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2013年12月9日月曜日

Another War  ―もうひとつの戦争― 第四部



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Another War  ―もうひとつの戦争―  

第四部


Another War  ―もうひとつの戦争― 





1



休日。アルキポが自宅のソファで横になってマンガを読んでいた。
「そろそろインターネットでもめくってみるか…」
おきあがろうとしたところ、インターフォンが鳴った。
でると、弟がきている。
「あぁ!?」

ドアを開ける。
「おまえ!?何しに来たのよ。まさか時空警察に入隊させろとかいうのか!?それに、いつの間にでかくなったのよ、190以上ありそうだぞ」


【アルキポ(弟)191cm78kg】

「違う、時空警察は大組織で嫌だ」
「あぁん!?」
「オレは小規模の騎兵とかに向いている。ナイトだ」



2


時空警察 幹部エリア


ヴィクターが真顔であるいている。
通路の曲がり角にきたとき、不意に人が飛び込んできた。
ボフ
冗談半分にヴィクターのみぞにボディブローをいれてかかえこむ。
殺気があまりにないので、気が抜けてそのまま体でうけとめてしまった。
「なんだよ、ジュール…おまえ、アハハハ」
「こんちわ。あいさつがわりだよ」
ブロンドの髪を揺らしながら、子供のようにいう。

そして、少し真面目な顔をしていった。
「それにしても、大丈夫かい?あのアルアロリア妃って相当なお嬢様だよ。国士無双とか呼ばれてうぬぼれている田舎侍に旦那様がつとまるのかい!?じかにこの目で大都会、グラウディウス帝国を見てきたから忠告できるけど、時空警察のデカポリスやメガロポリスなんかド田舎の範疇だよ」
「脅かすな、なんとか前向きに生きている…」
「それと」
「!?」
「あの軍事演習のときにいたアルキポ…」
「ああ、あの若い…」
「彼は要注意人物だよ」
「そうかい」
「実はある筋からの情報だと…大神の化身だとか」
「大神ジォヴェの!?なんだよそりゃ」
「大神自らが人の姿を取って飛来したとの目撃情報がある」
「実在するか不明の次元の違う世界の神だぞ」
「それだよ、アルキポの不思議な特質…実際目撃されたわけじゃないけど、頭がこよなくいいのに、バカなんだよ。わざとだよ」



はたしてアルキポの正体は大神ジォヴェが人の姿をとったものなのか…



3




時空警察

ヴィクターが重装備の鎧を着てテレポートマシンに乗り込もうとしている。
ジュールがかけ声をかける。
「ヴィクター、君のフィアンセは3分の2が女神だ。しっかり戦って来い」
ヴィクターは背中に雷様の太鼓のような装置を背負っている。
実は回転する剣の鞘のような装置で手に取りたい剣を定位置に回転してもってくる。
フオン…
独自の回転音を発して旋回する。
「オレの母はオレが20歳くらいのとき、見た目少し上の姉くらいで自分と大して違わなかったな…さすがのオレも首を傾げたぞ。まわりの奴らに恥ずかしかったな。それにしても基礎体力が違う母だった。オレはお袋にきたえられているからな」
ジュールは無言で軽くうなずく

ヴィクターは剣を抜いた。
「ハイパワードソード…開発するのに苦労した。いずれ大量生産して売りに出す…」
みると太身(ふとみ)の剣の刀身に地球の信号機のライトのように大きな丸いLEDライトが三つついている。
チカチカ点滅してコンピュータが何か思考しているような雰囲気を出す。
ヴンヴンヴンヴオン
ジュールがたずねる。「これ、刀身に刃がないようだけど」
即座に答えが返ってきた。
「無論…刃できるのではなく高圧のエネルギーで粉砕する」
「今はやりのエネルギー剣か…」
刀身のランプが意味深な点滅をする。
「ソフトウェアのエンジンが始動した」
トールルルルオオン・オン・オオオン・・・

ハイパワードソードの刀身にエネルギーが集まりだす。
ジュールはいった。
「いってきなよ。強敵だモニターで見ていてぼくたちは援護する」
「ああ、ジュール…じゃあな」

ヴィクターはテレポートマシンに乗り込み。
ジュールが装置を起動する。

「GO」





4



神殿の中は以前の戦いの後がのこっていた。
激しい戦いの爆発の壁や床の焦げたあとや壊れたあと…
前の魔獣の死体は消えていたが、死闘の激しかった様子はそのまま惨事の後のように残されている。

さらに上のフロアに…

ヴィクターはあたりを観察しながら、落ち着いて進んだ。

13階と違うデザインだ。
原始林。
そのものではなくアートでそう見せかけている。
ジュラ紀の世界のように原始林と湖の広がる景色。

モンスターが見える。
ショッキングなカラーのステゴザウルス。
半分眠っているかのようすだ。

「これは…色合いの派手さでタフな恐竜に見えるな…アリゲーターの究極形みたいな」

ヴィクターは中空に浮かんで魔獣を見下ろす。

声が聞こえた。
≪太古の時代のドラゴン…原始獣「アイスグリーンザウルス」その背中にならんだ楯はグッドナイトシールド…この破壊力にあらがえるか!?≫

「…眠っているときに体をガードするからか…?背中の棘が」
ヴィクターはハイパワードソードをぬいた。
フォーン・ウウウウン
エンジンが唸る。

「喰らえ」
一太刀ふるう!

高圧のエネルギーが落雷のように原始獣にむかう。
ドガ!バリバリバリ…

9999

ぐうるるるる
いかにも恐竜といった叫び声をあげてアイスグリーンザウルスはおきあがる。
口からドライアイスのシェイクをふきだしてきた。
ご・ごおおおおお

ドッ!!
ヴィクターは鎧のおかげで防ぐことができたが、その威力に吹き飛ばされるところだった。
「強力な冷気!」
978ダメージ

「ジュールだったら…GOTO・ヘル!!と叫んでいるところだが、知性のない動物か…悪賢い、知能の低いふりをしている悪人でないが、倒させてもらう」

もう一撃ふるう。
グ・グウルウウウオン

ドッ!!!?

キンキンキラ
グッドナイトシールドが黒く光る。
ぎゅおおん
ヴィクターの放つ高圧のエネルギーを吸い取るかのようにかき消した。
「これは…真の夜の闇が光撃を飲みこんでしまう。ブラックホールのように」
ヴィクターの直感が直接触れてダメージを与えないとダメだと言っている。
ヴォン
地面に降り距離をちぢめて闘う。




5


上から声が聞こえる
≪地上から天を見えげても、ただ雲間しかみえまい。天の上まで上がってくるか…≫


ヴィクターはハイパワードソードをオンにしてきりつける。
巨大なアイスグリーンザウルスは地面に叩きつけられる。

ぐおおおん、ドシーン!!
9999

原始獣は口から強力な冷気をふきだした。
ガッゴオオオ
ヴィクターは直撃を喰らったが、鎧が反応して冷気を即座に中和した。
だが、勢いで数メートルふきとばされる。
ヴィクターは腰を旋回させてストップした。

鎧についているカメラでみていたジュールはこういった。
「これじゃ、まるでモビルスーツの戦いだよ」

(このまま直接斬り込めば勝てる。数発で…)
ステゴザウルスの巨体だが、全体がスタイリッシュなカラーで最強クラスの恐竜のようにデザインされた原始獣は言葉を発した。
「◆□■それはどうかな…スキーウェアのような鎧をきて、エネルギー砲のような剣を持ったとしても…」
(なに…獣がしゃべった!?)

そのときドリトスの破片。タコの腕が40cmほど宙に浮いたヴィクターの足にからみついてきた。
「ぬおっ!?」
原始獣は攻撃しないでなにかをため込めている。
「!?」

ジュールがマイクを通じていった。
≪気をつけろ、ヴィクター!!なにかくるぞ≫
ドリトスの足をオーラで焼きつくして燃やし捨てた。

「◆□■あせっているな。何が来るのかわからない…お前の心が読めるぞ。パーフェクトボムで一気にカタをつける気だな」
「…オレも読めるぞ。お前の攻撃は無限陣だ。作りだすのに時間がかかるとみた。オレはみたわけではないが…陣に飲み込むモンスターの話を聞いたことがある。そいつは人の心を読むという」
ヴィクターはハイパワードソードを背中の鞘におさめた。
背中の円盤のようなものが回転して止まった。
ヴィクターの心がマイナス思考に占領されそうになる。
すさまじい暴風が吹き荒れる。
だが、それにヴィクターは耐えた。
パーフェクトボムにエネルギーを蓄積するため、精神力を放出し続けている。
一歩間違うとすべてを投げ出したくなる。

「だが…人の心を直に読めるのは…機械だけだ。お前はコンピュータ仕掛けというより…バイオロボット!?あるいは霊的機械とみた」
「■◆◇□…」
「直接、頭の中の思考を読めるのは魂の無いロボットだけだと知っているぞ…」

グオオオオオとアイスグリーンザウルスの無限陣が口から放出された。
フォンフォンフォオンフー

同時にヴィクターのパーフェクトボムが両手から放たれた。

パーフェクトボム

無限陣ごと大爆発に飲み込まれた。

30000!!!


アイスグリーンザウルスは粉々になった。




6


粉々になった死骸がきれいに光るコインになって跳ねまわっている。
しばらくすると消える。
ヴィクターは持って帰ろうとしたときには全部消えていた。
グッドナイトシールドが落ちている。
ブラックとグレーのスタイリッシュな楯だった。
ヴィクターはそれを拾うと装備した。

「ふん…」
ヴィクターはしばらくその場にたたずんでいたが、次の階に向かった。
≪まだ進むのかい?≫
ジュールがマイクを通していう。
「ああ」

さっきまでなかったテレポートポイントがあらわれた。


次のフロアは芸術的な柱が何本も天井を支えている。
ロココ様式とかドーリア式ともちがう。
柱が鏡のようにあたりを映している。
とおもったらTVやコンピュータのモニターのように高尚なテーマの風景などを照らしているとわかった。

そこに待っていたのは暗黒魔人だった。
彼は自分から解説した。
「ようこそ…私は暗黒魔人アンティンエプル。よくぞドリトス、アイスグリーンザウルスを破壊した。そしてだが…さっきのパーフェクトボム。あれはあらゆる性質の爆撃を包括している。だからどんな弱点だろうと焼きつくすのだ」
「…そのとおりだ。すべて網羅しているからパーフェクトボムというのだ。よくわかったな」
「よかろう…。わたしはダブルボディで体をいくつにでも分身できる。ゲームがしたい。そっちも人数を用意しろ。われわれはもしかしたら…一個の偉大な神の分身体でしかないのかもしれないぞ」
ヴィクターはしばらく黙っていたがこういった。
「いいだろう。いったん退却する」





7



マンデンブルー大佐は戻ってきたヴィクターにこういった。
「ナイスな戦闘だった。だが、今度行く時はホワイトグラスを装着していけ」
グルーザー女史とジュールも笑顔で迎えた。

ヴィクターはいった。
「ホワイトグラスは視界を遮るので、いまいちつける気がしなくて…」

壁のモニターには何人もの技術者たちが働いている様子が映っている。
ヴィクターはいった。「時空警察が開発しているニュータイプのコンピュータ・システムの開発は順調ですか!?」
ジュールがいった。
「優秀なエンジニアが日夜努力して開発している。うまくすすんでいるよ」



8


移動要塞アルキメデス

グラウディウス帝はおかかえの宮廷芸術家ロンダルロットを呼び寄せた。
ヴィクターとアルアロリアの結婚式の演出家を一任するためだ。

皇帝はいった。
「どうだ、このたびの仕事。はりあいがあろう」
「ハッ、閣下。このたびの役目をいただき、ありがたく存じております。ですが、たいへん難しい仕事でして。
結婚式とは各地、各文化でしきたりが千差万別でして、花嫁が肌をさらすだけで禁忌とされるところなどいくらでもありますし、段にあがって客席としきってあればよいというところもあります。アラビアンナイトなど通読しきらびやかな宴の催しを研究しておりますが、あまり宴の儀など詳しくは書かれていないようでして…」
「それはあるだろうな。話によると我が帝国は文明は発展しているが道徳が三流とまで酷評されている」
「ハッ、飾り付けも宮廷幾何学者に模様を描かせる予定であります。ドレスなども悪徳として無礼であるとするしきたりも多くありますし、正装であるので良いというところもあります。夫以外に肌をさらす事態になると自害する。王族の妻の気がまえとはそういうものなのであります」
「その意味が分かるものは少数であろうかな。気位の高貴な者の尊い意志」
「ハッ、まことになげかわしくおもっております」
「だが、あまりそんなことをいってはいると、客席に誰も並ばないことにもなるのだ」
「それも頭に入れて企画を練っております。企画書は草稿から膨大なメモの羅列で、ゲーテのファウストを読み、宴の華やかさのアイディアになぜかなるように霊感にうたれ熱意がわきでております。
また、新郎の実費で宴をおこすのならよいが、国や両親に支払いを頼っては凶であるという見解もあれば、国がもつなど、めでたいという考えもあり、複雑多岐にわたっております」
「それも、向こうの使者や新郎側とやりとりして順次決定してゆこう。ゲーテのファウストで思いだすが、国事の結婚式ともなると、一時にいろんなイベントがおこるようであるな」
「それは映画を式の間に大型モニターで宙空のロビーとロビーをつなぐ橋から、3チャンネル中継でがながめるなど、企画だけではありますがプランがございます。複数の芸術家、私と弟子もふくめ、仕事を依頼し多くの飾りを描かせたいと考えております」
「この歳になると、式の席に連なるなど、仕事をさせられているかのように疲れるようになる。あんがいボーィになって客をもてなして見たい気がする」
「ハイ、わたしも客席はごめんでして。だまって催しを眺めるのも窮屈であれば、新米など、キツネにつままれるかのように楽しめますが、経験を積むと仕事をさせられているかのように疲れるのでございます。仕事で給仕などをしますと、仕事もあれば、合間の隙間に宴も見物でき、給与をもらって満足できることもあるのです。さらに、上からしきる立場であれば、楽しめません。すべて自作自演ですから種を知り尽くしている。地位が下の若いものにしたら、あこがれるような大勢に埋もれて夢を見られるのでございます。くれぐれもその両方を得ることは不可能であります。よくばりは肝臓をついばまれることでしょう。わたしなど演出家がてごろにやる気のある立場でして。すべて宮廷芸術家として研究し憶測した事柄を口にしておりますのでどうか寛大なお許しを」
皇帝は企画の第一案をつづった書類を見ていう。
「これなどいい。《人間本当に仲がいい。そうなるのは難しい。仕事であれば利害が、遊びであれば動機の弱さが邪魔をし、つながれない。また、人と人がつながりすぎては不気味である。不衛生であるかのようにさえ見えることさえある。それで人間が孤独にならないよう神がつがいをこしらえた。夫からその妻をつくりだし、つながって問題のない家庭というものを編みめぐらせた》」
「御意」
「おまえひとりで結婚式演出の総責任者はだいじょうぶか?」
「『君主論』のニッコロ・マキアヴェッリは、レオナルド・ダ・ヴィンチのよき相談相手も務めたとかいいます。自分の下にいる部下はもういますが、横にいて同盟者のように、うるさいこと気のきいた指図をしてくれるものを望みます」

アルアロリアは“シンデレラ”の意地悪な姉たちのような役回りの女親類がでてくる予定である。
グラウディウス帝国の貴族、ドルシエラとビョンデッタだ。
物語はおとぎ話のような方向に転換してゆく。


いろんな人が読んで、心底発憤できるような物語が完成されれば、もくろみは成功だ。







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暗黒魔人編






暗黒







1



エカルテ城

エドアールとトムは外に食事に出かけた。
クラークは熱心にスフィンクスをみていた。
「翡翠の王冠…エジオンに置いてあるのか…」

エドガーがいう。
「時空警察が再びつぎの敵と戦うといいますが」
「ああ」
「あまりエカルテが不戦勝していると肩身が低くなりますがな」
「ああ、そうなのか?そういうもんかな」
「昔からこのあたりではそういう力関係みたいなものがありますな」
「隊内粛正の鬼とかみたいだな」
「は…?」
「いや、4匹目だ…人数三人だぞ、うち。暗黒魔人三分割じゃ、オレもオーブリーも勝にきまってるしな」
「平和ぼけしてませんかな。エカルテ市民にアホあつかいされたくありませんな」
「あんまり平和になると王様なめられるんだぞ」

秘書猫がフォローした。
「もう暗黒魔獣のことバンバンニュースにながれてますよ」





2


エジオン

アルフレットは体調が半快だった。
アウトソルジャーがとびこんできた。
「翡翠の王冠をよこせ」
「なに!?貴様は」

アウトソルジャーは王冠をかぶって窓から空を飛んで出ていった。
「あっ、この」

アルフレットはおいかけた。
「今の貴様なら勝てる気がするぞ」アウトソルジャーは満月を抜いた。だが、「ううっ、頭が痛いぞ、力が吸い取られる」
「だろうな。王冠のせいだ。身分が高くなるということは周囲の人間に力を与えなくてはない。力を吸い取ってさらにこき使えば、そいつはお客さんだ」
「クソなんの役に立つんだ」
「無用の攻撃を遮断できるようにだろうな」
「オレは一匹狼の盗賊だ」
アウトソルジャーは王冠を脱ぎすて逃げていった。



3


アルフレットは王冠を抱えてパーカーのところに持っていった。
「翡翠の王冠が近くにあるだけで頭痛がする。オレにはしんどい。MPが回復しない」
だが、パーカーも「わっ、オレに持ってくるな。オレはいらない」
「くそ、パーカーもか。博物館にでも厳重に展示してもらうか」
エジオンでの支持率はパーカーをアルフレットが圧倒しそうな勢いだった。
「だが、MPを無駄に吸いつくす」
「スイッチとかないのか」


時空警察では発足前夜の特別防衛隊 ランクC V.キャノンを発動させることにしたと公表している。

タイガータンクが準備をしていた。
黒のウインドブレーカーのような軍事服を着て手袋を装着。
「時空警察らしくないよ。いつまでもながながと。なんで特防隊だけ話が伸びるんだ」
ジムは「隊長か…緊張するな」と落ちつかなかった。

ジム、ネオ、タイガータンク、シャノン、ウィーナーの5名の出番だ。



4



エカルテ

「なんかこう、遊びにでも行きたいな。勤務時間そう長くはないし、見ているだけだけど、疲れがたまってくるな。これいいな[コインバスケ]
「辛抱ですな」エドガーが辛口にいう。

エドアールが「ニュースです」

時空警察とアルフレットの共通の認識は
《まもなく天が落ちてくる》だった。

クラークはいった。
「天が落ちてくる…ってどういうことよ」
オーブリーも長椅子で陣取っていて疲れていた。
「ぼくも座りっぱなしで腰が痛い。城作戦みたいに連絡と会議だけの毎日だ。出歩きたくないときに限って外出の用事が来るんだ」
「それあるな」トムがいう。
エドアールが珍しく自発的に発言した。
「この戦況を打開したら旅行でも何でも行けばいい。それより天が落ちてくるとは高度な世界との融合。大神の世界のように高い世界がこの世界と一つになる」
「最後の審判の一形態とあるぜ」
「つまり、今いちばん上の位の人が平均ぐらいに圧縮」
エドガーがいった。「身分の低い人はどうするんじゃ」
「指数関数グラフみたいに大して変わらない。そのかわり上は半分に折られるのではないかと観測されているか…」
「なんでわかるんだ?」
「研究じゃろ」

そのときネオから連絡がきた。
クラークはでた。
≪アリスタンダーのときはお世話様。それで今回の暗黒魔人は時空警察が処理することになったけど、意義がないかの確認を任されたんだけど…≫
「エカルテではないな…」
≪オレ、デカポリスのグレートシティの斜め近郊の園(その)にあるアパートで暮しとるから…よろしくな≫
そういって切れた。



5


時空警察の宇宙船に乗り込んで出発する。
6人掛けの座席に座る。
運転は別の隊員がする。

ネオがグレートシティ近郊の園(その)の話をすると、ジムがいった。
「ああ、オレンジタウンか。あそこ学生用のアパートいっぱいあるだろ」
タンクがいう。「オレも知ってる。緑が敵度にあって魚がうまいんだよ」
「それなんだ。新社会人用のアパート借りて入ってるんだ。うん、結構ファッショナブルなところで。電車乗っていてもみんないい人ばかりだよ」
「でも学生がゾロゾロいるだろう。大学とか点在しているし」ジムがいった。
「定食屋にはいると大根おろし乗っかったサンマがほんとにでてくる。たくさん定食屋とかあるぞ」ネオがいう。
「サンマ定食かよ」
「いやほんとにうまいんだな。夕方、西日差す頃なんか落ち着く街だよ」
「ふーん」
タンクがいう。
「この宇宙船だとか用意するの大組織だからできるけど、個人で私的な行動とりたいよな。時空警察とか大規模だけど個人の活動とは別物だよ」
「勝手に個人の団体作ると隊規に違反するぞ」
ネオがいった。「違法行為をしなければいいんだ。ただ楽しむだけの活動だろ」
タンクがいった。「個人の私的な活動なら誰にも命令されないだろ」
シャノンがいった。「でも、それだとアイディアは別として限りがありますよ。金をつぎ込んでも個人じゃできることに限りがある」
ネオがいう。「オレなんか大学アパートみたいなの借りて暮らしているだけで個人の活動している気になるな。ハハッ」
「すぐ金を吸いつくすぞ」ジムがいった。
「それだよ。釣りに行くとか。スポーツとかか………。この船も仕事じゃなきゃ自分で勝手に運転したい気がするし、逆にいうと個人だと運転手用意してもらえないし」
「確かに小さい活動でいいから、個人の動きとか贅沢してみたいな」ジムがそういった。












紫色の煙 思い出したあのときのこと

昭和小説

第一部となんとなく人格設定が違ってしまう。イメージが違うが、「紫色の煙」の続編が読みたい方用。未完成作品。



紫色の煙 思い出したあのときのこと




1 日曜日


日曜日の夕方、彼女のアパートにぶらりと突然遊びにいった。
昭和55年代の当時、学生も社会人も週休二日制などまだなく、日曜が休みで、土曜日が昼ドンだった。今ではシフト制とかで定年間際で独身の自分もその制度に従っている。学生は秋休みまであるとかないとかいう。
彼女の部屋のTVで相撲を見ていた。
横綱の取り組みが終わり、力士が弓を動かしている。
「もう終わったのか」
「帰るの?ご飯食べていくの?私も明日は学校があるから、突然勝手に来られても困るんだけどな…」
彼女はまだ生きていた。当時。交通事故死する1年ほど前。
煙草に火をつけ帰ろうかどうしようかと考え始める。
やっと気がついたが、珍しく寛大な彼女がいらいらしているように見える。
彼女はアパートで一人暮らしだが、安月給の自分が家賃を払っているわけもなく、学校にいっているので仕事をしていなく。(当時婦人の仕事は限られていたと思う)彼女の両親が家賃を払っている。
「なにかのみたいに、土曜の午後から来るとか、日曜でも早い時間から来ればいいのに、週末の終わりのこんな時間にいきなり来て」
(ふーん。めずらしいな、こんなに怒るの。見た目通りでおとなしいのが売りなのかと思っていたけど。あっ!死相が出ている)
「帰る」といって自分は倒産しかかっているという噂のボーリング場にいくことにした。看板のボーリングの絵は雨水で錆びて落雷が落ちそうな雰囲気がある。


2 ボーリング



ボーリング場で一人で玉を転がしていると、小学生が勝負を挑んできた。
「もう、夜だぞ、帰らなくていいのか」
「おっさんこそ、自分の心配しろよ。それより、割り勘というより、年上が支払えよな」
ひと勝負終えた後、ケーキを夜半まで営業している喫茶店で御馳走した。
「坊主、夜にケーキ食べるとバカになるから、親にはいうなよ」
「小学生のオレだと、ケーキのチョコでも、イチゴケーキのフルーツでも酔っぱらうからな」
「親は大丈夫かよ。もう7時過ぎてるぞ」
「弟が生まれるから、母親は入院してるし、親父は付き添いで、晩御飯の小遣い豊富にもらっているうえ門限は無限なんだ。おっさんこそ夜にコーヒー飲むと大人でも眠られないぞ」
「いい、たばこ吸わなければ眠れる」
そういってコーヒーを啜る。
その時、飾りもののベルがガランチンと鳴り、喫茶店のドアがあいた。
「ちょっと、うちのアパートの管理人の僕をこんな時間に!!なにやってるの!?」
「いや、ボーリング場で会ったんだけど。知り合いの子供?」
「この子のお父さんから電話があって、様子を見てくれって言うから部屋にいったら、こんな時間に留守だし」
「なんでここにいるってわかったんだよ」
「こんな時間にこの辺じゃボーリング場しか子供が行くところがないでしょうが。さらにその近くの喫茶店」
ゲームセンターもコンビニもないこの時代の片田舎、迷子の児童を探索するのは容易だった。


3 映画館


月曜日。仕事から帰ると、見計らったように電話がかかってきた。
「映画?」
「そう、いまから管理人さんのとこの僕も一緒に。7時に駅前に」
「わかった」
あの日、何かを3人でどこかで食べて、それから映画館に入った。
「『風と共に去りぬ』?『ジェイン・エア』?」
結局、『ジェイン・エア』にして、『風と共に去りぬ』はまた今度にした。
「あんな昔の人も恋をするんだな」
「なんだよ2人とも、遠慮するなよ」