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2013年8月19日月曜日

久しぶりのエジオン




















1


三人を乗せた船がエジオンに着陸しはじめた。

≪お客様におつたえいたします。あと1アウワーほどで惑星エジオンに着陸いたします。みなさま、長い間お疲れさまでした。ご準備をどうぞお急ぎのないよう…≫

「とうとうついたな」アルセウスがいう。
「ああ」

スピードが減速し始め、惑星エジオンがみえだす。
地球より小ぶりの。球体だ。

「見えてきたぞ」

着陸がうまく、火に包まれたりしない。
地球儀からだんだん雲の上の上空図になり、シティマップとだんだんなるさまは見物だった。

「いつの間にこんなに降りたんだ」カーターも何回見ても面白いと思った。

キヒヒュウウウウンン

もう地に着いていた。

ドアが開く。
アナウンスが延々と流れる。
お忘れ物だとか、お疲れさまでしたとか、エジオンの説明だとか…


忍耐していたものがさっぱり洗い流されたように、三人は宇宙船を降りた。
エジオンの空港が広がっている。

タクシーに割り勘でのり、パーカーの基地に向かう。

パーカーから電話がきた。
≪お疲れさん。アリスタンダーとレベルラハムと大変だったな≫
「カーター氏もいく」

なぜか、久し振りのエジオンの景色は砂っぽく乾燥してみえた。
「カラカラしている…そうみえるのか」アランがタクシーの窓から眺めていう。
車は走り出す。
「古いムードの写真みたいに見える」
アルセウスもいった。


2


「ようこそ、カーター氏」パーカーは握手した。
「お久しぶりです。パーカーさん」

客用の部屋を用意してもらった。

「ううむ、バルハルともコインか…クラークが王をやっていた土地は、エジオンのほうが地球と雰囲気が違う気がする。メカニカルシティという感じが」

無機質なような未来世界のような異質さがある。


コーヒールームに集まった。
「パーカーかわりあるか」
アルセウスがいった。
パーカーは葉巻に火をつけた。
「ふーっ、地球人のソルジャーを雇うことにした」
アランは無料自動販売機のほうに歩いていった。

「地球人か。わたしのほうが先輩だ」
「いや、おまえらより強い」

アランのパンチングマシンを殴る手がずれた。

「はっはっはっそれは頼もしいが…地球か…」
アルセウスは余裕を見せたが、内心焦った、だがそんなことをいっていたらアルフレットをはじめ上手がいくらでもいる。
ガゴ

デラックストマトがでてきた。
「トマトジュースかよ」

空気清浄機かわりの植物がパーカーの葉巻の煙をもくもく吸い取る。

「街はどうです」カーターがいった。
「コーヒーをだそう。2人分、私はいらない」
コーヒーメーカーロボが作動した。

「いまや、部品を自分たちで組み立てるのが流行っている。音楽プレーヤーはもちろん、電子剣や銃にCPUやスマート頭脳を組み込んで、自作マシンを興じている。だが、傑作がないから販売や輸出をしていない。パーツごとの部品を買い、組み込むんだ」

「なるほど」
水が水道から適量、注がれ、コポコポ沸騰しはじめる。

「どれ」
アルセウスが壁のスクリーンにカタログを映した。

ぐわああああ、と映る。

市販品で自由度は落ちるがはめ込むだけでパーツがカスタマイズして組み込める。
あとはソフトウェアの問題だった。
センサーと動力、モニター、スピーカー、電子ジャイロコンパス

「おまえらも、戦闘や訓練のない時組み立ててみろ。傑作ができたら他の星に輸出したりするぞ」

アルセウスは壁のスクリーンにいろいろ映した。
カーターもみていた。

「それと、面白いものを発見して観察している」
スクリーンが半分に割れ、アルセウスがみていた画面が縮小された。

「これは?」
「巨大望遠鏡で星を観察して見つけた。比較的近い」
「ほとんど緑だ。サバンナに樹木が点々と…何か飛んでいる」
カーターがいった。
アランがデラックストマトを飲みながらいった。
「生き物がいるが珍しくないな」
「そうでもない。やはり人工にしろ、生息惑星は限られている」
「そうか」
コーヒーが沸いて、カップに注がれ、配られた。

「何か飛んでいるぞ」
「ドラゴンフライだ。緑色のトカゲトンボ!!」
「そうだ。知能があるのかモンスターなのか」
「おもしろいつぶやきをする人を発見してこっそり観察しているみたいだ」
アルセウスがいう。
パーカーが葉巻をもくもくいわせた。
「建物がある。人口のだ。ドラゴンフライが作るのか…」

「塔があり、入口が見当たらない。上にカプセルの丸があり、なにかあるらしい」
ドラゴンフライがエアアタックを唱える。
ぶしゅううううう

風が舞いあがる。
「おおつ!?凶暴だぞ」アランがいった。
「行って調査か?」アルセウスがいった。
「戦いたいだけだろ。観察がまず先だ」



3


カーターは二泊ほど寄っていくといった。

その夜、パーカーはウィスキーの樽の苦みを味わいながら考えた。

映画…
いろんな見方があるし、あっていい。
音楽も小説も同じだが、
異世界につかの間浸れる。

みんなが見ている番組も連帯感とか共通意識見たいのがあっていい。
話題の作品とか。

マイナーなもの、自分と他わずかしか味わってないんだな、そう思わせる、三文映画。
みんな見ている楽しみと違い自分だけの密かな娯楽…

あるいは田舎の図書館でさえ置いてある世界文学。
面白おかしくはないが、どこか歴史に刻まれるなにかがある。
そんな作品を作ってみたい。

コンテンツがサイトに選び放題ある。
それもいい、が、傑作が並んだカビ臭い図書館の世界文学。
これもコンテンツだ。

ありがたがらない。猛烈には、だが、ときに用いると新奇な味がする音楽。

あの望遠鏡の奥の世界は今のパーカーにとって新規かつ独占的な世界だった。
映画に録画したら、そんな流行らない。
「そんな動かないじゃん」といわれそうだが、本当の世界をなめている気分だ。
ドラゴンフライ…

レコードが何枚もあって、好きな気分に浸れる…
映画がTVでも金を払ってもみられる…
仕事の後に、休みの日に、自由なときに
鑑賞できる。

アランたちから土産話を聞かせてもらえる…
あのドラゴンフライが建物を建築するはずがない…



4


エジオンでは宇宙ステーションを出店することになっていた。
「かりだされるのか」アルセウスがいった。
「当然だ。地球とも、コインとも反対の方角にステーションをのばしていく。
中継地点を川に浅瀬を造って、おくに行く要領でドラゴンフライの惑星に行く。時空警察のパトロール区域から外れるから、未開拓のフロンティア作業だ」
カーターもなっとくした。
「なるほど、いきなり遠くに行くとガスけつになる」

「アルフレットも呼んだ。彼は今向かっている。最初にステーションに置きたいのはインターネットに接続できる技術だ。これができると、かなりのことができる」

電波にしろ、点々と中継点を置けば、つながる。
大規模サーバーをステーションに置いて、10のデジタル信号をモールス信号のようにいい電波でやりとりする。
電子書籍、音楽が無尽蔵に引っ越ししたのと同じことが可能になる。
「Zライトをチカチカやるだけで原理的にはデータを送受信できる」
「他に方法はないのか」

Podに大量に更新データを積んで運搬するやり方もある。
Podは無人にして毎時間ごとにお互い運送しあう。
無人だと人件費が安くなり数を多く出せるが、管理者やカスタマーが必要だという。



5


アリスタンダーと死闘を繰り広げた洞窟から、スネークナイトとマジカルサタンの生き残りが、逃げだした。
苦労の果て、大気のない宇宙空間をおよいで、月のような無人の惑星にかくれた。
ほらあなに隠れ、凍える風に火を起こして温まりながらじっと様子を見ていた。

月や火星はまっ平らに見える。無人とはいえ、地球は山も谷もあり、でこぼこしている。植物があるせいだけでなく、星の内部が熱をもって蠢いているからだろうか。
すると火星や月は内部が冷えている?
大気がないため、川の石が滑らかに研磨されるのとおなじで平らになる?
水の蒸発と川の流れ、海がないため削られたりしない?
砂漠のようになめらかなのは水がないせいか?

生命がいたるところに繁殖している地球と基本無人・無生物の星は違って見える。
人工の星といっていいような、まっ平らなフロアがつづく。
コンピュータゲームのような同じ景色が続く世界だ。



6


ファジオという地球人のオリンピック選手はもうすぐエジオンに来るという。

「先輩づらをしたりしない、わたしは」アルセウスは力んでいた。

カーターはもう少し、エジオンの宇宙ステーション計画を見ていくといって滞在した。
「たぶん私とすれ違いになりそうな気がする」

「ジャイロを回転させGを人工的に産む。ジャイロダインだ」
※ジャイロ(ギリシア語で輪)ダイン(N:ニュートンと違う力の単位。本来のジャイロダインは飛行機の動力に関する)

パーカーは葉巻をふきだしながらいった。「ジャイロダインときくとスーっとする。作りかけのプラモデルは気が重くなるが過去に完成したブツは感傷的な思い出だ」

ジャイロだとステーション全体が直進加速しても、方向を曲げても、内部の重力は常に一定を保てる。まさにジャイロダインだった。

スペースコロニーと宇宙ステーションの中間のようなものだった。


「宇宙ステーション、ジャイロダインだ」

そこはウルフというエジオン人が長官を務めるという。

パーカーの基地にきた。

「うちあげたらプログラムが自動で工事を始める無人の子機の集団を発射します。やつらはこっちで組んだプログラムに従いジャイロダインを組み立てる。電池が切れるころには完成してますよ」

アランがいった。
「俺たちはあっちじゃ地位が低いのか!?」
「なんでもやらないと地位が高くならない。あるエジオンの医者がジャイロで開業するといっている。ビジネスを展開しないと金がどんどんなくなる。常に大金をかけて運転しているんだから、成果を見せてくれと煽るとエジオンから独立するといいだす」
パーカーは笑った。

レイチェルモンドもプロジェクトに参加している。
「オフィスが宇宙にもてます。事業展開がスペース規模だ」

ウルフがいった。
「ステーションのコントロール室でモニターとにらめっこですよ。地上(エジオン)とのやりとり、内部の物資の管理、発着陸の統計と情報、それとメンバーの低気圧も気にしないとないですよ」
「それはな。少ない人数で空気が悪くなると最悪だ」
「最悪エジオンに帰国するという選択肢もありますけどね、険悪な空気が一番まずい。最初から300名が向こうに移り住む予定です」
300名か、エジオンも人口が多いな」カーターがいった。

コンクリ型のマンションが型の住宅がはいる。
品物をエジオンから取り寄せ、販売する。
だまっていると誰も来ないので広告をだして旅行宇宙船や運搬船を誘導する。

「にぎわいが足りないと死滅しますよ」ウルフは出店したい人に寛容なスタイルでいくという。
詳しい人によると、交通に便利か、特徴ある差別化でないと、どこでもある星になるので人が来ないという。
だから、締め切った内部の独立した環境で組み立てた文化が必要である。
輸入したデジタル、デザイン、建築、文化、ルールだと宇宙世界どこでもいっしょで意味がなくなる。

厳密にシュミレートしたプログラムで工事をはじめる子機が発射されるのはもう2日後だった。

パーカーがいった。
「場所がまず悪い。大勢が交通する道でないからな。流れを変えるか、あっちの方向に誰かいるか」
アランがいった。
「悪ものかもしれないぞ」
「それもある。防衛の兵士や衛兵が欲しいな」

「宇宙ステーションでも知恵はしぼれますけれどね」
エジオン本国からの指令がないと、ジャイロダイン内の情報量が摩耗する。



7



一か月で完成するという。
パーカーでさえ驚いた。
「ずいぶん早いな」
「基礎をつくってあとから補う部分はゆっくり広げていきます」ウルフが答える。

パーカーの基地は宇宙ステーション作業のため混乱していた。
「もう、確認すること、新しいことがいっぱいで頭が働きませんよ」


ドシュウ、シュウ、シュンと工事用の子機が発射される。
「はじめはエジオンの重力が届かない距離の近くに造ります。物資の運搬と人員の移動が軽く済みます。そのあとジャイロダインを地図上でもう少し離れたところまで移動させる予定です」
「そうだな」

「カセットを変えると変わる本体(コンピュータ)をもっていきますので取り換えるカセットが豊富にないと人間、これだけの人数だともて余すかもしれません」
「エジオンからメモリーチップでデータをもっていくな!」パーカーは冗談で怒った。「うそだ、そっちでも力が余ったら開発しろ」


「電波でインターネットを通信すると傍受されるかもしれません。無人のpodを地上(エジオン)から随時やりとりして通信しますか?」
「それは検討してみよう。セキュリティの暗号は」
「それですね」


8


ファジオとその彼女が地球からの連絡船に乗ってエジオンに向かっていた。
「ねえ、エジオンってまだなの」
サングラスをいじりながら答える。
「この船だと、3日の航海だとあるな。パーカーさんもあまり連絡してこなくなった」
「私たち、ちゃんと住むとろこあるの?」
「それはな…向こうで用意するだろ、ああ、お前のこと伝えてないけどな。年棒がいいから自分で選んでもいいだろうし」

座席に座りながら雑誌を読んでいるファジオは時計を見た。
(時空警察はもっと遠くなのか…マップとか見るとな。エジオンのソルジャーか…)


クラークは王座でアルフレットがいないのに気がついた。
「あれ!?いないな。そういえば。医務室で寝てるのか」
ネコがいった。
「アルフレットさんならエジオンに行くと宇宙船でいきましたよ」
「なに!?エジオンか…」




9


ファジオがエジオンの基地についた。

「なに!?家族を連れてきたのか。奥さん、いや彼女か」パーカーはふたりずれのファジオをみていった。
「よろしくお願いします」
「いや、住宅はあるが」
「エルダのことは心配ありません。迷惑はかけない」ファジオはそういった。

パーカーは考えていたがいった。
「一か月エジオンに住居を用意する。そのままそこは残していいから、建造中の宇宙ステーション、ジャイロダインにむかってもらう」
「ここじゃなく、新型のステーション?」
「そうだ…」


レイチェルモンドが司令室のスクリーンに映った。
「どうした」
≪モンスターです、ここからみると地球の方角、2000kmの距離の位置にあらわれました。標的はレーダーの画像からするとガドプレバス≫
「なに!?」

アルセウスがおちついていった。
「ちょうどいい、パーカー腕試しだ」
「そうだな、全員で迎撃する。地球から持ってきた武器は何だ!?まさかステンレスソードとはいわないだろう?」

ファジオはつつみを開いた。バイオリンのケースのようなものに入っている。

「スポーツナイフ…。本格的な武器はそっちで用意してくれると思っていたから」
「スポーツナイフか。よし、これももっていけ」

パーカーはファイティングカッターをわたした。
エジオンは貨幣がない。
住民であると品物を無料で買える。
だが、旅行者や輸出用に販売を始めた。

「かつては宿屋も無料でよその惑星の人を留めていた。広告費替わりだった」

知名度が下がると、輸出しようとしても、宇宙ステーションを建造しても誰も訪問してこなくなる。
さらにエジオンの惑星の住人になりたい人も減り人口が減る。


「クラークがきたら見せるつもりだった」
ボーンランス…クラークが開発した、短い槍。これも販売していた。大量生産して。これもパーカーはファジオにわたした。

「槍か…地球で少しやっていたな」

「ではいくぞ!」



ドラゴンソード






ドラゴンソード








1


アルフレットは公園から、ラグナクロクの住宅街のほうに向かって歩きだした。
「みたことのない住宅街。しんみりおちつく」

あるくと閑静な住宅街は新築にみえる一軒家がのきなみならぶ。
たまに角にコンビニエンスストアがあるだけであとは、公園とかだけだ。

道路も交通量がほどほど、
少し外れた道を選ぶと、学生用、あるいは新社会人の一人暮らし用のアパートがある。
だが、おしゃれで悪くない造りだ。
ペンキで統一感ある面持ちにこしらえられている。
結構高そうなオートコントロールカーが駐車され、みるとここに住んでみたら楽しいだろうなとアルフレットは考えてみたりした。
「どんな人が住んでいるんだろう?」
二階建てで窓がパリ風にみえる。
四所帯分か…?
致命的な田舎町なら喫茶店にみえなくもない。
街路樹が涼しげに風になびいている。

「ふーん、大学生には贅沢なつくりだね」

そういってトボトボ歩きだす。
交通量の多い道路の歩道を伝って歩くと、だんだん住宅都市という感じになってきた。
ラグナクロクの端に近付いているようだ。
空き地や工業施設がふえてこなくもない。
見晴らしはある意味いい。

見上げるような大型のマンション…
いや億ションというのか、縦にも横にも巨大なマンションがみえる。
ぽつぽつといろんなところに形の微妙に異なるマンションがある。

「あれだけの大所帯で人がすんだらどんな感じがするんだろう?子供がいちばん上のフロアの階段から下りて、いやエレベーターがないと無理か?学校に行くのか…ゴミなんかあんな上からしたまで階段で捨てに行くのか?無理だな、ダストシュートか。町のごみ収集が来るのか」

300人位が住めそうな大きさだ。
もはや巨大ホテルのように見える。

もはや要塞のように感じられる。
排気ガスと高速で走る車の爆音が厳しいノイズを生む。
バチバチ自分に体当たりしてくる感じがする。
歩道にいれば気をぶつけられるだけで車は突っ込んできたりしない。
だが、カマイタチが常に飛んできている感じがした。

「痛い痛い…」
アルフレットは歩きながら思った。

粉じんが練り粉のように固まっている。あまりにタイヤの回転が速いため、工場のものすごい力のモーターで動く機械みたいに無機質だ。
反対…人が住んでいる。

「コンビニが真ん中くらいのフロアにはいっていそうだ。ぼくがテナントで経営してみたい」

交通量の多い道路を少し避け、脇道にはいる。
少し、そろそろ引き返す気持ちで。
お洒落な、何なのかよくわからないひよことかニワトリの看板があったりする。もはや民家が建ち並ぶ。
幼児が庭で遊んでいる。

「あんな小さい子供がいて、こんな家に住んでいるのか。ラグナクロクはエカルテより豊かだ」

スズメがパチパチさえずっている。
閑静だ。のどかだ…

みるとソードショップがこんなところにある。
「お、辺鄙な位置に」

はいると白髭の、エプロンをしたオヤジが店番をしていた。
パイプをふかしながら、新聞を読んでいる。

「いらっしゃい」
「いや、金がないんだ。ああ、みにきただけさ」
「…いいよ」

見ると壁に剣がかけられている。

「おっ、ドラゴンソード、いまさらだが一般的な武器だ」

刃をみると研ぎ澄まされている。

「うーん、欲しいが一万しないくらいか。支払いで0になったばかりだ」
「後払いで持っていっていいよ」
「なに!?本当か」

アルフレットは住所と身元をメモ用紙に書き込んで店を出た。



2


ラグナロク軍の駐屯地

「いいかトム。クラーク王がいっていたが、彼は常にスーパークラークの状態らしい」
「なんだよ、エドアール、スーパークラーク!?」
「彼が、スーパーでない、通常のクラークになると、俺と互角くらいだという。そのころは何をやっても稼げなかったという。カーター氏の仕事のアルバイトをしていたそうだ。オレも3000ダメージの域を超えない。いつまでたっても、いい武器を持っても、いいとこ3000だ。スーパーエドアールになれば8000くらいいくかもな」
「スーパーエドアール…!?」



アルフレットはドラゴンソードの包みを抱えて、住宅街の内部を縫うように引き返した。


人のいるところに出たいという願望や要求が発生しても不思議ではない。
アルフレットは歩きながら考えた。
だが、たんに人出の多いところ、交通量の多いところ、雑踏を歩いても、人ごみに疲れてよれよれになるだけのことが多い。
ミネラル、心の中でそう呼んでいる。不足している栄養素がマッチすれば快感だが…
学校の行事とか会社の仕事、あるいは個人の用事。
長時間人と付き合わされて、「早く帰りたい」となったこととかないだろうか?ぐったりして、「水が飲みたい」代わりに帰りたい。
人ごみの喧騒に焼かれて疲れた証拠だ。

海など本当に気分がいいのだろうか。
海で三文小説を読書。
なぜ海で。寝ているだけなのか…
カーターがいっていたな…
【初期の時空小説参照】

とどのつまり、人前に出たいときの多くは「脚光を浴びたい」なのだ。
+の評価を受けたい。
いい思いをしたい。
普通にしていると無理だな…


ある種のビルの一階、なんとかODMだかなんだか、施設のロビー…
高級な応接セットが広いフロアにあって、意外と時間帯には人影がめっきり見えなく静かで、ぽつねんとしている。
学校など生徒が溢れて具合が悪くなるほどだ…
座り心地のいいソファ。だが人がいなく。自室でひきこもっているかのようだ。落ち着くをとおりこして、「休みの日に一人で家にこもっている」かのようなトレーニングをさぼっているかのような気分にさえなる。
外なのに、家の中にいるような安心感をすぎてさぼりの気分。

閑静な住宅街など、外気を浴びる心地よさ、たまに人影があり・騒がしくなく。さびしくもなく、落ち着いたさわやかな日光を浴びることができる。
知り合いはいないがね…


公園まで戻ったとき、住宅街という森をぬけだした気になった。

「お、なんだ、あれ?牛!?」

公園に普通の牛くらいの牛竜(ぎゅうりゅう)がいる。


3



アランたちの船は順調にエジオンに向かっていた。
途中宇宙ステーションに停車していた。

クラークたちがパーカーとよった宇宙ステーションは廃墟のような骨組が不安定な宇宙に浮かぶ悲壮的なものだったが、ここのは、安定している。

プレートが何層にも重なったつくりで、イメージとして高速道路の料金所の入口をおもわせる。
あそこで働いている人は、車で一気に送られて残されていくのだろうか?

船が一度に何隻も入ることはめったにない。
だが、一口の両サイドにプレートが層をなしてならんでいる。

経営者はもと宇宙海賊だったとかいわれている。
必要なものを循環してくれる運搬船が来ないと死滅してしまうので、運送会社との連絡と友好関係は重要だった。

そのために、コンピュータが自動で情報を管理している。
エラーがあると警告を発し、従業員が気がつくようにしている。
機械まかせだけではなく、情報を無作為にスライスして、不可解な点がないかチェックに労力を割いている。

そのため、水、飲料水、燃料、食肉、部品、商品の備蓄などが問題なくスムーズにいく。
お客様にも気が利いて苦痛を与えないよう設計されている。

体とおなじで悪い個所に痛みが走り敏感に気がつくようにセットされていた。

部下からの報告は上が嫌がらずにきくように指導されている。
そのためトップは心臓が常に悪くなっていた。

昔のTVゲームにでてくる、不思議な世界のような宇宙ステーションだ。

≪ただいまプレートニクス宇宙ステーション。3アウワー停車いたします。お降りのお客様は混雑の具合をお考えになり、落ち着いてお降り下さい。惑星エジオンまで次の停車は御座いません≫

座席が停止した。
二人は窓の外を見る。
「おりるか?アラン」
「おりる」

カーターもヘッドホンをはずして、席を立った。


プレートの大地はバカ見たいには広くない。
植物がかなりのスペースをとり、酸素を供給している。

統括センターがカプセル状の建物の中にあった。
「時空警察がモンスターを退治してくれるから、旅行客や運搬船が増えた。時空警察さまさまといったところさ」
「備蓄が足りないもの、売れる商品、取り引きされる商品、コンピュータの神経システムが管理するからわが社は大もうけ。自動で膨大なデータを処理するコンピュータと数字を読める係員の二人三脚だ」




4


時空警察

特別防衛隊、ランクC、V.キャノンの正式メンバーが決定した。
ランクAとBにいたっては隊長しか決定していない。
Aがステファノ、Bがゼイン
Bの隊員にレイヤー女性隊員が含まれると憶測されている。

V.キャノン

隊長:ジム
隊員:ネオ、シャノン、ウィーナー、タイガータンクの5名だ。



5


クラークがエドガーの黄龍刀をみていった。
「黄龍刀か…みせてくれないか」
「いいじゃろう」

糸を束ねたような和式の縄が木の鞘にくくられている。
スラッと抜いてみると、金色がかったような光り方をする白銀だ。
「金角、銀角っていうのか小判をうすくしたようなテカリだな。刃もスムースになめらかだ」

パチンと鞘におさめる。

「これは惑星ハポネスという星で鍛えた品物だというな。トウショウがいてトウジが“サケ”を造っている。ドラゴンソードもハポネスの生産品だとか」
「ドラゴンソードか…」
「鉄に何か混ぜて、特別な火で鍛えるとか…エンリル王の時代、ハポネスから技術が伝わり、半柄の刀とかうちの倉庫にある刀がうまれたという」
「へえ、エンリルか…」





6


アランとアルセウスはもどってきて着席した。
「なかなか面白い宇宙ステーションだ。わたしも出店してみたい、宇宙事業だ」

出発時間が近づく、ざわざわ客が入ってくる。
カーターももどってきた。

「カーターさん、エジオンにはよるんですか」アルセウスがきいた。以前、エジオンで巨人との死闘のとき参加した。

「少し…あいさつしていきます」

ベルが鳴った。
10メネツ アフターに発車いたします。ドアがロックされますのでご注意を≫
アナウンスが流れてしばらくのちドアが閉まる。
気圧が変化している気がする。
10分後動きだした。

ゆっくりと、スローモーションのように船が加速していく。
座席に座ったまま、窓の外のステーションの景色が後ろに下がっていく。

三人は名残惜しそうに窓の外のステーション、プレートニクスをみていた。



7


アルフレットはいきなり攻撃しちゃいけないと、手なづけようとした。
「どうどう」

牛竜(ぎゅうりゅう)は四つん這いで立っている。

「動物は一日たちっぱなしで疲れないのか。四つん這いだからか?背中のたくましい肉は重い体をささえているからなのか」

牛竜はくちから熱風をはきだしてきた。
「うお、熱いぞ」

674

アルフレットはドラゴンソードのつつみをむくと鞘から抜いた。
鞘を地面におく。
シャアアアア

「フン」
シュホン!

だが牛竜は重そうな体ですばやくよけた。

「なに、早い!?

アルフレットは剣閃で追いかけた。
シュオオオオッ

サアアア

牛竜はかわす。

「なるほど…早いな」
アルフレットはオーラを高めた。

「%は消費するエネルギーのでかさであって、ダメージに比例するとは限らない!!」

アルフレットシャワー

水滴サイズのオーラの粒がとんでいき、牛竜をとらえる。

2345

「ぶるん!」

牛竜は獣がいきり立つように四肢に力を込めた。

「おおお、巨大化するぞ」

みると牛竜は公園の半分を占領するかのようなでかい牛となっていた。


8

時空警察―グレートシティ

タイガータンク、シャノン、ウィーナーがコーヒールームに集まっている。
「きいたか、特防隊におれたちが召集されるって

「…」
「戦闘はある意味自信がないが頭脳ワークでサポートなら」
ウィーナーが自分で開発したという新型の剣をみせた。
タイガータンクが手に取って見る。
「これは?」
「演算ソード」
ガチャと鞘の付け根をスライドさせると、液晶数字板がずらっと並んでいる。
カチカチデジタル時計のように数字が表示されては変わっていく。

電子体温計にも電卓にもにている。

「何か演算しているな」
「そう、モンスターのデータをインプットして自動で演算処理して剣の持ち味が変わる。開発段階だけど」

ガオンでもインマウスでも、攻撃により剣が冷気になったり、炎になったりするという。
さらにセンサーが何種類も内蔵されてデータを蓄積していく。
スマートコントロールアクスとも違う機械剣だった。



9


ラグナクロク駐屯地に電話がきた。
りんりんりんりん

トムがでる。「はい、ラグナロク軍駐屯地…」

他の隊員は銃の手入れをしている。
「エドアール、公園でドラゴンとたたかっている金髪がいるって通報だ」



アルフレットはドラゴンソードで斬りつけた。
「でゃあああ」
片手を大きく振りかぶる。

ザク 4571

「ホウ…なかなかの切れ味だ」

でかくなると牛竜はよけようとしない。

つのをアルフレットにつきつけ、押してくる。
「お、雄牛合戦か」
アルフレットも怪力で対抗する。

ぶるんぶるん!!


もうもうと煙が上がる。

エドアールたちが駆け付けた。
「なにしてるんだ!?おまえ!」

力比べはいったん停止した。

牛竜は何もなかったかのように鼻息を噴射させている。

「エドアール、貸してやるドラゴンソードだ」
鞘をひろって収め、エドアールにわたす。

スララアア
「おおっ、鏡のように磨かれた剣だ。美しい刀身、やや細身で刀に近い…」
キランと光を反射して光る。

「ドラゴンソードか…ほしいな」
7000いくらだった」
「信じられん、こんな銘刀が…」




10


エドアールがドラゴンソードをふるいながらいった。
「これがあれば、ガーゴイルなどたやすくスライスできただろうな」

(アウトセーバーは石のような金属の剣だ。ドラゴンソードの繊細な味はない…)

牛竜はどこかとんで消えた。

エドアールは地元ではあるが、アルフレットが買った店を知らなかった。

「こんどいってみる」という。