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2014年7月9日水曜日

ネルガルの冥界下り






ネルガルの冥界下り








豊作のお祝いに、人間たちは牛と羊を屠り、お神酒とともに生け贄に捧げました。神々は宴(うたげ)をひらき、生け贄の炎と煙をかこみ、酒を飲みながら肉を食べはじめました。

天神アヌは冥界の女王エレシュキガルに御馳走と酒をうけとりに来てほしいと使者を送りました。天から冥界に御馳走や酒を送ってはいけない決まりになっていたからです。
冥界の女王エレシュキガルは父神アヌの使者の話を聞くと、従者のナムタルを天に使いにおくりました。

天の神々はナムタルを歓迎し、酒をうつわに注ぎ、御馳走でもてなすといいました。「豊作のお祝いに、どうぞ冥界の使者ナムタルよ、女王エレシュキガルのごきげんはいかがでしょうか」
ナムタルは天のお神酒にすっかり酔いしれると、闘神(戦争や真夏の太陽の神)ネルガル(エルラガル)にもっと酒を注げとからみました。
腹がたったネルガルは剣をとるとナムタルにいいました。
「無礼な。いくら冥界からの使者でも非礼である。剣をもって表に出ろ!」
めでたい宴の最中、本当に剣を抜くきかと、天の神々は慌てて二人を止めました。
ナムタルは冥界にもどると、ネルガルが冥界にたいして、敬意をはらわなかったと、女王エレシュキガルに告げました。
エレシュキガルは怒り、ネルガルを冥界によびよせました。

知恵の神エアにネルガルは相談すると、いくつか助言をしてくれました。
(ネルガルはエア神の息子であるともいわれます)
「冥界の七つの門に十四の鬼神をつれてゆけ、

冥界に剣をもっていってはいけない。
いろいろな木でできた杖をもってゆけ。
冥界の椅子にすわってはいけない。(おまえはなすべきこともなく座っているだろう)
冥界のパンを食べてはいけない。(おまえは死者として労働につかわれるだろう)
冥界の肉を食べてはいけない。(おまえは死者として労働につかわれるだろう)
冥界の美酒を飲んではいけない。(飲めばおまえは死ぬだろう)
足を洗う水が運ばれてきても洗ってはいけない。
女王が湯浴みをはじめても、それを見てはいけない。(おまえは誘惑されるだろう)

ところがネルガル神はエア神の忠告をきかずに冥界に剣をもっていきました。

冥界の第一の門にたどりつくと、グリムドラゴン(ムシュフシュの亜種?)が待ち構えていました。グリムドラゴンは炎をはいて襲いかかってきます。ネルガルは二組の鬼神と共に戦い、うちたおし、その首を切り落としました。

冥界の第二の門にたどりつくと、第二のグリムドラゴンが待ち構えていました。ネルガルと二組の鬼神は、その首を切り落としました。

冥界の第三の門にたどりつくと、第三のグリムドラゴンが待ち構えていました。ネルガルと二組の鬼神は、その首を切り落としました。

冥界の第四の門にたどりつくと、第四のグリムドラゴンが待ち構えていました。ネルガルと二組の鬼神は、その首を切り落としました。

冥界の第五の門にたどりつくと、第五のグリムドラゴンが待ち構えていました。ネルガルと二組の鬼神は、その首を切り落としました。

冥界の第六の門にたどりつくと、第六のグリムドラゴンが待ち構えていました。ネルガルと二組の鬼神は、その首を切り落としました。

冥界の第七の門にたどりつくと、第七のグリムドラゴンが待ち構えていました。ネルガルと二組の鬼神は、その首を切り落としました。

のちに、エレシュキガルはネルガルに滅ぼされた、七つのグリムドラゴンの首をつなげて、七つの首をもつドラゴンを創りました。


冥界の大広間に通されるとテーブルとイスが用意されており、肉と酒の御馳走がならんでいます。ネルガルが王座についている女王に敬礼すると足を洗う水が運ばれ、冥界のロウソクに火がともされると小粒のダイヤモンドのように光ります。
しかし、ネルガルはエア神の忠告を守り、飲み食いしませんでした。
しかし、エレシュキガルが湯浴みのため、席を立つと、ネルガルは誘惑され彼女をだきしめてしまいました。

七日後、ネルガルはまた地上に戻ることになりました。
冥界の女王に挨拶がすむと、七つの門を通り天に戻りました。
エレシュキガルは懐かしさのあまり悲嘆に暮れ、こういいました。
「エラ(ネルガル神)、力あふれるもの。勇ましき天界の強者。なぜ、わたしを置いて天に戻るのか…」
女王の従者ナムタルはこれをきき、再び天に戻りネルガルを説得することにしました。

天の神々の集まりの席にナムタルはこういいました。
「女王エレシュキガルは、『ネルガル神が冥界に戻り夫にならなければ、冥界の門を開き、死者が自由に地上にでられるようにし、生者より死者のほうがふえ、生者より多く飲み食いするようにしよう』といっています。ネルガル神よ、どうかお聞入れ下さい」
ネルガル神はこれをうけいれ冥界に下りました。
ナムタルは冥界の食べ物を飲み食いしても無事な作法を教えました。

七つの門をとおると、エレシュキガルが涙を流しています。
ネルガルはエレシュキガルを押さえつけ、刀を首にあてました。
「ネルガルよ、どうか命を取ることをしないで、わたしの夫となってください。冥界の王となり地下の世界を治めてください」
ネルガル神はエレシュキガルをだきよせました。


こうしてエルラガル(ネルガル)は冥界の王となり、闘神であり疫病と戦争の神、死の神となりました。
おそらく守護惑星は冥王星にちがいありません。







もとは現存し翻訳されている粘土板の神話である。基本的な翻訳を少しいじって改造してある。
グリムドラゴンとネルガルの戦闘などである。
ネルガルはクターの神である。


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