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2014年3月2日日曜日

時空警察の宇宙ステーション・コスモ計画






時空警察の宇宙ステーションコスモ計画







1



時空警察エリア5(ファイブ)

ステファノは考える。
すべての分野、項目で全部プロになったら…
買い物する意味がなくなるのではないか…
そもそも、永遠に時間とエネルギーがあったとしてもあり得ない現象だが。
だから…苦手なことがあっていい。
人の役に立つくらいプロフェッショナルな分野が生活できる分だけ備われば。

だが、なぜか、自分の不得意とする分野にあたったとき、腹をつつかれる。
…自分が隊長のときいばっているからか!?そうか、オレはそんなにいばっているのか。
だが、仲間や部下を見ると『もっと威張っているくらいでいい』というニュアンスのやつと『威張りすぎだ』くらいの奴がいる。
それ以上の分析は自分にはまだ、未知の彼方だ…

それにしても…特防隊ランクAのメンバーがまだ一人も決まらないとは。
いつになったら決まるんだ?
できれば…不得意な分野にあたったとき横腹をつつかないメンバーを期待したくなる。
それではイカンか?隊長としては…

そのときデスクの卓上電話が鳴った。
PPPPPPP
「イエス」
≪ステファノ隊員にお呼び出しがあります。応接ルーム199におこしください≫
「わかりました…今むかいます」

自動ドアの扉が斜めにひらき、通路に出る。
エレベーターにのり上に登る。
半透明のエレベーターから向こう側の職員が歩いていたりするのが見える。
応接ルーム199
ノックしてなかにはいる。

相手はビジネス部門の40代半ばくらいのやや腹の出た眼鏡をかけて背広を着た男性だった。
パソコンと書類を広げている。
「イエス…ステファノです。はじめまして」
「はじめまして…時空警察のビジネス部門のものです」

用件はグラウディウス帝国のアルキメデスなどをうけて、時空警察独自の巨大宇宙ステーション・コスモの建築のプランがはじまっているという。
「ステーション…コスモ」
「ええ、ステファノ隊員には企画の一部に参加してもらうのと…コスモの建築が終了後、護衛の職務とショッピングモールの責任者を担当してもらうという話でして」
「ショッピングモール?デパートガールをたばねるとかですか」
「いえ、それは各持ち場に民間人の責任者がおります。あなたには仮想責任者というのか、決まった任務はありませんが、全体をみわたして、相談にのったり。まあ、実際は専用室でモニターをみながら電話をまったり、モールをあるいて視察したりでしょうか」
「なぜ私が…特別防衛隊の隊長の職務もこれから来るはずですし」
「あれですが…私から話すのも変ですが、かなり時間をあけて結成されるようで。ま、ようするに特防隊Aランク隊員の人材がいないらしいんですわ。戦闘隊員は大勢いますし。Aランクは時間をかけてというらしい」
「…」
ステファノは口を手でおさえて沈黙した。
「コスモは建築もまだ設計図をいじっている段階で。中で何をやるのか企画を喜んで募集しています。まあ、採用されない場合はうらみっこなしですが、いいプランは一部分でも部品みたいにか丸ごとか採用されますんで」
「それを私に期待されていると…」
「公募すると思いますよ、時空警察全体の職員にも」
「……」

ステファノは悩んだ。戦闘よりメールやワープロソフトなど事務系の仕事が増える。



2


ステファノは新しいコンパクトなノートパソコンを今回の仕事用に買い整えた。
発想法の本も買ってきた。
アタッシェケースを用意した。
ビジネス部門の担当者にもらった資料をバインダーにはさんだ。

「なになに…発想は習慣にすれば誰にでもできる。学生でも、主婦でも、ビジネスマンでも教師でもか…なるほど」
資料をザッとみると、よくあるショッピングモールとおなじで女性物、家庭用品の雑貨、レストラン、喫茶店、衣料品店がおもで男性が入っても見るものが少ない。
「うーん、書店とかくらいだな」
ショッピングを楽しむなんて女性の仕事で、男性はある程度の年齢になると主婦に任せてしまうだろう。
「ビジュアルがきついわりに、若い人向けの愉しみがあまりないか」
若い人はインターネットで事足りてる節があるからか。

そう簡単にいい企画は出てこなかった。
新品のパソコンをセットし、ノートソフトを立ち上げた。



3

ジャイロダイン

マハリクがいった。
「深夜番組のほうが楽しいかも」
アルフレットが答えた。
「ああ、ああいうの知恵が煮つまってないから斬新なのとかあるけどね。でも、それやると違う小説になるから」
「二層式の…」
「うん、でも面白いね。生ハムとレモンチューハイ買ってきて二人で見ようね」
「いいけど。コンビニでもらってくる(エジオンには貨幣が基本ない)」
「ケーキも夜食に買おうね。お酒とか飲みすぎると気分悪くなるから足りないくらいがちょうどいいんだよ」
「わかった」
「ずっと一緒にいようね」
「いいけど…」



4



次の日

アルフレットはアルセウスの荷物搬送倉庫にきていた。
「自分の胃に合わない女の子はおなか壊すからね」
「ふーん」
アルフレットは浮かれていた。
アルセウスは思った。
(アルフレットのやつ…だまされているんじゃないのか?そんなうまい話があるのか)
「アルセウスも相性をよく確かめて交際したほうがいいね」
(余計なお世話だ…お互いの相性か…星座占いとかか…)



5


ステファノは買ったばかりのノートパソコンを立ち上げて考えていた。
うーん。

誰だ?自分のことをサイボーグ009に似ているというやつは…

まず、思いついたのが『良くできた偽物』だ。その道のプロがやると“できてあたりまえ”といわれ、ありがたがられない。素人や初心者がモノマネでやってプロに見えるから面白いというのがある。やっているうちに大御所みたいになると、煮詰まるうえ、何をやってもプロだからあたりまえと感心されなくなる。
そういうケースが多い。

うん、今の自分など新しい風を期待されている。
ということは、それ以前に自分はど素人だ。

その次に…誘われると行きたくなくなる。
宇宙ステーション・コスモ内部のイベントやモールのテナントのなにかだ。
さそわれると仕事をやらされるか、大して楽しくなさそうに感じる。
むしろ…マナーの悪い人お断りとか、容易に受け付けないとか、チケットや予約がとれないみたいな。
そのほうが広告費をかけずに人気が取れるかもしれない。
うーん、素人の自分にはこれくらいしか。
パチパチ、ステファノはノートソフトにタイピングした。



6


エリア8(エイト) 

ジュールが時計を見て給湯室でお湯を沸かした。
どんべえをとりだしいった。
「三時になったからぼくも、どんべえ食べるよ」
湯を注いで割りばしをわり食べはじめた。

そこにヴィクターがやってきた。
「よう、ジュール。さぼってカップめんか?もうすぐ出張だからうちのフロアのことそれとなく気にかけていてくれよ」
「ゴホッ、僕の担当じゃないよ。帝国に行ってくるのかい」
「ああそうだ、よろしく頼む」


ステファノがビルのロビーの無料自動販売機コーナーでコーヒーを買おうとしていた。
観葉植物の茂みから近付いてきた人物がいた。
「あら、珍しい。スーツすがた?いまなにしているの」
「ムッ!?レイヤー隊員…ひさしぶりだ。こんどは企画だ」
「企画…」
「宇宙ステーション・コスモのプランだ」
「そう、場違いなような!?…おもしろいけど…何ができるか見せてもらうわよ」
「フン…そっちは何を担当している」
「戦闘から外されているわ。最近の時空警察は女性の戦闘任務がへってるわね」
「…」
「地味だけど面白い仕事。TVの番組のダイヤグラムを組む仕事よ。番組を作るんじゃなくて列車のダイヤグラムのように」
「なるほど…算数や論理みたいな仕事だ」
「アシスタントがほとんどだけど」
「じゃあ、仕事に戻る」



7


ステファノは実際にショッピングモールに足を運んで見た。
ブギウギという感じで昼下がりのおでかけを楽しんでいる若い人たちや主婦がいる。
紳士や若い男性もいる。
ステファノは目が回ってきた。

これは…仕事のために観察しながら歩くと二重に疲れる。
客に徹しなければダメなんだ。
客としての見え方に…

ステファノは考えた。

これは仕事などアーリーリタイヤして全人生を仕事に徹するか、客に徹して暮らすかしないと無理だ。
自分もやってみようなどと観察していると客として楽しめない。


エリア5(ファイブ)に帰ってきて考えた。
デパートが閉店してシャッターを下ろした後の店内を歩いてみたい…!!
照明が半分消えてうすぐらくなったモールなどみたことがない…!
そう蔵するのも難しいが、昼間と違い客のいないだだっ広いフロアなど景観だろう。
だが、仮想

責任者になればコスモのモールを歩けるだろう。