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2013年3月14日木曜日

極寒の世界―絶対零度






極寒の世界―絶対零度







1


たおれているカーターをアルフレットが発見した。
「黒焦げ?新しく覚えたぼくの技…ヒーリングメスで…」

ヴーウンンン 

「大部分治療できたが…ぼくの腹と同じだ。バーラルレディにやられた腹は…僕のヒーリングメスでも治りが悪い。ヒーリングオーラのメスで直しても、放射性物質がじわじわと壊してくる…どうやら、時間をおくしかないらしい」

以前のアルフレットのオーラは自分の体に流すと、充電式電池が自分で充電してる感じで、出る分とは入る分が同じだった。
ヒーリングメスはオーラの手で直接肉体の内部を触る。



メラネウスのモバイルフォンに電話がかかってきた。
デスクにむかっていたが、受け取った。
「ハイ、ええ、最上階まで…しばらくする一階まで降りるエスカレータが出現しますので、ハイ、おめでとうございます」

通話を切り、モバイルをデスクに置いてコンピュータをみた。

今度はホワイトグラスにジュールから連絡がきた。

「メラネウス、パトロールの警察隊が発見した、ユミルと名乗る巨人だ、アンシャルとキシャルの爆発から逃げてきたらしい。凍りついているが巨大だ」
「ユミル?いったいどうやって、やってこられたんだ?」
「なにもない宇宙空間を飛んでこられるらしい。巨大な雌牛の乳と体に生える苔を食料に移動してきた。おそらくアンシャルとキシャルのはずれにいたため、爆発に巻き込まれなかったんだろう」
「それで、どうしているんだ」
「いまはおとなしくしてるけど…あきらかに盗賊の雰囲気だ。宇宙空間は真空なら魔法びんみたいな感じかもしれないが、液体窒素とドライアイス、固体の水分子の塵がとびかうエリアが、アンシャルまでの道のりにある。どんなに火をたいても、ドライアイスがエネルギーを吸収してしまうから凍りつく。温度があがることにエネルギーがつかわれないで、液化することに費やされるんだ。真空なら空かも、でも力を吸い取るバネが仕込んでるみたいな感じだ。熱は高い方から低い方にしか流れない。熱力学の第二法則だ。極寒の世界なんだ」
「そんな世界を飛んできたなら極悪人かもしれないぞ」
「人を人相だけで判断しちゃいけないよ。とにかく協力に来てくれ」



2



エカルテ城


クラークが城の王座で秘書猫と話している。
「国王の事務室とここの広間、結構遠いから、むやみに移動しないんだな。仕事はかどるな」
「ここにいると、話ができるけど、机とか器具がないから事務仕事できないですよ」
「そうだな。事務仕事やり遂げるまで移動するのおっくうだから釣り合い取れるんだな。エドガーいないな」
「ええと、軍の仕事です」

「ブロームインの画家の絵を購入してかけたけどな」
「まあ、いいですね。エアポートの客いり好調になってます」
「そうだな…」

そのときインスタントメールがとどいた。
クラークはでた。
「アルフレットだな。大神の世界から戻ってたのか…」

テレビ電話に切り替えた。

「クラーク君、ひさしぶり」
「おお、どこにいるんだ?」
「地球のアメリカ合衆国だ」
「修行してきたか」
「ああ、君のいってたバーラルレディだが、大神の世界に同じのがいたな…」
「なんだと!?ほんとか、おまえなら奴、簡単にひねられるだろ」
「なかなか苦戦した」
「そうか」
「ところで、ゴールドウィンの、城の裏側にある、巨大な地獄の扉だが、」
「ああ、」
「あそこの中にいた鬼女(きじょ)…バーラルレディの一種じゃないのか」
「そういや、似てるが、女の悪魔ってだけかもな」
「扉の中のほうはもっとインド系、中国の御坊さんというか」
「アシュラ像みたいなおももちだな」
「そうだ、僕が戦闘したのは西洋風というか、古代エジプトの娘みたいな」
「俺の時もそうだな、さいしょ人型の悪魔女みたいな」
「…今の僕なら倒せるかもしれない。そっちにいく」
「宇宙船運転できねーだろ」
「連絡船を使う。クーポンを送ってくれ」
「バカ言うな。大神の世界で何してたんだ」
「バカな…大神の世界にあるのは経験値だけだ、ゴールドなど…」
「エカルテだって、そんなことに税金を使う余裕あまりないぞ」
「ああ、平和のためさ」
「…」



3


地獄の扉(ゴールド・ウィン)


「さあ、クラーク君開けたまえ」
「お前何があっても責任とれよ」

ギギギギギ ガシャン!

「クラーク君、相変わらず気が重くなる音だ。気軽なチャイムをつけたまえ」
「おめー緊張してるのか?」

赤黒い。

世紀末色の退廃的な奥行き。

「あの男の巨人は?」
「やつは…しりあいにあいにいくとかいって、…消えたな…」
「だとすると鬼女か」

ボーン

かがり火のような、黒ずんだ赤い色。

「キューピーさん!」
「…!!

みるとクピドーが肉片のように蝮とサソリの体の化けものに喰いつかれている。
「あ…あ…くーらーくさ…ん」
(やはりバーラルレディの一種か…)
「なんでキューピーさんがこんなところに」
クピドーは肉を喰いつかれ、肉の塊のように血みどろになっている。
気を失ったようだった。



鬼女の腕が4本にみえる。
ひたいがばっくり切れている。
血がダラダラ流れている。

クピドーと蝮サソリの23mうしろで座戦をくんでいる。

クラークがいった。
「バーラルレディをお前が生み出せるか、お前が本体なのか!?」

ボーン




4



クラークが扉を開ける前

クピドーが鬼女にいどむ。

音速弓 2104
ドス


審判の弓矢 3140

ガガガガ


鬼女は静かに禅を組んでいる。

聖なる強者の忍耐 1001

ガッ!

プシケーの姉たちの妬み

キンギンキラキーン 3567

黒赤いオーラがクピドーをおそい、ランプの熱油がクピドーを焦がす。

ジュウウウウウウウ

「ガッ!」

6連拳 600.450.654.702.542.894
3842ダメージ
ぼぼぼぼん

「キューピーさん!!」
クラークが蝮をホーリーモーニングスターで斬り落とし助けようとした。

「クラーク君相手は僕に任せたまえ…奴の不死身はエネルギーが切れるまでだ」

「大神の世界で修業した力か」クラークはいった。

「『オーラトレイン』上りと下りの列車が高速ですれ違う、あの恐ろしさからひらめいた技だ。オーラのトレインを高速ですれ違いさせる。僕の力が続く限り止まらない」

向こう側から何か走ってくる。

ンゴオオオオオオ!!

列車のように長い光のオーラが吹き寄せてくる。
「反対側も」
ゴオオオオガアアア

「うおおお、ものすごい振動だ、揺れてるぞ」

「それも電車が走るときみたい。危ないから伏せていてくれ」

ンズゴオゴゴゴゴゴアア!!!

鬼女はアルフレットのオーラトレインに挟まれ、削られるかのように襲われる。
オーラの竜巻に回転するかのように挟まれる。

ゴゴゴゴッゴゴオオオオオオンンンン

「まだだ、まだやめないぞ、お前の力が尽きるまで」

鬼女は登りと下りのオーラトレインに押しつぶされ、もがいている。
グ…グググ…

だが、動こうとすると、重圧で体がもげる。

クラークがクピドーを介抱しながら見守るが、見ているだけで消耗しそうだった。
「・お・お・お、手加減しろよ!!だいじょうぶな・の・か・ーオ・・・・・」




5


久しぶりに王宮の挿入話

布令役 「いかん!私の最強の技で」バッ
王 「たのむ」
二枚目役 「われも力を貸す」
王 「これで助かった。やきつくしてくれ」
布令役 「いえ、あなたも力を入れてください」
馬鹿者役 「馬鹿者役もここまでの話。知恵者役が馬鹿者役をやっていた」
王 「これだけ力を込めれば敵は焼きつくす」





6




みると、オーラトレインの隙間から鬼女の腕が一本伸びてる。
手に手裏剣をにぎっている。

「チッ。線路をずらしてこそぎ取る。トレインは重たいけど、軌道を動かせるか」

ンごごごごご

アルフレットは下りのトレインの軌道をずらし、手裏剣を消し飛ばそうとする。

ガガガガガアガ

間一髪、鬼女は手裏剣を投げた。

「チッ。アウトセーバー!!」
下りのトレインが手放し運転になる。


ギン、はじいた。

が、アウトセーバーが列車の流れに巻き込まれてしまった。

「あっ」

ズガガガガガ

クラークが叫ぶ「あああ、あの無敵のアウトセーバーがくだけている。それまでの力なのか」
くだけたアウトセーバーの破片がミキサーとなり、鬼女を切り裂く。

竜巻の中で鬼女は復活したり、ミンチになったりを繰り返している。

ボーン

ガガガガアア
ザクザクザギャ

「アルフレット、止めるな!力め、もっとふんばれ」
「おおおおお、くそアウトセーバーが」

鬼女は早送りのように、死と復活をくりかえす。

ギャルルルルルルガガガガ

アルフレットはさらにトレインの速度と重さをあげた。
「これで最後だ。一兆年死と復活を繰り返せ」

ズドーン

鬼女はついに、跡形もなく消滅して復活しなくなった。

あとにはアウトセーバーの残骸が転がっているだけだった。



7


クピドーはアルフレットがヒーリングメスで治療したが、エカルテまで運んで入院した。

エカルテ城までの道中アルフレットはいった。
「レベル200には200の苦難があるし、喜びや悲しみがある。こどものころ、菓子やくだものなんかのおやつで一日が幸せだった」
「ああ、まあな。菓子ではらふくれてなんぼだったな、ガキの頃な」
「大人になるとコーヒーとか酒とかタバコとか、菓子がきかなくなる。違う楽しみを求める。人間、階段の踊り場にいると、安定して、それほど苦しくもなく楽しめる。そこまで階段を上ったら、そのレベルの愉しみが不自由なく手にはいる。だが、いずれそれがいらなくなる。大人なら毎日好きな菓子を箱買いできる。だけど、それだけで幸せと感じなくなる。あれほど好きだったものに興味がなくなる」

「なるほどな、それで次は苦労してまで階段を登ろうとする」
「動きだす。階段を上る苦痛と踊り場で愉しみが退屈になってうんざりする苦痛は違う」

「ああ、努力する上に上がる怖さと苦労とな…今の自分に不満足なのは別だな」



8


アランがトレーニングエスカレータを終了し、ホテルに戻るとき、メラネウスに挨拶しようとしたがいなかった。

ホテルに戻り、ホテルとつながったコンビニに買い物にいった。
「未成年だけどビールとソーセージとジュースと」
雑誌コーナーにエジオンやゴールドウィンと同じのが売っていた。
「全宇宙共通か…」
でも、違う雰囲気の雑誌も多い。

「お、月刊エジオンニュースワープ」
エジオンのニュースや商品がのっている。
「巨人に再度襲撃、数時間後に撃退。おお、よし。銃剣特集、エジオンは剣を輸入に頼り開発が盛んでない、か。ああ、軍人が少ないんだ」

テクニカル・ウェポンマガジン
エジオンニュースワイプ
マガジン・カタログ・マガジン
ミュージックボックス・マガジンボックス

「テクニカルウェポンに装着できるカッター、銃口、防御用の鋼板のカタログ、…おおいろんなウェポンアイテムが」

『マガジン・カタログ・マガジン』は雑誌という雑誌を紹介している。まさに雑誌のための雑誌である。
『ミュージックボックス・マガジンボックス』はその名の通り、電子音楽、器楽、雑誌をアルバム保存できる。未来のスクラップシステムだ。


ホテルの自室につき、缶ビールをあけて、メールをみると画商のボラールさんから絵が一点売れたと連絡があった。

「なに!?2000コイン入った。帰りの交通代金はじくと、だいたい3000使って帰れるな」


翌日、最寄りのソードショップにいってみた。

ゴーグルホワイトグラス  2ジャム  補佐・通信、ゴーグルにデータが
ゴールドエクスカリバー  9999    耐熱剣・頑丈
ジェットソード      2987    アクセルをふかすと、自動で攻撃
テクニカルウェポン   4ジャム   電子頭脳武器・こて、銃、カッター
ボンバーアーマー    8500   鎧・爆撃につよい 
ランウェア        2400  動きやすい・ボタン一つで着脱
獣人化ガム       1000   噛むと、短時間獣人化する
マジックバリアフリスク  1500   魔法防御。攻撃を防ぐ飴
両替 1クラウン=200ジャム 
   1ジャム=10000

ジェットソードかランウェア、ガムなどが買える。
「うーん、防御力をあげるか…ジェットソードなんていまさら、自分の剣より格下だしな…」

結局、獣人化ガムを一つ買って帰ることにした。
ボラールさんは、のこりの数点の絵がもし売れたら、送金すると言ってくれた。