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2013年6月6日木曜日

岐路















1



「だから、偉い人はあらゆる方面の専門の知識を見渡すけど、専門家じゃない。専門家は限られた分野に徹底して詳しいだろ。全部の分野を知りつくストップなんてありえないんだ。むしろ社長とか務まる人、そういう頭のよさにぶいくらいのイメージがある」
「まあな」
メラネウスがいった。
ジュールはスープのネギをすくった。

「大組織のトップなんてキツネにつままれている感じで引っ張られているんだよ。いったい誰がおぜん立てしたんだって。脇で秘書活動している僕らのほうが、黒幕みたいにみえたりする。本当の裏側を知っているみたいに」
「ふんーん。チャーハンと中華スープ食べた…」
メラネウスはスプーンをガチャとからの皿に置いた。

「自分の基礎知識のない分野で戦うことになるんだ。広い視野がいいのか、カンが大事なのか」
「それで、お前自身は?」
「これから表計算ソフトと格闘だよ。簿記会計の勉強もさせられたりする」
「大変だな」
「『今日のお務めご苦労さまでした。ゆっくり休んでください。長い帰り道お気をつけて』って心から頭下げたこともある。そのときはそういう役職だった。そういや、今じゃ、トップも大変だけど、事務も簡単じゃないと思った」
「書類作成か」




2


エカルテ城―王間

「それで何もしないで帰ってきたのか。あっはっはっは」クラークが王座でゲラゲラ笑いながら三人を迎えた。

「失礼な。クラーク君、二度も敵と遭遇した」アルフレットがいった。
「ひとつわかったのは四天王、奴らの強さはかなりだ」オーブリーがいった。
「そうか…」

緑茶がくばられた。
「どうも」エドアールがいった。
「今日のおやつはグリーンティか…クラーク君」
「玉露だ」



3

ラグナクロク国王が一時帰還したエドアールを呼んだ。
「エドアール君。…ひさしぶりだね。今日は会わせたい人物がいる」
「お久しぶりです。伯父ぎみ、いやラグナクロク国王」

古風なつくりの退屈な部屋を開けて奥に招かれた。
小柄な少年が立っていた。
「ガウス君だ」
「よろしく。エドアールさん…」
「ガウス?」
「知らないかい?天才数学少年として話題になっている」
エドアールが答えた。
「いえ、大学以来その手のことには…」
「いや、ハイスクール以来だろうな」
伯父の国王がいった。
「君は高校生!?」
「そうさ。そう、ぼくは高校生。僕に大学教育はいらない。大学には行かないんだ」
ガウスは握りこぶしをわざとらしく作って見せた。

天才数学少年ガウスはゴールド・ウィン生まれで、奨学金の年金をラグナクロク国からもらい高校生活をラグナクロクで過ごしていた。



4


ラグナクロク国王がいった。
「実はね…うちの国のイメージだ。これをみてくれ」
壁のモニターに会議用の資料が映る。
「我が国のイメージだ。対外的にも内部からも。中高生の不良が多い」
「あちゃー」ガウスがいって顔を手で隠した。
国王が続ける。
「優等生も多いが、ケンカをおこす不良が目立つ!」
「なんかうちはそんな感じだ…」
他人事のようにエドアールがいう。

「町がわりあい綺麗だが、息子がなぜかワルになるのが問題だ。さらに、女の子が派手だ。これも程度がある。育ちがいいのか不良かわからない」
「うーん」
「うちの学校の女子も問題あるよ。優秀校だよ」
「さらに、科学技術がトイ(おもちゃ)やゲーム、コンピュータ端末に限られ、基礎的な科学、理科、重工業、新技術があまり発達していない。整っているのはメインシティだけで、はじにいくと不良がたむろしそうな空いた土地がめだつ」
「これは都市計画だよ」エドアールがいった。
「うん。そこでゴールド・ウィンのサーベル・ブリングのような自然科学研究所を設立することにした。君たち二人から始めてもらう」
「研究所!?」
「そう、科学者の自由な楽園だ」



5


ガウス研究所と名付けられた。
普通の民家の一軒家を研究所にした。
台所、風呂、トイレ、テーブルに机が3つ。パソコン二台、電話一本。冷蔵庫。
それだけのガランとした予算のない研究所だった。
「ああ、ぼくの寮もこんなだよ」
「君は数学で何をしたの?それで」
「ああ、2階微分方程式は間違ってると思う」
「間違っている?というと」
「ああ、なんていうのか、エラーさ。なんとなく不確かな要素が拡大するんだ。2階微分すると、もとの要素が壊れるんだ。…隙間なく面積を敷きつめたりする隙間を折り紙し続けると、エラーとか無限大の概念がエラーした計算をすることになるんじゃないかと思って。証明してないけどね…物理数学的にも雑な方程式にしかならないとかさ」
「ふーん。天才数学者なんだろ!?」
「まだ、高校生だよ。微分方程式を解いて式がでる。時間とかの変数ごとに変化する方程式の部品に意味ある式がないか探るのが…」
「微分方程式?」
「ああ、僕の前世はたぶんあの天才数学者ガウスだよ。おやじの帳簿の計算を暗算で解いたんだ。今回は高等教育は高校まででいい。すぐ国の年金がもらえる仕事に高校で雇われたんだ」
「なににつかうんだい?」
「ああ、時空警察で売っている、ロケットシューズさ」
そういってパソコンで商品のサイトをつけた。

「あー、空が飛べる。滞空時間10分ほどか。マクスウェルアーマーがなくても戦いで空中滑空できるな」
「カッコイイだろ。学校でもみんなほしがるんだ」
「それで何をするんだい」
「カルテさ。なにをはじめるんでも、カルテをつけて書き込んでいくんだ。おもいついたらでいいんだ。パソコンでいくらでもノートソフトあるだろ」
「カルテねえ」
「あっちの国はエカルテだろ」

その日の終わり。

「マンガよんでおかし食べて終わったよ」
ガウスはおもちゃのプラスチックバットをすぶりしている。
エドアールはソファでガウスのマンガを読んでいた。

「なあ、この数学書、読んだけど。微分方程式って場合わけみたいに式を書き並べるんだ。こんなやり方どうだい。時間に対して微分がはいっているけど、時間じゃない変数でも、場合分けすると微分のはいらない式ができるよ」
「どれどれ?うーん、よくわからないよ」




6


ラグナクロク国王がエドアールにチケットを二枚わたした。
「ホイ。ただし私が渡したというなよ」

『あなたが欲しいもの、それは勝利』という映画か劇のチケットだった。
エドアールはアルバリシアと見に行くことにした。
場所はエカルテだ。ホテルをかつてクラークが二度遊びにいった。屋上プールホテルに予約した。

「映画か劇か。あるいは芝居…!?」


すこしまえ。

エカルテー王間

秘書猫がいった。
「クラークさま、国民劇場が完成したとの報告ですよ」
「あー、あれか忘れていたけど、ほんとに建築してたんだったか」

クラークは高台から双眼鏡でのぞくと確かにみえる。
「あー、みえるぞ」

視察に行ってみた。
「支配人も決まり、順調ですよ」
「いつのまにな…」

催し物の第一弾は『あなたが欲しいもの、それは勝利』という劇だった。
「ミュージカルのようなものです」
「ほうほう」

チケットを配布用に10枚ほどもらってきた。

二枚をラグナクロク国王に送った。親善のために。
自分とザフラ、トテッチに2枚。幼児も席に座ると取られる。ザフラの膝の上なら無料だ。
のこりをエカルテのエアポートで抽選でプレゼントにした。
ぐるぐるまわして、赤球がでたらチケットペアセットだ。



7


オーブリーはグレートシティで買ってきた、レジスタンスガンをながめた。
(男は剣だけじゃなく、機械剣や銃砲も使えないとダメだ。腕力だけに頼ると、いざ破壊力のでかい兵器を手にいれたとき(手榴弾、バズーカ)、使えない。バカ力にこだわりすぎて損や無駄をする)

力や剣、技だけでなくバランスの良い戦闘の技能を磨く。
(銃口から出る硝煙をフッとふくのさ…)


エカルテはお祭りムードだった。

国民劇場の期待は高まった。

そんなとき、夕方近い時間帯。
クラークは仕事の疲労がたまり始め、たるんでいた。
「あー、疲れたな。お茶飲みすぎたりしたら、腹タポルしな」
「さいですね。スフィンクスでTVでもみますか」
≪TVモード起動しますか?≫
「のこりの仕事、明日の宿題にまわすかな。もう」
窓の外も暗くなりはじめていた。

三人の老婆が訪ねてきた。

門番の兵士が飛び込んで伝えた。

「なんだ、あの慌てよう!?」クラークは武器をわきに置いて、よびよせた。
入ってきたのは、眇目(すがめ)の老婆、もうひとりは白髪でしわだらけ、あざのような斑点がたくさんある。三人目は歯がもうほとんど残っていなかった。

「われらは東方三老婆」
「……」
ごくりと怖くなる迫力があった。
その醜さは長い苦労をあらわしていた。

もぐもぐいいながらしゃべる。
「それでなにがありました?」
クラークは思わず敬礼したくなる気分だった。
王者の威勢をも縮みあがらせる。

「千年王国の扉が開かれる」
「千年王国!?」

「われら三老婆が苦心の果てに作り上げた究極の呪文。この老婆の全生涯の苦酸に満ちた労骨の結晶を受け取りたまえ。王者よ、必ずや助けになろうて」

「…究極の呪文!?」思わずクラークはゴクリとつばを飲み込んだ。
「キング・オブ・キング」
「!?」
「天高く輝く星のように一時的に王者の中の王となり、無敵の強さを誇る」

アクションゲームにある無敵モードをRPG風にアレンジしたのがこの魔法である。

「それを俺に…?」
「そうじゃ」
「では、ありがたく」
しわがれた帳面を渡された。
「解読には骨を折るだろう。わしらのように醜くただれるまで苦労をしないものはたかが知れたもの。苦しんでいるだの大変だの話半分にききなされ」
もうひとりがいった。
「今回の人生では苦悩を積んだ。苦徳の限りを学んだ。今度生まれ変わるときは絶世の美女にでも生まれ変わりたい。千年王国の貴人の侍女として貴人の身の回りの世話をしたいと願う」
「ああ、そうか…」
「それでそのおおう国の貴婦人とは?」猫が震えながら尋ねた。
「結婚前の美しい姫が王宮で過ごしているという」

そういって三老婆は去っていった。
どこから来たのか、といえば東から。
それ以外わからない。
どこへ行くのか。
あの世か、砂漠か。

ちょうど国民劇場の劇に千年王国がとりいれられていた。
台本作家によると、希少な文献にのっているという。




8


アルフレットがいった。
「クラーク君。僕はきのう夢をみた。はてしない銀河の彼方をみていた」
「ほう…」
「創造主は広い宇宙に火の塊、エネルギーだけおいて、なにもつくらなかった」
「それで!?」
「創造主は“造られしもの”に自ら作れといいたかったんだ」
「子どもに粘土あたえて、何か創作しろみたいなか」
「そうだ。作らなければ何もない。ただの原料の渦だ銀河など。音楽もアートも、ルールも秩序も、馬も人も建物もパンも料理も。生み出さなければ何もないのだ。新しい何かをクリエートする。あるいは現実を維持する、整える。すべての活動がそうだ」
「ゲームみたいに作るかクリアするかみたいだな」
「そうだ。何もない混沌でどうする。クラーク君、世界を創り上げるのだ」

クラークは思った。
(千年王国ってアンシャルとキシャルと違うのか…)


そのころ、時空警察

ジュールの修行


仮想マリッドとカリッドをあいてにバトルし、新しい技を開発していた。
一度に二体が襲いかかる。
ひもでくくられた二匹の獅子のようだ。

直撃!

ジュールはバリアハンドで難なく止めていた。

ピン…
グローブで野球の玉をキャッチするかのようだった。

「グレーシュート!」
ザン
ガゴン!
二頭の巨体がしずむ。
数撃で仮想マリッドとカリッドをしとめた。

「よし、グレートシュートとミルキーウェイ、魔封剣の新必殺技が完了した!」




9


ザフラはクラークからチケットを見せられた。
「悪くはないわね」そういっていた。


アルバリシアは「この世界にも秋があるのね」とラグナクロクの街頭をあるいていた。街路樹が枯葉を落としている。
寒くはなかった。だが、これから寒くなるという木枯らしが吹いている。
エドアールは“近しきは恋の敵なり”と屋上プールホテルのルームを二部屋とった。


国民劇場


会場は暗く、顔がよく見えない。
ステージは幕が下りていた。

大勢の客であふれかえり、ガヤガヤしている。

劇がはじまった。

『あなたのほしいもの、それは勝利』
内容は勝利は金のように人にあげることができない。
貸すことも泥棒することもできない。
そういう内容だった。
働いて苦労した人は、勝利を得るが、なまけてずるをした人は、敗北を手渡されることになる。

勝人と負ける人がいる。
ギャンブルのように、嗜癖をおこすこともある。
ズルをして勝ったつもりが、得をしたつもりが、勝利だけは手に入れられなくなってしまう。
金で買えない価値のある者、勝利。
自らの苦労でしか手に入れられない。
金銭に勝る価値

ズルを尊ぶものは正正堂堂と戦って勝利する、“勝利の美酒”をあじわえない。
そういうストーリーだった。




10


「千年王国か」帰りにクラークは考えた。
文献によるとおよそ17千年前に起源をもつ国家で、千年王国とは千年の長きにわたり反映している国というほどの意味だという。実際の歴史はもっと長く古い。
砂漠をこえた世界に存在するといわれ、“エジプトに似た国”とも呼ばれる。だが、エジプトともバビロンとも違う。


バビロン

アロンがクピドーにいった。
「千年王国への扉がもうじき開かれる…」
「千年王国!?なにがあるのですか?そこには」
「砂金の砂漠をこえた王国には偉大なる王がいるという…」



ジャングルクイーンからテレパシーでSOSがおくられてきた。
クラークとアルフレットは救援に向かった。
「おお、巨人と戦っているぞ」
「ヘビーウェアだ!」

アルフレットはタイムテレポートと大神の力により、ジャングルクイーンの星に移動した。




11



ヘビーウェアは大きな剣をふりまわして襲いかかってくる。
「この惑星を破壊する魔人!私の持つ力で止められるか!?」
ジャングルコントロール!
ジャングルクイーンは手を広げ投げ飛ばすような姿勢で放つ。


乾燥したからっ風が重装の巨人を襲う。
ズズ…

さすがに動きが止まる。

7845

「…」
≪◆◇◆◇≫

「神々に封印されし悪魔か。図体のあるだけあって頑丈な」
ヘビーウェアは剣に力を入れて叩きこんでくる。
≪◆◇◆◇◆◇◆◇!!≫

「素手でかわせるか!?」
クイーンは素手の小さな手で剣筋をさばこうとする。

!!

ズウギャ





二度目の惑星バルハル





度目の惑星バルハル









1


「おりるぞ、アルフレットとゆかいな仲間たち」

今までと違い、殺伐とした空港だった。
「バルハルか二度目だな。オレたちは」
「ぼくもだ。あのときは大神の力で飛来した」

機械的な建築物だった。はなやかなグレートシティやゴールド・ウィンからすると白銀のなにかの工場のようだった。

パイプやなんかがむき出しにあちこち走る。
カラフルなどでなく、サビた赤茶色まで隅っこでは見つかる。

「田舎というより…殺伐としているな」オーブリーがいう。
「軍事工場って感じだ」エドアールもいった。

人の顔もどこかくらい。
窓の外は農村あるいは天然にしては平地めいているが、むき出しの草地だらけだ。
寒散としているというより広い。
所せましと建物が並んでいるのがさっきの土地だが、みわたすかぎりなにもない。
「山もないという感じがするぜ」
商業施設はあるにはあるが、遠慮したくなるような雰囲気だ。


「!」
アルフレットが気がついた。
大勢の人が流れに沿って歩いている。
「なんの行列だ?」
なんだか生気がない。

建物は広い。だだっ広いが飾り気がない。
業務用冷蔵庫のようなどでかい扉がある。
デパートの荷物を受け入れる倉庫の裏口のような。

そっとついてみるといつの間にか人は消えている。

(不気味な…)




2



三人の直感がいっていた。
のたのたとどまっていたら、閉じ込められる。
「ゾンビ工場」
そう心の中で想像した。

「まさか、生きた人間をゾンビにしたりしないよな」
「…」


「あいつらのゾンビ兵、どこから死体をもってくるんだ!?」エドアールが不安そうにいった。

アルミニウム製をおもわせる階段をおりると、金属の重さではなく、空洞の軽さに足がひびいた。

外に出ると雨雲が広がり暗くなってきた。

「グレートシティにシーズンチケットがあったぜ。ひとつのアーティストの新曲を一年ダウンロードし放題だ」エドアールがいった。
「そのアーティストがあまり曲を出さなかったら?」オーブリーがいう。
「赤字さ」

アルフレットは思案していたが、こういった。「指令室だ。今、オレたちは徒歩で活動しているが、指令室にいると思え。次の行動を思慮深く計画して動くんだ」
「なんだ!?軍事マニアか」エドアールが余裕をふかしていった。
「タッ!まじめにやれ、半分敵陣にいるんだぞ」
「ああ、普通のシティ(街)じゃないな。雰囲気で分かる」
ポケットをまさぐり煙草をくわえだした。

それぞれ荷物でいっぱいだ。



3


「この道をたどるとバルハル帝国だ」アルフレットが壁の地図をみていった。
「いや、ギズモンド帝国だ」エドアールがくわえ煙草でいう。
「…」



時空警察

マンデンブルー大佐の司令室にメラネウス、ジュールが入室した。
「はいります」
後ろを向いて立っている。
向きなおり話しだした。

「特防隊のことだが…」
「ああ、僕はレンジャーでトレーニングを積んだけど…特防隊には不採用だって」
「わたしも…今のところ移動はないと」
「そうだ。が、女性の隊員がいるといないとの違いの分析結果が出た」
「へえ、大佐どんな結果なんですか。僕は軍事活動の時は嫌だな。基本的に」
「そうか。ジュール君…まず男性でチームを固めると破壊力はある。が、長続きしない。ノウハウが蓄積するがいわばクッションがないチームになる」
「体を壊すとかですか?」メラネウスがいった。
「それもある。エスカレートしすぎる。女性が隊にいたほうが任務の遂行に手間取る。なのに…」
「柔軟さか…長持ちすると」
「だが、女性隊員は母親ではない。職務に保母をさせるのは規律に反する」
「うーん。チームの奥さんじゃないんだよ」
「怪我や放射線で子を産めない体になるとか」メラネウスがいった。
「それもある。子を安全に出産するという条件と生まないという条件で安全のランクが劇的に変わる」
「事務の女の子を雇うんじゃないもん」
「戦闘が任務だからな」
「戦争に参加するなら出産にリスクがあるのを覚悟しろというのも…」
「そうだ。本末転倒だ。今のところメンバーはこれしか決定していない」

ランクA【フェリークス】 隊長:ステファノ
ランクB【…】     隊長:ゼイン
ランクC【…】     隊長:ジム



4


長い廊下をふたりがあるいてもどる。
「ジュール…今何してる?また店長か」
「表計算ソフトさ。ソフトを操縦して帳簿をつけている」
「なんでまた」
「コーヒータイムがあるからいいけど、いそがしいよ」
「いろいろな仕事が来るなお前も」
「データの収集や確認、整理は機械じゃできないんだよ。人間が目でチェックしないと。こんど表計算ソフトの検定受けさせられる」
「ふーん」




エカルテ城

クラークがザールのSNSをみていた。
「ふーん。スピリット(女の幽霊)に悩まされているか。エカルテのカタコンベ(地下墓地)にも女幽霊いるけどな…」


惑星バルハルのエアポート周辺

みるとアリスタンダー四天王のガドプレバスがライオンナイトと戦闘している。
さらに空から首の長い竜がはばたいている。

「空港にありがちな光景だぜ」エドアールがオーバーランスをとった。
「メタリカルステーションにドラゴンは似合う」オーブリーがいった。
「オーバーランスの破壊力を試したかったところだ!」



5



メラネウスがジュールにいった。
「飯でも付き合わんか。昼何喰う?」
「サイコロ飯」ジュールが答えた。
「サイコロ!?」
「半か丁か」
「ちゃー、ハン?」
「そう、チャーハン…」


首の長い竜は地面に着地した。
フワ…

エドアールはオーバーランスをかまえ、突進した。
「ハッ!」

ダッシュ・ランスアタック!!

オーブリーはボンバーアーマーを装着している。
「よし」
ガチャ、ガシ!

ライオンナイトがガドプレバスに斬りつけながらいった。
「ぬおおお、貴様らに助太刀にきたが」
「サンキュー!!」

アルフレットはダブルボディで体を二つに分けた。
正義の剣を横一文字に構え、両手を広げて突き出す。

「ダブルボディ!!アルフとレッド」

ブモオオオオオオンン!!

二人のアルフレット、アルフとレッドが分身して現れた。
アルフはライオンナイトとガドプレバスにむかった。正義の剣をもって。
レッドはエドアールの加勢にはいった。ステンレスソードをもって。

オーブリーもアーマーを装着するとガドプレバスにむかっていった。


ダッシュ・ランスアタック!! 1451
「初心者にしてはなかなか…」自分でそういった。

竜は口から炎と稲妻のまじった火炎をはきだしてきた。

「ぐおおお?」エドアールは顔を腕でおおった。
レッドが跳躍する。

エドアール 451
レッド   310

竜の真上までジャンプし、レッドボールを地に向かって放った。
「ハーッ!!」

ドゴン、ボアン!!

15401874

さらにステンレスソードにオーラをまとわせて、落下と同時に突き刺した。
「ギュルルルウロオオオオ!!」
首の長い竜は叫び声をあげる。

3457



6


ライオンナイトのゴールドエクスカリバーがオーラで光る!! 

ブオオオン 3457

オーブリーのスカラムーシュ 3451

アルフは疾風の下段をかまえた。

片手で正義の剣をかまえ、ガドプレバスに突き出す。
剣先がやや下がり気味だった。
体は半分身を開いている。

グン!

バネのように剣を持ち上げた。
その反動を兼ねて、自身の体も持ち上げ跳ね跳んだ!

疾風・跳ね!
「グオオオン?」
ガドプレバスのドラゴンの体は紫黒い。首をもちあげてジャンプしたアルフを見上げている。

「ハッ!」

剣に体重を乗せて斬りつけた。
ザン! 4571

「ギャアオオオオン」
ガドプレバスはマグマの噴き出す高熱の溶岩を噴出した。
ぶおおおおお!
「がっ!」

2471

「アルフ!」
生コンクリートで固められたかのように落ちてきた。



7


「だいじょうぶか」ライオンナイトが助けた。
「なんとか」アルフは脱出し、薬草を口にした。

「両方の竜ごと斬ってくれる」
そういうと緑色のオーラを蓄積した。

金剣一周消波斬!! 4510

「やった両方とも大ダメージだ!!」

オーブリーはイーグルフルーレをわきに投げた。
ドガ!
つきささって立っている。

「はああ、初めての魔法」

エアーアタック  451

つむじ風がガドプレバスをおそう。
さらに、剣を抜きとって、体の肉が引き締まるドラゴンに向かう。

「はああああ」

脳天直撃 4512

ガドプレバスの額にイーグルフルーレの直撃がさくれつ!!

「いいぞ、オーブリー」アルフが応援する。



エドアールは首の長い竜と巻きつきあうかのようにオーバーランスで戦っていた。
「おおおおお」

レッドが攻撃のチャンスをうかがう。もはや素手だが、オーラ担当に分身している。アルフは正義の剣専門に剣撃に巧みだ。

「竜槍!ドラゴンと闘ったヤリだ!
スキをみてエドアールはショルダーからさやをさげているグッド・ソードを片手に抜くと、竜のはらに突き立てた。
ズギ!

「ぐおおおおん」
「さらに、おおおっ!!」

オーバーランスを両手に構え、まとわる竜の首につきあげるように跳ねた。

ズギュー

体表を切り裂く!

竜の体躯にのっかり、スコップを土砂につきさすようにランスを逆さにぶち込む。
敵は炎をはけない。
自分の体を焼きそうだ。
だが、爪がおそう。

オーバーランスでふせごうとしたが、なれない槍でかわしきれなかった。
地面に墜落し、きがつくと懐をえぐられていた。

「ぐっ!なまあたたかい…油断したか。きもちわるいな、痛みがないぞ」
血がたらふくドクドクながれてくる。

レッドがいった。
「気を付けたまえ」そういって霊玉(れいぎょく)をわたした。

パリンとわると霊気につつまれ、エドアールは体が軽くなった。

「しばらくじっとして休んでいろ!」

「レッドボール」

987
ドカン!



8


レッドは両手のてのひらでボールをつまむようにオーラボールをつかんだ。
さらに足を適度に前後に開き、滑走するように地面を滑った。

シャアアア

タン!

エドアールが叫ぶ。「おおお、人間なら不自然な動きだ!!」

跳躍し、首の長い竜の顔面にオーラボールを押しつける。
「グアアン!」
ボム!
さらに左!
ボオ!

1974

宙返りをして舞っているレッドに竜は稲妻と火焔をはきつけた。
「ガアアア」
レッドはよけきれない!直撃を浴びる。
1978
「クッ」
留めにオーラをこめたエルボ―をたたきつける!
2004

ぐ!ぐおおおおお

首の長い竜はダウンした。
具合の悪い獣のように沈み込む。

エドアールがおきあがり、すかさずグッド・ソードで首をはねて始末した。

ザ…

ドサ
竜の切り落とされた頭がころがる。
「やった…」



9


レッドは地面に落ちてたおれた。
ヒーリングメスで自己修復している。
ポー
「大丈夫だ。45分で癒える…」
エドアールはしゃがみこんで答えた。
「オレはもう少し休ませてもらう。霊玉でかなり回復したが…」
出血は止まっていた。

ライオンナイトがジャストヒットを喰らわす。

ガドプレバスは蜃気楼のようになり消えた。
あとには首の落ちた竜の死骸だけだった。

オーブリーがきいた。
「レベルラハムはアリスタンダー退治に手を貸してくれるわけか」

ライオンナイトがいった。
「そうだ。このあたりで暴れられては不愉快だからな」
そういって切符をわたした。
「幸福の切符だ。金が尽きたとき、あるいはチケットがとれないとき、代用になる。まちがっても他人を侮辱することに使うな。自分に帰ってくるだけだぞ」
「…悪いな」
「それと、あのエアポートだが、明らかに怪しい。私はこれから様子を探りにいく」
「ぼくらは…ギズモンドの様子を…」
ひとりにもどったアルフレッドがいった。
「いや、いったんここからコインに帰る」



三人はエアポートからエカルテ・コインのエアポートにいく船に搭乗した。