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2014年10月5日日曜日

ワールド・プラネット・ハンガーのただいま連載中



ワールド・プラネット・ハンガーの読み切り小説のただいま連載中。つまりできたてはこちらにのります。



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World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー

閉ざされた世界




66



アイアンヘルムはアルメロンの自宅で新聞を読んでいた。
「やるじゃないか。あの小僧…スメルジャコフが様子を見に行っているが」
ソリトンが紅茶を運んできた。
半分いいというようにアイアンヘルムは首を回した。

「ははは、うちのあがりよりでかいでしょうね」
「そうだな。うちにも結構なあがりはあるにはあるが…」

首都ということで一定のぺースを保っている。
だが、ドンパチ騒ぎはじめた昨今では首都だからで大目にみられるか。
今の首都はソリトン家業で金があるが…決して強い軍人を養ったり統括できない。
そのときは、うちを頼るしかないはずだ。



67 二年半ぶり!?


コメットがまた戻ってきた。
「どこいっていたって、アルメロンとか方々仕事してきたよ。旅行も兼ねて」

「スメルジャコフが来るとコメットもくるな」アレクセイはそういった。
やはりコメットも社長室にデスクをおいた。

「やや、2年半ぶりくらいでしょうかね」ホビンがそういった。
「その位たつな。ひさしぶり」

「アレクセイもボビンも偉くなったんだ」
「…」
「…」

スメルジャコフがうめいた。
「社長室にいると、体力を奪い取られる感じがする」
「だろ」
「だろじゃないぞ。はっ、この娘!コメットだ。また来たのか!?」
「さっきからいるじゃん」



68 無頓着


ある日の勤務時間。
スメルジャコフがやつれたようにソリトン部門の社長室にはいってきた。
「おい、アレクセイ。君の部下に鼻息を吐きかけられたぞ」
「だろ!?それがおれたちの仕事の一部なんだって。向こうのストレスの一部をひきうけているんだろ」
「にしてもだ。アレクセイ君。一般職員の諸君は部長にはきかけたまえ。それを通してほしい」
「そんな理屈どうりいくか」
「アレクセイ。おわったよ。事務仕事もうないの?」
「ないな。それより考えろ!ソリトンのことを考えるのがお前たちの仕事だ」
「そんなこといったって」コメットはそういった。
「そうだぞ、おれたちは科学者じゃない」
コメットはいった。
「あーあ、前に勤務した時は颯爽と仕事できたんだけどな。今度は社長室なのに味のなくなったガムずっと噛んでいるみたい」
「だから社長室って颯爽としてくれるんじゃなくて颯爽としてやるきをださせるんだ。こっちはダサくなる」
アレクセイは無頓着に取り合わない。




69 キッチンの火炎



サイコロステーキの冷凍された正方形の肉を手のひらにのせ、熱したフライパンにそのとおり、サイコロをふるようにころがす。
じゅわーと煙と音が出てくる。
ぼわっと火焔が燃え盛る。
広いキッチンだけどこっちがわは閉じられたように感じる。
その分テーブルのある向こうが開けているように感じられる。
スピカはサイコロステーキをよく焼いた。
「まったく、以前はフライパンから上がる火も怖かったくらいだけど」

マチルダはキッチンの隣で違うことを手伝っていた。
「確かに、私もそう思います。ですがアレクセイのその気もいつまでつづくやら」
「絶対うまいのなんて永遠に続かないと思う」
「私もそう思います」

二人は料理を皿に盛りつけ、ワインのグラスをならべ夕食をとった。




70 火の手が上がる


アレクセイを青くしたのは首都から離れた地方の戦争までいかない小競り合いだった。
国営テレビに映るニュースも新聞記事も仕事の題目にあがった。
マチルダの女王室(王室)に集められた。

ハーモット伯爵もひさしぶりに緊迫している。
「火の手はゆるんだとき時にあるが…消化されたといいきれない」
「ハイ」

「国営の正規軍を動かすか」

アレクセイはぎくりとして青ざめた。
「ぶ、武力でおさえつけても、なあ」
「確かにアレクセイのいうのも一理あります」マチルダがそういった。
「余計火が燃え上がるか」

ホビンはいった。
「ぼ、ぼくたちは限界ありますよ。考えるにしろ。ちゃんとした軍人のトップが把握しないと」

結局、関係者各位の内臓の神経を圧迫した。




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World planet huger
ワールド・プラネット・ハンガー

閉ざされた世界




62 事業の成功と平穏な苦悶



ソリトンでのエネルギー事業は半分国営、半分マチルダとアレクセイの私営のような形態をとった会社になっていった。

エクスパニアのビルに事務仕事・研究職の職員がつめこまれた。
アルヘレンの共産主義体制なので公務員のような感じがする。

アレクセイは正直、理論上はともかく、原子力のように予期せぬところに危険な落とし穴があるのではないかと研究職員に熱心になってほしかった。
電磁波に危険はある。それをさらに細分化したソリトンはガラスや針が細かくて危険なような害がないとも限らないからだ。
だが、ソニックがあばれだすくらいで石油と互角に安全なのが続き、研究職員のダラダラはつづいた。
それがアレクセイを不安にさせた。
八方美人な事業のためか、事務職員・営業職員たちはやる気があり、活気があった。

(さがせ…ソリトンだって危ない部分があるかもしれないんだ)
だが、腹で念じてもアレクセイが生まれる前からこの世界ではそんな感じだ、どうにもならない。

金銭的にはリッチなビジネスだった。


(どうも、人を従えるとナーバス[神経回路]が苦しくなる……オレに経営は向いてないのでは…マチルダがありがたい。やつはそういう神経戦に頑丈にできている…)
アレクセイは正直そう思った。

二人三脚で古株のホビンやハーモットに頼らなければ成り立たない。
欲張るものも何もない。
アレクセイはそうなっていった。




63 スメルジャコフのバンジョー



エクスカリボーの一室でスメルジャコフがバンジョーをひきながら、ジプシーの謌をうたった。
アレクセイとホビンは拍手した。
「おまえといるとなんだかすごせるぜ」
アレクセイはそうスメルジャコフをたたえた。
バンジョーをおきながらスメルジャコフはいった。
「おまえ、そんなこといっていると、自分の女よその男にさわられるぞ」
「ゲッ」
「自分以外の男に頼らなくてもいられるようでないと」
スメルジャコフはコップの酒をたぐりよせていった。
「ラジオもダメか」
「半分いいけどダメだ」
「よその男にさわられるのは困るな」
「だろ!?医者とか先生みたいなのはちょっと別だけどな」
ホビンは「医者…」とぼそっとふいた。



64 エクスカリボーとエクスパニア


外から眺めてアレクセイはスカイスクレイパーエクスカリボーの超高層のビルのてっぺんにあるでっぱりをみていった。
「あの、出っ張りみたいな飾り…あれが老朽化して落ちてきたらどうするんだ。事故ですまない…」
ホビンがいった。
「そりゃ、業者でしょうね」
「不安になってくるぜ。無茶しなきゃよかった。ホントに建築業者とか全部わかっているのか」
「さあ」


マチルダの最上フロア以外の真ん中くらいの階の橋でエクスカリボーとエクスパリアはつながっている。
「橋の真ん中が空中レストランになっている」
「おいしそうだな」スメルジャコフとホビンの三人で食べた。

風船をはなすと浮かびあがる。
「フォークを落としたら危ないぞ」

マチルダがいちばん上でしっかと風船のひもをつかんだ。
「アレクセイたちですね。また遊んでいる…浮かれトンボめ」




65 体制



マチルダは女王なのでソリトンビジネス以外の国務全般をみている。
エクスパリアの最上階に女王室を占めていた。
アレクセイは、本人は不服ながらソリトンビジネスの責任者になっていた。
国営企業の社長のようだった。
「だけど、心労で胃が重たくなるぜ」
アレクセイは逃げ腰だった。

スメルジャコフはまえと違って一般職員が大勢いるようになっているので…
社長室に机を置いてアレクセイの仕事のサポートをする。
一般職員は何をやっているんだという目で見ているのか無言だった。

「本来…アイアンヘルム様の派遣で来ているからな。交換留学みたいなもんだ」
スメルジャコフは目を伏せていった。
ホビンがいった。
「ぼくは最初期からのメンバーだからいいけど、あまりやると一般職員からクレームがきますよ」
「アイアンヘルムとつるんでいることも、賛否両論だぜ。儲かっていると安心で自分たちだけで覇権をきかせたくなるんだ。だけど危ない」
ホビンが賛同した。
「それですよ。首都直轄だけど…正規軍の力のなさを考えると」
「だな。軍のことで知ったかぶりをしたくないけど、アイアンヘルムとつるんでいないとどんどん金を巻き上げられる首都というか政府になっていくだろうな」
「惑星アルヘレンの連中は共産趣向だからな。それでいいと誰もが考えているんだ」
スメルジャコフは煙草に火をつけた。
シュボ!ふぅー
「あ、お前たばこ吸うのか。前いたとき吸っていたか」
「たまにしか吸わないんだ」
「…変わった吸い方だな」


アレクセイが街に出かけたとき、街の人の一人にいわれた。
「金の力で何でもできると思わない方がいいですよ」
「チェッ、確かにそうだぜ」

「ソリトン、頼むよアレクセイ」
ともいわれた。



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