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2013年8月4日日曜日

ダンジョンマイスター攻略編




ンマター攻略










1


地球―ロシア―イワンの洞窟


四人は荷物から“大地の鍵”-ガラスの石炭のような石をかかげた。

バガン

音を立てて岩が崩れ、道が開かれた。
「いくぞ」アルフレットが突入した。

すぐ、迷路に迷った。さんざん歩いたすえ、落とし穴をおりることになった。
オーブリーがエドアールのロープでまず偵察する。
「いいか、鉤を床の隙間に掛けておけよ」オーブリーがつたっておりる15mの深さだった。
「僕がパワーで綱引きしててもいいけど」

オーブリーが下から声を出した。「なんともない。飛びおりても大丈夫なやつもいるだろ!?」
「どれ!?」アルフレットはそのまま飛びおりた。
「うお、かなりの体重を感じたぞ」
カーターは羽のように浮いて落ちた。
フワ


たいまつが壁に掛けられている。
「だれが、こんなところに灯すんだ!?」エドアールがいぶかしがった。
見ると向こうの奥からガーゴイルのような図体のモンスターがいる。

エドアールがオーバーランスを投げつけた。
グシ

ガーゴイルのサメのような皮膚が抉れてちぎれる。
「ガー」
超音波をはっしてきた。
「うっ!」エドアールは耳を押さえた。ダメージは小さいが防げない。

オーブリーがスカラムーシュを勢いよく体重を乗せて突いた。
ドス

爪が襲う、「おっと」オーブリーは下がってよける。
敵は体が通路につかえてあまり動けない。
超音波を連発してきた。

「うおお!」
カーターがライオンショットをうつ。
「まだ、死なないぞ。体力の塊だ」

アルフレットは日本の薬草、シソをかじった。
「日本の薬草で…」
「アルフレット!焼け!」カーターがいった。

「洞窟ごとくずれるなよ、アウストロクロス!!」
アルフレットは両手をこじんまりと突き出し、アウストロクロスをうった。

ズドドドオンンンンン

煙が上がり、何も見えなくなった。
確かに天井が落ちてきそうなくらいだ。
「大丈夫なのか…!!」
「ごほごほ、むせる」


敵は半分焦げた肉片になって飛び散っていた。

「無責任に体力を消耗する、ごほ」

四人は通過した。




2



ジムとネオは洞窟を進んでいたが、トラップにひっかかった!
「うわ、床が」
落とし穴が急に開き、二人は落ちた。

下のフロアの牢におち、天井は固く閉じた。
どし

「いてて」
アルセウスたちの隣の牢に閉じ込められた。
「くそ、牢か…」



3


ヘラクレスはアリスタンダーと再び対峙した。

アリスタンダーは巨体を…
両の腕を頭上でクロスし、体力を蓄積しようとしている。
ふと、声を出した。

「どうした…結界を切れ!」

「…」

天上の高い洞窟だが、水晶の宮殿のあたりが時々きらめく。

半透明のリングの結界をヘラクレスは正義の剣で切った。
ザシュ…ジジジジジ


「命と引き換えに、おまえを倒す。結界の力を楯に変えた」
水晶のようなシールドをもち、正義の剣をすてて、ゴールドエクスカリバーを握る。

「全エネルギーを燃やしつくす」

ゴゴゴゴゴゴ
あたりは揺れだした。

ヘラクレスのオーラが最大まで高まる。
ゴールドエクスカリバーは熱で消滅限界に達しようとしている。
クルルルルルウオオオオ

振動のせいか、板のような剣から振動音が発生する。
「いくぞ、アリスタンダー!!」


魔王のマントでアリスタンダーは防いだ!
マイケルクロス 最大 8745!!


最大の攻撃と強力な防御。
矛盾の結果 8000いくらのダメージ!

「くそ!こんなものか!貴様の防御!」

魔王はアルフレットのオーラトレインに似ているクエーサーを発動した。
洞窟内に魔王のクエーサーのジェットが洪水のように雪崩れる。

あたりが光の海のようになり、気がつくと倒れていた。


「…」
ヘラクレスは瀕死の状態までダメージを受ける。

魔王が短い時間にセーブしていたが、ヘラクレスはもう立てなかった。
かろうじて、オーラと薬草を口にして、死を喰いとめていた。
ゴールドエクスカリバーは消滅していた。



4


オーブリーとカーター、エドアールがトラップにかかった。
壁が回転ドアのようにまわり、一周したかと思うと、落とし穴に落ちた。
アルフレットは一番後ろを歩いていたため、のがれたが一人はぐれた。
「お!おおい…カーター」


三人はネオとジムと同じように牢に落ちた。
左端が、アルセウス達の牢、真ん中がジム、右がオーブリー達の牢だった。

「おお、おどろいた」オーブリーがいった。
「油断した。不意を突く罠だ」エドアールもいう。
「さっさとでるぞ。あ、アルフレットがいないな」カーターはエクセレントソードを握ったが、案外硬い。
ガン、ガンン
「剣をおかしくする」カーターは手ごたえで嫌がった。
スネークソードと同じ材質でかなりの硬度だ。

隣から声が聞こえてきた。
「おい、誰かいるのか」ネオがしゃべっている。「ハハッ、誰もいないか…」
ジムも笑った。
「ハハッ、硬い牢だ。幸い飲み水があるし。少し休むか」

オーブリーがいった。
「確かにいるぞ、人の声だ。なんだ、彼らも閉じ込められている口だ」
エドアールがいった。
「非常食と水薬で疲労をとっておこう…」


5


アルフレットは一人になって進んだが、心細かった。
「エドアール!カーター!クソ!声もしない」

階段がなだらかにつづくようになった。三本の道が一つになる交差点についた。
輝きから、まっすぐ先が目的地のようだ。
アルフレットは思わず走った。

「!」

ヘラクレスが気を失っている。

「おおっ、とうとう…」

巨大な山脈のようにそびえる。
あるいは崖の真下から上を見上げるかのような。
アリスタンダーがいる。
巨躯をしずかに呼吸に振動させ。
巨大な腕をクロスして瞑想している。


アルフレットは落ちている正義の剣と結界の楯をひろった。
そして、ヘラクレスにヒーリングを軽くかけた。

「弱いということは惨めなものだ。我が王座を脅かすものよ。お前も、善神の化身のように無残に滅びるのか…?」

魔王が口を開いた。
あたりの水晶の壁が、一斉にキラキラ輝きだした。
まるで時計屋の時計がいっせいに目覚ましのベルを鳴らしたように。

「我が不屈の闘志が善神の支配の期間を撃ち破り、魔の支配する災禍の続く、神の時代へと導いたのだ。邪神として祀られたことのないこのアリスタンダーを祀るがいい。崇め祀る魔神の祭祀たちが祭壇を築くことを…

アルフレットが遠慮がちにいった。
「惨敗だけは避けたいけど…」

「結界はすでに善神によって切られた。広い闘技場を…」
アリスタンダーは洞窟の天井をつきやぶり、ヘラクレスとアルフレットを空へ運んだ。

下には光の階段が用意された。

何段なのか下に、もうひとつ広い闘技場が用意されてあった。
「?」アルフレットはその時はわからなかったが、のちに理解した。

「天を崩壊させるほどの力でも遠慮なくつかえる」アリスタンダーは宇宙空間そのもののリングに羽を広げた。

コインメタトリーが遠くに見えていた。
星がきらめいている。
ジェットストリームにかこまれ、プロレスのロープのようであった。



6


三つの牢の鉄格子が突然消えた。
バン
「なに!?それにこの振動!」

全員は自己紹介の暇もなく、道を急いだ。
そして、さっきまでアルフレットたちがいた広間についた。
「おおっ、天井に階段が!」



ヘラクレスは宇宙空間で目を覚ました。
「おおっ、これは…」
アルフレットは無言で正義の剣と結界の楯をわたした。
「…起き上がって戦えというのか。せめてもう一太刀…勝利の明星にむけて…」


アリスタンダーが動いた。
魔王の剣で自分の反対の腕を切り落とす。
ザン!
切れた腕は下に向かって落ちていった。

「……」


エカルテでクラークが気がついた。
建物の中なのに、アルフレットたちの宇宙空間の闘技場がみえる。

ファイブクラブ・モーニングスターが共鳴しだす。
クラークは大神の力により、闘技場に運ばれる。

秘書猫があっけにとられ無言でいるのがみえる。


「クラーク君!最終決戦だ」


Tokiyo行きの高速宇宙船





行きの高速宇宙船












1


プライベートの高速船。地球行き。パーカーやクラークの船は自分で運転するが、これは運転手から係員までそろっている。
幸福の切符のおかげである。
当然他の客はいない。

エドアールがいった。
「長旅だろ。どこなんだ地球って」
オーブリーがいう。
「そうか、もと地球人はぼくと…」
アルフレットがいった。
「エドアールだけだ。コイン生まれは」
「僕がいた時代は…大昔の地球だ。ニュートン卿の時代。君のいた2000年代は…初めてといっていい」

エドアールが船においてあるパンフレットを開いた。
「なになに、目的地は地球,ジャパン、Tokiyo(トーキョー)最寄りの空港。ホテルのクーポンもはさんであるぞ。なに、ホテルOkura(オークラ)そこまで決まっているのか。誰が手配したんだ?」
幸福の切符の仕業だった。

アルフレットがいった。
「なに、ジャパンか、僕らの故郷はアメリカ合衆国」
「ぼくはイギリス人だった」

カーターがいった。
「なに英国人ですか。アクセントが…」
エドアールがいった。
「シャワールームにいってくる。汗だくだ」
「アウトドアをよそおって、文明に頼るな」
アルフレットがいった。
「軍事活動など、文明のつぎに野戦が来るんだ。趣味のアウトドア野郎じゃないんだ」
そういってシャワーを浴びにいった。

ほかにビリヤードホール、ダーツ、スマートボール、レストランなどいろいろあった。それほど巨大な宇宙船でないが設備がある。寝室も広い。

オーブリーがその続きを読んだ。
「なにもと東京という街がモンスター“すざく”に壊滅的に追い込まれ、のちに異世界から来たヒーローが退治して救ったか。すざく博物館などがある…すざく記念病院…ふーん…」

カーターがいった。
「私が子供の頃だ。ジャパニーズか、新未来都市Tokiyoとなった」
「今でいうと、さっきシャワーを浴びにいったエドアールみたいな異世界の英雄とやらが退治した」アルフレットが小型冷蔵庫からビールをだしてプシュと開けた。
「エドアールの先輩か?あっはっはっはっ」オーブリーが笑った。



2


エカルテ城

クラークが書類の山を積まれた。
「おう…手ごわそうな報告書と決算書だな。目を通して処理か…」
数もあるが難しいものが多い。

「引退した後、後任から評価つけられるのか…」
そんなことをされると、引退後も眠られなくなりそうになる。
一日のうち処理する量が一定を超えると、筋肉が動かなくなるみたいに重くなり、次の日へと回しがちだった。


「空気イスで筋トレみたいだな」
「頭を使って脳が血液を消費するから循環器が疲労するんじゃ」エドガーがまた書類を運んできた。
「おうっ。もう重くなったぞ」

気分が乗らない書類も後回しの対象になり、遅れがちになる。
「デジタルだと、ページクリックですら5kgの重さになりますよ」秘書猫もいう。

「うん、ニュートラルブリッジの補修工事に何口出すか…」
「アリスタンダー対策意見書をかけ…」
「犯罪者までいかないが、困ったひとも現実エカルテにいるが注意しないのか。ええ!?誰が注意するんだ?これ」
「自発的に任務を設定する。これ自分で半年前に書いたな」

そのときスフィンクスにアルフレットたちからビデオメールがきた。

≪クラーク君…≫
「おお、アルフレット…どうなった、忙しくて把握してないけど。どこだ」
≪宇宙船だ。これからどこに向かうと思う?地球だ≫
「地球…」
≪まず、ジャパンに着陸する≫
「日本?日本にアリスタンダーが?」
≪どうやらダンジョンの入口があるらしい。イワンの洞窟とか≫
「日本に?」
≪そうらしい。それから、カーターにバルハルであった。今一緒にいる≫

カーターはクラークの地球人時代、クラークの上司というか社長だった。ワトソンはアルフレットの友人で、クラークはあまり知らない。

「カーターか!一回も地球に戻ってないからな。気まずいな」
≪じゃあ、また連絡する≫


その日の夜

クラークは自宅で娘のトテッチをながめた。
キッズ用テントから、顔を出してクラークを見ている。
「珠のような女の子になってきたぞ」
見れば見るほど可愛かった。
トテッチのテントの横にねころび、ときどき宇宙船のカタログをながめる。




3


宇宙船のリビング。
窓の外は大概真っ暗なので、電子カーテンにアートが描かれている。
あるいはデジタルフォトフレームのように、ある土地の森の生放送のビデオが映ったりする。固定カメラからの映像で動かないが、たまに木の葉がゆれたり、鳥が飛び立ったりする。雨の日は雨だ。

ソファにこしかけ、カーターが電子書籍のカタログをみせた。
「ワトソンの推理小説がでてる」
「なに!?ワトソン!ホントだ、電子化したのか。そうか、そうだろうな」
ダウンロードして読んでみた。
「確かにワトソンの文だ」

エドアールが通りかかると、ふたりはコーヒーカップをまえに、静かに瞑想するかの如くワトソンの推理小説を読んでいる。
肘に顎を乗せて、居眠りしてるかのようだった。


シャワールームの脱衣場では天上のスピーカーからアナウンサーがしゃべりながら音楽を流したりしているのが聞こえる。
エドアールがオーブリーにいった。
「ホラ、あんなところにバスケのゴールがある」
「ほんとだ」
「ボールもおいてある」
「…この、…すみにあるモップと洗面所のタオルはなんなんだ?」
「…セルフサービスさ。自分でこうやってモップをかけるんだ。髪の毛が落ちるだろ」そういってエドアールはモップをターとかけた。




4


オーブリーとエドアールはビリャードとダーツの勝負をしたが、オーブリーの圧勝で終わった。
「くそっ!」
「まだまだだな」
「スマートボールなら勝てる」

一週間以上経過した。

「ながい、まだか」エドアールもだんだん、遊び飽きてだれてきた。

カーターはシアターをリビングの大型画面でみている。
「メシド氏の揺り椅子2

アルフレットもイスに長まっていたが、電子書籍を見せていった。
「勉強しろよ。背筋が伸びるような賢い本を買って」
「…なるほど、電子書籍かたくさんあるからな」
しばらく閲覧していたが、こういった。
「専門雑誌にするか…。専門家が現実と格闘して発見した理論や最先端が満載だ」
「なに?医学誌?」
「うーん。しのぎを削るほど奮闘しているから、最先端とかいいんだな。実際取り組んでいる人は違う」オーブリーがいった。
「知は力なりだ。清潔で高潔な本がたくさん並んでいると。雑誌なんて半分理解できないくらいのほうが尊敬できて楽しいのさ」
そういってエドアールは「応用複雑系―理論モデルと実技」「スポーツ医学最先端マガジン」をダウンロードしてサスペンダーやらがたくさんついた機能チェアで読みだした。

医学科学の教科書、専門ソフトの広告、論文、コラム、ニュース、写真、まゆつばだが、ホットな最先端学者のガラクタに近いが光る憶測。有用なウェブサイトの紹介、よみものなど、いろいろ記事があった。



5


牢のなかでアランは気がついた。
「ヘラクレスは…死ぬ気だ!」



エドアールたちは…
ホテルオークラについた。

「すざく博物館でも行くか」
「バカ!任務だ。遊饗のために来たんじゃない」

アルフレットが部屋のベットの上を見て驚いた。
「洗濯ものがたたんであるぞ!まて、触るな」

客室用のタオルやバスタオルなどが山のようにつまさっている。
アルフレットはフロントに電話していたが、しばらくしてもどってきた。

「大丈夫だ。支配人と話はついた。ただの手違いだった」
「なんだ…」


カーターがいった。
「一泊でロシアにむかう」



アルフレットは国際電話をかけてアメリカーオレゴン州のワトソンを呼び出した。

≪そうだよ、アルフレット。今、アメリカ人たちはソーシャル…いやインターネットという魔法の鏡を割って砕くことに、やっきになっている。エホバでも、楽園から追放したアダムとイブをジャングルのしげみにかくしたぜ。つつぬけなんだ。ネットのおかげで。全アメリカが透けて見える。いいことも悪いことも。おまけに未来も透けて見えるんだ≫
「なんだと、ワトソン。なら…この、ここ日本じゃどうなんだ!?」
≪…アルフレット。アメリカでおこったことは、その後二三年以内に日本でおこる。確実だよ≫
「…なんだと…なんだか第一話目ころの俺たちに戻ったみたいな会話だ」


「いいかワトソン。アリスタンダーの最後だ。いや、やつだけじゃない。すべての悪を葬り去るためのエネルギーが満ちてきたんだ。ああ¨今ならやれる!ブッチャーもアリスタンダーもその他の鬼神も…アリスタンダーなどおまけでたおせるくらいだ。この勇敢さイエスとともにいるみたいだ」


翌日、ロシアーイワンの洞窟に飛んだ。



6


ホテルの自室のドアをエドアードとオーブリーがでていった。
アルフレットも移動しようとしたところをカーターに呼びとめられた。
「アルフレット…気が付いていたか?」
「ああ、ものすごい魔界の瘴気だ…アリスタンダーなんてものじゃない」
「…Tokiyo(トーキョー)……」



クラーク、ゴールドウィン王、ブロームイン王、ラグナクロク王が集まった。
修復工事が完了したニュートラル・ブリッジの頂上の会議室。

絵画が数点だけ飾られている。不思議な絵だが、起立、礼をさせられているように背筋が伸びる。
クラークは落ち着いてみると、大したことのないように感じるが、現実刺激が与えられているらしかった。
たしかにデザインといっても、それで品物の売れ行きが変わるのが事実だし、視覚から神経に作用して、脳内に興奮や鎮静の作用があるのかもしれない。
お札や霊感商法、風水など、まゆつばのような効果があるような…
金持ちが買う高級な絵画などご利益が本当にあっても不思議でもないのかもしれない。子供でも描けるへんてこな絵だとも思っていたが、こういうところに来て考えが変わった。
「実際、プラセボ効果よりはある…」
クラークは眺めておもった。

会議の内容は“お宝”“家宝”だった。

ブロームイン王がいう。
「ピラミッドから発掘された宝など、現代でも価値がある…。創作が煮詰まりなやんでいるアーティストなら飛びつくような新奇な古代画がでてくるかもしれないし、4万年前から化粧の道具が存在したともいう。完全に原始時代だろうに。われわれも価値のある家宝を財産として保有しないかという提案でしてな。1万年後の未来人が我々のお宝を発見したとしても欲しがるような普遍的な価値のあるものがいい」

ゴールド・ウィン王がいう。「なるほど、国王ですか…」
ラグナクロク王もいう。「あらゆる惑星で価値を認められる資産など高い!」
ブロームイン王がいう。
「芸術に限らないだろうが…なにがありますか、技術、設計図、建築物、美術品、刀剣、料理法、自然現象、人体の解明、生活の知恵、禁忌録…法」

「普遍的に役に立つ価値があるものかあ」クラークは特に意見が出てこなかった。
「見せられるとのどから手が出るほど価値のあるものがいい」

会議はいろんな意見が出たが、結果何をどうするとは決まらなかった。



7

地球―日本―Tokiyo、

ジュールとメラネウスがいつのまにか時空警察に派遣され仕事をしていた。
「新型のホワイトグラスで追跡しよう」

高層ビルの間。日中の人通りと人の注目しないビルの隙間。

チ・ジジジ・チチチチャキ!

「タイムメガネの機能か…」
「なにがあったのか…跡形もなく消されている。なのに…周囲のビルには焦げ一つない。標的対象だけどうやったら黒焦げにできるんだ?」
「無残に消されているが、Tokiyoの街では、まるで何もなかったように次の日の朝を迎えている」メラネウスがいった。

「東京砂漠とか不夜城とか白昼夢とか勉強してきたけど、そんな感じの事件だ。追跡が終了した。ホワイトグラスによると、事件は推定昨夜の1112時。残された情報から追跡不能に近い。戦闘データと照らし合わせるとよほどの怪物。戦闘能力が危険度大。こりゃ特別防衛隊のお仕事だよ」



8


グレートシティ時空警察

時空警察特別防衛隊 ランクA フェリークス 隊長、ステファナがデスカッションに参加していた。

科学医学開発研究チームと特防隊隊長。
映画館のように薄暗くし、中央のモニターにスライドが映る。

「われわれは、古来から伝わる気功、タオ、魔術、オーラなどの研究、バイオ生体リズム、アーユルヴェーダ、ヨガ、風水などの科学的医学的研究をしている時空警察のチームです。民間営業向けにいうとスポーツ医学の研究というと通りがいいかと」
ステファノは静かに着席してテーブルの上に手を組んで聴講している。
マンデンブルー大佐、グルーザー女史も違う席に着席している。

「今回、特別防衛隊、特防隊と組んで研究を進めることになりました。それで…」

スライドがかわった。
「えー、われわれのいう、バイオテレパシーというものの実在性について。半分、眉つばといわれている古来からあるカンフー映画のような気の存在。それを科学的に解明しようと努力した結果、人間が一つの部屋にこもると…今の私たちのようにですが、学校、会社なんでも。えー、するとバイオリズムの波長がシンクロして、全体として位相がそろうのではないかと」

またスライドが変わる。グラフがあらわれた。
「物理現象あるいは生体現象をグラフに表した図ですが、グラフが奇矯なほどシンクロでゆがみはしませんが、方眼紙のマス目がグニューンとわずかにゆがんだりすることがあり得ると」
グルーザー女史が質問した。
「それは…集団のバイオリズムの共鳴によっては物理現象、生理現象に違いが現れると…はっきりと」
「えー、コンマいくらの違いから、大幅な揺れまで測定されました。時間の流れまで違う、重力加速度にまで誤差が、バイオに関してはめちゃくちゃですね」

「…」

「気の達人、タオとかいわれる人がいるとシンクロに影響を及ぼします。また人間同士やりとりは不思議な現象ではない。パラクライン、オートクライン、コヒーレンス、デコヒーレンス、とにかく。呼吸、血圧、脈拍、生体リズムには各種ありますが、たがいに影響しあうのが気の正体ではないかと。病気の人、具合の悪人がいるとリズムが病に偏ったりすると思われます。治療者の波動などでヒーリングなどの効果があるなど…」
「…」
「なお気の達人などが居合わせると、猛トレーニングが続いて、しごかれている感じがするという意見から、楽に力がでるという意見までさまざまでして」

マンデンブルー大佐が質問した。
「人によって感じ方が違うが、“あやつられる“みたいな…」

「ええ、こんな意見もありました、『こき使われている感じ』実際上の人間がいるとわれわれもそう感じることがあります。さからえない。ありがたがるばかりではないのが重要ポイントですね」
「…」

ステファノが発言した。
「ハイ、スポーツの試合などスポンサーがいいと白熱しやすいなどという。わたしはバカげた意見だと思っていましたが…」

「スポーツ選手の集中力など、サポーターから監督は当たり前か…観客のお互いに及ぼし合う位相の波長がそろうと、恐ろしいほど影響が出ると考えられると思いますが。わたしは愛や愛情の一部の機能がこのバイオコヒーレンスにダブっていると考えてさえいます」

「わかりました…。ありがとうございます」ステファノは着席した。口もとを手で押さえて考えている。

「メンバーの位相をそろえて、エネルギーとバイオリズムの共鳴を利用した兵器、フェニックス砲の開発をこれから計画することになりました。メガロポリス総裁グルーザー女史の賛成を得ております」
パラパラと拍手がおこった。



9


ネオとジムのダンジョン攻略

炭鉱のような洞窟のむこうにマジカルサタンが二体歩いている。
「先手必勝!ネオダイナマイト!!」

ドンドンドンバンバンバガン

大爆発が起こり、煙が向こうからやってきて通り抜ける。
「やったか」
マジカルサタンは腰をかがめて力をためている。
「フレイムボム!!」
「うお、撃ってきた!?」
ガガガガボオオン
ジムに火焔の直撃が放たれる。
「ぐおお、熱い」
ジムは地面に手をついた。

「うおお喰らえ」
ネオはスネークナイトから奪ったスネークソードをふりかぶり、マジカルサタンに挑んだ。
マジカルサタンは無言でダメージを受けるが、次の瞬間ライトニングカッターがまぶしく光っていた。
カッ!!

「うおお、こんな狭い洞窟で!」

まぶしさが止んで砂煙も収まるまで双方動けない。
ジムがグッド・ソードでグッド・ショットをはなった。
マジカルサタンは血煙をあげて吹っ飛ぶ。
「とどめ!ネオダイナマイト」
爆発が向こうのフレイムボムとぶつかり反響する。
「強いぞこいつら。まだ死なねー」ネオがソードをかまえる。

ネオもジムもかなりの疲労と火傷をおったが、マジカルサタン二体を倒した。
「はあはあ、こんなんじゃ…」ジムが弱音をはいた。
「どうした、探索はここまでにして引き返すのか!?」ネオがいった。
「いや、もう少し探ろう」
マジカルポケットから水薬をだして飲む。
火傷が少し回復した。

サタンの死骸をこえてすすむと、かなり広いスペースにでくわした。
「なんだこれは…」
ガラスのような半透明のタイヤのチューブのようなリングが重なっている。
神殿のようにかざられ、殺風景な洞窟と違う。
「なにかあるぞ…」




10


ジムはリングの階段を上った。
ガラスの階段は祭壇のようでいちばん上にガラスの石板がある。

「なにかの魔術が記録されているようだ」
ビリビリと電磁波のように刺激を感じる。
高圧電流の地帯のようだ。
だが、セキュリティのようなものはなかった。

「読めるか…」ジムはネオにみせた。
「いや、オレには…」

ふたりは下に降りる階段を見つけさらに降りた。
さっきまでとおなじ暗い炭鉱のようなダンジョンが続く。


11


ポールが牢の中でライデンソードを抜刀した。
「なんだ、」アルセウスとアランが驚いた。

「こういう時こそ修行だ」

ライデンソードの剣先に+の電荷をもち手に-の電荷を蓄積!
鉄格子に向かって斬りつけて見た。
「ハアアア」

普通に斬りつけられた。鉄格子はびくともしないが、傷はつく。さらに、蓄積した電圧がはじけてスパークした。
バイチバチバチ

「稲妻きり…」



12


オークラでの夕食。
明日にはロシアに向かう。

ホテル内の和食堂。

黒塗りのテーブルに膳が用意されている。
腰かけが畳をイスにしたような和洋スタイルだ。
明かりが大人しく行燈のように暗く落ち着く。
囲炉裏(イロリ)とソファに囲まれたリビングをコラボしているスタイルらしい。

アルフレットがいった。「サケだ。ニホンシュともいう」
カーターが黙って徳利から、香りのいい木のマスに注いだ。

「魚だ。ごちそうだなあ」エドアールが見て喜んだ。海のないコインでは魚は比較的珍しい。冷凍でエアポートから輸入して入ってくるが普通だからだ。

「鯛の尾頭付きだ」
頭としっぽの丸ごとある魚が姿そのまま焼かれている。ほかに鰹のたたき、ヤリイカの刺身がツマとわさびに皿に乗せられている。

オーブリーもいった。「このスープにはいっている固形石鹸みたいなのは?」
「アワビのお吸いものだ」
「貝?」
湯豆腐の鍋…しいたけと長ネギが昆布だしの汁を泳いでいる、山菜のサラダ、山菜ごはん、日本酒の徳利、焼酎の入った焼き物の瓶、醤油の入れ物も気のきいた瀬戸物だった。


一角ごとが簡単に区切られている。
手すりのようなものが片側にあり、隔ての役割をする。

向こうの家族の子供たちが食べ終わったのか、はしゃいでエドアールの近くで遊んでいる。男の子と女の子の兄弟だ。
エドアールはお猪口でニホンシュを飲みながら、子供たちの騒ぐ声を聞いていた。