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2013年4月6日土曜日
いまだ天国の門は開かれず
いまだ天国の門は開かれず
1
エカルテ城―大食堂
アルフレットが出発前にのこした言葉をクラークとホワイトが考えていた。
「怒りを招く葡萄酒?自分も飲み会に参加させろといいたいんでしょうか?」
「いや、違うだろ。かなり身分の高い婦人が男同士の飲み会に参加したいなんて、下品なジョーダンいわんわな」
「なるほど。実は身分が高くないとか」
「ならこっちがお断りだな。簾(すだれ)派だからな。他人の女と飲むいわれないわな。俺とかセミに身分高い人装ってる最中だからな。普通の人はいいけどな」
「高潔をつらぬくと、エカルテ王は。とにかく制圧するしかないでしょう。建築もそれからでないと」
「そうだ。また壊される恐れあるからな」
スフィンクスがしゃべった。
≪ゴールド・ウィン王からお電話ですが?クラーク王様≫
オーブリーがホテルにたどりつきつつあった。
「まったく、仲良くやろうとしても、メンバーによっちゃドダイ不可能があるんだ。あの、アルフレットとかいう金髪の大男…彼と楽しく旅行なんて僕には無理だな。だいじなのはメンツなんだ」
クラーク王の声が聞こえそうな気がした。(おお、オレでも無理だぞ)
ラグナクロクで決闘したエドアードの声も聞こえそうだった。(俺も彼と友達は不可能だ。まして旅行なんて気が違う…)
そういって一人でホテルにはいろうとした。
そのとき、オーブリーの携帯電話が鳴った。メールに≪会議で決まった。フロントでお前あての郵便もらってくれ≫
「短いメールだな。メールでいえばいいような!?」
オーブリーがゴールド・ウィンのホテルにチェックインした。
「オーブリー・ウォーター様。…当ホテルにあなた様宛に郵便物が届いておりますが」
「はい。きいてます」
「こちらになります」
エレベーターの前に立ち、
「さて、部屋に行くか…」といった。
2
ラグナクロク軍―駐屯地
「金欠はどうしたよ」
「ああ、金欠なんてとっくに克服したぜ。本を読むんだ。読書さ。『なんだい父さん水薬かよ!?』金がなくても楽しくやれるぜ」
「でも、読書は腹が減るだろ」
「それさ、おごれよ、いつものコンビニでいいさ。酒と肉を。これやれよ」
木の台にすごろくの盤を張ったものを引き出しから出してテーブルに乗せた。
「俺がパソコンで作って、シールの印刷用紙にプリントしたんだ」
「チェス盤みたいのに貼ったのか」エドアードがいった。
「そうさ、自家製のすごろくさ。中央の天守閣を攻めきれば勝ちだ。シンプルにふりだしに戻ると一回休みが多い。最後の砦にいくと困難だ。落とし穴がたくさんあって何回もチャレンジしないとゴールにつかないぜ」
「おもしろい、やるか」
「ほらよ、サイコロ」
「面白いな」
「買えよ。買えるだろ、エドアード。食いもんと交換さ。貧困がビジネスを生むんだ。夜恋人とサイをころがせよ」彼は目がうるんで輝いていた。
「わかった、御馳走するさ」
3
オーブリーはホテルの自室郵便物を開けてみた。
ゴールド・ウィン王からでアルバートはアルフレットが仕留めたので、そのままブロームインの魔法殿に向かってくれとある。
「魔法殿…」
ブロームイン城
王とザール王子がSNSをみていた。
「これが、うちに向かっている援軍の勇者アルフレットだ」
アルフレットはスペースSNSをやっていた。アンシャルとキシャル、ラフムとラハムみたいな遠く離れた土地では通信されるはずもないが、こちらの世界ほぼ全体のインターネット回線で閲覧できた。
オーブリーのSNSページはなかった。
「たいして更新してませんが」息子のザール王子がいった。
「彼はどうやら2/3が神のようだ」
「神!?彼が?それならわたしは3/2が神かな」
「オーブリーというものはのってないな。あとすこしで魔法殿につく」
「…」
「おまえの母は…ザフラとお前の…魔法使いの私が見ても、まだ魔法使いのように感じる女性だった」
「母が…。全知のように見える父から見て…」
「雷鳥がやってきたのはラグナクロク建国よりはるか前だ。だが、ゴールド・ウィンの建国はさらに昔、エカルテにはエンリル王という王がいた」
「父は半神で人間の百倍の寿命を持つと」
「そうだ」
エンリル王の時代、サンダーバートはまだブロームインに来訪していなかった。
ザールはサンダーバートの羽を思い出した。
(私は…1/4が神?粘土でできてそうだ。そうだ、あの羽…)
4
オーブリーはゴールドウィンの街をのぞいて、すこしだけ道草を喰った。
最高級品店
「ほお、技が売っているぞ。ぼくの技も売りたい」オーブリーは首を振った。
スマートコントロールアクス
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2クラウン
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技をインポートすると覚える。人工頭脳搭載
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サイコシールド
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1クラウン
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太陽電池のように光撃を吸収。魔法力でバリアをはる
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フリーハンド・自由闊達
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3000
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ソフトウェア・自在な動きで斧撃
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ミノタウロスハンド
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3000
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ソフトウェア・ミノタウロスのような腕力で破壊
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エカルテではクラーク王を非難する声明が高まっていた。
「くそ、どうする。立て直したらトテッチとザフラにラッキーストーンお土産に買って帰ろうとしてたんだけど」
「さすがにこたえますな」エドガーも弱音をはいた。
「おちついて」ホワイトはやけにりりしかった。「人間、住民なんて自分のことしか考えて生きていません。だから大勢のことを考える政治家兼企業家のわれわれ王や大臣が必要なのです」
ザフラ(クラークの妻)は父、ブロームイン王の言葉を思い出していた。
「やっぱりこういうとき王の妻はこたえるわね。でも、夫を信じないと。こういうときほど見方にならないと」
羽振りのいい方に走る女になるなという父の教えがこういうとき心にしみた。国民は勝手なことをいうものだ、そしてそれが許される役(客)なのだ。
「新聞を読むのが辛いな」
スフィンクスを消したくなった。
「いっそのこと、天罰の斧で一人残らずこらしめたいわい」エドガーがいった。
「いけません。人間とはそういう生き物なのです」ホワイトがいう。
ふたりは唖然としてホワイトの顔を覗き込んだ。
「マリ=アントワネットもこんなかんじだったんかいな」クラークはほざいた。
「こんなものではないでしょう。いつも手入れしていた髪が真っ白になったとか」
「都合のいい身分なんてないもんな」クラークは手を組んで頭の後ろで枕にした。
ラグナクロク軍―駐屯地
すごろくに熱狂する四人。
「はまるぞ。とくにラストがむずかしい」
「いいとこまでいくけどな。ゴールはきわどい」
「だろ、俺がつくったんだぜ。エドアード、国王になんて間違ってもなるなよ。みろよTVのニュース。うちの国は襲撃されてないからいいけど、破壊されたエカルテなんて非難ボウボウだぜ。国王なんてリッチなときと寒い時で雲泥の差だ。俺たちを見ろよ、自由闊達に我儘だぜ、こんな俺らのために我慢したいかよ」
「いや、遠慮するな」エドアードがいってサイコロをふった。
「カップラーメンか炭酸ジュース買って来いよ」
「備蓄が倉庫にあるぞ」
「もってくる」
5
オーブリーは自分のテレポートソードをみていった。
「ハイテク武器はイーグルフルーレみたいな、技を磨いて会得する武器とちがって、装備しただけでパワーアップする。スポーツとスマートフォンの違いみたいだ。どっちも強くなるのに違いはないけど」
オーブリーはブロームインに向かって急いだ。
アーリアルセトスが宇宙上からコインメタトリーをのぞいていた。
「ふん、きさまらの価値観や観念もジォヴェの庇護のもと成り立っているのだ。やつの箱庭など、やつが戦争に勝っているから維持できる代物だ。奴が負ければ崩れ去る世界よ。大神の手のひらにのりながら、奴に反抗するつわものもいたがな。自分を支えているのが挑んでいる当の本人と気づかぬ愚か者。力がなくては世界の維持も極楽も地獄もない。たかがそんなもの…レベルラハム?心当たりがないが…稲妻の龍をしとめたあとまた見物に来るか…」
そういって飛び去った。
6
オーブリーは魔法殿についた。
「魔法殿か、こんな奥まで入るのは初めてだ」
魔法軍の魔法騎士のキャプテン、シールドがでむかえた。
「援軍感謝する。敵はここを侵略しに来る」
オーブリーには休むための部屋が用意された。
「まわりはよその国の軍隊だ、うちとけるような雰囲気じゃないようでそうでもないな。好意的だ比較的」
魔法殿の騎士はオーブリーにどちらかというと好意的だった。
「なにかあったら聞いて下さい」まだ若い兵がいった。
「ああ、アルフレットは?」
「報告によるとまだ到着してないとか」
「ああ、そうか」
オーブリーはとりあえず休むための部屋に荷物を置いて、腰かけた。
飲み物が運ばれてきた。
ヨーグルトの様な乳製品だった。
しばらくすると、退屈してきた。
そっとドアをあけて通路を見ると、人気は少ないがなんとなくあわただしい。
「あまり無駄口をきけるようすじゃないな」
7
メガロポリスのある地域、グレートシティは中核だが、比較的外れのタウン。
ハイスクールのシティガール、ラーニアは高層ビルのなかにある自宅から、同じビルの別のフロアにある学校にかよっていた。
デスクが並んでいる。ライトスタンド、モニター、サボテンがおいてあり、学習用のシンプルなデスクだ。しきりがあり、カプセルのように半分包まれており、隣の学生と隔てられる。半分自室、半分同じフロアにいる感覚である。
5×5列のデスクが並んでおり、講義は教師が黒板で授業しない。学習ビデオ、百科事典、などがモニターに映る。本を借りようとすれば申し込める。
デジタルではなく紙の本がシューターからすべってくるので、おいそれと積ん読できない。
いわゆるここは学習ルームである。
ティチャーはいる。
デスカッションはまるまる一講義を生徒と教師が費やす。
質問事項や教師の解説はこの単位をつかってまとめておこなわれる。
生徒は自発的にビデオやドキュメンタリー、テキストなどで単元を学習する。
ラーニアは人文科学を勉強していた。
デジタルノートのアプリケーションにメモを記入し、ノートを作成していた。
電子辞書や百科事典も活用する。テキストはハイスクール用があり、書きぬいてノートに貼り付けるのもワンタッチだし、辞書の必要なファイル、統計グラフなどもノートにコピーができた。
できた学習ノートはウェブサイトのようであり、レポートのようでもある。
メガロポリスでは既存の学説、テキストの理解も重要だが、自分なりの見解、公式を捏造するのも点数になる。
だがハイスクールでは思考に限りがある。
しかし、大学など30~45歳の生徒も大勢いてなにかを学んでいる。
他人にきかれて解説できる事が重要な評価になる。
辞書は読まないとないが、その分野の理解にあいまいな人の質問を分かるように解説できることが大事とされる。
ノートに書き込んでいると、端末にメールが飛び込んできた。
≪ハイ、ラーニア。休憩にしましょう。エレンより≫
ラーニアは端末をかばんにしまうと、食事用ルームに移動した。
8
オーブリーは地震で目が覚めた。
キャプテンから呼び出しがかかる。
「ダイヤモンドケルビムが来た。体調を整えて技量場にきてほしい」
「わかった」
門番の兵がダイヤモンドケルビムを封鎖しようとする。
「音波気功!!」
「キャプテンに報告しろ!」
空気の振動がケルビムをおそう。
全身ダイヤの王子のようなかっこうでこの世のものと思えない、薄笑いを浮かべる。
音波気功で抑えつけようとするが、すぐはじかれた。
怪奇光線が門番を焼きつくす。
「うおお」
「ぎゃふ」
ザールはブロームイン城で魔法通信できいていた。
「きたか」
魔法騎士たちは少しでもダメージを与えるため戦った。
「エアーアタック!」
574
魔法騎士はケルビムの聖剣にうたれた。
「ぐ、鎧が砕ける!」
さらに赤熱する腕でつかもうとする。
「うおおお」
ライデンソードで二階斬りを喰らわせる。
240
「一対一で勝てる相手じゃないぞ、囲め!」
9
一時間もたたずに、オーブリーとキャプテンシールドのところにダイヤモンドケルビムは攻略してきた。
「魔法殿も終わりか!?こんな簡単に」
ザールがモニターでいう。
≪それだけ相手が強いんだ≫
この部屋は広い造りになっている。
悲鳴が聞こえ、ドアを破って入ってくる。
「ぼくが…」オーブリーが先鋒を担った。
==いまわしきものは、跡形もなく消し去れ!!==
「こいつか!?ダイヤの石造!?」
==永遠の塩の柱になるがよい。ダイヤモンドスターチュ!!==
光の霧がオーブリーを襲う。
カアアアアアア
「イーグルフルーレ!!」
剣先で輝く霧を突くと、重たい抵抗がある。
「そう簡単に弾き飛ばせない魔法だぞ」
「オーブリー殿!!その術は石化されるぞ」シールドがさけぶ。
オーブリーはさらに剣先に力を込めた。
パアン!
==ダイヤモンドスターチュを破るとは。ならば赤熱した原子の力で消し飛ぶがよい==
「その前にぼくの攻撃の番だ」そう叫ぶと、剣をかまえ腰に力を入れて飛びかかった。
(テレポートソードをつかうとさっきの術が来る。そのときフルーレでなくては回避できない)
オーブリーの剣先がものすごい勢いでダイヤモンドケルビムの額に襲いかかってくる。
グオオオオオオオ
脳天直撃! 5178
敵は両手を広げのけぞっている。
ビシ…ピキキ…
(どうだ…!?)
ケルビムはあっけにとられ驚いたように口をぽかんとあけ、オーブリーの剣の重みをこらえている。
額に剣が突き刺さったままでいる。
==ダイヤモンドスターチュ==
「まずい!」
オーブリーは剣にさらに力を込めた。
ビシ・ビキキ
霧がまとわりつき、オーブリーはだんだんダイヤの柱になっていった。
「く、そおおおおおお」
1分か2分位でオーブリーは完全にダイヤの柱となって凍りついていた。
「…」
シールドは無言で突っ立っていた。
10
キャプテン・シールドはスマートコントロールアクスをもった。
ザールがモニターをとおしていう。
≪いけ、ブロームイン国は高い金を払って電子斧を購入したんだ。レンタルするといってうまいこと買わされた≫
シールドがスマコンアクスを発動する。
ウォーンPPPPPPP
ダイヤモンドケルビムが怪奇光線を発する。
ガー
「サイコシールド」
太陽電池の要領でエネルギーを電力に変換し吸収する。
「いくぞ、くらえフリーハンド」
クラークの技フリーハンドがアクスにインポートされている。
自由闊達に斧が滑る。
ダイヤの体のケルビムでも、ダメージをおう。
1400…
「おう」
シールドは攻撃の後しばらく動かなくなる間があった。
相手はロボットのように人間味のない動作で動く。
敵はシールドにくらったダメージを受け止めるかのように止まっていたが、くるりと向きなおり、右手の剣で攻撃してきた。
シールドはアクスで守る方法を知らない。
アクスを持ち上げようとしてやられた。
敵の剣が万力のような力で胴体を直撃し、なおも力を入れてくる。
ビシビビビイビキキ
「鎧が割れる。バカ力め。楯でふせげばよかったか」
もともと楯になれないので判断が遅れた。
鎧に食い込む。だが、反撃の斧がダイヤモンドケルビムを向かう。
ミノタウロスハンド 1205
ケルビムの左腕が燃え上がる。
==赤熱する原子の左手!==
フオオオオオ
≪かわせ!触るなシールド!!それはやばい≫
ドガ!
シールドは楯を使わずかわす。
スマートコントロールアクスが電子頭脳で学習しサポートした。
PPPPPUUUUU
ジェットスマッシュ!! 4512
アクスの刃、普通の斧のみねにあたる部分の後ろにジェット噴射口があり、敵の真上から打ち下ろされる。
ケルビムは攻撃をかわされ、かがむように低姿勢だった。
≪シールド!≫
怪奇光線をシールドはかわした。
(しまった、楯だ)
彼は今までライデンソードで攻撃を受ける訓練をしていたせいで、楯を忘れる。
怪奇光線は通信しているモニターを破壊した。
ブロームイン城ではザールたちが見ていたが、画面が壊れた。
「シット!通信が」
シールドは魔法騎士のひとりで魔法が使える。
「エアアタック」
つむじ風がおこり、敵を抑える。
ケルビムはまきこまれながら怪奇光線を放つ。
「サイコシールド」
シールドはこの敵と戦いのコツをつかんだきがした。
「ライトブーメラン!!!」
光のブーメランがおそいかかる。
ダイヤモンドケルビムは剣でたたきおとすが、何発か喰らう。
451…
267…
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