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2014年1月25日土曜日

あの日の囚人 第三話

元囚人にはひとだかりができたり、

疎遠になったりした。

あるときいわれた。

「心からおれたちのこと親切にしてくれる奴がいいから」

「マンガのためじゃなくて好きでおれたちの面倒見てくれる奴」

「そうそう」




なるほど、いいことを教えられた。

こころからか、きっと親切で(マンガを)稼いだ自分は親切な楽園に入れないのだろう…

楽園は心からであり、見返りを期待するものを拒むからだ。

天国の検索エンジンには広告も付いていないのだろう。

だが、地上では労働は尊いことだ。

案外、嫌いなことを職業にした方がいいのかもしれない。


元囚人はあこがれた、心からの親切な仲間

それと

やはり、壁のしみのマンガも欲しかった。

欲しいものが二つになる…

同時に天罰を恐れた。

天の決まり事には自分もさかられない。



つづく…



あの日の囚人 第二話

「ジョブスは発明とガンがひきかえだったんだ」

元囚人は気がついた、わが身に怒る不幸に抗しきれずに死んだ。

いどんで、見いだせなかった天国とは?

もうひとつきづいた。

自分の身に災いを受けなくても発明ができる!

禍で苦しんでいる人を救済すると!あのときのマンガの続きが見えてくることに気がついた。

元囚人は人助けを始めた。

「ども」

「ただで助けてくれるいい人」と喜ばれることもある。

「芸術のための偽善者」といわれ心の石を投げつけられることもあった。

「てめー」

傷ついたとき、囚人はこう思った。

「彼らは人を傷つけた時自分の心も痛むと知った…わたしの仕事だ」



つづく…