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2013年1月15日火曜日

天界の結婚式譚




天界式譚










1


海が雲のようで、大陸が海の雲に浮かんでいるかのようだ。
天界と自ら名乗る土地。

そこの神殿の中では司祭が働いていた。

「大祭司アロン様。下界ではアロン様を縁結びの神と呼んでいるそうですよ」
「婚礼を司る神は私のほかに水竜の神がいる」

「下界では物語りに出てくる悪人を見てまねをするものが出ているとか。悪い例として書いてあるのに」
「悪人を見て悪いたとえを、わからないのは、その者の中に悪の欲があるということだ。悪人とはそういうもの。そのまま悪をなすがままにするがいい。下界とはそういうところなのだ」
「従わせる、その意味はないもない」
「そうだ。自分で決まりをつくればいいのに、わざわざ人に決まり事を決めさせ、それを破る。あるいは変えろと叫ぶ。なら自分たちで一から決めればよいことを。人をあてにして物事を実行したいという虫のよい奴らの考えそうなこと。天界には決してはいられない」

「自分たちは教えてもらう身で、先生を敬う気持ちが少しでもないものは、自分たちで体得せよと聖典にかかれております」


「天界の港場にそのようなものがたどりついたなら、『この国にはあなたの欲しがるものはないもない。あなたのすきそうなものはあちらの北の国にあると聞く』とおいかえせ。実際この天界にそのようなものはないからだ」
「やつら、この国に植え付けようとさえします」
「最悪は武勇に優れた勇者の剣で守れよ」

「バビロン城のはす向かいに二つの大きな塔の増築がすすんでおります、アロン様。大祭司様」

「大祭司様でも知らないことがおありですか?」
「たくさんある。だが、すべてを見とおして知りたいとも思わぬ。憎悪なもの醜怪なもの、すべて世の中にはあるものだ。我、天のすべてを知らず。地のすべてを管理せず。地獄に口をはさまず。様子を雲の合間から伺い、天の則(のり)を探究しようと、飽き足らず」



2


エカルテ荒野


オーブリーは一杯のビールを飲み干し、夜のはじめ、荒野にたたずんでいた。
ふところから、笛をとりだし、奏でてみる。
(スナフキンという曲を弾いた)

そのとき、強烈な気を感じた。

「誰だ!そうとうな手誰か!?ただの賊じゃない」

「アウトソルジャー」
「!?」

ブルーレイピア 123
小手調べ    235

「おだやかな、コインに不穏分子が最近多いな!」

イーグルフルーレ      シャルル・クロス 2345
健康な人に医者はいらない  4678

「ガッ!強い!まにあうか!?」

シャルルマーニュ  3467

オーブリーはまともにそれをくらった。イーグルフルーレではじこうにも、技を撃った後で回避できない。
「うあが、ぼくがやられるなんて…」
ガク

パーカー達はエジオンに帰ったが、アルフレットはエカルテにとどまることになった。


クラークが王座で仕事していると、兵士が伝令にきた。
「朝、オーブリー・ウォーターというものが、倒れているところを住民が発見。病院に運ばれ重体の模様です。高熱で焼かれたように服が焦げていたという模様」
「そうか…さがっていいぞ」

アルフレットは街の書店をのぞいていたが、クラークから連絡があり、病院にクラークと同行した。
秘書猫は王室で留守番だった。


エカルテ総合病院
「オーブリー」
「ああ…クラーク王」
「おまえが、やられるなんて、強敵だな」
「やつはアウトソルジャーとなのった…目的は不明。強力な技を使う。怨恨というより、力試しがしたい戦闘狂の雰囲気がある。人がたで、普通に背が高いくらいの忍者のような。僕が知ってるのはここまでだ」

ふたりは病室を後にして城に戻ろうとしたが、
「アルフレット…どうおもう?」
「アウトソルジャーか…見当もつかないけど。僕が傭兵として守備にあたってもいい」
「そうか、すまない。たのむ」



3


クラークは電磁クラブのオヤジと町の武器売り場をのぞいた。

「オートクチュールか…3クラウン。まだ買えないな。こんなときに国は何に金使ってんだって叩かれるな。個人の金なんて半クラウンもないしな」
「二本だけ作った。芸術的な宝石剣だ。もう同じものは作れないな。生涯に二本だけの傑作」
「世界に二本だけの剣か…」
「オートクレールという剣がある。女性が持つ剣なのか、クレールという名の聖女がその名の由来らしい。それをもじったのがオートクチュールだ。戦神チュールと衣装のオートクチュールをかけている。一撃しか使えない、使うと壊れる」
「一本無心してもいいか?」
「つくった私にも店に渡れば無理だ。店の人に聞け」




4


エカルテ城


クラークが秘書猫と話していた。
「書類にハンコを突くとき、考えないでハンコ押してるだけだって、エドガーに小言いわれたぞ」
「そりゃ、王さまの仕事でしょうに」
「前例そのまま走らすから俺でもつとまるんだな。いじれっていわれても、ほとんど、わかんねーし。黙って捺印するしかねーな」
「徐々に変えてきましょ。もう王座長いでしょ」
「いや、疲れたな。もう外くらいぞ」
「でも、夕食前には帰ってますよ」
「あー、そうだな。飯食ってからも働くの最近してねーな」
「ニュースも読んでますか~」
「あー国防か~ガオンでいいな。あれなら手に負えるしな」


惑星エジオン


パーカーがコーヒールームでいった。
「エカルテのエアポートをみたけど、エジオンも時代遅れの建物になったな。最新の建築物からみると」
「壊れてないのに、立て直すのか」
「でも、古いとな。大量生産大量消費文化といわれるのもなんだが」
「大義名分がいるんだろ」
「そうだな」
「…」
「見あきた景色の中にいると頭が痛くならないか…?」
「贅沢病だ」
「観葉植物かえるか…コーヒールームの。観葉植物専門店にいってくるか」
「ホーマックでいい」

アランがはいってきた。
「たばこ、留守の間にくせになったぞ…毎回違うたばこ吸うようになった。新しい自動販売機手配してくれ」
そういって、火をつける。
「販売機というより、新銘柄を入れろという意味だろ」
「そうだ。トレーニングエスカレーターか、俺もパワーアップしたいな」
「こんどは、つれていく」

パーカーは壁に埋め込まれたモニターで観葉植物専門店の頁を開いた。

≪みなさんのささやかな楽しみを提供いたして営業してます≫
「おう」

電波でつながる握りやすい金属の棒を握り、指でなぞってスライドさせたり、めくったりする。
「私も吸う」
左手で煙草を取り出し火をつけた。
イスに深くこしかけ、モニターをみあげる。

アルセウスがいった。
「そうだ。すごろくで面白いの思いついた。トランプみたいなカードシャッフルして、くばる。それを、サイコロの目の代わりにするんだ」
「その場に応じて技を選択するみたいにか?」
「そうだ、そのかわり、使うとなくなる」

アランがたずねた。
「エジオンはなんで潤っているんだ?経済的に大丈夫なのか?」
「経済には詳しくないが、なぜか車輪がうまくいってる。説明しろと言われると困るのがうちだ」




5

バビロン城


「クピドー(キューピット)が叱られた。大司祭様に正座させられている」
「また、いたずらがすぎるから」
「さすがのクピドーも叱られた。アロン様に呼び出されて」


クピドーが許され、でてくる。
「さすがの僕も大祭司様に呼びつけられて正座させられたさ」
「クピドーで叱られるなら、私なら監獄にいれられるかしら」
「アモールの弓矢をとりあげられるさ。ちょっと建築中の塔をみてくる」

クピドーがでていき、空を舞う。
「ん?向こうから何か飛んでくる」

アウトソルジャー

「子どもとはいえ、手加減しない。命をちょうだいする」
「子どもの僕を侮るな。というところだが、ヤバい奴だとわかる。いきなり本気で攻撃する!」
クピドーは本気で殺すための矢を弓に掛けて、全力で撃った。


ダイアナの死のささやき  2349
ウィークボゾン      1000

「ぐっ!すごい熱!今いちど」
「体力が人間と違うな。面白い敵だ」

クピドーは聖なる矢を弓に掛けて、全力で撃った。
聖なる強者の忍耐  2860
殺人狂剣      3451

「ぐあ、ああああああ」
クピドーはまっさかさまに下界に墜落した。



6


エジオン


「そのリモコン最近のか?」
「そうだ。表面がタッチセンサーになってる。“孫の手”とか“神の右手”とかよばれてる」

アランは煙草を吸いながら、近距離ニュースをみている。
コーヒールームの壁の四面モニターつけっぱなしで、いろいろな画像が動いている。

「あったぞ、観葉植物の飾り方のワンポイント」
「ほう」
「あたり前に目に入る位置に飾ると、観葉植物なんてそれほど関心しない。目に入りにくい、あえて見えにくい位置に飾る。気がついたとき、モニターから目が離れたとき、ふと仕事から頭が離れたとき、見つけるくらいがいい。あるけど、はっきり見づらいから、また目がいって潤わせる」
「なるほど。ためしてみるか」
「どうどうと面積とる位置より、わざとみづらい位置だ」
「わかってる。サイドボードに半分隠れる。そっちからはどうだ」
「いいぞ、隙間から見える」



7


時空警察 エリア5(ファイブ)


「ジュール。君の新しい任務だ。特殊任務で赴任先を自分で選択してくれ。エジオン、コインメタトリー、惑星ケンタウルスだ」
3つのなかから…」


天空のバビロン



大司祭アロンをかこんでいう。

天の謌唱(うた)

「アロン様でさえ、叱ったり、注意したりすると、逆恨みされることもある」
「それなら、愚か者が人にいうなど、相手を侮辱しているだけのことにもなりかねない」
大司祭アロンがいう。
「相手のためを思って叱るなど難しい。本当に愚かで正しい道を受け入れず、逆恨みする者たちには幸が少ないことを、大神ジォヴェでさえ、憐れまれまい」
「人をさとすには、自分が見本のように正しく…」
「そのとおりだ。だが、その難しさ。苦難にあっても、損をしたと嘆かず、修行になり、自らを高めたと考えるものは幸い。げに愚か者は怒る。そして、高きものの真の怒りを買う」
「悪人が処罰されないのもまた怠慢」
「自然の則(のり)がおのずから、彼らを罰する」
アロンがいう。
「皇帝の位を辞退した者ははぐれ者となるが、その位は皇帝より上の地位となる。人は、帝位に集まるが、その人の中身に集まらず」
「それが則であると…?」
「わからん。だが、皇帝に口添えをするほどの能力がある」
「人、人の集まる所に集まる。だが、親しい人でないものが集まることに孤独を感じるもの、風来坊のはぐれ者になろうとする」

「石化回復を祝しての祝いと降誕祭(クリスマスのこと)が、つづいて、忙しい」
「アロン様は悪魔に石にされていた」
「石癒祭と呼ぼうか」


「悪人の礼をただした態度。だまされるなかれ。すなわち、反省したなら、顔を合わせること恥じて、上げられず。目を見ることあたわず」
「恥じることなしに反省するもの、うわべだけに、真実(なかみ)省みることなからず」
「悪人が反省(かえりみる)するわけもなし…」

(おっと…!!)




8

ザールは城から出て、帰宅の道についた。
「怒鳴りすぎて、口が、アウアウとしゃべれなくなった。休まないと体が動かない」

その夜夢をみた。

旅行して人に会おうとしている。
違うルートで通ると街が違う街に見えて、通り過ぎてしまう。
前にみた土地だな、とも思うが初めてにも見える。
反対方向から尋ねたとき、ここだときづく。
アルプスの様な山が近代的な街並みと融合している景色。
ホットドック屋の本場がオープンしている。だけど、近代的なよく見るそれ。それと標高の高い山。
ロープウェイ。

次の日

「これは、休まないとダメだ。体がしびれている」
妻と買い物に出かけた。

ザール婦人は前エカルテ王の娘で、アルチーヌという。

買い物にブロームインのデパートにいくと、ザールは普段見るわけない婦人物やなんかを、眺めて、珍しいものを閲覧した気分になった。
自分一人だと気まずいし興味がないが、付き合いだと眺める。
いろいろ買い物して帰ってきた。


自宅の庭とつながった半屋外に置いてある、ひじかけイスにこしかけ、買ってきた本を開いた。
婦人がお茶をいれて、テーブルにおく。

「もう、でていたとは…」
魔法軍の研究者が書いた本で、ザールが学生のとき、家庭学習の教授をつとめたことのある学者だった。
ザールは教授と呼んでいる。
やはり、彼は軍でも剣は持たない、完全な魔法研究員で戦闘は任務にない。

ザール婦人は実の父から送られてきた包みを開いている。
手紙と新しい音楽の楽譜がはいっている。
買ってきた品物は、配達が明日か明後日でまだ、届いてなかった。

婦人は半屋外に置いてあるピアノで送られてきた楽譜の音楽を引き始めた。
♩♪♫♪♭♬♫♯♩♫

ザールは婦人のピアノを聴きながら本をめくった。
(教授…ふーん、魔法と似たオーラは剣を持つ戦士が魔力を高めたときに発生するという説か。そんなものかな。なるほど、魔法軍にそういう戦士が多発する可能性についてか…魔法に詳しくない自分でも読める。買ってよかった)
ザールはそのうちうとうとして、居眠りしていた。



9


エジオン

アランがアートを始めるといいだした。
「ほう」
「完成したら好きな金額で買ってくれ」

昆虫標本をみてひらめいたが、ケースになにかを並べてピンでとめたらどうか?
なにを並べるか考えて2日なやんだが、空のジュースの缶を並べることにした。
「エジオンの缶ジュースはジッパーを引っ張ると、消しゴムみたいにねじれて、炭酸ガスになって消えるからな」
ジッパーをひらかなければポリのままのこる。
「ビール缶もいいな」
いろいろな缶を自動販売機のようにハンギリにして並べた。

「できた」
パーカーはみたが、新鮮だ。

「うん500コインで買おう」
「エジオンは通貨がないからな。でもコインにいかないと使えないぞ」
「トレーニングエスカレータ―に行かせてくれ」
パーカーはアランのアートを見て悩んでいた。
「うーん。コーヒールームか廊下かどこにする?」

クピドーがエジオンの基地の前に落ちてきた。
次の日アルセウスが発見して担ぎ込まれたが、すぐ退院した。

「やあ、すまない。下界の人たち。天界に戻らないと」


10


アルセウスがいった。
「ほう、天界ですか。おもしろい。ホントに羽が生えてますな」
「結婚を司る神か、クラークが喜ぶだろうな。教えてやろう」
「それで、どんな感じなんですか天界の教えとは?」

「うーん。まず、男性の趣味、主義主張、考え方は多岐におよぶ。女性は、それでいいという男性にもらわれる。女性のセンスがいやなら男性は断る権利がある。“我汝を妻と認めず”の一言でいい。だから娘の父親は娘に好ましいと思われる主義主張、趣味を教育する義務がある。だが、それが正しいというわけではない。嫌な人もいればいいと思う人もいるんだ。父親のセンスが嫁入りにかかわる。結果的に結果オーライになることもあるし。ようするに父親とどっこいに貰われやすい。それと、アロン様がいうことわざ、“混ぜ物をしたワインはよく見ない客に買われていく”」
「ほう」
「ようするに、いかさまする娘はよく考えない男にしか貰われないってこと。手抜きやいかさまで男性に好かれようとする。誠実さがない女性は、結婚を対して考えない男性にしか相手にされない。自分が幸せになりたいだけで相手を謀に掛けるようなら、同じような男性に行くんだ」
「で、もし、あまりに意にそう男性がいないという娘は?」
「そういう星につれていかれるかも。でも、だらしない欲求に意にそう、惑星なんて、とてもじゃないが素晴らしい世界なわけがないんだ。自業自得。自分の望みが穢れているからって、望みの惑星が芳しくないったってしたかがない」

「クラークか。縁結びの神様を見つけたぞ。エジオンの基地にいる」
「ホントかカーター。いやパーカー。いますぐ娘とザフラと宇宙船にのってお参りにいく。ぜったい帰すなよ」



11


物語の枠物語

ゲーテのファウストを参考にというのかパロディで



王室
王国の王 「群衆の騒ぎは、いったいなんだ」
兵士   「『天界の結婚式譚』が劇場で演劇されますが、それの騒ぎで」
王国の王 「わたしが、騒ぎを鎮める」



高台にのぼって
民1  「上演はまだか!」
王  「お主たちの欲求を聴こう。いったいなんだ」
群衆 「俺たちの言い分は何だ!?」
2  「俺が知るか、いったいなにがあるんだ?」
3  「私にも教えて、なにがあったの?」
王  「騒ぐな!!憲兵に取り押さえさせるぞ!はっきりいいなさい。これは何の騒ぎじゃ!?」
群衆 「誰か国王にいえ!」
1 「いったい何を」
王 「いい加減にせよ!予が訊くいているのに答えないのか!?」
布令役(ふれやく) 「黒板消しいじっている、教師と生徒のようだ」
女王 「なにがおこるの?あのものたちの言い分は?」
王  「おまえまで、民と同じことを言う。バカ者なのか?」
道化役 「優秀だから、知っているから、高台に我らいるとは限らず」


王 「静まれ!!!お前たちのいう『天界の結婚式譚』とは、なにものか?!」
群衆 「われわれが、わからないから、王にたずねているのです」
王 「では、どうしようもないではないか。まったく気違いと会話しているみたいだ。話が通じん!」かんしゃくを起こし怒鳴りだす。
道化役 「普通の夫婦と同じだ」
布令役(ふれやく) 「王さま、話の通じる代表者を一人選んで通訳をしてもらえば!?」


王 「だれか群衆の代表として予と話の通じる相手を選べよ」
2 「話のわかる相手って誰だ…!?」
3 「大勢と会話するときは支離滅裂な相手と同じ。意見がそろわず、何をしたいのかも、しているのかも知れず」
王 「どうしたいのだ」
群衆 「話のわかるやつでてこい!誰が代表だ!」
1 「だれも恐ろしくていない。階段を登るようになだらかに、おてやわらかに…」
2 「話の通じる準に階級がないと、階段も登れない」
3 「階段が二段ずれたら、会話にならない夫婦。欲張って貴族の嫁になろうとしないこと」
布令役(ふれやく) 「えー、では、言いたい意見がないなら、国王が出されたものを残さず食べるということで…いいでしょうか?これでもつなぎ役はつらく…えー、それでは演劇の幕を開きます。『天界の結婚式譚』どうぞ」




12 本編に戻って


バビロン城の大聖堂

「アロン様…大祭司様。時空警察の隊員が面会の受付を申し込んでいますが…」
アロンがいった。
「警察なのに隊員とは?だが彼らは重要な連絡を持ってくる。すぐに通しなさい」
「わかりました。大聖堂に…」


時空警察の隊員が通され、挨拶をした。
「はじめまして。あえて光栄です。バビロン三代城主アロン殿」
「こしかけてください。時空警察のええと」
「わたしは下っ端の連絡かかりです。単刀直入にいいます。本部からの使いで、凶悪な賊がここを狙っていると…」
「連絡ありがとう。詳しく聴きましょう」
「この近くの時空にわれら、時空警察がおいこんだのですが、逃げられました。もしかしたらこの城にやってくるかも」
「それは心配です」
「非常に強力な妖魔でして」

そのとき、精霊のひとりがはいってきた。
「大変です!アロン様!建築完了わずかのバビロンの塔に、何者かが侵入しました!女の賊です!」

アロンが怒鳴った。
「戦闘訓練をした勇者の精霊をあつめろ!なんぴとたりとも、土足で天界には進入させてはならん!!」


エジオン

アルセウスがクピドーの相手をしていた。
「まあ、TVでも見ましょう。クラークというものが、会いたがってまして」
クピドーが答えた。
「親切な下界の人。有難迷惑だよ。はやく天界に戻らないとないのに…」

 
TV

王が馬にのって護衛を二人連れてやってくる。
女に王が槍で心臓を突き刺して殺す。

「なんて横暴な!いくら王とはいえ!バカ皇帝!」
ニヤと王が笑う。
「ザオリル!」
王が呪文を唱えると女は生き返り、健康なままであった。

            

アランがアートをつくり続けて、パーカーはアラン美術展を開くことにした。
「エジオンに増築する。ゴールドウィンでみた、高い建物同士をつなぐ、車が走れる道路をつくる」
「この基地とつなぐらしいぞ」
「あと2日でクラークがつく」
「明日は上空美術展を見に行きましょう。クピドーさん」



13


バビロンの塔


精霊たちが、槍で賊を突く。

愛の槍 468
ドス

「神妙にしろ!女だな貴様」

愛の炎 467
ゴワアアアアー

「全然かなわないぞ。またアロン様が石にされるのか!?」
時空警察官が銃を撃った。

マグナムウルフキラー 751
チュン

バビロンに侵入するもの  タキオンブレス  5432
賊は口から青白く輝く光のブレスをはいた。
フオーオオオオオオオンンン

時空警察官は10年過去の世界に飛ばされ、泡を吐いて別の惑星の野原に倒れた。
ドサ…

ゴゴ…ガク


エジオン

「もう建築が終わったのか?」
「終わった。早いな」
「クピドーさん、どうぞ見に行きましょう」
「ええ、でも…羽が痛むから空を飛べないし、治るまで休ませてもらうか…」

パーカーの基地のエレベータで最上階に上がり、狭い展望室があった。
「狭い。高いうえに息が詰まる」
小さい窓から外がみえる。

ドアを開けて、入ると、長い廊下だった。
アランがいう。
「ホラ、俺の絵だ」
さらに歩くと、ひろいチューブ状のトンネルのような道路があり、軽自動車がとめてある。
「モーターカーだ」
のって、エンジンをかけるとスタートした。
「おおお高いぞ」
チューブはそのまま、上空を渡り、別のビルの屋上につながる。

パーカーがいった。
「屋上のアランアート展はビルの一階から基本出入りできない」
「どこから入る?」
「よその建物の上階から通路をとおって繋がるようにした」
「なんでだ?」
「変わった趣向にしようと思って」


アランのア―トが展示されている。
アルセウスがいった。
「落ち着いた雰囲気というのもあるが、酸素が薄いような気分だ」
アランがいった。
「確かにいいが…人口の空気を吸ってる気分だ。薬くさい病院か薬局みたいな雰囲気だな」
「神妙な気分になるだろ。どうですか、天界のアートとくらべ?」
「うーん。斬新だけど…モリモリしてるよ」
「ワインを樽で飲みたくなった」

その夜、
パーカーは樽を購入してきて、汲んで飲んだ。
「コックをひねると出るんだ」
「つまみはサラミとブルーチーズだけだ」
アランがいった。
「おれもこれでトレーニングエスカレーターにいける」
パーカーがいった。
「まて、俺でも時空警察にはアポをとりにくい。次のチャンスを待て」
アルセウスがいった。
「どうですか、クピドーさん白ワインは」
「キューピッドを酒で酔わせてどうするんだい?だれかこの弓で射ってほしいのかい?」
「それでクラークがききそうな、女の子の良い結婚とかは…」
「ああ、学んだけど、下界でいう大学をでただけで全部暗記してる教授と勘違いされると…」
「なるほど、そうですな」
「女の子が複数の男性にちやほやされたがるのは、結婚によくない兆候だっていうよ。一人に相手を絞らないと女性として位が上がらない。死後ね。男性と違うんだよ。それから、位の高い人、帝位のあるひとなんか、身分は高いが話が難しくて魅力的に見えない。どっちもほしがってもしかたないんだ。自分がいいと思う人にしないと、結局自分に愛がないと愛されない。大勢が集まるからでその人と結婚すると、みんな去ったりしたら、別の誰かに走る。情がないんだ。女性はそのレベルが上がるに従い情というものが芽生えて根ずく。人間らしい情だ。レベルの低い女性は悲しくない。他人の不幸がだ」
「男性の情を理解できるくらいでないと…」
「ま、そんなかんじだったよ。聖典を読んだけど」




14


バビロン


精霊の戦士が技を繰り出す。
「空中遊撃!」

654
「おおお、喰らえ!槍投げ」

423

クー^ルノイズブラスト  769

「破壊の威力は少ないが、どんな楯でも防げまい…」

「ぐあ」
「あぐぐ」
「これで小ダメージかよ」
「ガッ」

精霊たち全部に、光撃がくらわされた。


エジオン

とうとうクラークが到着した。
「おう!お参りに来たぞ」

そのとき、クピドーに大司祭アロンからテレパシーがとどいた。

≪クピドー!!いまどこにおる?緊急事態だ。少しでも戦力が欲しい。以前バビロンを破壊した悪魔よりまだすさまじい。魔人の女だ。いそいでもどってくれ!時空警察が駆けつけるまで持ちこたえねばならん!!≫

「アロン様!」
「?」

一同は話をきき、クラークはいった。「話はあとだ。天界に助太刀に行くぞ!」
クラークは宇宙船に乗り、パーカー達も船を出した。

「天界はどの辺の時空ですか?」
「まって、アロン様に伝える」
テレパシーで伝えると、アロンがホールを開いてくれるから入れという。

ゴオオオオオオ!

「あれだ!あのホールに飛び込め」

ガアアアアア




15


そこは天界だった。雲が波打ち、溶け出すかのように漂う。

クピドーが気配と、バビロンの様子とテレパシーから塔で戦闘が起きているのに気づいた。
「あっちだ!」


クラークたちは塔をかけ登り、「バビロンに侵入するもの」と対峙した。
「あれか!」
アランがアルセウスにいった。
「オレがいく。オレがやられたらアルセウスが動け」
アランはゴールドエクスカリバーを抜くとかまえた。
(まず、棒きれを一撃だけ喰らわす。そのあと拳打で勝負だ)
「いくぞ。とああー、棒きれは二秒まで」

アランは真上から剣をふりおろした。
「おろかものめ!」

「グ」
いつの間にかアランはパンチをもらっていた。
よろよろになりながら、剣をかまえる。
(やはりアランでは無理か…)

(くそ…いつ撃ったんだ?かくなるうえは…)
アランは突きをはなつ!

(ダメだ、殴るけるのアランは剣のかまえができてない)

「バビロンに侵入するもの」は二本の指先だけで剣をつまんだ。
(いまだ!)
アランはゴールドエクスカリバーをすてて、たこ殴りの姿勢に入った。
「おおおお、くらえや~!!」
「よっしゃ!殴るけるがアランの真骨頂だ」
アランは休まずたこ殴りにした。
「どおおおあああああ、死ねやー」
蹴りを適度にまぶした。

「もろに喰らってるな。いいぞ、いけ」

ピカ!
敵が光った。
気がつくとアランの拳は火を付けた油を注いだように燃え上がっている。
「うぎやあああ」
「バカ者に天罰を」

さっきの見えないくらい早い拳がアランのみぞおちをえぐる。
「ゴフ」
さらに、ようしゃない、見えないアッパーカットがアランを追撃する。
「ガフ」

アランはビクンビクン痙攣しながらうつぶせに倒れ、泡を吐いて気を失った。
「…」




16


アルセウスは考えた。
(…アランであれなら、いくらパワーアップしたとしても。一緒に倒れたふりをした方が良かったかもしれない…)

「クラーク…、わたしに倒せる相手ではない。やられたら頼む。できるだけダメージをあたえるのがわたしの仕事だ」

音速カブトを最大速度にして、ライト正宗をきりこんだ。
「とう。」
敵は平手でうけとめる。
0
アルセウスボンバー 170

ゴーストアクス  2341

みえない斧が襲いかかる。
「……」

「もうやられた!」
「アルセウス!トレーニングの成果はどうした!立て!」

クピドーが弓を影から構えている。
「…最後の一太刀」
アルセウスは起き上がると最大限力を入れて斬りかかった。
アルセウスクロス  999
死角弓      1001

ゴーストウィンドウ  1111

「ごう」
つむじ風がおこり、アルセウスは今度こそ倒れた。




17


クピドーが、倒れているアランとアルセウスに弓矢を引いた。
「イエスの麻酔薬…アラン様に完全に治療してもらうまで、麻酔で眠りなよ。たぶんいい気分で眠れる。ゆうべの白ワインのお返し」

プス

パーカーがいった。
「クピドーさん。わたしもやられたら、頼みます」
クラークがいった。
「パーカー…、お前の出番はない。たぶん俺とキューピットさんのふたりで確実に首をもげる」
「おお…」

「クピドーさん…、わずかの量を俺にうて、痛み止めと鼓舞剤だ。白ワインでの酔拳だ」
「わかった」
プス

大祭司アロンが聖なる太陽を二つの塔の上に照らした。

クラークは野球選手がバットをいじくるように、斧(モーニングスター)を両手に持ち、角度を調節した。
斧の刃に光があたり、聖なる波長にそろって、聖なる光線が襲う。

聖斧殺 2347

ピロロロロオ

上空に空を飛んだ男が現れた。
アルバート2

「おや、バーラルレディがやられてる。なかなかやるな」

クラークが叫んだ。
「おおお、いくぞ、やられてもパーカーいるしな。アロン様とかあってねーしな」




18


クラークがなおも言う。
「人に嫌がらせしてうれしい連中はそういう世界にいればいいのさ。俺たちは、仲間同士喜ばせることにいそしむんだ。よって、貴様はこの世界からでていけ」


アルバート2「なるほど…」


自由闊達 2487
ゴーストアクス 2140
ジォヴェの楯  123


ミノタウロスハンド  4000
ゴーストウィンド   1320

天罰の斧  5050

「ガッ!このおのれ!楯で防げまい」
クー^ルノイズブラスト  769

アバウトコントロール  7548
ジォヴェの楯     1560 キン

クラーク「ジォヴェの楯でダメージありか…相手の思考をダウンロード…」

めちゃくちゃな破壊の斧 8102

クラークは破壊の嵐となりバーラルレディにくりかかる。

アルバート「これは、やられるな。バーラルレディ…はじめてみるか」

クラーク 「宇宙の則(のり)には勝てないよな!自分が正しいというなら……自分の中の悪が自分を苦しめるんだ!!」

ズン

バーラルレディは首がもげて倒れた。

「ハァハァ…みたか…ハアハア」

カアアアアア!!

あたりが輝き、バーラルレディは生き返った。
しかも、青白く燃えている。

ボーン…

「これも…宇宙の則かえ?アハハハ…わらわに逆らうとはいい度胸だ。ひとりのこらず、こき使ってくれようか?はらわたを食いちぎってやろうかえ?!」



19


クラークは体力の限界だった。
「…くっ、酔拳で勢いが出たが、逆にスタミナが…熱がひいたら立てね…」

クピドーがいう。
「いいことを教えてくれた。苦労したら、損をするんじゃなくて成長する。経験値さ…ひまつぶしに人の顔に泥を塗る奴は、そういう世界に貶められる。だれも可哀そうでも助けられない」

パーカーが…
「オレがエジオンソードで間をつくる」

「いや、下界の人…僕の母は二代目バビロン城主ヴェヌス(ビーナス)だ。下界の神話ほど下品でもないが、やはり恐ろしい性格だし、息子の目から見て悪どいところもある。初代城主とは他学だ(別の世界から来た)。時の女神と姉妹なんだ。だが、ながいことバビロンを支配していた。母ならこいつを許しておかないだろう」
そういうと矢を番えた。
「一撃で仕留める!」

ヴェヌスの憤怒 

ガクガクガガガン!!!

光るスケルトンの心臓に矢である「ヴェヌスの憤怒」がつきささる。

「ぐはあ…ぬけない。ググググ」
≪貴様のような下衆がこの世界に足を踏み入れるな。自分の住み家に帰るがいい。同じ女である、わらわには、貴様の尻尾が丸見えだ≫

「ぎやああああぎぎぎい、くるしい。毒が…まわる…吐き気が…焼ける。血清によるアレルギー反応のように…」

クラークがしゃがんだ姿勢のまま、跳躍し斧で首をさばいた。
スパア

…ドサ

「またたおした」

ラストボスが自分の居場所から、復活の魔法を唱えた。
魔法が飛んでいき、バーラルレディを生き返らせる。

「まただ…いきかえりやがった」



20



アルバート「君らでいう、インターネットみたいなものだ。魔法を遠隔ではなつ…さて、どうする?」(独白)


アロンはその魔法の力をもって、バビロンの周囲の磁場をみだした。
言語がバラバラになり、すべての通信が妨害された。
クラークたちも魔法を使えなくなったが、バーラルレディが復活する呪文も封じ込められた。

「…」


さらにアロンは怒りの雷(いかづち)を二つのバビロンの塔(バベルの塔)の片方に落とした。

怒りの落雷 7842

ガガガガアアアアアン

バベルの塔からもくもくと煙が上がる。

≪敵はもはや生き返ることができぬ。いまのうちに打倒すのじゃ≫


それをきいて、バーラルレディはたけり狂った。

アルバート「おっ“”ぼくも魔法が使えないぞ」

「ここまで、わらわに楯つくとは。この姿を見たものは、二度と生きとし生けるものの仲間になれまい。後悔するがいい、おのれの愚かさを、廃墟の世界をはいまわる蟲となり、二度とは人に戻れまい。永劫の恐怖とみじめさと…寒さと飢えと」

クラークがいった。
「やかましい。貴様こそ、二度と生き返りの魔法を使えないぞ。今度こ…」

ゴア

バーラルレディは蝮(まむし)と蠍(サソリ)の合わさったような醜かいな化け物に姿を変える。
大きさも全長が7mはある。おぞましさ、まがまがしさが張り裂けるような暴風のように吹きつける。

さすがのクラークもじりじりとさがる。
(口を返さないとメンタルで負ける…が…すごい威圧感だ)

「く…て、…たてだ、ジォヴェの…」
だがクラークは恐ろしさの余り、体がうごかず、楯をかざすことができない。
ものすごい重力に逆らうように、川の流れに遡って歩いているような、吹き飛ばされそうな恐怖だった。

「グ…」

立っているだけで、凍りついてくるのがわかる。
クピドーが「イエスの麻酔」をもういちどクラークに撃った。
プス

「おおお、」
クラークは楯をかざした。
(お…)
すこしは楽になった。

クピドーが「ヴェヌスの憤怒」を死角弓でうとうとタイミングを計る。
大方の威圧感はクラークが引き受けた。

クラークは左手でジォヴェの楯をかまえ、右手一本でモーニングスターを組立てて、ハンマー(棍)にした。

フルスライニング      4561
ヴェヌスの憤怒+死角弓   3547

クラークはその場からハンマーを投げた。
バーラルレディの腹に直撃した。
「ガアアアアアア。血を吸いつくして殺してやる」

「とどめだ…」


21



クラークはマジカルポシェットを開けるとあたらしい剣をとりだした。
BON
「オートクチュール!!」

バーラルレディは硫酸と砒素の煙を吐きつけながら襲いかかる。
巨大な蝮(まむし)がはいずりまわり、尻尾はサソリだ。足にはムカデのように何本もの足が蠢いている。
「武器を持ったサルが!!」

「クラーク王の名義で城屋敷を抵当にいれて3クラウン借金して手に入れた宝剣だ。喰らえ!!青二才がなに年寄りみたいな言葉使いしてる!?」

「言い訳ばかりうまいな。哺乳類のケダモノが!!」
ものすごい威圧感と毒のけむりをはきながら動き回る。
口からは先が裂けた真っ赤な舌がしゅうしゅうのびる。

クラークはカーターのように跳躍すると、回転して、オートクチュールをバーラルレディの頭にたたきつけた。

オーバークラーク!!

トテ

芸術的な宝石でできた剣は、あっさりと壊れた。

世界に二本しかない宝剣オートクチュールは砕け散った。

オーバークラーク+オートクチュール 15000

アロンが1タラントンの重さの巨大な雹をバーラルレディにぶつけた。

Talent hailstone  4568

「グアアアアうしゅあああああー」

バーラルレディは断末魔の叫び声をあげる。
「苦しい…息が…そんな、バカな…生き返らない…我が主…我を救い給え!!」

アルバート2「無理だ。呪文がすべてかき消されてる。…アロンだけが使えるのか…?」(すべて独白)


22


バベルの塔は煙をあげてくすぶっているが、すべては終わった。
バーラルレディの死骸は時空警察が処理する。

大司祭アロンはいった。
「ありがとう冒険者たち。そういえば、以前前任者の行き過ぎをとがめたのも、その当時の冒険者だった」
クラークが進み出た。胸に赤ん坊の娘を抱いている。
「アロン様…娘を今、トテッチと名付けました…祝福していただけませんか?」
「わしの祝福でいいのなら。汝トテッチに幸あれ!やがて汝に良い縁談のあることを願う。

葡萄酒は食卓にうるおいを与え、豊かにする。
白ワインで歯磨きするのはもったいないが、
水ばかり飲みすぎて胃を害したものは少量のワインを用いなさい」


「いいなあ、ああいうの」

パーカー達はそれぞれの帰路についた。