ブロームイン防衛戦―
メガロポリスのシティガール
1
ラーニアとエレン、ポロンは学生ラウンジでサンドイッチとシェイクで昼食をとる。
学生レストランは月ごとに更新するスタンプで契約する。
ラーニア達は以前はスタンプを買って食べていた。
自分たちの席には丸窓が2つ見える。外を見るとすごく高い。
「1年生で人文科学の単元を取得した初の生徒を目指すよ」
自分で自習講義で勉強し、デスカッションを受け、ペーパー試験、レポートと受かると単元を取得した印鑑を押される。
ハイスクールの人文科学受領となるのだ。
コンピュータのスケジュール手帳でラーニアは予定をみた。
学習室では男子学生が勉強していた。
「トム勉強しろ。お前がやらないからやる気でないんだ」
「上からはっぱかけられないと学習できないようじゃ、将来管理職になれないし。でもオレがやる気ない時、反対にしごいてもらう」
≪静粛に≫
モニターに表示される。あまり騒ぐ生徒は一定期間入室禁止にされる。
ラーニアは昼食後ディスカッションの講義に参加し放課後になった。
「エレン、ブテックをみていくよ」
その後帰宅し、夜。
ガードロボ(ガードマンロボット)の簡易製品がうごきまわっている。中学のときに買ってもらったが、エレンに「誰に襲われるの?この時空警察のエリアで?」といわれた。
たしかに本物の押し入りなんかきたら、役に立たないだろう。警察の出動だが、気休めの護身用だ。
説明によると時間稼ぎくらいの戦闘能力があるらしい。
かわいいぬいぐるみのようなロボだ。
だが、ニュースをみると遠い星、コインメタトリーでは悲惨な戦争だ。
ノートにも記録してるけど、ニュースをみると近年まれに見る惨事かも。
自分たちのエリアが時空警察でよかった。そう思った。
2
とうとうブロームイン城にダイヤモンドケルビムが攻めてきた。
「シールド…やられたか」
ザールは門番や兵の配置を、という部下に「いや、そのまま中に通せ。われわれ中軸の者だけで闘う。これ以上は無駄な被害が増えるだけだ」と答えた。
ザールがみたダイヤモンドケルビムは左腕がなくなって片腕になっていた。
後でわかったが、魔法殿ではダイヤの石柱になったオーブリーと大やけどをおって倒れたシールドが発見された。
「シールド、片腕をもっていったか…これであの赤熱する原子の腕は使えない」
==ザール…火で塵にされるものは、焼きつきるまで焼かれる。受け入れよ==
「竜人刀!」
竜人ガルルゴンの愛刀だった。
剣の刃がホイールのように外れて、アルマジロのように回転しながら襲いかかる。
「距離をとればおれの勝ちだ」
王とガーネシャが後ろで見ている。
ガリ
ケルビムを切りつける。
敵は無造作に跳躍し距離を縮めた。
「いまだ、ダイヤモンドカット!!」
ザールの新技が炸裂する。
ダイヤモンドカット 3451
==悪を撃つこの聖剣をうけてみよ!!==
竜人刀をもとにもどして応戦した。のこぎりの様なギザギザ刀だ。
「くそ、のろいようで計算した剣さばき!それに圧力が!」
サの一行 1450
怪奇光線 888
3
ラーニアは夜、TVを見ていた。
「わたしが黒人だったころ」
黒人の小さな少女が黒人の男の子の背中にのって、大河をわたっている。
河にはワニや魚もいるが、黒人の女の子を乗せて泳いでいる。
ジャングルの中、きれいな色の鳥が集団で舞っている。
自分たちの部落とは別の楽園がみえてくる。
自分たちの地図にない道を通り河をこえるときれいな木がならぶ自然の楽園だ。
みたことのない新天地。別世界の庭園が広がる。アフリカ大陸の奥地では良くある。
黒ん坊の小さい女の子の口にいっぱい笑顔が広がる。
二人は木の実をおいしそうにほおばった。
そのあとニュースでコインメタトリーの戦争が報道された。
【クラーク王の支持率が下がっています。ブロームインも襲撃されている模様で…】
4
ダガーが天井から落ちてきた。
【つらら落とし】
短刀よりは長いが、刀よりは短い刀。
それを逆手に握りしめ、しゃがんだ体制で落ちてくる。
「ダガー!!」ザールは叫んだ。
つらら落とし 1978 ビジッ
オーブリーが額に付けた傷と全く同じ個所を狙い、見事命中。
さらにダイヤモンドケルビムにからみつく。
5
「スリープダガー!!ねむり薬がききそうもない相手だがなあ」
ダガーはケルビムの顔面にスリープダガーをガンガン突きたてる。
怪奇光線!!
ダガーは上空にジャンプしてよけた。
さらに落下し剣で攻撃する。
ザールも応戦した。
「妻をもどせ!!」
ダイヤモンドカット 2347
==ノット!人類最初の罪、原罪は妻が不貞を働いたこと、そのため楽園から、不浄の土地へ。神に人間がそむくとは、その妻が夫を愛さないこと、その夫が妻のために労働しパンを焼かないこと==
ダイヤモンドケルビムの心臓からミサイルカラットがとびだし爆発した。
チュンンンオーオオオオン!!
「ぐあっ!!」
「うおお」
ミサイルカラット 4510
狭い範囲に高熱の反応がおこり、ザールとダガーが破壊の力に巻き込まれた!!
地球の神がいう。
「そのとおりだ。不貞を働く妻は働かない男が配偶者となる。その程度に応じてな!!不貞は女の本能などではない!!女性の怠惰だ。働かない怠け者の男と同じことだ。太陽を杯に飲み干し、この体もあとちょっとで完全復活する!!人間には力、愛、芸術いろいろなレベルがある。神々も同じことだ」
ダイヤモンドケルビムはまぶしいほど発光して辺りを照らし、そしてなにもいなかったかのように消えていた。
「消えた!?」
オーブリーとザール婦人はダイヤモンドの石化が解けてもとにもどった。
6
ラーニア学校の自習室のデスクに座った。
腕時計を操作すると赤外線で公共のコンピュータに個人のパスワードが入力され、アカウントが開かれた。
SNSの閲覧テーマを戦争に切り替えて見る。
一般個人が書いた戦争の記事がピックアップされた。
マスコミが書いた記事も専用の欄に表示される。
コインの記事も載ってる。
テーマをフレンドにすると、エレンの更新情報、ポロンの記事他の更新が出る。
学校にテーマを切り替えると掲示板にある学校の行事、お知らせがのる。
ざっと閲覧して席を立った。
学校の下のフロアにあるコンビニにはいり、ATMに腕時計でパスをおくり、預金を下ろした。
そしてミネラルウォーターを買う。
学生ラウンジで本を読みながら飲んでいた。
ポロンやエレンは登校してないようだ。
窓を見ると空が近い。本当に天井がすぐ近くにあるという気がする。