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2014年12月29日月曜日

World planet huger ワールド・プラネット・ハンガー 10







10


World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー

閉ざされた世界











36 数理工学への興味



本を棚から抜き取って、仕事場に持って帰ってきた。
ズン…
「こんなのぼくにはわかりませんよ」
ホビンは怖気づいた。
専門家に近いホビンでもそうなのか…いや、かえって難しさが理解できるのかも。

「ああ、でも他人が作ったプログラムを解析するのは困難でも自分で作るのは別か」
「そうだ。それだよ。自分で作るのさ。パズルと歯車じかけの機械の中間だろ。頭の思考だけでできて金もかからないし、プログラムやネットに応用できる」
「検索エンジンとかの数学的とかっていわれているのそれかなあ」
コメットが口をはさんできた。
ホビンはしばらく考えていたが、
「うーん、それそのものでなくても似たような数理メカなのかもしれない」

スメルジャコフは二人を見ながら考えていた。
(数理工学!?ぼくは魔術を使うので精いっぱいだ。余分に数学の最先端なんかに首を突っ込むと疲れることになる……最近のぼくのテーマはテレパシーなんだ。でも…魔術で食い損ねるようになったときのために、もう一つの畑として首を突っ込んでおくか)
スメルジャコフはコメットとスピカにきこえないよう、アレクセイの首をかかえてささやいた。
「いいか、アレクセイ。あのコメットとかいう女。気をつけろよ。あれはスパイの匂いがするぜ」

「え、未来の自分が送ってきたスパイとかかよ!?」
「ぼくは親切で言っているんだ。首都を探りにきた、よその土地の女だ」





37 岩塩



アイアンヘルムはマルファとの食事の時間、特別な塩がうまいのに気がついた。
「うまい!なんだこの気のきいた塩味は」

アイアンヘルムは特別にうまい塩を探させた。
「そういうものではないのでは?アイアンヘルム」
誰かがそういった。
「調理に詳しい奴に調べさせろ。不純物がまじってうまいとかなにかだろ」




38 立ち往生



ホビンがコメットに近寄り、立ったままいった。
「スメルジャコフがコメットさんがスパイだっていってますよ」
そういうと、きいていたスメルジャコフはせき込んだ。
「ゴホッ、!はっきりいうな。ホビン貴様!」
アレクセイは「おお?」と興味深そうだ。

「うん、わたしそうなんだ。でも探偵とかそういうスパイじゃないけどね。フラキルクの街から、首都の様子をうかがうために派遣されてきたんだ」
「なんだ。わかりましたか、スメルジャコフ」ホビンは得意そうだ。
「そういう感じか」アレクセイは地図帳を広げる。
ベザスよりさらに南下した位置にある。
そこがフラキルクの古い街だ。
「こんな遠くに何があるの?」
アレクセイは尋ねた。
「今度遊びに来てみなよ。楽しいものがたくさんあるよ」
コメットはそう答える。スピカが訪ねた。
「アリアネロンとどう違うの。風土的に」
「うーん。そうだね。おばさんになると太っているけど、ここは。寒いのに。あっちじゃ、17歳くらいでデブみたいになるけど、そのあと痩せてスリムになるよ」
「首都と反対だな」
アレクセイがいった。




39 おろす


スメルジャコフは無言でアレクセイを睨みつけていた。
アレクセイは気がつかないようにかペンを動かしている。

(アレクセイ…君は、工学を持ち出した。現実に目を向けるようになったって証拠さ。中学で工業をめざすか?高校卒業して大学行ってまで理論を目指すのか?大学は工業大学にするのか。おろす。現実をみるんだ。そうすると現実金や仕事になる工業、工学に目がいくようになる…大学院行ってまだ理論いじっていると、就職できないで架空の世界夢見ていることになるんだ。いいか、中学で工業か高校で工業か、大学で工業か、大学院で工業か、永遠に大人にならないで理論の世界をおよいでいると夢見る詩人だ。現実に目がいくと少しは嫌な大人になるんだぜ。アレクセイ、女の子が髪を「おろす」のとおなじことさ。問題はいつそうするかのタイミングだ。数理工学だなんて、長い間理論の世界を泳いでいたってことさ)

グググ…

学生は抽象理論や一般理論を学びたがるが、大人になると工業や工学を学ぼうとする。



40 アジト?


アイアンヘルムは自分の銃を磨いていた。
自分で改造した、改造ショットガン。
一度に二発玉がでる。

優秀な部下がいると怖くないのか?
ダジャレじゃない。
敵に対抗するとき怖くないな。
だが、自分の手のひらに収まっているのか?
胃の具合にひっかかるだろう。
謀反を起こさないのか。
自分に比較して優秀だから安心できるのと、優集だから手に余るのと…
複雑なからくりだ。



41 フラキルク


フラキルクはフランスをもじったものだ。
日本人から見たあやまったフランス感。
それを「フランス記」か「フランス録」としてパロディ小説のように独立短編にしようと企画した。
だが、結局、煩雑だということで、ワールド・プラネット・ハンガーにとりこむことにした。

実際のフランス人に批評してほしい。

つまりは、フラキルクの街は、
下っ端の労働をいやがるものが多い。
誰もが、男も女も上の仕事をやりたがる。
日本だと、親父の仕事はつらいから、下積みでいいとか、下積みが大事だとかいう話になりがちだ。
社長自ら掃除するとか。
フラキルクでは(仮想フランス)掃除なんて誰も嫌がる。そのため街は汚い。
オヤジのふりに忙しい。
「おい、かっこつけで葉巻をふかせ。女どもになめられるぞ」
「パイプのほうがいいぜ」
「あごひげを生やせ!」
「ジムで鍛えるんだ」

上の地位の仕事をしたがるため、無理にだ。その歳でまだ早いと日本だとわめかれるかもしれないが、恐怖と闘って内心びびっている。
下のものは雑用をこなすが、上のものは恐怖を引き受けるという寸法だ。
そのため神経質で、内面は絵の具の黒い色がまざった原色のような、つまりはノイローゼに対抗しているような激しさと病的さ加減だ。

アリアネロン(首都)は仮想ロシアである。
ロシアとフランスは正反対だと考える。
フラキルクは資本主義がこの世界で強い。
共産もないでもないが根付かない。
かつて王国だったときの名残、貴族志向だ。
カフェやレストランでくつろぎたいが、ウェイターやウェイトレスでもあまりやりたくないがフラキルクの市民なのだ。












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