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2014年4月4日金曜日

あの日の囚人 第七話

あの日の囚人 第七話


囚人は木の椅子を庭にだしてコニャックを昼間からやり始めた。
休日だった。
なにごともなく毎日すぎていくことを心から神に感謝した。
「海でペーパーバックをめくって海とかプールに入らないのがくつろぐ休日のあり方だ」
本も熟読すると休みの日にかえって疲れるのでめくって楽しむくらいだ。

「自分の端末にドストエフスキーなんてオールドな本がはいっているのがいいんだ」

おもちゃもいいが、本当に読むのかわからない世界文学が端末に仕込まれて持ち運んでいるのが良かった。
「フフン、≪ねじ釘のカルプ≫かマンガみたいだ」
『カラマーゾフの兄弟』がはいった端末を片手に、ビーチのようにイスに寝そべって読んでいた。



あの日の囚人 第六話

あの日の囚人 第六話

退屈。

退屈と戦ったという事実だ。

退屈をどう克服するか。考えた奴は偉い。

誰でも今の時代学校に通わされるんだ。

義務教育がととのっている。

「退屈」という「飢え」を克服したものは偉い。

ありがたがるべきだ…

退屈という苦痛がなにかをうみだすはずだ。

むしろ退屈は至宝でもある。

退屈の反対は多忙だ。

多忙はゆとりがない。

囚人は「説教はしない主義だが、提案はする」

そういった。

「Yes !グッド」

新論理や新制度などそうできるものではない。

表面に色を塗り、表向き分けるのは仕事だ。

あの日の囚人 第五話

あの日の囚人 第五話

電車を待っていて男は気がついた。

「??小春日和のようだ。まえに電車を待っていたときは寒さと違う寒さにおそわれていたはずだ」

寒さと違う寒さ。

暴風が吹き荒れる。

なんなのか囚人にも不明だったが、監獄の中より致命的な嵐に見舞われていた。

「こりゃ快適だぞ」

まるでサロンかサウナでくつろいでいるかのようにプラットフォームでまっていた。

待たされているのに金を支払ってもいい心地だった…

破伝□はでん



















1



報告の任務を終えたフォルトナトは相棒のスキャッチをつかまえるといった。
「肉を喰いにいくぞ」
「え?」

グレートシティ郊外の囲炉裏焼き肉店にはいる。
駅直結のシティモール周辺。
ごく普通のレストラン街でいろいろな人が歩いている。
帰宅時間でにぎわっていた。

のれんをくぐると店の中は煙がもうもうとしている。
薄暗く黒赤っぽい。
換気扇は回ってはいるが、煙が充満しているほうがおいしそうな雰囲気が出る。
服には匂いがからみつく。

ソファ張りのぐるりと囲うファミレスのようなイスで二人は腰かけた。
囲炉裏といっても金属の鉄板が円でくぼんでいるだけだった。
テーブルをカッターできったように深いコンロが組み込まれている。
新品ではないが清潔に磨かれたテーブル。
鉄板も年季が入ってかえって味がしみ込んでいそうだ。
ガスの火をつける。
カチ、チチチボッ

ビールが先にジョッキで届く。
あとから蒸しタオルと割りばしが来た。
二人で乾杯してビールに口をつける。
冷たく水滴がついている。
「ふう」
「偵察にイカルスにいってきたんですね。ごくろうさま」
「ああ、戦闘してきた」
「あのビジターと!?」
「ああ」

皿に盛られて肉が届く。
赤く敵度に室温でやわらかくなっていた。
白い脂身と赤い肉がきれいにまじりあっている。
一枚一枚ていねいにコンロの鉄板に乗せていく。
ジュウ…

タレの皿は二枚で味がそれぞれ違っていた。
スキャッチがいった。
「ビジターってブッチャーって感じがしますよね」
「ハッ、フフフ、そうだな」
肉とビールだけで平らげていく。

ベルをおしてスープを頼んだ。
黙々と食べていたが、スキャッチがいった。
「知っていますか?独身のとき結構楽しい女性は結婚しても不満になる率が高いそうですよ」
「!?!…どうした?」

フォルトナトがいった。
「めずらしいな。そんな話題が…?彼女でもできたのか」
「…いや、今の時空警察のムードです。女性が幸せになることが経済発展、ひいては新理論や新技術、あらゆるアートや新文明がおりてくるという風潮ですよ」
「ああ、はっきりあるわけでないが…そんな雰囲気があるな。いまの時空警察には」
「帝国では発明のたびに不幸が襲ってくるという説らしいですよ」
「…帝国は技術の発明に余念がないとかいうな。なるほど、ただでひらめかせてもらえないのというわけか」
「ふたつの巨大文明の説をつなげて、通信費用になにか取られるっていう新文明風水みたいなものがあります。別世界からダウンロードしているって」
「昔の卜占(ぼくせん)が復活したか」
「かなり…みんな真剣になってますよ。亀甲占いが今じゃ真に受けられてます」
「くだらない…そうでもないか。魔法もオーラもあるからな」
「そうですよ。未知の科学でしょう。コンピュータもあるし」
「占いに頼りすぎる風潮が軟弱だとおもう」
「そうでしょうか」




2


エパフロデットの身体検査がおこなわれていた。
「ヒューヒューハー」
汗をダラダラかいてスポーツサングラスをかけたエパフロデットがでてきた。
時空警察の医師団の測定ではとんでもない数値が検出されていた。

マンデンブルー大佐は腕を組んで見上げた。
(これは…とんでもない化けものに進化してしまった)

マンデンブルー大佐はもう歳で成長が止まっているといえる。
大佐の地位まで上りつめたがもう成長しないだろう。

幼稚園など成長が止まっていない子供たちの集まりだ。
だから子供の広場など楽しく遊んでいる。
それが小学校高学年、高校生、社会人と、だんだん脱落して、成長のストップした人の率が多くなるのでは。
成長中の子どもなんか王子様とお姫様のたまごだ。

成長が止まると、ある意味大人になる。
大人になり、現実検討能力ができるが、純でなくなり他人に対しスキがなくなる。
平気で腹を立てるのがうまくなる。
芸術家なんか生涯成長を続けるが、子供のようなピュアなまま老人になり、大人になりきらなかったタイプとかもいるかもしれない。
だが、それは自分に隙を残すため、他人に横槍を刺されやすいのかもしれない。
大佐など上級幹部の職など成長が止まっていないと危険かもしれない。

成長が止まると力をフルにつかえるようだ。だが、もう能力が頭打ちになる。




3


イカルスでは時空警察の卑劣な行為と批判が持ち上がっている。
ビジターバンザイとの声がもりあがりをみせている。
青、赤、黄色、緑の原色の紙吹雪や紙テープが舞う。

元、レジスタンスあがりと政府軍あがりで派罰が微妙に生じていた。
やはりわだかまりはビジターの登場でもそう消えなかったらしい。

イカルスは活気を見せている。


時空警察

ジュールとヴィクター。
無料自動販売機がずらっとならぶ。
休憩所。
「やっぱり時空警察は酷評だよ」
「まあな、今まで何もしてこないで静観を決め込んでいた時空警察と、拾う神のビジターか」
「時空警察の人気がないどころか嫌われる体質は結構根深いよ。帝国のセルウィウスにもいわれたよ。“あなた方は支配下の国に道徳まで押し付けるつもりですか”ってね。二重に苦しむんだってさ」
「ああ、ある」
「道徳を押し付けるより、支配して命令したほうがよろこぶんだってさ」
「道徳なんて余計なお世話。二度手間になるんだよな。支配されて、道徳もきいて」

ヴィクターは時空警察領にしては、ややグラウディウス帝国よりのイデオロギーをもっているとも考えられる。
そして、その許婚となったアルアロリアは帝国において時空警察よりの思想(というよりハート?)をどこかもっている。
二人が導かれたのも偶然か、意図のようなものがあったのだろうか。

ジュールは自動販売機から缶コーヒーを取った。
あたりは静かで自動販売機のモーターの駆動音が静けさをだしていた。
もう一本リンゴジュースをとりだすとヴィクターに両方みせた。
ヴィクターはリンゴジュースをとった。
缶を開けて飲む。
ジュールは立ったままのみだした。
ヴィクターは横長のベンチにこしかけて飲んだ。

「だから、うまくいかなくて面白くないくらいでいいんだよ。うまくいったとき“あのとき失敗して恥じをかいたんだからこれくらい当然の権利さ”って強気になれるだろ!?最初からうまくいってたらどんな殿様でも緊張して舞い上がるよ」
「わかる。敵度にリベンジみたいに思わないと、欲もなくなるしな。腹の立つことがなさすぎると今度は緊張して怯えてくる。時空警察にはいったころそうだった。最初からこんなでかい組織のロビーくぐって、やけに建物立派で、必要な道具でも設備でも完備していてな」
「そう、ぼくなんかに、こんな上等のあつかいされてもってピカピカの一年生は緊張しどおしだったよ」
「だんだん、腹立って時空警察なんかくそくらえって、大胆になっていくんだよな」
「…うん、そうだ」
ジュールは空の缶をゴミ箱に捨てた。
ゴミ箱は自動でスクラップにしてダストシュートからどこかへやった。
ヴィクターはペットボトルのジッパーをびろーんとむいた。バナナの皮を向くみたいに引くと煙になってボトルは二酸化炭素となった。

「僕は今修行をしている。高いところにはられた綱を渡って瞑想する…」
ヴィクターは首をかしげた。
「あっ!?時空警察にそんな修行場あったか?」



4


エジオン・パーカーの基地

「パーカーなにをみているんだ」
アランがパーカーに話しかけた。
「巨大望遠鏡でドラゴンフライをみている」

パーカーは壁のモニターに映像を映した。
おそらくは1.2mくらいのトカゲとんぼが空を飛び回っている。
「あっちは地球でいうジュラ紀なんだろうな。恐竜時代だ」
「恐竜の代わりにドラゴンフライが飛び回っているのか」
アランがそういった。
「でも、建物がある。知的文明の後に恐竜時代がきたのかもな」
入口のなさそうな塔がたっているのがみえる。
「どのくらい遠いんだ?」
アランがきいた。
「かなり遠いな。ジャイロダインを飛び石にもう45つくらないといけないかな」

突然アルフレットがあらわれた。
「ア、アラン。ドラゴンソードを買わないか。新品でないので外貨で2500でどうだ」
「どれどれ、ふーん、まあ傷があるが使える」
すらっとさやから抜いてみると濡れていそうな輝きがある。
だが、刃こぼれもあった。
「うん、買おう。ファイティングカッターじゃな。でもドラゴンソードの新品もオレにはもったいなさすぎるからちょうどいい」
「よしきた」
「どうするんだ?アルフレット」パーカーがきいた。
「グレートシティのむこうのフィラデルフィアに行くんだ。その旅賃」
説明もそこそこに、いそがしそうにアルフレットは自動ドアをあけていってしまった。
「黒いドラゴンフライがとんでいた」ファジオがあとからきていった。
「なに!?新種か」パーカーがあわててのぞいたが、緑色に混じって見つからなかった。



5



野球帽を二人してかぶり、マハリクとアルフレットは高速バスにのってフィラデルフィアにむかった。
「魔法陣でいったら楽しくないし」
高速バスで3時間の旅だった。

「長いな」
「距離にしたらたぶんあると思う」

グレートシティは青く澄んだ空気だったが、フィラデルフィアは白くかすんだ、時間が過去の思い出のようなシティだった。
「わるくないなあ」アルフレットはそう感じた。

神殿がある。
像がある。
「まる裸の像か。英雄の像か。なんかかわいそうだね」
神殿の中に入ってみる。

カイという少女が神殿の主だった。
「ようこそ、あら、かわいい女の子ね」
あとでわかったが地元の人はようもないのに神殿に近づかない。
神聖であるためである。
そのため観光客などが集まっておらずガラガラとしていた。

「こんちには」
ふたりはあいさつした。




6



「ジャイロダインをぬけて時空警察に住む!?」
パーカーはもどってきたアルフレットにきいてびっくりした。
「むう、戦力がなあ。でもしかたないなあ」
「すまん、パーカー」

退職金を受け取り、ジャイロからマハリクと自分の荷物を魔法陣で運んだ。











詩CM:時空警察予告篇

詩CM:時空警察予告篇


キングレオビル30Fのワンフロアつつぬけに

派遣されたステファノ。

巨大宇宙ステーションコスモの計画コントロールセンターがそこにはいる。

そこでいろいろなビジネスマンとの仕事が待っている。

時空警察本部となぜだか疎遠になる。