イシュタルの恋人 羊飼鳥
―メソポタミア神話風に―
イシュタルは羊飼鳥を愛し、歌を歌わせていました。
「女神イシュタル、今日はどんな歌を歌いましょう」
「あなたの気の向くままに」
羊飼鳥は何日かに一偏、歌を歌わずに、イシュタルのもとから離れ、飛んでいってしまうことがありました。
イシュタルは、不機嫌になり、飛び去らないよう、翼を折ってしまいました。
「カッピ、カッピ、私の翼よ」
羊飼鳥はそれ以来、カッピと鳴くだけで、歌を歌えなくなりました。
イシュタルは気分がすぐれないとき歌で慰めてもらうことができなくなり、悲しみました。
「なぜ、私は彼の翼を折ったのでしょうか?あれほど彼の歌で和まされてきたのに」
「翼が折られた羊飼鳥は、お前とそっくりで、お前と何も違わない。ただ、カッピと鳴く」
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