バーラルレディ襲撃
1
エジオン
パーカーは基地のコントロールルームでイスにもたれて居眠りをしていた。
突然電話が鳴った。
PPPPP
「はっ、なんだ!?アルフレット!?ウルフか」
電話に出たのは女性の声で、時空警察からだった。
≪緊急事態発生。レーダーで確認していますか?バーラルレディが数体エジオンに接近しております≫
「なんだと!?ホントだ」
≪強力なモンスターのため時空警察から二名派遣いたします≫
「すまない」
≪ジム隊員とタイガータンク隊員の二名です。戦況により応援を送ります≫
パーカーはジャイロダインの司令室に電話した。
モニターにウルフが映る。
「襲撃だ!ウルフ。アルフレットとアルセウス…ああ、やつはビーナスだ。アランをおくれ。強敵が集団で来る」
≪パーカーさあん、ジャイロを狙われたら危険ですよ≫
「そうか…!ならアルフレットをジャイロダインに置く。アランをエジオンによこせ」
≪ラジャ≫
レットはもうエジオンで暮していたが、ファジオはどうだろう?
パーカーはレイチェルモンドに連絡した。
「連絡を取ると彼らは向かっています。オーブリー氏とファジオが」
「…場合によってはカーター氏に応援を…いや地球も襲われるかもしれないしな。敵とどっちが先につく!?」
「ファジオたちです。レーダーの動きから予測すると」
彼らはロシアの病院を退院し地球から向かっていた。
2
パーカーが叫ぶ!
「バリアだ、あれで建物のない戦闘しやすい地域に誘導しろ」
レイチェルモンドがいう。
「…イエス。ですが…敵のパワーをかんがえるとバリアをひきちぎるかも」
「ないよりはいい」
アランが到着した。
「アルフレットはジャイロダインを死守するといっていたぞ。オレもパワーアップした。力になれる。前に戦ったときはずたぼろだったけどな」
レイチェルモンドがいう。
「私とアラン君、パーカーさん、じきにオーブリー氏とファジオがきます。5人で戦闘ですか」
パーカーがいう。
「敵もぐんぐん近づくバーラルレディの編隊だぞ!?一匹で危ないのに」
「ガオンとレベルが違うからな」アランが力んだ。
3
パーカーは煙草を何本もすいつくした。
ファジオたちの到着の知らせを黙って待ち、レーダーに見え隠れするバーラルレディの集団を見やり、いらいらしていた。
腕を組んで立っている。
コーヒールームに行っては喫煙した。
「レイチェルモンド、こういうときはソルジャーを整列させて待ち構えたいもんだな」
時空警察の応援もまだ来ない。
4
ハウエルスの手にビームサーベルがにぎられている。
ちゅおうん
400
アルフレットはスペースブレイクをつかった。
「スペースブレイク約四分の一」
大地震のように異次元空間が揺れる。
ズームムムウン
ハウエルスはふっとび、そのままたおれがっくり動かなくなった。
トルルッルウル
不思議な機械音が鳴る。
ハウエルスはのろのろおきあがり、イスに座る。
充電されている感じだった。
上の空間から音楽のジャケットのようなカラフルな映像がとんできて、ハウエルスの金属の体全体に映った。
「虹が輝くようだ」
映画のように、何もない空間にTV画面のようなものが浮き出る。
それはまだ存在しない異次元世界であった。
苦労をして成長する人間と違い、装備するアイテムによりパワーアップするハウエルスの世界。
金がすべてともいえるが、倒した敵から装備を得ることもある。
人間社会、古代から文明の現代まで嫌気がさした人が違うルールの世界を求めて暮らせるように設計されていた。
「モデルハウスのCMのようだ」
「ああ…」
5
レイチェルモンドがパーカーに報告した。
「レーダー、またターゲットを見失いました」
「クソッ!宇宙船と違いサイズが小さいから…!!」
ファジオとオーブリーがエジオンのエアポートについた。
エルダがむかえにきていた。
エジオンは緊迫している。
「ファジオ、これから戦争だよ。準備はいい?」
ファジオは無言でうなずく。
「地球でも戦ってきた。前より慣れた…」
パーカーの基地に集まる。
オーブリーが挨拶した。
「あ、ああ、パーカーさん。オーブリーです。クラーク王から使わされた」
パーカーは片手を差し出した。
「オーブリーさん、よろしくお願いします。ジャイロダインの見学はバーラルレディとの戦闘の後だ」
「ええ、強敵だとか」
パーカーはイスにすわってモニターをみているレイチェルモンドにいった。
「どのくらいの戦闘力だ?敵は」
「時空警察のコンピュータ、リトルによると…」
6
エジオン周辺は磁気嵐にみまわれた。
「吹雪でもないのに、見えない磁力線がふぶいている感じだ」
「たしかに、思考も混乱します」
オーブリーとファジオはコーヒールームで待機していた。
アランが無料自動販売機で缶コーヒーをとってきた。
「まあ、ニュースでも見ていよう」
そういって壁にビックなニュース画面が映る。
ジャイロにいるレットが映った。
≪ジャイロダインは任せろ。もう一人の俺アルフは遠くで何も知らずに旅をしている≫
オーブリーがいった。
「あ、アルフレットだ」
パーカーが入ってきて煙草に火をつけた。
「どうも、バーラルレディの体から妨害電波の嵐が発生しているらしい。近いぞ」
「目に見えない吹雪みたいです」ファジオがいった。
レットがいった。
≪僕からの贈り物だ≫
メールを送ってきた。
壁の大きな画面からメールが飛び出してきた。
ホログラムのカラフルな玉や星の形の立体がジャラジャラと落ちてくる。
オーブリーがいった。
「やめろ、光の塊が落ちてくるぞ」
≪ははは、電子ブックもとびだすぞ≫
7
タイガータンクとジムが小型時空警察艦にのってエジオンに向かう。
タイガータンクがジムにいう。
「エジオンのパーカーっていう人の手腕を見るのが楽しみだよ」
「僕もよく知らないけど」
「今まで戦ったっていったってガオン程度なんだろ。今度の敵なんて危険度大だ。おれたちは警察で有料で援軍やるだけだけど、上のひとなんか下から槍で刺されるんだよ」
「紂王と百官」という歴史小説を広げている。
〈朕(ちん)からすると、あの武成王でさえ、自分の我の勢力を張るために発言したりする。確かに商(殷:イン)の国で歩が悪くなっては苦しい。それは百官誰しも同じだ。商を守ることにかけて誠実さと勤勉さで並ぶものは確かにいない。だが、職務が個人の私情、一身上となっている。聞仲(聞太師)は朕の身を慮って諫言するようでいながら、朕をたてたりはしない。代々の商に忠誠を誓い、この紂に忠誠を持たぬ。この二人なくしては、商の大きな祭りごとに差し支える上、まだ、このふたりは朕の片腕がつとまるから、迂闊に逆らえぬ。生身の人間でなく超人の…うんぬん。
思えば朕の権力の届く範囲など狭い。諸外国に対し権威があるといえ、商の中では紂の一存でできることなど限りがあり、朝廷の印がないと認められないことが山ほどある。うんぬん〉
「この紂王が座布団何枚も重ねてあぐらかいて、どっしり座っていると聞仲とか武成王に下からドつかれると、ピョンと跳ねあがって慌てるのがおもしろいんだよ。オレもこの城で奉公して暮らしてみたいよ」
「百官たばねる王?昔の歴史ものか。君とかマナー悪いとかいわれるような気がするな」
「なんでだよ」
「荒れくれものの血を引いていそうだからだ。僕とかひ弱だけど生え抜きの組織人だからだ」
「フォン・ノイマンって科学者IQが高いだろ。悪人みたいに言われるけどメガロポリスにもどったら伝記たくさん買うよ」
「緊張してきたな。こういうんだよ。オレにはコイン一枚であとはいらねぇ」
8
パーカーがいった。
「バーラルレディの宇宙空間の移動の遅さは、宇宙船でないためだろうか」
レイチェルモンドがいった。
「それもありますが…どうも、進路をまよっているような」
「エジオンからの近距離をガードしているのかもな」
ファジオがコーヒールームから出てきた。
「…」
パーカーはふりむいていった。
「…まだだ、敵はこない。それより時空警察の方が先に到着するな」
9
タイガータンクがいう。
「自分が下っ端の仕事やらされているとき、店や町に欲しくて素敵なもの並んでいるように見えるだろ。でも買えないだろ」
「…」
「偉くなると酒がおいしくなるくらいだろ」
「下っ端でも美味しいけどな。もうつくぞ」
「オーバーランスのでかいの二挺かついで活躍するとバズーカ肩に担いでる気分になるんだよ」
エジオンに船が降りた。
ジムがいう。
「時空警察のジムです。よろしく」
「早い到着でうれしいです。敵はまだ来ない。うろついているようにすら見える」
パーカーもいった。
オーブリーがファジオにいった。
「かなり人数がいる。これなら」
10
タイガータンクがいった。
「たしか、地球という星この近くだろ」
レイチェルモンドが返事した。
「ええ、地球はむこうで、宇宙船の開発が遅れていますが、コンピュータとスマートフォンがかなり進んでいる…」
パーカーがさけんだ。
「きたぞ!」
ゴゴゴゴゴとあたりが揺れだす。
思考をみだす電波で人間不信に陥りやすくなる。
「!?バリアをさけるようだが」
「こっちのもくろみどうり、建物のない位置に向かっています」
「見えるのだろうか!?バリアが」
「なんとなくみえるんだろ」タイガータンクはオーバーランスをかついだ。
全員外に出て自動車でむかった。
レイチェルモンドは基地で連絡かかりだ。
「三体いるぞ、これだけか」
車のラジオでレイチェルモンドが応答した。
≪ガー、どうやら上空に数体待機している様子≫
「くそう、妨害電波でよくみえないか」
「砂嵐で雲隠れだ」
有無をいわさずタイガータンクが左右の槍を肩から打ち下ろすようにはなった。
ドン!ドン!
バーラルレディはバリアをはった。
赤色の滲んだ光に包まれる。
ビィィィィン
一撃目を手で防いだ。
二撃目はかすった。
654…
「バリアか…それでもダメージがあるな…」
ジム、タイガータンク、パーカー、アラン、ファジオ、オーブリーとならぶ。
真ん中のバーラルレディがエントロピーを崩壊させた。
ン・オオオオオンン
パーカーが腕で顔を覆う。
「熱と違う熱だ。精神が蒸し暑い」
ファジオもいった。
「闘気が高まらない」
オーブリーがスカラムーシュを放つ。
ビシ
長い爪ではさみのように剣先を防ぐ。
「バーラルレディ・ヨルムンガンドル」
毒気を含む煙がもうもうと上がる。
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