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2014年3月28日金曜日

愚神礼讃







愚神礼讃










1


惑星イカルスに突如現れた。
ケンとユキのいる星である。
【愚神礼讃:ぐしんらいさん】

瞬間移動のようにどこからかまいおりた。
愚神ビジター!!

数十分後にイカルスを支配し、自らの王座を造らせた。
巨大なセンタータワーをつくらせ、自分が支配したからには高度な文明を約束すると言い放ち、数分前の侵略者がいま、絶大な支持を得ていた。
主城をマージキャッスル、眼下のまちをマージヒルズとなづけた。
その身の丈は巨人で、魔王アリスタンダーとおなじ背たけだった。
巨大な王座をつくらせそこに座りこむ。

イカルスは元来、政情不安定でレジスタンスが内紛を起こしている。
政府も圧政を強いるしかないのが続く。
時空警察も国家介入にあたるとして口をはさめないのが長かった。
それが、意外なところから破られた。
幸か不幸か、人民は魔人を恐怖より期待の目で見上げた。

破壊と殺戮をいとなむ、魔王アリスタンダーにたいし愚神ビジターは支配し強国を創り上げると豪語する。

魔人はマイクにむかっていった。
それはすなわち惑星イカルス全世界に対してだ。
「わしを魔王アリスタンダーなどといっしょにしないでほしい。わしはこの星を支配し征服する。ただ破壊するだけの魔王とは違う…!」

数時間以内に情報はコインメタトリーをはじめ周辺の宇宙に伝わっていた。
というかビジターみずから広報をつかって広めさせた。

「まずはお披露目だ。建築せよ。マージキャッスルとマージヒルズを…」

その支持率の高さでは時空警察も銃をビジターにむけることはできなかった。



2


クラーク王によばれてオーブリーが訪問した。
「おう、オーブリー来たな…」
「しばらくぶりです」

秘書猫がきいた。「お茶にしますか」
「おう、大人でも食えるビターなスィーツ用意してあるからな、あれもってきてくれ」
「ヘイ」

そのときスフィンクス【コンピュータTV】でイカルスのニュースがでた。
「なんだって!?」
「愚神ビジター!!」
「アリスタンダー二世だ」
「アリスタンダーと一緒にするなか。まあ、そうだな破壊と殺りくを好むやつと支配を好むビジターか。どっちも巨大な魔人だな。時空警察はどう動くか」
「…いや、動かれないのでは?」
「支配されたけど、受けがいいようだな」
「愚神礼賛ですね…」

ビターなスィーツと砂糖のない薄いティーでおやつを過ごした。
「イカルスか…ケン!ユキ!」オーブリーはそういった。



3


ビジターはイカルス人に命令した。
「この国で一番でかいモニターの巨大テレビ4台買って来い。あと最大の画面のサイズのパソコン二台設置しろ…!!」
惑星イカルスの本来の首都はなんという名前か?もはや歴史の教科書を調べないとわからない。
まだ愚神ビジターが来訪して丸二日たっていないのに、マージキャッスルという呼び名が定着してしまっている。

「ニュースをつけろ…!!それと酒だ。ワインを樽ごと持ってこい」
巨人のビジターは樽ごとワインを飲みだし、テレビでニュースをながめた。
「ふーい。この世界のこととよその惑星のことを把握しておかなくてはな」
気をきかせて人民がフルーツボウルをもってきた。
リンゴ、パイナップル、オレンジ、バナナ。
だが皮はむいていない。
パイナップルをビジターは丸ごと口に入れてかみ砕いた。
「あああ、皮をおむきしなくてよろしいので!?」
「心配いらん。お前らとはサイズが違う」
グミを噛むように皮ごと喰らう。

「ふむ、コインか…バルハル」

電子辞書と百科事典をパソコンに入れさせ、リモコンでみたりしている。
巨大な背もたれによしかかり、酒をくらいテレビを眺める。
「夜になったら豚の丸焼きと羊の丸焼きを10頭づつもってこさせろ。豚は生焼けでもかまわんが、羊はこんがりするまで焼きつくせ。いいな」
「はいっ」
「そうそう、イベントを企画しなくてはな。それを担当するものを数名用意しろ!」



4


オーブリーとクラークはスフィンクスでイカルスのニュースを見ていった。
「なんであんな奴が人気があるんだ?」
「まあな、今まで圧政に苦しんでいたからな」クラークがそういった。


ビジターは命じた。
「国民全員に何か一つでいいから何かやらせろ。自由にプログラミングをさせてコンピュータのソフトウェアをつくらせろ。剣もいいが、この星は剣の開発が遅れているな!?武器がないときの体術を習わせろ。魔法をわしが直々に教え込む。魔法を覚えたものをマージとして配下に置く。マージを最高会議の人員とする。それと男女の遊び人を集めろ。余暇のとき芸をしてもらう」
硬い王座の背もたれと違う、ソファの柔らかい部屋をつくらせた。
夜はそこでくつろぐという。
「人間の女性が好みなのでして?」
部下がきいた。
「フン、人間の女に興味はない」
「では…バーラルレディとか…?」
「貴様…馬鹿か?考えてモノを言え。アリスタンダーでもよろこばん」

それから武器は剣より重火器だといって開発を命じた。
バトルヘリなど戦闘機が開発された。
惑星イカロスは容貌がチェンジされ出した。


5


みずからを愚神と称し、惑星イカルスを統治しはじめたビジター。
イカルスはアリの巣をほじくりかえしたように、人も車も猛スピードで動きまわり、皆働いているという感触になっていた。
時代がチェンジし、生まれ変わるかのような速さで目まぐるしい。


「フン、少しイカルスの統治がおちついたら、よその惑星を支配下に置くか…」
「ええ!?でもそのようなことをすれば戦争になるのでは」
「心配いらん。最後にあてにしているのはワシ自ら闘う力だ」


オーブリーとクラークはテレビをみていた。
「どんなやつなんだ」
「おっ、映ってるぞ」

肩足が鹿のひずめ、もう片方がクマ、腰のあたりまで毛皮で、蛇の鱗が背中のあたりまである。
ふとった腹、ブルドックみたいなつぶれた顔だった。

クラークがいった。
「おいおい、ずいぶん顔が悪いな…アリスタンダーのほうが顔がよかったな」
オーブリーもいう。
「…たしかに、奴は固い岩石のような魔人だった」
「ギリシア神話の牧神パーンに似ているな…」
「なんかそんな感じだ」


時空警察では密偵が派遣されていた。
フォルトナトが単身むかう。
いきなりイカルスにはいると怪しまれるというので、まず惑星バルハルに飛び、そこから別の船でイカルスに潜入した。

フォルトナトは船を下りて見上げた。
「ここがイカルスか…少し前まで政情不安定の世界だ」



6

グレートシティ

ABCホテルの一室でアルフレットとマハリクはコインを入れて見るTVをつけていた。
「なに、やつがビジター!?」
「なんか強そう」
「あの時空警察の謎の怪人(エパフロデット)なんか、ひとりでビジターをたおせるんだ」
「そんな強いの」
「今までの経験で分かるさ。オレもおかえしにサイコナゲットを覚える。いやサイコシュレッダーがいいか…」
「はやくよくなって。それとももう帰る?」
「…来たのはいいが…」


フォルトナトは宿屋に泊り、それとなく情報をつかんでいた。
ビジターはかなりの割合で受けいられている!
期待と驚愕のまなざしで見られている。

人々は建築や労働に動き出して活気が出ているのは確かだった。
レジスタンスと政府軍との衝突はうやむやになりつつある様子。

フォルトナトはマージキャッスルに潜入してみた。
スリープダガーを片手にもち左手を水平に広げ、城壁をよじのぼる。
闇にまぎれていたが、おちつきはらって、落下するかのように手を放した。
ガシ
スリープダガーをブロックのすきまにつきさし、腕一本で宙帰る。

体格のいい体に金髪の苅込頭でとうとう中にはいった。

「ふぉっ。やつか…」
巨人が柔らかいイスに沈み込み、笑っていた。
酒を飲みならが遊び人と御馳走を喰らい、歌を歌っている。
「…強い。一対一ならやや不利か…」

様子だけ見てひきかえした。その日は何もなかった。
次の日あたり、どうやらイカルスの憲兵がきがつきだし、ビジターにつきだされた。
「しかたない。大人しく捕まるか」

「ビジター様、大変です。時空警察の手のものと思われる輩を捕えました」
「フン、おもしろい」
ビジターは縄で縛られたフォルトナトをみると力比べを命じてきた。



7


「やれやれ、情報収集が任務だったのだが」フォルトナトはおちついて指の骨を鳴らした。
バキバキ
「フン、余裕のようだな。金髪の時空警察の」

フォルトナトはマジカルポケットからアラビアンアクスをとりだした。
にゅーん
パシ
「フオッ」

しゃがんだ格好でアクスをにぎりビジターにとびかかる。
「大魔焔!!」
ゴオオオオオオオ

炎のカーテンのような渦を巻いた火焔が襲う。
「オーラでガードだ」
フォルトナトのオーラは攻撃より防御に向いている。
ひたすらダメージに耐えられる体をしている。

342
「フン、くらえい」
ドス
アラビアンアクス 998

ビジターは肩を押さえた。
少し出血している。
「以外と硬いな…」
フォルトナトがいった。
「フン!フン!!!」

【メガトンパンチ】
フォルトナトはガードして耐えた。
354
241

パンチが止むと、フォルトナトは素早く下がり、魔法を使った。
「ライトニングカッター」

手裏剣のように黄色いカッターがとびちる。
「むおううん」
ビジターは目でおった。
その隙

フォルトナトの体当たりが来た。
「むおうっ?」
「ボディブレイク!!」
ドシ
2451
さらにカッターが背中に、
987
ドンドン!ボガン!!


「くううっ、この」
怒ったビジターは愚神のほこを手にしていた。
ジャストミート

「ふおーん」
フォルトナトは直撃を喰らい、ふっとんだ。
「ガハ」

3110
さすがに血だらけになったが立っている。
「ぬおおお」



8


「リニアアーマーの上からこれだけのダメージがあるとは…」
クラクラしてきた。
鎧がすこしひしゃげている。

「どうした、どどめが欲しいか」
ビジターがほこをかまえる。

「とう」
フォルトナトはアスリートがよくやるように、そしらぬ顔で飛びかかった。
長めの短剣が片手に光る。
「スリープダガー!!みやげだ!喰らえい」
ビジターの肩に突き刺した。
「ぐぬぅ!?毒か…しびれる」
なぜしたり顔でやらないのか!?
ビジターは肩を押さえる。
フォルトナトは宙返りをして引く。
「さらばだ。本拠地に帰らせてもらう」
「大魔焔!!」
ごううと勢いのある火焔がフォルトナトを追う。
「帰って時空警察に伝えろ!イカルスは強大な世界になるとな!!」
マージヒルズの広場からフォルトナトは素早く見を消した。

ビジターは追おうとするイカルス兵にいった。
「いや、おわなくていい。さすがに時空警察だ。レベルが高い戦士がいる…」

イカルスは地球よりはるか小さい惑星だ。
一般的な図書ではエジオンよりさらに小さいという。

フォルトナトはマントをひるがえし、空港に向かうと、誰にも気がつかれずコインのエカルテ行きの船にのりこむことができた。

シートに座りこんだ。
水薬を飲む。
コインに14時間くらいの宇宙旅行でついた。
そのころにはもう体は何ともなくなっていた。



9


エカルテのホテルに投宿する。
ここまでくれば安全だった。
電話で時空警察に連絡する。
≪それでは…フォルトナト少佐。ビジターと戦闘したのですか!?≫
「ああ、詳細は帰着してから報告する」
≪怪我は?≫
「いや、心配ない」

一泊をエカルテのホテルで過ごし、次の日の午前にグレートシティ行きの宇宙船に乗り込んだ。
時空警察では帰着したフォルトナトに丸二日の休暇の命令がでた。
休日明け、フォルトナトは専門の分析家に報告し、データバンクにインプットされた。

貴重なイカルスと愚神ビジターのデータがとれた。