石像にされたオーブリー
1
オーブリーがエカルテ城から自宅に帰るとき、雨が降ってきた。
「ん?降ってきたか、あと少しだ」
あっという間に大雨となり雷が鳴りだした。
「ひゃー」
落雷がとんがってもいないオーブリーに落ちてきた。
「なんだって!?バカな」
ガガガガアアアアアアンンン!!
目が覚めるとエカルテと違う土地にいた。
「イテテ、どこだここは?」
【オーブリー装備】
小剣:イーブルフルーレ
小剣:ブルーレイピア
銃:レジスタンスガン
木の向こうから話声がする。
「………よいな。この近辺にあるはず。何としても探せ」
「ハッ」
アルバート3が空を飛んで消えていった。
(レベルラハム…!!本人がこんな平原に)
2
オーブリーは迷ったがレベルラハムに一人で挑みかかった。
「おい、なにをしている!レベルラハム。また会ったな」
「なに!?貴様は…貴様に関係のないことだ、消えよ…」
スカラムーシュ 2564
「オレを雷で打って、つれてきてなにをするつもりだ!?」
「雷!?それはこんないかづちだったかえ」
レベルラハムの片手にスパークが蓄積して輝く。
ゼウスの雷霆(らいてい)あの凶暴な巨人ギガースでさえ恐れるという。
【巨人殺し】
オーブリーに至近距離で直撃する。
「ぐっはあああ?!」
4125ダメージ。
よろよろとよろけるが、オーブリーは立っていた。
服が焦げている。
レベルラハムは新しい力に目覚めたように力がみなぎっている感じがする。
グルウウウオオオオオ
「あのときとは違う。僕の今の力」
【皇申剣】
「くっ、よけられぬ」
5745
「みたか!次の技」
【七星宝】
7784
オーブリーは体力を消耗していた。向こうはまだスタミナがありそうに見える。
【アイスシャンデリア】
氷細工の芸術的なシャンデリアがふってきた。
「くそ、イーグルフルーレでつき壊してやる」
ガッシャアーン!?
!
2345
オーブリーは氷の刃に切り裂かれ、冷たさにダメージをうける。
「ぐっ、くそっ」
オーブリーはアンティンエプルにもらった魔法を使った。
【グレネードシュレー】
「愚かな、氷や水の魔法など」
吸収された。
3
「最後のあがきか」
【ラッキーフォース】
9004
オーブリーの光が剣先から放出される。
ズッガー
さすがにレベルラハムもガードしてこらえている。
「チッ、確かに前より腕が上がっている」
まぶしい光が辺りを照らす。
【ミラクルストーム】
「うあああああ!?」
オーブリーは虹色の光撃に飲み込まれた。
さらに、
「石になっておとなしくなるがよい」
石化の魔法を唱える。
オーブリーは地面に倒れて立てない。
ぐぐぐ…
おきあがり、やっと立ったときには石像になって固まっていた。
4
大神ジォヴェは輝く王座に座りその様をみていた。
大神というには若づくりなその穏やかな容貌。
≪ふむ。石にするだけでレベルラハムは彼を殺さなかった。もし、オーブリーが優勢であったら…オーブリーに気の迷いが生じ、レベルラハムに致命傷を与えず逃しただろう≫
大神には読めていた。
このときの勝負がもし違っていたら?
そういうパラレルワールドもあったかもしれない。
ジォヴェはあごを手にのせ考えた。
≪さて、アーリアルケトスを駒のように動かしたが…雷竜をしとめてくるだろう…
労働をさせて、その対価を払わずこき使ったとしたら?それは乞食と同じこと。最新の理知でわかっておる。相手にたかったのだからな。もしケトスにその働きに応じた対価をさしださねば、奴のふところに名誉と権力が自動的に転がりこむだろう。そして、余から名誉と権限が損なわれる。銭と名誉の両方を乞食が恵んでもらうなどナンセンスな話なのだ。乞食はおのずから地位が下がる。自らの地位を売って銭を買っているようなもの。
んふふふ、奴への褒美か≫
拳くらいの球が飛んできた。
と、ぴったりと止まったが瑠璃のようにかがやいて点滅している。
≪時が止まった世界でまだ動いておる。タキオンとは?別の輪切りの時間においては停止しないようだ。なにかやりとりしておる…。虚数の質量とはその世界の時間軸と別の時間で自由に回転しているようなもの≫
大神の世界ももうお昼ごろのようです。
咲き溢れる花の花粉から甘い香りが漂ってきます。
ものごころついた幼児がその匂いでお昼とわかるように。
≪乞食…いや、たかりの代償はその地位と序列が半自動的に下がることで、別の重荷を負わされまい…≫
5
フィラデルフィアに引っ越してきたアルフレットとマハリクは高層マンションの安いのに賃貸した。
ふき掃除をして荷物をほどく。
「ふう、疲れたし」
「預金が心細いね」
マックドナルドからハンバーガーとジュース、ポテトを買ってきて、荷物が適当におかれた、ガランとした部屋で食べた。
「どうやって働くの?時空警察に入隊?」
「…無理があるね」
ハンバーガーのケチャプがついた口をマハリクは紙袋にはいってついてきた紙ナプキンでふいた。
アルフレットが二個目のバーガーをがさごそ袋から出して包みを開いた。
フィラデルフィアのコンビニに出品して利益を得ることにした。
「食べ終わったらコンビニ行って申込用紙もらってくる」
「うん」
申請すると審査があるらしい。
6
グレートシティ
ステファノは仕事のために買った新品のパソコンをたちあげ企画書をかいていた。
といっても、あいかわらず着想をメモしている段階だった。
ステファノは論理的にこう考えた。
自分が小売店を開いて商品を陳列する。
それだけで看板を見て客が来てくれるだろうか?
ネットでもそうだが、簡単に来ないのでは?
実際の店舗などセールなど広告費をかけて常に人をひっぱってきているだろう。
とすると、店に物を置いて商売する仕事以外に人を集める別の仕事があるはずだ。
客が慢性的にきたら、目当ての商品の間に別の売り物がある。
人が集まっているため注目というのかお知らせ効果でモノが売れるだろう。
まず、人を集めることありきでもあるのだ。小売り店とは。
コスモのような巨大宇宙ステーションのショッピングモールだと、自分の店舗とかではなく、大勢のおでかけの客がぞろぞろあつまっているだろう。
ネットでいえばアクセスが集中している。
だから商品が目に見られて売れる。
でも自分の店舗が足を引っ張ったりしたら?
今からビジネス書を買いあさって知識を入れたほうがいいのだろうか?
ステファノは考えた。
多くの店舗が集まるモールはお互い集客する。
いちいち正確に点数計算はないが、なんとなく足を引っ張っているだの、肩身が狭いだの、自分の店が客を吸い寄せて集めているだのあるかもしれない。
モール全体の仮想責任者をまかされることになるステファノはゾッとした。
「広告費をかけてまで人を集めなくてはないのが小売なんだ」
論理的に考えステファノは事業を計算していた。
次は…
時空警察という組織の一員であるステファノは当然、賞や勲章など名誉という金で買えなさそうなある意味買えそうなものに当然興味があった。
時空警察・特別防衛隊・Aランク・フェリークス隊長という肩書もそうだ。
権威に肩を持ってもらうというのは組織人のステファノにとって願望の一つだった。
「金でどの企業やお客さんでもだせるCMではなくて小うるさいCMとかどうだ」
権威ある雑誌のみひらきに堂々と広告を出せるのがステータスみたいな、ネットでも実店舗経営でも。
おもしろい。そうステファノは思った。
だが、具体的なプランになるとさっぱり筆が進まないのだった。
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