エカルテ戦、模倣マリッドとカリッド
1
「エレファントバスター!!!」
クラークはひじを模倣マリッドのはらにぴったりつけて、全体重を込めて撃った。
離れた位置から撃つ攻撃と違い、最初から矛先がくっついているため、100%じかに力が伝わる。
バットだとボールにあたるとき、勢いが当たり具合で150%勢いがプラスされることもあるが、角度が悪いと30%しか力がボールに伝わらないかもしれない。一種のサイコロを振る感じがある。
「直撃ちの強さ!」
7451 ずーん…
マリッドは怒りだした。
「おおお?凶暴な目の色になったぞ」
「危ないクラーク君!!」
城全体が揺れだした。
「トテッチ、ザフラ!あいつらの住居、東の位置だったよな」
休んでいたオーブリーも立ちあがった。
「おおお、獣が本気で怒っている。城ごと壊されるぞ」
城下
アウトソルジャーが空を舞いながらアクアネスソードをふるう。
アクアネスソード 1900 ガリ!
カリッドは硫黄の炎のブレスをはいた。
ラグナクロク軍の兵が巻き添えを喰った。
「おおお、」
「ぎゃあ」
「やばいぜ、意識が…」
「あっちの草原で倒れてろ」エドアードは口を押さえながらいった。
アウトソルジャーはアクアネスソードの魔法防御でダメージが少なかった。
体に包帯を巻いた半身のクピドーは手を休めてみていた。
「起死回生につながるか、あの忍者戦士の戦闘能力が…」
ガリ 1798
2
クラークたちにアロンの声が届いた。
「おお?テレパシーか」
≪助けになるのか…。どうやらわしが調べたところ、マリッドとカリッドは「潮の満ち引きの如し」≫
「おお?というと」
≪満ちて海面が上がる海と、さがる海がある。一方に海の水がかたよるからだ≫
「そうだな。海水持っていかれる海とよってくる海で凸凹になるんだよな」
≪マリッドとカリッドは海の水のように、二匹の体力がつながっている。すなわち、どちらを傷つけてもどちらの体力も削れる≫
「そうか、体力の海がつながっているんだ」
≪そうだ。どちらを追い詰めても両方倒せる。それとな、どうやらラフムとラハムの正体はレビアタン(リヴァイアサン)とその妹なのかもしれん。だが、そんな古代人は寿命が来てるかもしれない。ラフムとラハムの中央都市には二人の像が立っていたという。兄と妹の二柱の国の開祖だ。レビアタンはラフムとラハムの土地の血を濃く引いている末裔といったところか≫
「レビアタン!?海の怪獣がか、子孫か」
「なるほど、参考になった。あとはオレがしとめる」
アルフレットがいう。
3
アウトソルジャーが斬りつける。
ガリ 2100
直撃が襲う!ぐーおーんと鋭い爪のまえあしが、宙に浮いているアウトソルジャーを襲う。
「ぐ、巨大な獅子か…」
剣が爪の横をかする。
「もろにくらったらおしゃかだ」
カリッドは硫黄のブレスを吐きちらしてくる。
があああああ
硫黄の雲をアクアネスソードの魔法防御でこらえ急いで突きぬける。
カリッドの目の前にいる。
「いまだ」
死角弓 …
ウィークボゾン 4000
チカチカキーン
トス、クピドーの弓矢がカリッドの目玉に直撃する。
3001
「ぐるるるうがあああ」
カリッドはたけり狂う。
爪をよけてアウトソルジャーが斬りつける。ガリ 1947
「よーし、もう一発!ウィークボゾンをたたきこんでやる」
その瞬間、カリッドの口から鋭い槍のような棘がのびてきた。
ぐーん
「!」
アウトソルジャーは不意をつかれてえぐられた。
「クソ、牙が舌のように伸びてきやがった!!」
血がダラダラ流れる。
「不覚!」
アウトソルジャーはダッシュで逃げた。
4
エドアードが春雨を撃つ。アルセウスがライト正宗で攻撃する。
エドガーがさけぶ「あと一息だ。最後の力をふりしぼれー」
アルセウスは思った。
(どこが一息だろう。全然ピンピンしてる…)
そんなことを考えていると、油断しているすきに刃が飛んできた。
ガッ!
「しまったー」
アルセウスはふっとび、倒れた。
ポケットから薬草をだして、かじった。
「経口投与だ…わたしはやるだけやった」
傷は浅いが、動けなかった。
薬草の苦みが傷口の痛みを緩和するようだった。
そうするうちに眠気がさした…
アルフレットが叫んだ。
「剣がなくなったときの奥の手」
アルフレットの手が光る。
「アルフレットナイフ!」
マリッドに飛びかかる。
マリッドは牙をむいてくる。
アルフレットナイフ 2340
手刀がマリッドを切り裂く。
ザシュ!
マリッドの爪がアルフレットをとらえた。
「ぐぐぐるうるー」
「アウストラガード」
光の粒がアルフレットの周囲をまとわりつく。
3本爪はアルフレットの身長の3分の2くらいの長さだ。アルフレットに突き刺さろうとするが、油の海を漕いでいるように光の粒が粘度の高い液体のように抵抗となる。
マリッドは時間を重くされたように爪の勢いが止まる。
あと少しでアルフレットの体表を引き裂けるのに、エンジンから伝わる動力がグリスをからまわりするようだった。
「酒の海で溺れて死ぬのも、海水で溺れて死ぬのも同じだ!」
アルフレットの右手と左手・
ザ・2400
ザ・2310
オーブリーがいった。
「元地球人三人、そう簡単にやられないぞ。僕はもう地球には戻るつもりはないけど」
クラークがいった。
「俺はいつか帰るさ」
「ぼくは何度も地球に帰ってる!」
「オーラトレイン」
登りと下りの急行のオーラの電車に挟まれ、マリッドは高速で削れて行く。
「うがががががが」ゴンゴンゴンゴオオオオオオ
「止めるなアルフレッド」
マリッドの爪がアルフレットを襲う。
「くそ、トレインを手放さないとバリアがつかえない」
マリッドの爪 1100
アルフレットは傷をうけた。
トレインが急速に走り、マリッドは引きずり込まれ後ろに下がってオーラの竜巻にのまれていく。
必死にうごきまわり、アルフレットを引き裂こうともがく。
アルフレットは顔から血を流しながら、オーラトレインを走らせる。
「お、あのときとポーズが違うぞ」
アルフレットは前の時は右手をつきだし、左手を引き締めていたが、今は十字架に付けられたように水平に広げている。
両手をこぶしにまるめた。
オーラの竜巻の中で爆発が起こる。
マリッドは煙になって滅びた。
「やったぞ」
城下でも、クピドーが撃った矢が当たるか当たらないかのうちにカリッドが煙になって消えた。
「消えた!?」
「倒したぞー」
同時にアルバートもビームをさんざん打ち込まれ退却した。
「くそ、人数が多い…退却するか」
5
エドアード達、ラグナクロク軍は自国に引き上げた。
クピドーはもういちどエカルテの病院に入院した。
アルセウス、アランほかダメージを折った戦士も入院した。
死傷者が多数出た。
「ホントに戦死者が出たか」
クラークは考えこんだ。
王間はボロボロになったので、大食堂を本拠地にうつした。
「建物も多く壊れた」エドガーがいった。
秘書猫も「王の支持率が下がってます。国民はかなり今度の戦争を批判的に見てますよ」
アルフレットもいった。
「スフィンクスをみろ、国民はかなり不満を持ってる」
「風当たり強いな。スフィンクス安全な位置にもっていってたんだな」
ホワイトがいった。
「予想してましたから」
「だが、まずい、他の惑星に移住するという国民が多い。国王はこの世界では人気とりでもある」
エドガーが珍しく葉巻を吸っていた。
「よその星でも同じだと思うけど」アルフレットがいう。
夜、クラーク、アルフレット、オーブリーは酒を飲んでいた。
「大食堂か広いな。クラーク何を読んでいる?」
「シェリー詩集…なぜかSFみたいな次世代の空想浮かぶぞ、この詩。こんな昔の詩人がな。新しいコンピュータ制作して、国の利益あげるんだ」
「ふーん」
空酒に近い形でビールばかりのんだ。
…
トイレでアルフレットは飲みすぎてはいた。
「おええ、はぁはぁ赤ワインか…飲みすぎたな」
葡萄酒の赤い色がトイレの便器に染まった。
「!なんだって?!僕は今日一滴もワインなんて飲んでないぞ!?ビールだけだ。そんなバカな!」
半分実際あった出来事です
喀血!?いや血液でもない。どういうこと…?
もどろうとすると、女が暗闇に立っている。
「おまえは?」
「レベルラハム。マリッドとカリッドを滅ぼしたか…。我が怒りを招く葡萄酒をうけいれよ」
「カウンターナイフ!」
アルフレットは隠しからごく小型のナイフを取り出すと、オーラをまとわせ投げつけた。
チィン!
もういなかった。
(クソ…変なもの飲ませやがって!チッ)