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2014年3月20日木曜日

地球上のワトソンとカーター





地球上のワトソンとカーター







1


地球・アメリカ合衆国・オレゴン州

オレゴン州はわかったけど、州のどこの街なのかときかれても作者も困るのが現実だ。
まあ、オレゴン農科大学が近くにある。

ワトソンは机にすわりほおづえをついて考え事をしていた。

小説を読んで見えてくるアメリカはこんな感じだ。
でかいフォークみたいな農具をもって、麦藁帽子で大農園を。
トラクターとかコンバインとか。
小説を読んでもイメージや正確な図は伝播していかない。
だが、それでいい。
小説という文字だけのコンテンツをとおして伝わる世界。

インターネットなんか全部つつぬけだぜ。
写真に絵にアートに音楽、声、文字、個人の写真動画にビデオに辞書に正確な記録に。

こんなことを聞いてくれるのはアルフレット、君くらいだ。
カーターは忙しそうで疎遠だし。
アルフレット、天のどこにいるのか。
地球人類のインターネットはもう破局的段階だぜ。
人類は筒抜けの情報の洪水にのみこまれてあえいでいる。
ノアの方舟が必要だぜ。
情報の洪水から浮かび上がる。
人類はつつぬけの個人情報の世界で仲良くやる限界を超えたんだ。
ソーシャルもネットそのものも…
アルフレット、君のいる星は聖書に出てくる第三の天とかなのかい?
そっちの世界はうまくいっているのかい?
それとも人類と同じ?

天国じゃ女性は贅沢に飽きて傲慢なのかい?
地球じゃ年寄りが若者から金をとりあげだしたぜ。
若者はその代り見えないお金をまきあげた。
そういう僕も若者って歳じゃない。
せいぜい自分が爺になったら、小づかいくらい配れるようになっていたいな。
守銭奴は仲間外れにされるし、若いやつらはガメツイ年寄りを仲間外れにする。
共産主義も結構。
カーターの奴ならそのくらいいけるだろうけどな。
ぼくに誰が群がるんだい。だから仲間外れにする心配は僕にはない。
結局、金銭にも見えないお金にもツキが来ない気がするな。




2



アメリカ、いや地球の広範囲で話題の『七賢人と十人の王』っていったい誰なんだろうな。
ワトソンはマウスを動かしながら考えた。
古臭いパソコン画面に映るウェブを見ながら考えていた。
なんでも、人間で本当に愚か者は天の神でも救えない。
それどころか、天の神にとって反対に“触らぬ神に祟りなし”なんだそうだ。

三次元空間とか、宇宙の空間の距離とかと違う次元の奥深く。
真の深淵にもぐると神でさえ勢力の及ばない苦の世界があるという。
そこに住むものは罪人といっていい。
それを救えるか?
救わなくてよい。
魔界に自分たちの勢力圏を広げるような話だというぜ。
アルフレット…
神のむこうは善悪の彼岸であるように、また深淵や地獄の彼方もわれわれの善悪で語れない世界なんだとか。
神にとっての神が未知の彼方に無限に広がり、それは三神のむこうに広がるという…
空間と関係ないが無限に上と下に広がる世界があり、自分たちの常識など筒の狭いエリアでしか通用してないそうだ。
たぶん…物理法則から何から違うんだぜ。
真のエイリアンがいる。

ネットにでていた。
ユーフラテス河の水がどんどん枯れている!

「なんだって!?」
ツィッターにだれかかきこんでいた。
《ナイルキャップだ。誰かがユーフラテス河の栓(キャップ)を抜いたんだ!》
「ナイルキャップ!?川の栓を誰かが抜いただって!?」



3


ローズ記念館に行ってきた。
もう何度も行っているので見るものはない。
時間つぶしと気分転換にいってきたが、誰もいない教会のように小ぶりの雨の5月のような気分になった。
手ぶらで帰ってくるとポストにイギリスの新聞『タイムズ紙』がはいっている。
「誰だ?」
こういうのは問い合わせると、『誤配達ですので製品をどうぞ』といわれる。
勝手に広げて読む。
イギリス英語でなにやらかいてある。
資本主義。資本主義でいうとぼくの小説は敗北だ。
口を糊するのがやっとだ。
それもカーターに助けてもらってなんとかだ。
こんなことより、雑誌『ライフ紙』から寄稿の依頼でも来ないかな。
そしたらビーバーの話で書いてやるのに。
フライパンで焼いて水でふくれあがったソーセージのようなペーパーバック(僕の小説も載っている)を見てげんなりした。
ポートランドのコインタワーがTVに映っている。
「オレゴン州をでてニューヨークでもいってみたいな」
食パンをオーブンにいれトーストにバターをロンドン・タイムズの上でかじった。



4


カーターから連絡が久しぶりに来た。
ユーフラテス河の水かさがぐんぐん減っていることに関し、「わたしはそう悲観していない。天の神にわたしは会ってきた。アロン神」そういってエクセレントソード(アイスソードエクセレントとは基本関係ない)を見せて頼もしげにいった。
「アルフレット、クラーク、地球から天に向かって活躍している奴もいる」
そして、
「仕事が長く続いた。朝から夜まで仕事して、書類に向かう毎日だった。長い夏休みを取ってチベットなど旅行しようと思う」
ぼく(ワトソン)は思わず強い口調でいった。
「チベット!?あそこは大変だぞ」
ぼくもいっしょにチベットに向かう。

飛行機に搭乗するため空港に向かっていた。