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2014年7月6日日曜日

エタナ神話






エタナ神話






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キシュ王エタナ


大洪水の果て、すべてが粘土にもどりアトラ・ハシース(最高の賢者)が箱船とエア神の助けにより生きのこってのち。

神々は人間のためにキシュの町を建てました。
この町には、はじめ王がなく、皆がバラバラでしたので、人数が増えると、争いや苦情が絶えなく住み心地が悪くなりました。
天神アヌは女神イシュタルに王を定めるよう指図しました。
イシュタルはキシュの町をながめ、羊飼いのエタナを見つけました。
エタナをキシュの王と定めると、アヌとイシュタルは王冠をエタナに授けました。
エタナは王としてキシュの守りを固め、国を安定させました。
それから妻をめとり、後継ぎをえようとしましたが、子宝に恵まれないのでした。

神殿の近くにサルバト(ユーフラテスポプラ)の木があり、根本に蛇が住み、梢に鷲が巣をつくっていました。
蛇と鷲はお互い友情を太陽神シャマシュに誓いました。
どちらも家族をかまえ、子供が生まれると餌のことでもめ事になるようになりました。
太陽神シャマシュは裁き、鷲に罰をあたえました。
「おまえを訪ねてくるものが、おまえを救うだろう。それまで罰を受けているがよい」
キシュ王エタナも町のひとびとをシャマシュ神のように裁き守りを固めていたのでした。


子宝を授かるため、エタナは太陽神シャマシュに生贄をささげ、祈りました。仔羊を丸焼きにし、香木をたいて、仔羊の生血をささげました。
太陽神シャマシュは山のむこうにいる鷲を助けたなら、その鷲が“子宝の草”のことを教えてくれるとお告げをしてくれました。




2 天の“子宝の草”


エタナは鷲を助け、その翼にしがみつき天に昇りました。

1ベールすすむと、遠くの山が見え、海が池のように見えます。
2ベールすすむと、海がキシュの街の周りの運河のように見えます。
3ベールすすむと、鷲は天がもう近いのを教えました。

天界の雲の庭園に王座がしつらえてあり、向こうにはやや小さめのお城が見えます。小川がチロチロとながれ、雲の端から雨となって下界にふっていきます。見たことのない草花が咲いており、その中にはバラのように棘のある“若返りの草”もあります。天の鳥サンチュリアが鳴いています。

そこに美しいイシュタル女神が静かに腰掛けておりました。
王座の足元にはライオンが寝そべっており、エタナと鷲をみるとゆっくりとむかってきます。
エタナは“子宝の草”のことをイシュタル女神にお願いすると、女神は冷たく、切れ味の鋭そうな刀をもってくるとエタナに渡しました。
その冷たさのため水滴が滴り落ちるのでした。
「冥界にいる姉のエレシュキガルにこの刀をわたして来てくれれば、子宝の草をあなたに褒美として取らせることにしましょう」

エタナは鷲の翼にしがみつき、下界に戻ると、今度は冥界の七つの門をくぐり(門番は話をきいているので、すぐに門を開いてくれました)冥界の女王エレシュキガルに冷刀を渡しました。
首が七つあるグリムドラゴンがその刀を飲み込んでしまいました。

エタナはこうして“子宝の草”を受け取り後継ぎに恵まれることとなったのでした。





このエタナ神話は、前半は現存するメソポタミアの粘土板に残された神話をもとにしている。
一般的にこの粘土板の翻訳は欠損のため話の半分しか読めないといわれる。
その部分を想像と神話研究により補ったのこの話の後半である。



   








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