ページビューメ-ター

2014年12月17日水曜日

World planet huger ワールド・プラネット・ハンガー 8










 8


World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー

閉ざされた世界










26 仕事の疲労



午後4時すぎ、アレクセイもホビンもスピカも深く疲労してきた。
風邪を引いたときのようにけだるくなり、暖房のあたたかさでとろんとなりそうな。
パソコンをたたいているホビンもおとろえてきている。
スピカも枚数の多い書類の仕事をしているがスピードがとろくなっている。

アレクセイは腕時計を見た。
「ああ、もうこんな時間か。もうやめにするか」
マチルダがはいってきた。
「なんだよ、そっちももう終わりか」
「ええ、おしまいにしましょう」

スピカがいった。
「あー帰ろう」
「お風呂で温まりたいですね」
「ちゃんとパソコンの電源切れよ。照明の元栓も」



アレクセイはストリートリッチを少しずつ水に溶かしながら飲んだ。
仕事の後の愉しみとしてとっておいてある。
ゆったりとくつろぐ。
働いた分、きもちいいのがつづく。


アーベルがセバスチャンとワインを飲んでいた。
串にさした肉をくいながら。
「こう…胃がせりあがるんだ。欲張って酒を飲もうとすると。働きの分与えられる。酒もなければ楽しみはつけだが」
この世界では、それは多い。だが、今のように楽しみもあるのが事実だ。
「足手まといなんかそうだ。自分が無理なら罪にならない。だが、自分に余裕があればどうだ。自分の体で分かる。犯罪者なんか国の教育が悪かったといわれたらどうする?現実そんなのが無理なら仕方ないがこっちの努力が足りなければこっちの罪になる」
セバスチャンがいった。
「楽をしようと首をきれば、胃がせり上がる?」
「そのとおりだ。支えきれないなら仕方ないがな」



27 余暇


アレクセイは街に出かけ、碁を打った。
「これなんだ。勝ち負けにこだわる碁じゃない。過ごしやすく打つ!」

勝敗にこだわると疲れる。
それより時間をつぶすのに居心地のいい碁。
勝とうとしないが負けない碁に打つ。

「でも、おちょくられているみたいに感じるぜ」
対戦相手のオヤジはそういいながら煙草の煙を吐く。
「まあ、まあ」

不機嫌な碁や力んで神経痛になるゲームとの反対だ。
なんとなくただよう。


さらに、アレクセイたちにゴルフ場から無料クーポンが来た。
「このご時世だから、ゴルフ場っていっても客足が少ないんだとよ」
アレクセイ、マチルダ、スピカは休日に出かけた。

「ホールなんて無理だぜ。しろうとには打ちっぱなしからだ」
景色のいい打ちっぱなしでクラブを借りて打って見た。
自動販売機からゴルフボールがステンレスのバケツに落ちてくる。
「私にも打たせて」
飛んだり飛ばなかったりだ。
「ねじるなよ」


支配人がやってきてニコニコしてみている。
ホールもみてみませんかという。
行ってみて眺めてきた。
人気がやはりない。
緑がきれいだった。
風が透き通るように冷たい。




28 太陽の裏側


太陽の裏側にアルヘレンと同規模の惑星がある。
「その話で」
ホビンがいった。
「天文学者の研究だと」
「最前線かよ」
「ええ、人工衛星を送っても、電波が太陽の熱波に邪魔されて惑星アルヘレンに到達しないというんです。完全なアリバイだってはなしですよ」
「三角みたいに、反射させるとか」
「うまい!それだと計算や具体的な処理が山づみですよ」
マチルダがいいだした。
「私たちの任務にくわえましょう。どうせ書類の山が増えるだけです」
「おいおい、さばききれないくらいすでにあるからって投げやりだぜ」
「科学者と連携しますか?たいして当てにしないで向こうでもやるから。むしろ予算をせびってくるかも」
「素人の俺らが書類仕事で力になれるのかよ」


マチルダが手に負えない書類はアレクセイが玉ひろいをすることになっていた。
「これだけ余りました」
スピカがかかえてもってくる。
「そっちの大机にドンと積んどけ」
行方不明になった書類もあるかもしれない。




29 召使いスメルジャコフ



アイアンヘルムが瀟洒な部屋でコニャックを一杯やっていた。
窓辺にスメルジャコフがたっていた。
月明かりに照らされて、黒い顔が意味深に見えていた。
召使いだが、いったい何を考えているのかアイアンヘルムにもわからない謎めいた男だった。
アラビアンナイトにでてくる砂漠の国の色黒い人種やジプシーのような風貌で、かぶり物を頭からかぶり、それはずた袋のようなものだった(トウモロコシの袋のような布だった)。
寡黙かと思えば突然しゃべりだし、魔術や奇術を得意としているかのような。

「…アイアンヘルムさま。わたしが首都にでかけてみてきましょうか…さしでがましくなければ…ですが…」
「!、スメルジャコフ!…か…」

スメルジャコフは身軽に舞うと首都を目指した。




30 ソーセージ


仲の良い夫婦がいた。
焼き立てのパンとスープを美味しそうに二人で食べ、幸せに暮らしていた。
二人はお互いに満足していたが、余分な楽しみを望んだ。
それは食卓にソーセージのようなぜいたく品がならぶことだった。
ある日、念願のソーセージが食卓にきた。
だが…!ああ!
悲しいことに欲張った二人の夫婦は鼻がソーセージになって悲しいことになったのだった…!
ソーセージは食べられたけれども!
一週間、鼻がソーセージのままだった。



31 エスプリに欠ける



アレクセイは役所で働いていて、なにか新鮮な出来事が欲しくなった。
「コーヒー一杯くらいであとは無機質な書類の処理だけだぜ」
もっと新技術とかテクノロジーとか、時代を先取りして、ダサくない空間にしてくれるものを欲した。
まだ、マチルダなどメンバーは居心地がいい。
アーベルまでいくと、こっちの腹が痛くなる。
一分当たり計算をこなすと、未来の世界がやってきて乾いた空気が白銀のような空間に包まれるのかもしれなかった。
ホビンがいうには、「うちは労働して外部に計算結果をだしているんです。最先端の世界はお客さんなる市民が味わうんですよ。こっちは一分当たりださくなるのをがまんして出力しているんです」
「でもなー」

それに、危険の濃度が一分当たり濃いと、新テクノロジーの世界のようにかっこいいのかもしれなかった。
スメルジャコフの接近は、たるんできたアレクセイにいい刺激になる。
パズルのような数学工作によって、新しく作られたものは、味わうとだんだん古くなって消費されてしまうのだろう。
常につくって常に消費する。











0 件のコメント:

コメントを投稿