。「おもしろ缶詰みたいだが、他の都市世界と似かよってもいるな」
「ふん、そうですか」
「この『大人のお子様ランチ』ってなんだ」オーブリーが怖じ気づきながら尋ねた。
「ああ、これにしますか?これにしましょう。三人分」
お冷やを運んできたウェイターにセルウィウスは注文した。
「ビッテシェン」

おまけまでついてきた。
「この後、宿泊するホテルに案内しますが」
「うん、うまい」
スプーンですくって食べる。
「プリンのホイップがあますぎない」
二人はもてなされて調子に乗りそうになっていた。
セルウィウスはいった。
「あまり図にのられると私ではなく愛想の悪い担当に変わりますので」

ビジネスランチを食べてそうなキッチリした格好の男女がレストランの客層だった。
やや窮屈に二人は感じたが案内がいて安心しきっていた。
窮屈というより大人の世界に仲間入りした気がしていた。

お冷やが空になっていないのに見回りのウェイターが水筒をガラガラいわせてつぎ足しに来る。
セルウィウスは食後の飲み物を注文した。
「ジンジャーエールでいいですか?コーヒー?」





3


そういえばウェイトレスをみかけないという話になった。
セルウィウスはこう答えた。「…ウェイターは人気ある求人ですが、今の帝国でウェイトレスは人気がかなり低いですね。もっとアパレルとかに求人の人気が傾いて。私もニュースで得た情報ですが」
オーブリーがいった。「へえ、コインだとそれなりにいるけどな」
エジオンでは実質、ロボットが仕事をしていることが多い。
時空警察ではどうなんだろう?

セルウィウスがいった。
「グラウディウス帝国では女性の飲酒に厳しく、ついこの間までだと、夫あるいは父の許可ななく飲酒した女性は、勘当、離縁が当たり前という常識でした。私も風紀を取り締まる仕事をしてますのでその辺は…」

ローマ帝国では殺してもいいという規律の時代あったらしい。

これより、セルウィウスの死後800以上のちの時代、帝国の衰退期には女性が飲酒して泥酔し、路上で寝ている光景が見られるようになる。

どうやって帝国は富を築き上げたのかというはなしになった。
「…それはですね。短期間で驚異的な進歩をするほど、徹底して論理や発明、数学的考察を鍛たえぬいたからです」
「へえ」
「発明するために必要な精神能力とは、いいですか、おでこの裏にある前頭葉。理性です。理性的な人間でなければ発明するサイコテレパシーをみにつけられない。どれだけ失礼な人間に我慢できるかです」
「…」
「…」
「他人にすぐ失礼なことをする人間は人間性が低いと帝国では取られて当然です。だが、彼らは理性や理知を鍛えないため発明ができないのです。いいですか、嫌な話厳しい話ですが理性を鍛えなさい。そうすれば何かのきっかけで天をも揺らす発明ができる力を会得できるのです。野蛮人は楽をしている代わりに理知の能力を手に入れられない。トレードオフなのです。監督の仕事や人をまとめる仕事ではこの理知が鍛え抜かれます。圧倒的な力の差を生むのです。ですが、反則でも何でもない。日々のトレーニングの積み重ねの結果なのです」
「むうう…」
「ぬううう…」
「帝国でも最重要項目のトップシークレットですが…帝国の規模はもうあなた方に隠しておくような規模ではない。それと、あなた方に教えておきたいのは、金は使えばなくなるということです」
「…」
「蜃気楼のようにゆらめく巨万の富も摩天楼もあしたの日没とともに消えてしまう幻だと半分考えなさい」
「半分…?」
「そう半分です。どんなに稼いでも浪費するとすぐ富は消えてしまうということです。威張り腐っている人間はつねに浪費して支払っているということに気が付きなさいということです、ハイ」



4



ユニュークシティのホテル

「ぬううう、野蛮人扱いされたぞ」エドアールがいきどおっていた。「だが、奴らの言う通りだ」
オーブリーもイーグルフルーレをぬので磨きながらいった。
クラークはまだ来ない。
「時空警察のやつらは超越戦士という感じなんだ。なにもかもこえている。体の半分が神みたいなやつらだ。グラウディウス帝国の奴らは富のゆらめく新世界の論理と理知のサイボーグ戦士って感じだ」
エドアールは腕組みして頭を支えながらいった。
「最低でもやつらがうらやましい」
「ああ、頭のいい人間は最低でもやつらを参考にするだろうね」オーブリーも同じ意見だ。
「正直…オレなんか若造の身分で御招待されて、なんてラッキーなんだと思っていた。だがくやしくなってきたぞ。なんだか。オレもやつらのまねをして巨万の富とやらを築いてやりたい。でないと遊べないし、奴らのおごりで喰うだけだ」
「ああ、反対にもてなしてやらないと…」オーブリーは目を閉じていった。
「それにな、前から思っていたんだが、意味もなく威張るのは嫌なんだ。バカみたいにみえるし、奴らの言うとおり、空威張りばかりしているやつは浪費している。常に支払ってすっからかんなんだ」
「ああ、考えて威張れ」

そのときクラークが帰ってきた。
「やあ、ここが宿か。ユニュークシティは楽しかった」
バスケットボールを買ってきていた。
「…ボール?買ってどうするんですか」
「いいだろ」



5


クラークが手で狼の影絵をつくって窓から星に向かって吠えていた。
それが星座から星座に映り、エカルテのクラークの娘トテッチの窓から見えた。
「おっとう!」
トテッチは窓から星に向かって手を振った。
それが星の間をつたわって反射していき、帝国のホテルの窓を見ているクラークにみえた。
「おお!」


次の日の朝、新聞の朝刊とともに三人分のコーヒーカップがルームサービスで届いた。
「ミルクコーヒーか」
カードに朝食は午前1000からとある。
「朝飯までミルクコーヒーでつなげということだな」クラークは新聞を広げて見た。
「レストランの始動が遅いんだろ」オーブリーがいった。
「それにしても半分がミルクだ」エドアールがカップに口をつけていった。


セルウィウスの案内で雲もまじかの空中ハイウェイを滑走した。
「スポーツカーみたいな車だな」クラークがいった。
超高速ビルに空中ハイウェイが何本も巻きつき、隣のビル群と結びついている。
コインメタトリーのゴールドウィンなどでも同じようなシステムがある。
チューブ状の道路を自動自動車が高速で滑走したりするのである。

「退屈でしたら音楽のテープをレンタルしましょうか?」セルウィウスは音楽をかけた。
「ききたいことがある」オーブリーがいった。
「デジタルカメラで写真を撮りたいならどうぞ」セルウィウスがいった。
「いや、どこにいくんだこれから?」
「魔法技術研究所というところです」

グラウディウス帝国を彩る女性たちが登場する。





6




神秘的に空気が張り詰めている。
精神と知性を高ぶらせている雰囲気だ。
「おおっ」
おもわず全員神妙な気分になる。

「あら、時空警察の人たち?」
知能の高そうな女性があらわれてそういった。
後ろに男女の職員数名が並んで見ている。
「この服装だけで旅人だとわかるのか」オーブリーとエドアールは顔をみあわせた。
セルウィウスは「まあ、その冒険野郎みたいな衣装では異星から来たとわかるでしょう。この方たちはコインメタトリーという世界から来た方々です」そういった。
「あら、時空警察よりまだむこう?はじめましてプリマリーマといいます。魔法技術研究所で魔法を研究しています」
向こうから男性の職員が来た。
「おっこれは…ここでは、新しい魔法を模索している。アリスタンダーの魔法とも違う新しい魔法技術を」
「コインからきたクラークです」
「はじめまして、プライスヴェルクという」

エドアールはプリマリーマをみておもった。
アルバリシアとも違う雰囲気だ。帝国の女か…
夢を見ているような目つきで正気か疑う。異国の人間は目つきが違うからそう珍しくもないが、夢のような都市の生活と明日にも破たんする蜃気楼の二重性になんの矛盾もないようだ。

「新しい魔法は何か開発できましたか」オーブリーが訪ねた。
「ビオス(生)とう力を研究している」プライスヴェルクがいった。
「ゾーエーとね」プリマリーマがいった。「あなた魔法は?」
「アイステーブルとグレネードシュレー、エアアタックを」
「おお、オーブリーがいてよかったぞ」クラークがいった。
「仮想魔法を研究してほしいが」エドアールがそういった。

プリマリーマがいう。
「いくらグラウディウス帝国といっても自分が仕事中は頭をはたかれるのよ。それで私たちはオンとオフ、お金を支払うときと稼ぐときとをめっきりわけるの」
三人はまた教えられたという気になったがいいことを知ったという気分になった。

「お金お金って不浄なもののことでもあるから不謹慎でもあるけど…私たちは計算と理知に関しては時空警察より上だと自負している。でも精神的に疲労するわよ。脳がね。理性をつかいすぎだから。だからお金を使うときは徹底して遊ぶの。中途半端に労働と遊びを混合しないわ」

「プテミスという遊びをご存じ?一種のトランプみたいだけど。あの大富豪というゲーム。革命とか革命がえし、都落ちというルール。あれは極端から極端に変化するルールだけど。プテミスはところてん式に革命が起きるの。力関係がプレイヤーを徐々に動かしていく。現実がそっくりそうとはいわないけれどね。そういう風にセミ革命がおきてるんじゃないかしら?つねに」
「セミ革命?」
「公務員にどうやったらなれるかとか。ペーパー試験だけじゃなくて国に貢献したとか、好きでも嫌いでもない人と仲良くやれる能力とか。わがままをいわないとか。随時資格が揺れ動いているのよ。常に優遇されることはない。あるタイミングで優遇されるし、万能はないのよ。なにかを負担して我慢するから何かが当たる。横柄にしたい人は、重労働をこなして人の役に立たなきゃ。なんにも貢献しないで偉そうな人は社会から捨てられる。働くときと遊ぶときは違うのよ」
エドアールは思った。
ぼくが常日頃考えている理屈に似ている。取り入れよう。書店で帝国の本を買って帰るか…
エドアールはいった。
「なるほど、随時革命がおこりタイミングにより優遇されたりするか」
「おごれるものは久しからず。誰でもね」プライスヴェルクがそういった。
「なるほどなあ、誰でもいいタイミングがあるわけだ。キングオブキングみたいに」
オーブリーがいった。「扇子(マサムネ)で頭をはたかれた気分だ」

その後フォイエルバッハがやってきた。
そしてクラークをエドアールとオーブリーから引き離して連れていった。
内心クラークは凍りついた。


フォイエルバッハがクラークにいう。
「教師は説教がうまい。説教がうまい教師はもてなすのが下手だ。良薬は口に苦いからだ。もてなすのがうまい教師は説教をしない。ウェイターはもてなすのが得意になる職だが…説教をしろといわれると困惑するだろう。私は両方うまくなろうと思う。二刀流というわけだ」
「ああ…オレなんか行き当たりばったりだけど…目標を持つわけだ帝国の民は」
「うん、そうでもあるな」
フォイエルバッハはなぜか少しうれしそうだ。