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2014年7月31日木曜日

ブラックサンシャイン






ブラックンシャイン








1


キングレオビルのオフィスは前より冷静に沈着していった。
30F31Fのフロアがコスモ計画推進チームのオフィスとなる。
ステファノは自分の部屋で考えていた。

なぜ、予算が多くなると暑苦しく、頭脳がシャープでない職場になるんだろう?
予算…金…すぐに現金化できない資産に変換すると落ち着くらしい。
つまりは金は未決定の確立性を秘めているのでは…?
金が何に化けるか。買い物をすると商品と引き換えられるが何の商品になるのかが確率のような未確定の何をはらんでいる。
ギャンブルというのは熱くなる。スポーツの試合もどちらが勝つか決定していない。
だから面白い。
つまり確定した事実と違い未確定の…不確かな…それがエントロピーを増大させるのでは…
うまくかみ合った理論と遠いが、なんとなくつかめるような。

「違うか…ハハ」
ステファノは企画書を書こうとパソコンを立ち上げた。
そのとき所長から内線がかかってきて、所長の部屋にいった。

ヤマダもきている。
所長がきりだした。
「実はグラウディウス帝国の一流企業、ブラックサンシャインから宇宙旅行してまで派遣された営業がうちに来るという」
「ええ、ああ、あのサンシャイン…」ヤマダがいう。

そのときの会議室の話になった。

「このフロアの小さい会議室で…?」
「狭い…気がするな、別に人数は入るかもしれないけど」ヤマダがいう。
31Fにでかい会議室をつくってある」所長がそういった。




2


コインメタトリー・ラグナクロク


エドアールが帰り道にグレートシティで買い物してきた、ドラゴンソードをトムたちにみせていた。
「なんだよ、エドアール。炎の剣と二刀流かよ」
「二挺とも長剣だ。ランスがひしゃげておしいが…」

エドアールが二本の剣を抜いて二刀流にかまえたが…
燃え上がる炎の剣が気になり、うまくふるまえない。
「…ダメだな。炎の剣が気になってうまくいかない…」

ラグナロク軍の一人がいった。
「それにしてもメロンみたいな緑がかった剣だな。ドラゴンソード」
「ホントだ、磨かれてるぜ」

「グリーンのドラゴンのように緑っぽい鏡だな」



3

ブラックサンシャインの営業がやってきた。
女性2名と男性3名だった。
当然グラウディウス帝国の人間だろう…

31Fの大会議室に集まった。

「…わたしどもはそういったライフスタイルをプランニングし、お客様に衣服と併せて提供いたしております。それは設計図であり、決して映画を撮っているのでも、小説を書いているのでもマンガを作成しているのでもありません…」

所長は黙って聞いていた。
「はあ」ヤマダもきいていた。

「斬新な設計図を発明することにより、新鮮で健康的な生活を人類に提供するという使命感が大事だと考えております。使命感がついや果たしたとき、仕事の意欲ややりがいがなくなり、朦朧とした職場になると考え、常に対策を打ち出しております」

(なに…朦朧とした職場?)ピクッ
ステファノはその言葉に反応した。
(ノートに書き留めておこう…できればもっとききたい)

「わたくしどもは発明家、技術者、エンジニア、設計者でありますが、いわば学者肌の理論家であり、設計図を実際に活用していただくのは各家庭の当社の商品を買われたお客さまであります」

所長が質問した。
「それは、ブテックという企業のする仕事なのですかな?」
「…アウトソーシングして一点に絞った仕事をする企業スタイルもあるでしょうが…私どもは衣服やバックのデザインから製品化の工場、流通、小売店まで一連の関連を広く網羅しているやりかたです」

ヤマダがいった。
「総合病院から薬局、治験から薬品開発の製薬まで全部占めているみたいな感じだな」
「…力とノウハウをもつと自然とそうなるケースがあります。いいか悪いかは私どもは意見しません」


4



ステファノがオフィスを歩いていると、ヤマダがやってきていった。
「ああ、ステファノさん。休憩しましょうか」

ラウンジルームに二人で入った。
「紅茶にしてみようかな。紅茶でも一日一杯半はフリーでしたよね」
「飲みものは全部そうですよ」ヤマダはそういってカフェオレを注文した。

比較的小さいカップにはいって、熱い飲み物が運ばれてきた。
「しかしうちも、会議はあんまりないけど、宿題をだされて期限までに提出させられる感じですね」ステファノがいった。
「ああ、広告について検討しろって…」
「宇宙ステーションコスモの有効なスペースに広告のポスターや電光掲示でCMをだすけど、その功罪について…か」
「オレたち、宿題だけど、カンニング合法って感じで相談大いに結構だもんな」
「ハハハ…辞書持ち込み可とか?」ステファノは笑った。

「でも、広告ってお互いウィンウィンが基本だけど…お・そ・ら・く、ハングリー精神がお互い減少する?」
「だと思います。本来金を払わないと買えないコンテンツをフリーで見られる代わりに広告を見る。破綻もしないでお互い儲かるうまいプランですが…」
「そうだよな。両方儲かる代わりに、どっちもハングリー精神がなくなるんだよ」
「金余りの国で育った子供みたいになるんですよ」

両名が自分の部屋に帰ると、メールで追加の案件が来ていた。
〈宇宙ステーション、コスモ自体をアピールする広告をグレートシティにはる。それについてレポートを提出する旨〉

「ふー、陸地で(グレートシティ)でまず試験か…」

二日後、スモール会議室で所長と三人で集まった。

ステファノのプランはショッピングモールのエスカレーター横などのスペースに貼ってみるだった。
ヤマダは自分の意見を破棄してなげてきた。
「んん、いいんじゃないの」
「でも、デパートに電話かメールするんですか?」ステファノがいった。
「そんなの読まれないで捨てられるぞ。広告代理店だ。それもネットだ、さがせ、いやうちの職員の部下に仕事を流せ」所長がいった。

所長も「もう一か所、どこかないか」
「デジタルは?」
「ホームページなら業者に委託して作った。高かったぞ」
「ホームページにただ誘導するの?」ヤマダがいった。
「うーん」
「あと、空港やビルの巨大テレビに映しましょう」ステファノがいった。
「税金の無駄使いといわれんようにな」所長がいう。
「あんまり、派手な箱(壁)にうちのCMいれるとなんかな」ヤマダがいった。
「以外だけど、賢く見える箱にしましょう。でも、肝心の広告やポスターは?」
「業者だ。カタログで選んで…」所長がいった。

(なんでも業者だな、この人は)二人は思った。

数日後、ポスターを張りにいくのは業者に任せず、ステファノとヤマダが直接はりにいった。
デパートの閉店後、表の入口はシャッターがガラガラ下りた。
裏口の従業員用通路にはいる。
「よろしくお願いします」

ヤマダが恐る恐る尋ねた。「あの…脚立とかないとはれないんでしょうか?」
くるくる丸めたポスターを予備も含めて抱えている。
「はれますよ…」デパートの職員らしき人にいわれた。
エスカレーター壁面のシートが業務用の隠れたボタンを押すと、くるくるおちてきた。
「なるほど」

ポスターもはってはがせるようにできている。
ノリの跡など残らない時代だ。
「もっとこう、脚立に乗って高いの恐れながら広告ポスター張り替えたかったよな」
「ハハハ…足場がありませんよ」
ボタンを押すとモーターがぐぃーんとなり壁に自分たちのポスターがはられている。
「よし」








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