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2014年7月8日火曜日

イシュタル女神の冥界下り






磔刑録 女性編 

イシュタル女神の冥界下り








天神アヌの娘、女神イシュタルは金星(エル・ゾフラ)の守護女神で、
愛と豊穣の女神でした。
あるとき、冥界にいる姉のエレシュキガルに会いにいくことになりました。

イシュタルは冥界の門番にいいました。
「門番よ、門を開きなさい。門を開かねば、かんぬきを壊し、死者が地上に這い出し、大地に生者より死者の数がふえるようにします」
門番は冥界の女王エレシュキガルにこのことをつたえると、
エレシュキガルは驚き、「なんのつもりで、イシュタルは冥界に下るというのだろう?愚かな妹女神を父神アヌはどう諫めているのだろう。門番よ、古いしきたりに従い彼女を門に入れよ」

イシュタルが第一の門に入ると、女神の王冠シュガルラを取り上げられました。
「門番よ、なんのために王冠をとりあげるのか」
「イシュタル女神よ、これが冥界のおきてなのです。おきてにはしたがわねばなりません」

イシュタルが第二の門に入ると、女神の耳飾りを取り上げられました。
「門番よ、なんのために耳飾りをとりあげるのか」
「イシュタル女神よ、これが冥界のおきてなのです。おきてにはしたがわねばなりません」

イシュタルが第三の門に入ると、女神のラピスラズリの首飾りを取り上げられました。
「門番よ、なんのために首飾りをとりあげるのか」
「イシュタル女神よ、これが冥界のおきてなのです。おきてにはしたがわねばなりません」

イシュタルが第四の門に入ると、女神の黄金のベルトを取り上げられました。
「門番よ、なんのために黄金のベルトをとりあげるのか」
「イシュタル女神よ、これが冥界のおきてなのです。おきてにはしたがわねばなりません」

イシュタルが第五の門に入ると、女神の杖を取り上げられました。
「門番よ、なんのために杖をとりあげるのか」
「イシュタル女神よ、これが冥界のおきてなのです。おきてにはしたがわねばなりません」

イシュタルが第六の門に入ると、女神の腕環と足環を取り上げられました。
「門番よ、なんのために腕環と足環をとりあげるのか」
「イシュタル女神よ、これが冥界のおきてなのです。おきてにはしたがわねばなりません」

イシュタルが第七の門に入ると、女神の聖なる衣を取り上げられました。
「門番よ、なんのために聖衣をとりあげるのか」
「イシュタル女神よ、これが冥界のおきてなのです。おきてにはしたがわねばなりません」

女神イシュタルはすべてとりあげられ、冥界の宮殿にたどりつき、女王の従者ナムタルが迎え、王座のある、広間にとおされました。
イシュタルの姉エレシュキガルは、生命のあるものが理由もなしに冥界に来たということで裁判にかけ、有罪の判決を下しました。
エレシュキガルの言葉は死のことばとなり、イシュタルを覆いました。
イシュタルは死体になり、宮殿の壁に磔にされました。
イシュタルが冥界で磔刑になると、地上の生き物が繁殖しなくなり、植物も茂らず、不作がおこり、動物も姿を消し始めました。

人々も天の神々も、困惑し、話し合いがおこり、エア神が助けることになりました。
知恵の神エアが小人を創りだし、命じました。
「エレシュギガルのもとについたら、冥界の女王の怪我を生命のエリクシルで癒し、裁判をやり直すようにお願いするのだ」
小人は首尾よくエア神の命を遂行し、エレシュキガルの許しを得ました。
壁に吊るされている、イシュタルに、小人は忘却(復活)のエリクシルと生命のエリクシルを振りかけると、ダイヤモンドのようにあたりが輝き、
イシュタル女神は復活しました。

エア神の小人がたずねると、女神は自分の恋人になるであろうという神が冥界にいるという話を聞いてここに来たと告白しました。
女王エレシュキガルがいうには、「そんな話は聞いたことがありません。七つの門をくぐって地上に戻るとき神の飾りものはあなたに返されるでしょう」
地上に戻るとエア神の小人はいいました。
「女神よ、あなたの恋人には、はるか時がたたねば会うことはできないでしょう。未来の恋人には七回寝て起きるころにあうとのお告げです」
そういうと小人はエア神の魔法が切れて消滅してしまいました。
あまり大それたことをせず、寝て待つのも女性の良縁にとって大切かもしれないというたとえ話。





有名なバビロニアの神話、イシュタル(イナンナ)の冥界下り。
それをもとにいくつ改変している。
とくに冥界に下る理由を明確にしているが、本来の神話がそうであったとはいえない。
神話的研究と空想から、理由を割り出した。




























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