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2014年8月21日木曜日

エンデパンダンス戦エンディング







エンデパンダンス戦







1


エスフラーデス号は燃料も底を突き、装甲も焼けてはがれおちそうになっていた。
戦で崩れ落ちた、よれよれの落ち武者のような姿になっていた。
工場で作られた新築のときの輝く姿からはるか時代が立ったかのようであった。
ビデオテープを早送りし多様なほど激しい戦闘を短時間のうちに費やしたということだろう。

セルウィウス公式の回答に困ったが、こういった。
「エンデパンダンスはかなり遠い将来になるまで向こうからは襲ってこない。今度の戦いで十二分に叩いた」
セルウィウスは発言のとき冷汗をかいた。だが、嘘を述べているのではなかった。確かにあのとき戦士の本能に訴えかけている敵の本音はそれだと直感していた。

船はグレートシティでいったん補修をし、そのまま帝国のユニークシティに無事移動した。
「これはもう、修理するより新品を製造したほうが早いですね。設計図は同じかチューンナップするかして」

エスフラーデス号の第一号機は廃品となり、ユニュークシティの新しく作られた公園に博物館のように展示された。

戦士たちは休養を一日与えられ、制服を新しくし、整列して迎えられた。
前のアーナズバスラーたち魔戦争の魔人との闘争は秘密裏に処理されたことと、他に理由があるのか、名誉というものは一切なかった。
だが、今回のエンデパンダンスとの戦いはグラディウス帝国、時空警察、コインメタトリーなど各世界から名誉がおしげもなく与えられた。
戦士たちはほこりにつつまれた。

初の大型戦闘艦を駆使した戦いというせいもあったかもしれないし、ニュースなどマスコミがとりあげたせい、わかりやすい戦争だったこと、そして三カ国の共同戦だった、などの理由が考えられる。


時空警察や帝国の戦士たちはそれを見て「自分も次の戦争で手柄を!」と燃えだした。
名誉欲と一発逆転で高い地位を欲する若者たちが目を血走らせた。
みな、今回の戦いの戦士たちをうらやましがったり、ほめたたえたりしていた。

そして、次の戦いの敵はもう近付いてきていた。
魔王アリスタンダーの復活が近付いていたのだった。

…ライトアリスタンダーとして復活した魔王の討伐に各戦士が名誉のために闘いに身を投じた。




2


オーブリーたち、エスフラーデス号のメンバーはユニークシティのホテルにおしこめられた。
「あなた方は何もしなくていいから休んでいてくださいって感じだけど」
サンダナがそういった。
「いうとおりくつろいでいればいいよ」オーブリーがそういった。

今夜はホテルで宴がおこなわれる。
明日は広場に用意された壇にあがって表彰されるという。

ホテルの室内で紅茶など飲んで待っていたが、気が焦る気がした。
「オレたちはなにも気にしなくていいんだよ」タンクがいう。
「でもな。段取りとかプログラムみたいなの見せてほしいけどな。何も知らないと怖いぞ」アルキポがそういった。
「まあ、あっちにまかせよう」エドアールがいった。

イプセンがいった。
「気ばかり焦るぜ。紅茶一杯でこんなに待たされてもな。グレートシティに帰りたくなってくるぜ。おっ!?みろよ、クーファーとカルマトってお菓子があるぜ」
赤色と金色のテーブルに菓子が乗っている。イプセンは封を切って食ってみた。菓子は人数分はなかった。
「蜂蜜の味がする…」
高級菓子という感じで降りかかっている粉も上品な甘さがある。

「それにしてもこの格好。帝国の正装かよ」
式典のようであり、ニュースタイルのスーツのようであった。

オーブリーは「ベット汚してごめん。眠いから眠らせてもらうよ」とベットにもぐりこんだ。




3


アルキポたちに使いの人が来て案内された。
初めてのホテルなので迷路のように道がわからなかった。
頑丈で巨大な施設という感じがした。

はいると高くて広いつくりで、向こうの階段から下に降りられる。
だが、異様に階段は長く、さくで防がれているが落ちたら危ないだろう。

アルキポはいった。
「なんだオレたちだけか。そういうお祝いか」
ボーィが何人かいるだけで、酒とグラスのテーブルとかしかない。
空のグラスが透明にずらっと並んでいる。
イプセンがいった。
「女性陣もいないぜ。あ、いた。あっちのはしにいる」
つり橋のようにあっちのフロアとつながる橋がある。
その壁面には巨大モニターが幾何学的に分割され3つ映っている。

「なんか滝みたいだぞ」
つり橋から見える滝のようだった。
そのとたん、モニターの映像が滝のビデオに変わった。
ザザザザザ…
「おおお…」

タイガータンクがいった。
「…おれたち今回主役にされているだろ。エンデパンダンスとエスフラーデス号で闘ったのおれたちだし、そのお祝いだからさ。こういうお祝いなんか自分が主役にされるより、ちょいわき役の方が楽しいんだよ。例えば結婚式か何かで、あっちのほうで主役がなんかやっているだろ。自分はわき役だからぶらぶらしてゴルフの格好して誰かと会話するだろ」

みんななんとなく味もアルコールも薄めの酒を一杯ずつもらった。
お代わりは自由だ。

オーブリーとエドアールは橋の真ん中にいってみた。
飛び越えない限り落ちたりしないが室内なのにかなり高く怖い。
モニターでは映画のような何かをやっている。
「頭のいい人の見るTVという感じだ」
TVCMに似てなくもなかった。
巨大モニターからオーラに似たものが発光している感じがした。

滝の音に似た水が高い所から落ちるようなノイズが聴覚から頭を刺激してぼーっとさせる。

アルキポがいった。
「それにしてもおれたちだけで誰もいないのかよ」
そのときシーツを縫い合わせて作ったお化けのかっこうをしたひとが両手を突きだして近づいてきた。

「なんだぁ?!」ロビンがいった。
「はじめまして。ヨナタンと申します」
「それは…こんにちは」シャノンが挨拶した。
「エスフラーデス号で戦闘してきた勇者の皆さんとお会いできて感激です」
ヨナタンはそういった。そしてフルーツボウルからリンゴをとるとナイフをサクとつきさした。
「次の魔物はぼくがこのとおり退治します」
アルフレットがいった。
「エドアールをよんで来い。ヨナタンの相手をさせろ」

「なんだなんだ」とエドアールがつれてこられた。「ホウ…次の魔王をたおして英雄になるのか」
「ハイ、がんばります」
チーズのかけらをとって、ナイフをプスとつきさした。
「このとおりチーズのようにサクッと退治します」

御馳走は、ローストビーフ、シーザーサラダ、生ハムと野菜。




4



「ローストビーフにデミグラスソースがかかっているぞ」オーブリーはフォークで刺して食べた。
ヨナタンのつぎは「ハイパーボーィ」というヘルメットをかぶったヒーローの卵がやってきた。
「わたしも次世代の勇者だ」
「ああ、がんばれよ」オーブリーがいった。
「先代の勇者に励ましの言葉を…だが、いずれあんたも倒す」
「……」
アルフレットがいった。
「ゆかいなナイトたちだな」

天井から1Fの地面すれすれまで、どどーんとつながるモニターにニュースのアナウンサーのようなキッチリした人が映った。
≪グラディウス皇帝陛下からの式文です。ご静粛に≫

セルウィウスがいつの間にかいた。
「皇帝はこないか…そうだろうな。どうですみなさん。合同軍事活動は終わりましたが…楽しんでいただけるでしょうか?」
「ああっ、楽しんでます総督・・」オーブリーが帽子をとってそう挨拶した。

トムがいった。
「帝国の皇帝の文だぜ。わりとありきたりか」

立ち食い立ち飲みだったが、長い階段を降りるかエスカレーターでおりると1Fのフロアにイスやテーブルがビアガーデン風に並べられてある。

アルキポがいった。
「巨大施設って感じで広いけど、俺たちだけじゃ広すぎる感じがするな。スカスカだぞ」
タイガータンクがいった。
「知らない人がズラーっといるお祝いだと、その中に小さいサークルがぽつぽつできてぎこちなくなるんだよ」
「それなんだ。それも居心地悪いぞ」
「地方のお祭りとかライブでポップコーンとか買い食いしているのとなんら変わらなくなるよ」



ジルや渚、ポーラさんとレナは1Fにおりていっていた。
室内なのにあずまやがある。
デパートのように室内に木が生えている。
キッズ用みたいな四人掛けのブランコまである。
ナギサとジルはブランコに向かいあってゆっくりこいで何か話している。


グラディウス皇帝の次は老王ロームルスの電報が伝えられた。
セプティミウスがポケットに片手を突っ込み、片手でコーラのグラスをもちながらいった。
「なんだ、来ればいいのに、老王…」

成長が止まった人間は確かではないのだが、「ちかづくな」みたいな雰囲気を持つと思われる。
ザール王子なんかそういうキャラだ。
成長が止まっているといいながら剣の力はあがっているがその辺は定かではない。
オーブリーやエドアールとかアルキポが「オレに近寄るな」みたいな雰囲気になるとどういうキャラになるのだろう。

みているとさわりたくなる、愉快なかわかっこいいキャラたちは、たとえゆっくりでも成長しているから、もっていきたくなるようなかわいさとユニークさがあふれているのだろうか?
たとえ高く成長していても成長の止まった英雄は固い英雄に移るのかもしれない。
そして実際的な政治などの仕事に携わるのかもしれない。

「この度の戦いごくろうさまでした」
クリムネア女王が入ってきた。
「ぜひエンデパンダンスと戦ってきた皆さんに会いたくて」
エドアールがいった。
「アリスタンダーのとき以上だ。なんで、エンデパンダンスだとそんな歓声があがるんだ!?」

クリムネアはなにがうれしいのか上機嫌で二段構えのエスカレーターをおりていった。
ガラスの階段のように白く光っている。
ジェラルドはお供にいなかった。
そのかわり執事のような人を二人連れていた。

ジルたち女性陣はアイスクリームの菓子を食べていたが、クリムネアをみると姿勢を正し挨拶していた…




5


次の日の日が傾いたころ。
一行は連れ出された。
住宅街の大通りを車で走る。
各家の窓には花が添えられているのが多かった。
玄関先に花が飾ってあったりもする。
馬が路上にいて、乗馬している。
「馬か」
「いまどき、本物の馬だ。リアルだ」

あまり人通りはないが窓を開けたり、玄関に出て声援を送るひともいた。

タイガータンクがアルキポにいった。
「主役をやらされていると働かされている気になるだろ」
「そうだぞ。ライブで歌っている人とか仕事で歌っているんだ」
「ところが、今度、客の側に回ると浮くだろ。浮かない奴ってレコード何枚も買っているやつなんだよ。そいつらにおしのけられるだろ」

後ろの座席から覗き込むように、エドアールがいった。
「とても人類の平和のために闘った男とは思えんな」
「そういう自分はどうなんだよ」
「やっぱり浮くけどな」

だんだん人が多くなり歓声が多くなってくる。
人がきにサングラスをかけた男がいた。
サングラスをかけなおしてみている。
「それもすっごいひがんだいいかたじゃん」
【セドウィック】
「ヴィクターの必殺技、『オレはいかねー』フン!」ニコリン



6



小型のピラミットのような祭壇が築かれていた。
打ち上げ花火がドーンと空に鮮やかな火花をつくった。

次世代のヒーローとしてヨナタン、ハイパーボーィ、メットマン、Gソルジャーがエンデパンダンスと闘った戦士と向かい合う。

代表してヨナタンが壇にあがる。
それをエドアールが代表して頂上で待ち構える。
ヨナタンはいった。
「このままじゃくやしいし。絶対次の敵はたおします」

エドアールはグランドソードをヨナタンにたくす。
「も、もったいないけど。形だけ承ります」
ヨナタンにはグランドソードは重かった。
帝国の最新武器だという。

ユニークアーチェリーが展示されていた。
人だかりを利用して広告効果をねらっていた。

拍手が起きる。
ポールもいった。
「なんだか、英雄にされているけど。疲れてくる…」

帝国の人間は残り、時空警察の人間は領域に帰った。
エドアールやオーブリーもコインに帰還した。










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