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2014年2月6日木曜日

オーブリーの大航海 ―未知なるオーシャンをこえて―





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オーブリーの大航海 未知なるオーシャンをこえて










1


クラーク王から暇をいただいて…
違う土地でしばらく生活してみることにした。
まあ、休養だ。

バカンスに避暑地で夏休みの間過ごすみたいに、普段の人生と違う生活の役回りを演じて暮らそう。
そう思った。
まあ、あっちの土地で普段とは違う仕事をするんだろうけど…

違うゲームをクリアしてもう一つのゲームへ。
ゼブラの女のピューリタン革命の時代のイギリスから、四つの空飛ぶ円盤、コインメタトリーの世界へ来た。
そこでもいろいろの冒険がまっていたな。

シリーズもののゲーム。3スリーからクリアして、1ワンへ戻ると設定や環境がなんだか違わないか?
ワードプロセッサーも最近のソフト使っていたのに‘95をいじるといろいろ機能が違うな…?
前のゲーム(世界)じゃかなりやり込んだから、ある意味自信があるんだけれど、今度のゲームじゃ困難のタイプが違ってくる。
なめているとボカンと沈没するな…

そしてまたもう一つの別のゲームの世界へ…





2


コーヒーハウスの入口で女の子にお金をはらう。
制限時間なしで中で過ごせる。

カップにコーヒーをゆるりと注いで、立ち歩きながら壁の張り紙を見る。
「ズズ」

あったぞ。さっそくこれだ。こっちに持ってきた財布の中身は知れた額。
遊んで使うとすぐになくなる。
航海の船乗りの仕事の募集だ。

≪明日の午後三時に集まりがある。有志のかたはこのコーヒーハウスへ…≫

「なるほど…了解」

新聞紙をもってテーブルにつく。
「こっちの世界はどんな世界だー」
あらかた、適当に知識を頭につめこむ。

客の人数はまあまあ。
か?
そんな人がいないな。
煙草をふかしているお爺さん。
コーヒーを飲んでいる中年。
とくにない。

その日は港をみてまわってすごした。
船が何隻も止まっている。
「うーん、知らない土地にきてよかった。普段の自分と違う人でいられる」
しがらみというのか…クラーク王のスパイのような仕事をしていた日々が遠く感じられる。
ここじゃ、誰も顔を知られていない。

クラーク王ほどじゃないのは確かだけれど…
あっちじゃ魔王を倒したり、知人縁故がそれなりにいたり、歩いていると知っている顔がいたりで知らないうちに肩が凝る。
おんなじ暮らしをしていると、体の同じ個所ばかり使いなれてこってくるんだ。

だから…知らない土地で違う人生を一時…



3


次の日、コーヒーハウスに顔を出すと船乗りたちが集まっている。
「…あの…」
声をかけると、「ああ?兄ちゃん、張り紙を見て俺たちに話しかけてるのか?」
「ええ、水兵でも務まると思います」
「なるほどな。航海術の知識はあるのかい!?」
「独学で…そんなには」
「ふーん」

連中は「それなら今度の航海に乗ってもらおう、兄ちゃんは今度の仕事の同志だ」そういってぼくの手を握った。

「それで?兄ちゃん前職はなんだい。これだけ最後にたずねよう」
「…ある王に仕えて…」
「近衛兵(このえへい)とかかい。王様の近辺を守る」
「…まあ、そんな業務もあります」

一日開けて夜、居酒屋に来いという。
酒とつまみを喰いながら航海のことを話すという。


それによると、出発は三週間後…
それまで、宿賃がなくならないよう、船に積み荷の仕事をさせてもらうことになった。


ぼくは手ぬぐいを水でぬらして絞ったものを首から下げて積み下ろしをした。
今度のる船だけではなく、今港に着港した船から積み荷を降ろす。

汗が流れる。日差しが暑い。てぬぐいがありがたい。
体力には自信があるとはいえ、戦士の仕事よりきついかもしれない。

反対にこれから出向する船に貿易のための商品を積んだりもする。
木製の箱に詰められていたりする。大樽、小樽も運びいれた。
目に汗が入ってしみる。
てぬぐいで汗をふく。

業者がふなつきばの堤に置いていく。
いろんな荷物が一か所に横に並ぶ。
あるものなど、配達をしてくれないので自分たちで受け取りにいったりした。
筋肉がきしむ。
意外と荷物を壊さないか、神経というのか頭を使ってつかれる。
気を使わなくていい安全な通路だと力だけで楽に運べる。

毎日、日払いで賃金をもらう。
汗をかいたので飲み物がおいしかった。




4


図書館に通う。
とりあえず、ざっと蔵書をみてまわり必要な本を机にどさっと積む。

医学の初歩、地理、航海術の本、実際に行ってきた人たちの航海記、天文学、地図、海図、数学書、百科事典。

「よーし、勉強するぞ―」
実際に航海にでる前につめこみ勉強だけでもしておきたい。

ノートにペンで記憶に残したい個所を書き込む。
ノートブックを一冊、さっき買ってきた。

ざっと目を通す感じで読み飛ばしていく。
こんな分厚い本を何十冊も読破していたらきりがない。
全体に目を通し必要な個所をほじくるんだ。
大型本も無造作に積んでいる。
本の山をひっくりかえして読んでいった。
参考資料がこれだけあると自信が出てきて安心する。


ある日、コーヒーハウスに行くと、40過ぎくらいのまだ若い感じのする男性がぼくを待っていた。
「やあ、きみがオーブリー君だね。わたしは今度の航海の提督をつとめるクリストス・ルイです。よろしく」
「ああ、こちらこそ。よろしくルイ提督」
「君は国王の近くに仕えていたとか。今度の航海のことで国王に謁見し会食をすることになっている。その場に君も同席してもらいたいのだが…」

国王か…
ぼくは思った。
国王とやりとりするということは無心か?通常の航海と違うのかもしれないな。
「わかりました」
そう答えた。


5


王間でルイ提督とぼくで謁見した後、すぐ会食となった。

白いテーブルクロスがずらーっと縦長に並ぶ。

王と王妃が食卓に同席する。
ジャン国王とマリアン王妃といった。

もうひとり、かなりの年齢の元航海士。

七面鳥の丸焼きにたっぷり香辛料がかかっている。
上等の白パン、蜂蜜入りのパン菓子。
ジャガイモをふかして塩で味付けたもの、つまみ用のチーズ料理。
ソーセージに切れ目を入れて焼いて、トマトケチャップをかけたもの。
樽から汲んできた葡萄酒、牛肉を煮込んだスープ、果物の盛り合わせ。


ジャン国王が乾杯をして、ルイ提督にたずねる。
「して、今度の航海の思索とは」

テーブルクロスで手をふく。

「ハイ、王様。香辛料や貿易で儲ける船なら多くいますが、未知の財宝を目指して、今までより遠い異国に旅をしたいと考えております」
「現地ではタダ同然の香辛料がなる土地でさえ、はるか遠方と聞いておりますが」マリアン王妃がそういった。

「陸地沿いに航海し、ときどき船を碇泊させるポイントで陸につき、香辛料の土地にいくのが常套手段で多くが成功しております」

老人の元航海士がいった。
「いまではポイントも多くが海図に書かれている。最新の航海術を身につけていれば、かなり成功の頻度は高い」
そういって、あまり肉は食わないでワインとチーズを口にしている。

そうやって香辛料をどっさり船に積んできて売りさばく。
一回成功すると大金持ちだ。
船が難破したり、海賊に襲われたり、貿易に失敗すると大損したり、命さえ失う。

「既存の海路は従来の船にまかせまして…」
「自分たちはさらに遠方の異国の富をはこんでくるというのだろう?そういうと察しがついていた」
「さすがジャン国王…」ルイ提督はいった。

「そこに同席している元航海士はその遠方にいったことがあるという。話を聞いてみるか…?」
「ぜひ」

彼は促されるとしゃべりだした。
「陸地沿いに航海しないで…外海を渡る気だろう?」
ルイ提督はこくりとうなずく。
「まず、まゆつばなマップしか書かれていないな。憶測と観測した雑な地図が頼りでいって帰ってこられるのか」
「…」

ルイ提督は言葉を止めた。
ジャン国王も杯を止めて沈黙している。

外海をわたるか…ぼくは考えた。
危険な航海。

マリアン王妃がいった。
「遠方の異国の名物や財宝、外国の富は確かに興味があります。すばらしいでしょうね。持ちかえることができたとしたら…」

ぼくは白パンをうまいと思いながらかみしめていた。




6


女性なんか、あるいは恋人とかか…
男性の部下を統率するのと何かが反対なのかもしれない。
右手は左手とそっくりだけど、反対で鏡に映すとそっくりになる。

男性を率いると疲労するのが右腕で、仕事の後女性と暮らすと、こんどは左手を使う。
疲れた右腕が休まさって楽になり、あまっていた左腕に重みがかかり運動不足が解消される。
そんな感じだろうか…

提督(複数の船に船長がいる。その船長を束ねる。船団のトップ)など、休みなしで航海を終えるまで男性の船員をまとめるんだ。
さっきの説でいうと右腕が骨折しそうになるほど疲れるだろうな。

部下を率いているくらいでないと、恋人や女性のありがたみが感じられにくいかもしれない。
むしろ、自分より上の女神のような女性に助けてもらいたい、知恵を貸してほしいような気持ちになるだろう。

マリアン王妃なんか、自分は来たばかりで無知なこの世界で(オーブリーはコインから外遊しにきている)先輩というのか、自分より理知に長けた上の存在に見える。
だから、違う土地に来ると自分より背丈の大きい人に囲まれ、安心した気分になる。
旅人の良さである。
コインじゃなにかと助けを求められたりした。
魔王を倒して英雄扱いされるとなおさら頼られてしんどい思いをしたりする。

自分はこの未知の土地の素人で安心して頼れる先輩に囲まれている。

ぼくも半人前だが、もっと半人前の相棒みたいなのがいたりするんだ。
この手の話だと。
義賊、革命家、盗賊ギルド、正義漢の泥棒…。


ルイ提督はいった。
「あなたがたどりついた土地の話とは…」

年寄りの元航海士はいった。
「わしはな…意図してたどりついたのではなかった。船が難破してボートで漂流し、そのボートも転覆し海にのみこまれた。気がつくと見知らぬ島なのか海岸にいた」

そういって席を立つとノートブックのようなものをテーブルに広げた。
ジャン国王がうなづく。

「そのときだけではない。わしは運命のめぐりあわせか、若いころからの航海で、そのように船が転覆し漂流したことがなんどもあるのだ。そのときの星の位置、海の近辺から記憶を頼りに地図をかいた。だが、荒い地図だ。頼りになるかはっきりせんがな」

精密な地図ではない。
そうだろう。

「帰りはどう帰ったか…わしはいろいろだが、ムアール人と片言でやり取りができる。ムアール人のいる土地までたどり着くのがしんどかったが命からがらだった」

ジャン国王がワインを汲んでくるように給仕にことづけた。
それからいった。

「それで船舶のご老人…そのまだ見ぬ大陸、あるいは島か、なにがあったのだ」
マリアン王妃もいった。
「わたしもききたいわ。その話を。長い航海の果てに見てきた物語を聴かせてちょうだい」

ぼくも腹がいっぱいになって香辛料のきいた七面鳥に食いつきたかったが諦めた。
そのかわり、果物をたべるかチーズを食べるか迷い、葡萄酒にチーズを選んだ。
味が薄いというより塩見がないが、妙に水を含んだスポンジのようでいながら、汁の抜けた牛肉と違い、なにかかみごたえとうまみがある。
そうだ、くさみが一切しない。生臭いのもなにも、ミルクのくささもないミルクという感じか。
プチトマトのスライスとくしにささっている。


老人は語りだした。

「さよう…あれは裸の人たちがいる土地だった。大陸の切れ端なのか島なのか、海図にかいたが、あとでみてくだされ。ともかく、その土地の原住民は真っ裸で、そして犯罪がない。我が王国の様に牢もなければ警察もない。若者は槍をとるがな。自衛はするだろうが罪というものがなく。バカ正直で宗教もないのに間違った行動をとらない。善人の島と呼んでいたが…犯罪者のいない島ともいえるな」

ルイ提督がグラスをおいていった。
「…服を着ない野蛮人…善人の島か」

「そうだ、そこのひとは慈愛がもとよりあり、妬んだりしない。そのかわり文明は独特で未開拓だ。だが、裸を恥ずかしがらない代わりに罪もない国だった」

ぼくはアダムとイブを思い出した。
智慧をつけると自由意思により善と悪が発生する。
裸が恥ずかしくなる。
そうなるまえの、人類は罪がない。
そのかわり智慧や文明があまりない…。

そう解釈できるかな。

マリアン王妃はもう食事に手をつけてはいなかった。
一杯目のワインのグラスもそこをついてなかった。
「野蛮人なんてホントにいるのね。生態をもっと知りたいと思うわ」
「ブッシュマンだとかバーバリアンなど、眉つばの物語でしか知らないからな」国王もいった。

「だが、それだけではない。首狩り族という野蛮人は人間を襲う。私は確かに遭遇した。連中はわれわれの中の極悪人より凶暴でそれが現地人には普通らしかった。生肉を人肉でも食いあさり、血をすする。ガチョウの卵が好物で」

ルイ提督はいった。
「待って下さい。おとぎ話か、本当の話か。じっさい遠い異国ならあっておかしくない。だが、そんな野蛮人をどうやってあなたは観察したのか不自然だ」

「うむ」