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2014年12月22日月曜日

World planet huger ワールド・プラネット・ハンガー 9







9


World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー

閉ざされた世界










32 スメルジャコフの魔術


休憩の時間、お茶を飲んで雑談していた。
「あはは」
マチルダもくつろいで笑っている。
一瞬蜃気楼のように温度が下がった。
誰かに見られている!

そう何名かが直感した。
スメルジャコフがなんでもないように室内に立っていた。
「てめえ、どこからはいった!?誰だ」
アレクセイは声を荒げた。

「まあ、落ちついて。マチルダ女王様にお花を…」
そういうとスメルジャコフはレンゲの花をマチルダにさしだしていた…
「あ、あの、あなたは?わたし…」
口をパクパクさせるマチルダ。
驚いているスピカ。
腰が浮いてイスから立ち上がろうとするホビン。
アレクセイは銃が別の部屋にあるのを考えていた。




そして、有無を言わせない。しかし物静かな態度であたりを静止させたまま、スメルジャコフはアレクセイにむきなおった。
「はじめまして、アレクセイ。あり得ない世界というのは、現象が著しく珍しいからおこる。シュミレーションしてみたまえ、めったに起きない計算とその結果は非常に稀有だ。だけどめずらしいだけで実在している。不可能のようで不可能ではない。気体を仕切りを入れたケースにいれて、複雑に仕切りを取り外していく…組み合わせの妙理によっては見たことのない世界で、見たことのない常識の世界に暮らせるぜ」
「そんなのマシンのカラクリを組むのと同じことだぜ。ワカサギ釣りでもスケートでも、スノボードでもな」
「フフフ…そうか、しばらく厄介になる」

スメルジャコフは催眠術でいつのまにかアレクセイたちの城で働いている…



33 スパイ


アイアンヘルムはスメルジャコフがどんな情報を運んでくるか考えていた。
「あいつは、オレに好かれようとは一切しない。…だが、役に立とうとはする…」
そういう性質の男だと考える。
「オレにも何を考えているのかわからない男だが…オレの中にない何かをつかんでくる。そういうやつだ…」
あとはどうする?
自分の藩を強めるには。
LEDで賢く省エネってか?


                                                          
「エソプレッソはいかがでしょうか。香りが高く濃厚な品質でして」
スメルジャコフがコーヒーを配った。
「スメルジャコフも手伝って」
(ちっ、スパイとはいえ、本当にこっちの家業を手伝うのか。スパイの仕事は…偵察先の仕事を一生懸命こなすことなのか…それとも…)



34 新入り



一晩おいてスメルジャコフは考えた。
(オークションのように、誰かがやりたがる仕事は人が群がる。反対には、誰かが嫌がる仕事はみんな引き潮のように誰もやりたがらなくなる。自分が嫌な仕事を部下に押し付ける上司は人望の何分の一かを失うだろう。上司であるという説得力に欠けるのだ。王のように、あるいは王ほどでもないが、それに近いものをめざしているものは人の嫌がる仕事をときとして引き受けなくては…
つまりは、いざとなったら自分が引き受けても引く気はない。そのくらいの気概がないと上は務まらない!)

スメルジャコフはやりたくない仕事を受けてもしり込みしないことに決めた。
そのうち、人気の仕事になり、仕事を奪い合う。
うまくいっている職場はみんなこうだ。
仕事から逃げている上司は部下もみんなやりたがらなくなる。

(だがな!アレクセイ。ぼくはスパイじゃない。いや違う。きみの上司や監督じゃないぞ。スパイなんだ!)

新しく女の子が職場に入ってきた。
ハーモット伯爵が採用したという。
小柄に近い女の子だった。

「やっぱ今の時代、就職じゃん。職業についてないと」

スメルジャコフは思った。
(ちっ、また余計な。オレが新入りで来たばかりなのに。催眠術で古株のようにふるまっているが…)

スピカはいった。
「よろしく。名前は?」
マチルダはいった。
「はじめまして。マチルダです。遠くから?」

アレクセイは思った。
(また女か。どうも男の人数が消極的なような。あのアーベルって野郎みたいにパワフルになりたい気がしてくる)



                                  
35 コメット



コメットという娘はよく働いた。
「型」として。新入りなのによく働くが、口がよく動く。というほどでもない。でしゃばるかというと、でしゃばるに遠い。「動き」が各方面に散って結果、どこも動くが動き過ぎない娘という感じになっていた。

「ふう、働いたけど疲れる…」
まんべんなく動くので仕事が終わった後は疲れるらしい。

休憩の時間はスピカと菓子を喰っている。

「…いいか、アレクセイ。君をこのシャーペンのなかに閉じ込めることだってできるんだぜ」
登場して視聴率をコメットにうばわれたかのような、スメルジャコフだったが、アレクセイに仕事中絡んできた。
「いいから、かたづけろよ」
(…以外とつまらないやつらだな。エスプリにかけるからつまらなくなるんだ)

彼はいった。
「いいか、エスプリだぜ。それがないから君みたいにつまらなくなる」
「なんだよ、エスプリって」
「…辞書で調べろよ。機智とか才気のことさ」
「…ふうん。悪くないな。研究しておけよ」

昼休みの後、アレクセイは城の大図書室で1時間さぼった。
「数理工学!?これだ!」

数理的な工学。ソフトのプログラムなんかにも使えるだろう。アレクセイが考えていたのと近いようだ。

「乱数の質。組み合わせの最適化、シュミレーション。アルゴリズム。難しいけど開発できたら力になる」
拾い読みしてみると何となくわかるような、理解不能のような。
「簡単だったら、アイデアか…簡単にまねされる。理解困難なものだと工学として独自を維持できるのかもしれないな」

これだ…!シュミレートって組み合わせって、オレも同じことを。なるほど全部計算しないで有効なものだけを予測するか。有限の計算は無限か…。無限ってことは永遠に飽きないゲームがつくれそうだけど…おもしろいゲームはその組み合わせの偏った一割とかなんだ。全部実行しても似たりよったりが繰り返される…。だから、ナイスゲームを予測する工学か。











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