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2013年6月24日月曜日

『砂煙の街』

『砂煙の街』



未来世界3010年のSFストーリー

※未完成作品収録



時空小説を一休みして、2010年未完の作品

1 喫茶店ではたらくビアンカ



西歴3010年。世紀末のアメリカ。正規軍か略奪軍かはっきりしない軍人がうろつく街。
その街の一軒の喫茶店ではたらく18歳の女の子、ビアンカ。
「注文はブレンドだったのにカフェオレを淹れちゃったわ」
「かまわないから、テーブルに運んじゃいな。今どき誰もそんな細かいことを気にしないよ」
オーナーのおかみさんがビアンカに言う。
「オーダーを間違えましたけど、コーヒーです。軍人さん」
新聞雑誌を読んでいた軍人は、顔をあげ、言った。
「別にいい。それよりこの新聞雑誌に日本のことが記事としてでている」
誰かほかの客が叫んだ。
「あれ以来、連絡が途絶えた日本は今どうなっている?」
「この記事ではアメリカと同じらしい。やはり、世紀末だ、日本も」
トーストをオーブンにいれながら、おかみさんがいう。
「政府は何をしているんだかね。兵隊の武器をおもちゃにするもんじゃないよ、ビアンカ!」
ビアンカは軍人のライフルを見ていった。
「立派な銃ね。軍人さん」
「戦闘機のパイロットになりたかったら、軍の学校につれていってやる。試験をパスすれば…、あんたなら必ず試験に通るだろうけどな」
「食器をさげて、洗いなビアンカ!軍に入っても、どこと戦争しているのかもわからない今の政府じゃ、意味がないよ」



2 砂煙の街


ある軍人はピザが届くと、スパイスをたらふくかけだした。
そして、ピザを見たままでこういった。
「どうせ、政府からは何の連絡も指令も途絶えてない」
ピザを口に持っていく。
ビアンカが氷り入りのレモン水をその軍人のコップに注いだ。
「どうせ、指令が来ないのなら、様子を探りに、残っているガソリンを使おうと思う」
彼らは数日後に出発していった。
砂煙が西部劇のように街に吹いていた。
入れ替わるように街に来た連中が喫茶店に客として入ってきた。
「もと、ニューヨークがあった土地からきた。土産だ」
比較的最近に書かれた新聞雑誌と金をビアンカに渡し、トマトジュースとシナモン入りのパンを注文した。
ビアンカが声を出して新聞雑誌を読み始める。
今まで店にいた客はみんな興味深そうにしている。
後で、記事を読むつもりのものも、ビアンカの声を聞いていた。
「ニューヨークは10年も前に廃墟。西歴1886年にフランス国民が記念として建てられた自由の女神は、昔の映画さながらに傾いている…ふーん。どこも同じようなものね。読みたい人は勝手に読んでちょうだい。ここに置いておくわよ」
何人かは新聞雑誌を囲んで集まって読みだした。







3 天才少年トム



機械いじりの天才少年トムが材料を集め、インターネットに接続を試みていた。
「ガソリンかエタノールを分けてくれたら、ネットに接続できて、外の情報がつかめるよ」
20年ほど前から、マザーコンピュータは通常のインターネット接続を拒むようになっていた。政府が情報を操作するためだとも言われていたが、ありとあらゆる情報が莫大なスピードで飛び交う西歴3000年頃ではエネルギー節約のため、あえてネットが遮断されたとも言われている。
「遮断されていない回線に潜り込めば接続可能だよ」
「これだ、これに接続して、ナンバーは009。よし、え?まさか!?スペースコロニー?」
― 違法インターネット接続アリ。接続ヲ遮断。2950年代デハCMニ回線ガ移動 ―
「もう駄目だよ。そうか、コロニーだ。2950年代まで食料もエネルギーも水も人口もすべてうまい具合に行っていたもんだから、宇宙開発が遅れたんだ。おかげで今でも食糧には不自由しない。食いっぱぐれのない世紀末だ。でも、今じゃ宇宙都市計画が始まっている」
ビアンカがたずねた。
「でも、どこで宇宙都市を開発しているの?世界中どこでも世紀末なのに?」

「さあ、僕はこれからコロニー開発の連中を探しに行くよ。お姉さん達はここで待っててよ」




(2010.未完)