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2013年3月10日日曜日

アラン、時空警察のトップを訪問する





アラン、時空警察のトップを訪問す











1

アランは、自分の作品のアートが客に媚びるだけで、ぜんぜんスマートでないのに気がついた。
「だからってどうすんだ!?」

滞在費は不足する。
エジオンのアート会場の入りは、いまいちだ。
「一日4人って何だよ」
☎パーカー「平均するとそんなもんだ」

アランはホテルの自室でTVの映画をみた。
よくあるCEO室がでてる。

「そうだ!時空警察にいって偉い人にあって緊張すれば、刺激あるアートになるのかも」

時空警察はデカポリス(10のエリア=区域にわかれる)とメガロポリス(その中央ターミナルがグレートシティ。アランはグレートシティの一角のホテルにいる)に二分される。

本拠地の受付に頭の良さそうなお姉さんが二人いる。
「あの、時空警察のリチャードさんに会いたいんですけど」
「はい、アポイントメントはおとりでしょうか?それに御用件を」
「いや、その、あいさつに…」
アランはいきなりしどろもどろになった。
「お客さま?」
「ええと、おとつい約束して」
「…君、ハイスクール・スチューデントかな!?卒業したて?」
「いや、エジオンのソルジャーで」

アランはガバと目が覚めた。ホテルの自室で寝ていた。



2



クラークが秘書猫にいった。
「部下が報告してくれるって、そんな忠告してくれたり、報告してくれる親切なやついるかな」
「さいですね。いいにくいですよ。偉い人がしっかりしないと」
エドガーがいった。
「普通の臣下は自分の任務でないと考えて何も報告したりしない。大臣くらいだと、自分で考えて助言しないとないが、なかなかいわない」
「どうするんだ?」
「報告が任務の調査隊とか見張りみたいな、部署をつくるしかないでしょうな」
クラークがいった。
「でも、ニュース見てるだけみたいにならないか?」
「特定の分野に限らないとニュースのほうが確かだとなりますな」



アランは今度はパーカーを利用した。
「あの、エジオンのアランといいますが、リチャード氏と…」
「ハイ、エジオンのですか…、身分証をお借りしたいのですが、お手数をおかけいたします」
「これです」
磁気を読みこんで、端末を見た。
「惑星エジオンのソルジャー、アラン様。カウンター7番のドアをこちらのカードキーでお開け下さい」

(やったぞ…!!

どういうわけか、アポイントメントも嘘なのに通行できたが、これはまた夢なのかもしれない。

エレベーターにまで侵入できたが、壁に埋め込みのモニターがある。
「…!」

インターネットをいじるのも、経験が少ないくらいのアランがだが、見たことのない操作画面で思わず手が止まる。
(OS…?ネットの画面か、みたいだが、あまりに普段慣れてるのと雰囲気が違う)
ただでさえ少ない経験が役に立たない。
(おちつけ、ハイスクールでウィンドウズの授業があったが。さらにビジアルベーシックとかも習ったし。さらにパーカーに雇われてから、モバイルもいじってる…)

この見慣れない操作画面は不法侵入者をカットするための、時空警察の予防策である。
(同じだ…雰囲気だけで、操作できないはずは…)
DOSまで、操作が違わないが、タッチパネルの画面がなれないだけで、汗が垂れる。

画像や、画像スイッチがならぶ。ある意味普通のネットやソフトだ。

(え?>どうやるんだ…映画だ。伝説のアメリカ映画、なんでもスコットランドと近い星らしい…ああゆうのだと、モバイルやソフトとかみたいな客が直接個人の企業だとゆるいんだ。中が単なるドアだ。ところが、警察、軍、銀行は難攻不落にできてる。銀行の頭取なんか、金庫みたいな部屋にいるんだ)




3


アルフレットは大神(たいしん)の世界で、ボロボロになっていた。
「せっかく治った体が、また元に戻ったみたいだ。筋も違えてるし、足もおかしくした。レベル200はきついけど」

果てしない世界での就業の結果、アルフレットは体を故障したが、あり得ないほどの力を蓄えた。
「強くなりすぎて、もとの世界で誰も近寄れなくなったら、ダブルボディでレベルを半分に分けた肉体に分かれれば大丈夫だ。境界トンネルでも結界でも」

アランはどうにかエレベーターを攻略した。
あたりは高層階で、空気が落ち着いてる。
一歩でも間違った行動をとると、エラーが出そうな雰囲気だ。

長い廊下のコーナーに観葉植物が置いてある。
ちょっとした休憩スペースなのか、窓の外は高い。
イスこそないが、寛げる感じがする。
小石の池もある。
アートが飾られてあり、落ち着いたような、意味がわからないような、それでいて何か感じるような絵の具絵だった。

「…」
おじさんが絵を眺めて立っている。
(…参考に見ておこう。いいアートだ)
おじさんは、アランをちらと見て、別に首もかしげず、歩いていった。

さらに行くと、ドアがあり、なにも鍵がなかったが、その先にまたドアがあり、
いくと、エスカレータがある。
「なんか殺人エスカレータって感じがするぞ」

これも時空警察の不法侵入者をカットするつくりで、生体(バイオ)認識が不適格だと通報がいく仕組みだ。さらに、殺伐としたデザインで気勢をそぐ。

≪セイモン、シモン、ミャク、ヲ ソクテイ シマス≫
「…。まさか、ドリルが横から飛び出しそうだ」

≪ニンシキサレマセンデシタ。サイド、ソクテイ スルカ、ココカラ ヒキカエスカ センタク シテクダサイ≫

アランはガバと目が覚めた。


4


カーターとワトソンはエジオンのコーヒールームで話していた。
「内積はスカラー(量)か」
「絶対符号見たいのは長さ、だからスカラーじゃないの」
ワトソンがいった。
「長さはスカラーだが…、コサインが90°以上になるとマイナスになる」
「とすると、内積はスカラーじゃなくて、メンスラ(測度)だ。プラスとマイナスがある」
「そもそも、数学の教科書に内積を求めてマイナスの答えが出てる」カーターがいった。
「内積は二次元空間の情報をメンスラまで、落として近似している」
「図形情報>メンスラ(マイナスがある)>スカラー(0+しかない):だったから、」
「内積と三角形の辺の長さから、角度が計算できる」
「長さというスカラーと内積というメンスラから、角度という図形情報が割り出せる」
「次元を落とした情報から、再度計算して図形が描ける」
「まてよ、微分すると次元を落とすようで」
「反対だ。積分すると一つ下の次元に近似した数値が得られる。微分すると正確ではないが、推論で上の次元の時どうなのかが求められる」

二人は短い論文を発表した。

三角形という、二次元空間の数学的情報を積分するにはどうするか?。
内積をもとめ、辺の長さを計る。
図形の微分積分である。
関数の微分積分は積分すると次元がひとつ下の世界に近似する。
微分すると、今あるデータから上の次元がどうなのか推論する。
内積と辺の長さから、角度が計算でき、三角形が描かれる。
それが、内積を使った微分である。
メンスラとスカラーから二次元空間図形を復元している。


机に広げ二人は首をかしげた。
「関数の微分積分と図形や次元は違う」
「うーん。関数はシステムだよ。動的存在なんだ」
「装置だ。関数グラフは関数以外に情報がいる」
「そうでないとグラフにならない。はじはどこまでとか、関数と関数グラフを切り取った図形を勘違いするから混乱するんだ」
「次元=関数でない。次元の装置の一部が関数だ」
「三次元グラフは?」
「グラフに必要なデータの一部が関数なだけだ」
「モノサシだよ、関数は、それで図形(関数で切り取られた図形)の面積を測る」
「積分した関数(モノサシ)で測ることが、図形を積分することだね」




5


アランは殺人エスカレーターを認証システムを無視して、ジャンプしてとおりこした。
「とう!」
ドリルが横から襲ってこないか怖かったがクリアした。

洒落た、じゅうたん、というより、見慣れない、宇宙船みたいなデザインの廊下にきた。

壁に3mくらいのアートがある。
「うん。お?匂いがするぞ」
香(じゃこう)の香りだ。

「おお、女か…?それに、ここはどのくらい偉い人たちのフロアなんだ?」
パアアアア

「空気が薄い、あれだ、紳士的なオヤジがいると無言で無茶できない雰囲気にされる。あのオヤジたちの雰囲気だ」

ドアがある。
表札にJAトムスンとある

カードキーの読み取り機がついてる。
「ああ、この州って何歳から偽造できるんだっけ!?」
無理だったが、インターホンを押した。
「Mr.トムスン。資料をお持ちしました」
「はいりたまえ」

迂闊にもドアが開いた。

丸眼鏡をかけ、かなり太いちょび髭を蓄えた紳士といった感じだ。
机の向こうのイスに深く腰掛けている。
「君は…?」
「アランといいます」
「ほう?時空警察の仕事はもう慣れたかね?」

「…ハイ」
「そう、忠実に任務を遂行したまえ。まだ若いんだからね」
「ありがとうございます」

アランは部屋をでた。

バーン!


6


また、ほんのり空気の気流にのって麝香のにおいがする。
「この部屋か?」
インターホンを押してこういった。

「先生お願いします」
応答がない。
ドアをひくと開いている。

若い美人の女性が部屋にいる、50歳くらいの紳士も机のイスに腰掛けている。こっちに気づかない。
家具が邪魔して、アランが見えづらい。
(いいのか!?このオヤジ)

女は窓の外を眺めている。手をさんについて、足をぶらつかせている。
「へえ、こういうところで仕事してるんだ」
愛人はくるっと、むきなおると、ぶらぶらと観葉植物のベンジャミンの鉢にジョウロで水をやりはじめる。

(おいおい、オッサン、愛人かよ…)

みたところ、デスクとソファの応接セット、パソコン、電話、机の上の置物、それから業務用のようなでかい端末しかない。
(偉い人の仕事っていってもコンピュータしかみあたらないな…)
「イントラネットの端末には触るなよ、極秘だから」
「わかったわ。へえ、警察内の文書が入っているんだ」
麝香のかおりがつよい。やはりここが発信源だった。
パイプで煙草を吸い始めた。

換気ダクトが回る。
ガクン・ゴオオオ
バニラの匂いに麝香が混ざったような、アイスクリームのようなにおいになる。

愛人が揺れるように小股で小走りに移動する。
「コーヒー淹れる?沸かすわよ」
「ああ、報告書に目を通したら飲むから頼む」
どうやら、なにかしたくてしょうがないらしいが、見えにくかったが小型のキッチンまで室内についてる。
(あ、小型冷蔵庫もあるし)

「同僚がグッド・ソードの開発とかいいだした。ヘタをすると置いていかれる」
愛人は手慣れた手つきでコーヒーメーカーをセットして沸かしだした。


アランは気づかれないうちにそっと出た…



7


ドアを閉じる瞬間きこえた。
「ねえ、今晩なに食べに行くの?」
「ライオンステーキって知ってるか?肉にレモンの汁がたっぷりかかっている」
「へえ」
「なんとなくライオンの肉のような気分になるらしい」

アランはこう思った。
「ああ、あれは女を見せびらかして自慢したいタイプだな。出世した人とか…。俺とかせいぜい、健全にマクドナルド止まりだな」


カーターとワトソンは地球に帰還した。
エジオンでの論文から、ライオンミサイルという兵器を開発した。


次の部屋にはいると、幼稚園くらいの女の子がこう叫んだ。
「キュプロクス!」
アランははっと驚いた。
「キュプロクスとかひとつ目巨人でしゅな!」

幼児はソファをつたってハイハイしている。
アランはハイスクールの国語で習ったヴィルヘルム・マイスターのミニヨンを思い浮かべた。

― 大悪魔は死にました。
マイスターさん ―

フォードさんという紳士が口を開いた。
「ハッハッハッ。よくきたね。サイクロプスプロジェクトというのを管轄している。特殊部隊だよ。サイクロプスとは」
女の子がまた元気に叫んだ。
「キュプロクス!」

フォードさんはチューブをアランにみせた。
「このチューブからでるゼリーをなめたまえ」
宇宙食か軍人の食事みたいなチューブだ。
アランはなめると甘ったるい。
体が、サイクロプスになった。
「ハッハッハ。サイクロプスアーマーだ」


アランは部屋をでた。
「こういう世界はよほど神経の強い女じゃないといられないぞ~。息を止めてないといられない。授業中よりまだ生真面目なのがつづくんだ」




8


ジュール個人宅

rrrrrrrrrn!
置きスマホ:目覚まし時計のスマホバージョン。持ち歩かないで目覚まし時計のように置いて使う。
「はっ!なんだまだこんな時間か。なに!?OSが全然別のマシンになってるぞ」

ジュールはおきあがった。
「こんなことができるのは一人しかいない。僕の剣の師匠。メガロポリス総帥、グルーザー女史だ」
そのときテレパシーでジュールに話しかける声がした。

≪召集です。グレートシティ総本部に来なさい≫



アランは次の部屋にはいった。

「フリーズ!動くな。おい!ガンで脅せ」
中にいた男がSPに命令してアランに銃を向けさせる。
机のイスに座っている男と立ってる秘書のような男、サングラスをかけたSPの三人が部屋にいる。

「わしはいま、グッド・ソードの開発に忙しい。我が軍の一般的な武器にするつもりだ。表面を特殊な術でコーティング、切れ味を良くし、気軽にふるえる。ゴールドエクスカリバーはレプリカなのに高すぎる。これは原価を安く製造し、ゴールドエクスカリバーより少し高めの価格にして、利益をたっぷり取る予定だ」
アランは両手を上げながら聞いた。
「それで、オレになにを…」
「一般消費者の目線から、そうだな、若もんの戦闘員の目からみてどうだ?」
男は万年筆をアランに向け、目を細めていった。
試作品のグッド・ソードをみせた。




9


ジュールは出勤前に自宅を出てモーニングカフェで朝食を取ることにした。


アランはグッドソードの試作品を握ってみていった。
「いいです。ゴールドエクスカリバーは僕の腕には重かったけど、これは軽くて気軽にふるえる」
「そうか、試作版だが、一本やろう」
「ほんとですか」
「それと、飯でも付き合わんか」
「いや、俺とか、偉い人と飯を喰うとのどがつまるから…」
「なんだ、残念だな。私がたなど話のわかる大人に囲まれていて安心するがな。わしと差し(ふたり)だと緊張するか。二人で飲み食いできるくらいでないと世の中渡っていかれんぞ、若いの」

そういって、葉巻に火をつけ、秘書のような青年に何か指図した。

「いえ´、それじゃ」

アランはガバとホテルの自室で目が覚めた。