筏
1
エスフラーデス号はコインメタトリー近くの宇宙空間に浮かんでいた。
レーダーに反応はない。
サンダナがフロアAにはいってきた。なんとなくリフレッシュルームのドアを開いて見た。
「お」
ナギサ(渚)とレナがイチゴシェイクをストローで飲みながら、何かペーパーを読んでいた。
「…」
タイガータンクが黒の皮の手袋をはめなおした。特防隊の制服は着ていない。黒のジャージのような素材でできた戦闘服を着用している。
「まだ動きはないのかよ」
イプセンがフロアDにはいってきた。
ジルが何か本を読んでいた。
「おお?一時間目は国語か?」
「…ふん」
アルキポがいった。
「学校にもどって学生やるか?おまえは。まあ軍事教練なんかもあるけどな」
(それにしても…)
とアルキポは思った。
「そば屋でそばを喰ってきたけど…うまかったけどな、この船に乗っているコックさんたちって船が沈没したらどうするんだ」
アルフレットがいった。「そりゃ、一緒にお陀仏だろうな」
「…」
2
セルウィウス ≪レーダーにダブルドリトス確認!全員配置につけ!≫
「イエッサ!」
セルウィウス ≪コインの大地で暴れられては…ミサイルを撃ち込んで街を破壊するわけにもいかないでしょう。ナギサ隊員!筏(イカダ)の準備を命じる!≫
ナギサ 「ラジャ!」
イプセン 「イカダ!?」
エスフラーデス号はコインの大気圏内に降り、そこから筏とよばれるグライダーで地表に下る。
「結局白兵戦かよ」タンクが叫んだ。
「敵はブロームインの山地に出没している!!」
ダブルドリトスは二匹ともかたまっている。
筏につかまり、サンダナ、ナギサ、タンク、シャノンが滑空する。
「イャッホゥ!!」サンダナが斜面で凹凸により飛びあがったスノーボーダーのような叫び声をあげる。
それは滑空による恐怖と勇気が釣り合ったときに生じる快感だと思われる。
では、『舞い上がる』とか『照れる』のような心情はどのような方程式が成り立つのだろう?
ナギサは生真面目な顔をして筏につかまって滑空した。
それは、死を覚悟しているかのような表情であった。
話声が風圧でゴウゴウ震えて聞こえる。
「怖くないんですか~」
サンダナが答える。「時空警察の訓練で慣れてるけどな。さすがに怖いぜ」
マンガの山のようにあっちにみえるとんがり。ブロームインの山に着地したりしたら、筏を担いで歩いて下山しなくちゃいけないだろう。
タイガータンクはかなり上空で筏を手放した。
一本になったオーバーランスをかまえると、回転してドリトスに躍りかかる。
セルウィウス ≪それでは、もう一部隊。どこのフロアにしましょうか≫
エドアール (オレが)
アルフレット (俺たちフロアDがー)
セプティミウス (…嫌だ…)
タイガータンクはもはや地表に落下し、オーバーランスをドリトスにつきたてる。
三回転半!!
ズギャアアア
「どうだ !タコ串だ」
6784!
さらに火焔瓶を装着パーツからはずすとドリトスにぶつけてはなれて伏せた。
「自家製の違法改造。ナパーム火焔瓶だ。どこにも販売していないぜ」
ドリトスは高熱の火炎に焼かれ炭火焼のようにおいしそうな香りを放ちながら焼けた。
ズモオオオオオオオオ
3451!
「串焼きだ」
まだ、ドリトスは燃えている。
上空から見ていたナギサは敬礼の姿勢で手をかざし「お見事」といった。
3
千年王国の天使、ハールートとマールートが祭りの神輿を担ぐように、千年王国からつかわされた宝を運んでいた。
ハールート:「これを時空警察に届けるのか」
マールート:「あけちゃだめだぞ。美の小箱だ。すっごい高価な代物だ」
これからこの二人は下界のモンスターに襲撃される。
二人は対抗して戦うが下界の怪物にしてはものすごく強い!
宝が四散して煙になって飛び散ってしまう。
その煙は美の小箱となって各地に舞い降りた。
アルバリシアとレベルラハムの悶着の美の小箱もそのひとつなのだが…
ハールート:ハル
マールート:マル
以下
ハル:「あっちの凶悪なヤツにからまれたりしないのか」
マル:「大王様の予知のお力によると、来賓のお客様用のマス席用意してくれるから安心だとか…ただし、出された茶菓子をあまり食い散らかすとオレたち浮かれてはめ外して失態しでかすってことだった」
ハル:「そうか、客席あるならいいな」
マル:「下界っていっても無知な王国じゃなくて話わかる国だっていうから安心だけど」
ハル:「そうなるとオレたちもあやしいからな」
マル:「まあせいぜい浮かれ過ぎないように。厄介になるけど本当の主(あるじ)じゃないから」
ハル:「オレたち、もう少しでキルってよばれかねないし」
マル:「キルじゃなくてハルだろ、お前足ひっぱるなよ。上の人のお言葉を伝えるとき、自分の趣味混じりがちになるから正確に伝えろって大王様のいいつけだし」
ハル:「いたな…何人かそういうやつ」
4
照れる、浮かれるの複雑な連立方程式は見えてこないが、ひとつだけ式が見つかったような気がする。
照れる、浮かれるの逆は互いを侮辱する。蔑視が横行するだ。
互いを見て見下すのは、照れるための消火剤のようである。
タイガータンク 「…だんだん種が切れてくると手品ができなくなる。新学期は浮かれていても、長く続いて煮詰まるとだんだん辛気臭い顔になるんだよ」
ドリトスは燃え上がりもがいている。
サンダナにダブルドリトスの触手が向かう。
疾風(はやて)!
片手を突き出すようにグッドソードをかまえる。
追ってくる触手をはじくように片手で結構なでかさの剣ですばやくはじく。
握力と腕力がないと不可能な技だ。
バチン! 1674
タイガータンク 「なかなか。若手精鋭!」
さらに、春雨!
ズガガガガ
1532!
やっとナギサの筏がおりてきた。
レッドソードを抜いて、サンダナが相手をしているドリトスに斬りかかる。
【ストレートカット】
989!
燃えていたドリトスがはじけるように爆発した。
「うおっ!?」
「わっ」
みると煙とともにコインがバラバラとふってきた。
タイガータンクは拾って懐に入れた。
こっちの世界の常識では、モンスターをたおして得た金やダンジョンの宝箱の金は手に入れた人のもので税金とか届ける必要がないのが普通であった。
6000コインあった。
「前の戦いで弱っていたな…おられたオーバーランスのかわりに武器を買うか…」
タイガータンクはサンダナのほうをみた。
シャノンがおくれて着陸。
「やっと降りた…」
「来たな」
ドリトスの触手攻撃をナギサは宙返りをしてかわす。
「ハッ」
ドゴンドゴン
山あいのむきだしの土が抉れて煙をあげる。
シャノンのライトフレームランチャー
ガオン
1000
「いけるたおせるぞ」サンダナが力む。
「グッドソードかよ」タイガータンクがオーバーランスを担いでいう。
エドアールが降ってきた。
【サラマンダーショット】
8754!
もう一方のドリトスも次期に爆発しコインになった。
タンク以外で山分けした。
6000コインだった。
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