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2014年7月5日土曜日

エアの心臓




エアの心臓









知恵の神、エアは神でありながら不死身ではありませんでした。
そこで自分の心臓を隠すため、自らの体を切りさき、両手を入れて心臓を取り出しました。
取り出した心臓を安全な場所に隠すため、エアはイシュタル女神のもとを訪ねました。
「イシュタルよ、私の心臓を預かり、私を禍から守ってください。私は不死の体にできていないのです」
イシュタルが答えて言うには、
「エアよ、わたしの庭をあなたの心臓の血で汚すわけにはいきません。誰かほかの神に預かってもらいなさい」
そこで、エアはシャマシュのもとを訪ねました。
「シャマシュよ、私の心臓を預かり、私を禍から守ってください。私は不死の体にできていないのです」
シャマシュが答えて言うには、
「エアよ、あなたの血で曇ると太陽の輝きに陰りができるのです。誰かほかの神に預かってもらいなさい」
そこで、エアは天神アヌのもとを訪れました。
「アヌよ、私の心臓を預かり、私を禍から守ってください。私は不死の体にできていないのです」
アヌが答えて言うには、
「エアよ、冥界の女王エレシュキガルならお前の心臓を安全に守り抜くことができるだろう。」
そこで、エアは地下界の女王エレシュキガルのもとを訪れました。
「エレシュキガルよ私の心臓を預かり、私を禍から守ってください。私は不死の体にできていないのです。」
エレシュキガルが答えて言うには、
「それならば、エアよ。地下界の更に地下に住む粘土でできた巨人の胃袋の中にあなたの心臓を隠しましょう」
エアが言うには
「エレシュキガルよそれだけでは心配です。七つと七つの禍が私を襲うかもしれません」
「それならば粘土の巨人を壊す宝玉を地下界の川に住む大蛇に飲み込ませましょう」
「エレシュキガルよそれだけでは心配です。七つと七つの禍が私を襲うかもしれません」
「それならば大蛇が苦手な二人の楽しい小人の好物の甘い菓子パンをあなたが練りなさい」
「エレシュキガルよそれだけでは心配です。七つと七つの禍が私を襲うかもしれません」
すると、エレシュキガルは腹を立てエアに向かって言いました。
「それならば、あなたを地下界の水で水浴びをさせ、あなたを塵と粘土を食べるものと一緒に働かせましょう」
エレシュキガルがそういうと水があふれ、エア神を包み込みました。
エア神は自分の爪から小人を創り出し、地下界から地上に逃がしました。
エア神は意識を失い、死人となったまま、地下界での労働をさせられることになりました。
川の水をくんで粘土を作るのですがいくら水をくんでも僅かの粘土しかたまりません。
エアが創った小人は地上の羊飼いにお願いし、エレシュキガルにとりなしてもらうよう頼みました。
羊飼いがエレシュキガルに会うと、エレシュキガルが口を開いて言うには、
「それなら、あなたが二人の楽しい小人のための甘いパン菓子を練りなさい」
エアは再び生き返り地上に帰ることができました。









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