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2013年7月24日水曜日

ゾンビ工場侵入


ンビ工場侵入











1


カーターはイスカンダールの鎧をきたまま旅していた。
重甲なわりに軽量だったが重い。
馬を買って背中にのったり、引いて荷物をのせたりして歩いたりした。

ポートシプスから帝国ギズモンドは比較的近い。
カーターに関する監視の目から、目だった行動はとれなかった。
帽子を深くかぶり、顔をみせないよう、気づかれないように気を配っていた。

ギズモンドで宿をとったが、それほど怪しまれなかった。
地図を買ってきて、宿屋の酒場でひろげると、空港ははるか南下した土地に位置する。
インプはそこがゾンビ工場の本拠地だという。
「宇宙船にのると帰れるな」

改造ゾンビもフレッシュゾンビも襲ってはこなかった。
だが、なんとなく居づらい。
朝早く宿をひきはらって、旅だつことにした。

壺にはいった洗面用の水をまくらもとの洗面器に注ぎ、埃を落とした。


岩がごつごつした平原という感じが続く。
野宿もありうる。
だが、のんびり歩いた。



2


スネークナイト二体にネオの超能力が炸裂する。
「ネオダイナマイト!!」

チューオンンンンボム!

スネークナイトは突然の爆発にふっとんだ。
ジムがステンレスソードで襲いかかる。

ギン
敵は簡単ではなかった。
腕が達者で、スネークソードも硬い。
ジムのステンレスソードはたちまちボロボロになった。
「ちっ!ダメだ、安ものだぞこの剣」

グッド・ソードをポケットからだして握った。
「はっ」

スネークナイトの固い骨の表面を爬虫類のうろこだけがおおった顔に刃が滑り、はっくりめくれた。
血がほとんど出ない。

スネークナイトは毒ぎりを噴射してきた。
「くお!?」

「どけ、ネオダイナマイト」

二発目のマイトでやっと敵は動かなくなった。
「勝った…ハァハァ。強いぞ。これで特防隊二匹いるのにか」
「さらに奥か…洞窟が複雑になっていそうだ」




3


アルフレットはエドアールに電話をかけた。
「…」
≪はい、こちらラグナロク軍、駐屯地、ああ、おいエドアール、エカルテの方から電話だぜ≫
「第二次アリスタンダー討伐隊編成だ。わかってるな、荷物や装備をきっちり用意して来い」
≪わかった。出発はいつだ?≫
「あさっての朝、エカルテのエアポートに現地集合だ」
≪OK≫

オーブリーにも連絡した。

当日

クラーク、秘書猫、エドガー、ホワイトが見送った。
「あいかわらずだ。ザールが霊玉をいくつかくれた。無念を晴らしてくれといっていた。修業をするとかいっているぞ」
クラークたちはエアポートの中で話している。

エドアールはオーバーランスを肩に担ぎ、グッド・ソードの鞘からショルダーシートを肩にかけ、半柄の剣は置いてきた。
「それが賢明だ」オーブリーが力なくいった。

「テレポートソードを貸してもらえたぞ、もっていけ」
オーブリーはテレポートソード、イーグルフルーレ、ブルーレイピアの三挺しこんだフル装備になった。
「なんか重いぞ、肩が凝るリュックサックも詰めすぎた」

「いまごろ、あわてて空港の売店で買いあさるやつはおろかものだぞ」
アルフレットがいった。
「仕事だからな。観光じゃないぞ」クラークがいった。
「おっと、そうだった。クラーク君、いいことをいう」

「頑張ってきてください」秘書猫がいう。
「若者の時代だ。惑星バルハルに直行するんだろう?」エドガーがいう。

ホールも人の流れが邪魔してとどまっていられない。
ぐるっとショッピングセンターやインフォメーションセンター、通路口、エスカレーター、レストラン街、待合用のイスがならんでかこみ、背中を覆うように観葉植物のしげみがつくられている。

「簡単で悪いけど、見送りしたぞ」
「ああ、いってくる」


オーブリー、エドアール、アルフレットの三人は船にのった。





4


ネオがいう。
「給料をあんまりもらいすぎると超能力が弱くなることに気がついたんだ」
そういって、スネークナイトの剣を拾う。
「これでいい。スネークソード、硬くて斬れそうだ」
「よし、すすむか」ジムが歩きだす。

二股の通路があった。
ジムは無言で右を通過した。

少し先に落とし穴がある。
「…飛び越えるのは不可能だな」
そういってネオをふりかえる。
「安心しろ、ロープなんて持ってきてないぞ」
ジムはまた落とし穴を見た。「ジャンプ力を駆使すると天井に頭をぶつけるぞ」
「ホントか?」
二人は引き返した。



惑星バルハル


草原の岩がすくなくなって茶畑のような草原だけになってきた。
カーターは馬を手頃な木につなぎ、腰を下ろした。
「鉄道が走っていないなんてどういうことだ?空港からギズモンドまで遠すぎる」

答えを言うと、よその惑星にあまり干渉されたくないから不便にしている。
広い土地がちょうど今の空港のあたりだという。
さらにゾンビ工場の人目を避けるなどの理由だ。
完全によその星とやりとりできないとギズモンドの連中も不便なので、辺鄙な土地に空港を建てた。

固形燃料のふたを開け火をつける。
乾パンと乾し肉と水筒の酒を飲んだ。
川が見つからない。
イナゴを捕まえて落ちている枝に三匹さして、焼いてみて口に入れて見た。
蜜のような甘い味がする。汁だけで喰った気がしない。
カーターは飲み込まずぶっと吐きだした。

固形燃料にふたをして火を消し、ごろんと横になる。
毛布もいらないくらいだった。
朝、冷えて目が覚めた。
荷物から毛布を出してくるまった。
朝日が斜めの角度に上っていた。
「地球と同じ光景だ」



5


船の中はシンプルなイスが列車のようにならぶ。
完全20時間で惑星バルハルの空港に着陸する。

「惑星間時差ボケにきをつけろ」
アルフレットはそういって座席に深く腰を下ろし、腕を組んでめい想するように目を閉じた。

「設備が少ないが直通高速船だ」
エドアールが携帯端末で船の航海情報を見ていった。

シンプルなルームのように四人掛けがほかと簡単に区切られている。
単色の二色刷りのようなデザインで経費を極力おとしたまま、清潔でおしゃれなデザインを心がけているという感じで運賃もそうだった。

エドアールが音楽をイヤホンで操作してかけた。
「いや、かけろ…」
オーブリーが座席の赤外線受信装置をゆびさした。
半透明の赤紫のレンズがついている。

スピーカーから自分たちのエリア内に音楽がながれた。
かなり高速でステレオのきいた音楽だったが、自分たちの座席をはなれるとさみしいくらいしか音楽が届かない。
向こうでも音楽をかけているが、聞き取れるか聞き取れないくらいだ。

「スポーツの中継なんか、見られないときなんかニュースでチラとみるんだ。そのほうが、まとまってわかるときがある。たまに中継を見るほうが満足するんだ。全部見ていたらきりがない」エドアールがくつろぎながらいった。

空調が心地いい。最小限の労力で最大限居心地が良くなるよう設計されているらしい。
「外にいるようなここちよさで、外にいるときの天然の苦しさがないな」
オーブリーも音楽を聴きながら背もたれによしかかる。

エドアールがいった。
「この音楽はダウンロードして買ってきたばかりだが…、初めて聞く音楽って頭の前、おでこの前頭葉を駆使すると感じたことはないか?はじめての手習いなんて、全部そうだ。頭の中の意思の手をいちいち意識してつかれる。なれると頭の後ろで自動に近く処理する。座席に落ち着き払って、無意識に片手で操作しているみたいに」
「うーん、慣れた作業なんか確かに無意識にいじれるな」
「音楽もだ、手放し運転で聴けるようになるには、繰り返し聞かないとない。そのころがいちばんいいんだ。さらになれると聞きあきる」

アルフレットが声を出した。
20時間でつくってことは?何時につくんだ」
「俺たちの体内時計で早朝だな」エドアールがいう。
「すぐ戦闘になるから宇宙船の中で寝とけよ」
「そうだな」



6


エカルテ
クラークが王座で処理していたが愚痴をこぼした。
「風当たりが強いな。王座に座っているだけでクレームの嵐だぞ、カスタマー用意したいな」
エドガーがいった。
「全部、王でないと処理できない案件じゃ。人を雇うといっても無理だな」
「もう一人王が欲しいな。『二人の王』とか。心臓、運動のしすぎでバクバクいうほど疲れるぞ」
秘書猫がいった。
「中央にいる者へのクレームとかなんて膨大になりますよ」
「矢のような催促だな。心さびしくなるぞ。またメールきやがった」
「エカルテも不満がガスのようにたまっているですな」ひとごとのようにエドガーがいう。


エドアールが地べたに置いたグッド・ソードの鞘を見せていった。「ソードロックだ。買った。指紋をすべらせて認証しないと剣がさやから抜けない。盗難防止と事故防止の機能だ」
鞘のところに、剣が抜けるのを抑えるホルダーがついている。

オーブリーは顔をしかめていった。
「またそんなー。どうせ、いざというとき抜けないだのなんだのとなるんだ」



7


「ドライサウナ!?」アルフレットがいった。
「あそこにでているぜ」エドアールがいった。
観葉植物などでさりげなくエリアを区切られているが、あっちのほうにたしかにある。

「いってみるか」アルフレットが立ち上がった。
「おう、みてきてくれ」

回転ドアのようなスタイリッシュな入口だ。
ドライサウナの部屋にはいると、単純だが見たことのない床の模様があり、土足で上がっていいのか迷った。
「アメリカンなぼくでも気軽に踏めないな。模様と踏むとどうなる?」

ここから先が雨でこっちが晴れ、
ここから夜であっちが昼。
そんな感じで異世界を感じる。たった数センチで。

のっかると、気圧が違う。
ツーンと耳が鳴る。
さらに温度が冷凍庫のように一瞬だけ低温化する。
寒いと思うと熱帯のように熱くなる。
「気流がここちいい」

G(重力加速度)がかかる。
体重が重くなった気になり軽くなる。
余分なストレスを短時間加え、リフレッシュする。

土のにおいが鼻をかすめる。
「そうか、建物の中から外に出ると、すぐ鼻が満ちて、うるさくて耳をふさぎたくなるのと同じだ。胸が悪くなる。匂いの濃度が高すぎて。だから、ありがたいと気づかないんだ。ごくうすいから心地いい」

「ドライクリーニングがこれなら、サウナは全自動洗濯機だ」
光がキラキラ見えて、眼球のストレスを洗い流す。
「まぶしいサンを浴びて日光浴だ。モニターの見すぎが、目に血が流れていく」
また温度が下がる、上がるかと思うと下がる。
メロディーのように温度が変わる。
「こりがほぐれるな。同じ姿勢が長いからな」
脳の中までホースで水をくぐらせたかのようにリフレッシュする。
無音で赤外線がくる。
通り過ぎて寒くなる。

「ああ、終りか10分だけ」




8


惑星バルハルに船がつき、搭乗口から階段を下りた。
エドアールがいった。
「最新のサバイバル兵器で大自然と戦うんだ。SFのように最新技術を携帯できるよう進化している」

アルフレットがいった「アウトドアのサバイバルグッズか」

オーブリーがくびをふっていった。
「ぼくの時代は本当に自然が残っている時代だった。近代アイテムはわかるが…」

「最先端の科学技術でコンパクトに開発された、宇宙技術のアイテムでいきのこりをかける。叡智を駆使しながら原始人のように文明をはなれた行動だ」
アルフレットが発言するかのようにいった。
「そうだ、文明と離れて生きられるか!?体がなまるんだ便利な世の中でくらすと。それに最新兵器の威力を自然の困難さとのバトルで測れる」
オーブリーが嫌そうにいう。
「なるほど、未開拓の原始人にはない知力の塊があるわけか。原始人のとき難儀したリベンジだ」

「不便を限られたアイテムで攻略か」アルフレットがいった。
エドアールが煙草をくわえていった。
「ラグナクロクじゃ都市社会に合わせた最新マシンしかあまりない。宇宙開拓くらい厳しい現実と闘った知恵の密集するアイテムにあこがれるな」
「『電池がないと動かない』だと軟弱なんだろ」オーブリーがいう。


アルミニウムの白銀色の単一的な空間。
細い配管も太い配管も入り組んで壁を走るバルハル空港。

「見渡す限り広い。空港にはもってこいだが」
エドアールは火をつけた。多少の雨風で消えないサバイバル用のライターだった。
オーブリーが咎めていった。
「なんでデザインがSFみたいに刺激的なんだ」
「そうだぞ、『サバイバルグッズにたよっていきのこりました』っていっても金の力みたいだけど」アルフレットもいった。
エドアールがおちついて答えた。
「きっとスポンサーがたくさんつく会社なんだろ。だからデザインに金をかけられるのさ」

空港はハッと気がつくと、橋の下をみるとあっちの通路をゾロゾロ生気のない人が一定に歩いていく。

「人がいるのかいないのか…」

携帯用灰皿にたばこを消していれた。
なかは無人のようなひとがいるようなだ。
「めんどくさい。シェルターのように閉まる扉を壊して通行するか」
アルフレットがいった。

みるとカーターが、ひとり通路から下のフロアを見下ろしている。
「!まさか…カーターか?なんでこんなところに」
「その声はアルフレット…ハハッ頼もしいな。同じ目的だといわなくても分かる」
「アリスタンダーかカーター」
「まあ、そうだゾンビ工場がこの空港の地下辺りにあるらしいが…迷路で体力と労力を浪費するところだ」



9


カーターとアルフレットたちはぐるっとアルミニウムばりの殺風景な空港内をまわってみた。

「うむ。たしかにはっきりした証拠がないからな」

異国の世界の人間が言いがかりをつけるにも程度があると気がついた。
音だけ聞こえる…

ゴゴゴゴゴオオオンン
「なにか大きな扉が閉まったな」カーターがつぶやいた。
窓を見ると普通に高いくらいの高さから扁平な草原が見える。もっと遠くには平たい山が見える。退屈な景色だ。

オーブリーがいった。
「今、電話でクラーク王にきいたが、連絡船の業界ではバルハル空港はあまり離着陸したくないのが業界の常識らしい。だが、はっきりした理由はない」
「たちよって、戻れなくなりそうで嫌なのはなんとなくわかる」エドアールもいった。

粗末なベンチがある。
エドアールは腰かけた。たばこを吸う。
サビがすこしある。

「どうする。打つ手なしも違うけど、強行突破にも動機が足りない」アルフレットがいった。



10


洞窟の牢のなか、ポールとアルセウスが目をさました。

アリスタンダーの声が聞こえる。
≪ヘラクレスだけ、出ろ。魔法陣の結界から私をだせ。そうすれば仲間も開放する≫
「なに!?」
「難しい取引だ」アランがいった。

ヘラクレスがテレポートのように外に出された。

悪魔は人間をその気になれば八つ裂きにできるかもしれないのに、呼び出した人間のいいなりになっている。
魔法陣の外に出るためには人間の許可がいるからだ。
誘惑や取引は可能だが、契約違反がなぜかできない。「ぐぐぐぐ…」

アリスタンダーが結界の外に出るには自分の力を圧縮して、弱い力にならないとバリアを通りくぐることができない。
そのため、結界の外では全力が出せない。

だが、ヘラクレスが結界を切れば、自由に外の世界に移動できる。

ポールがいった。
「水が飲めるが…自分たちは脱出できるのか?」
アルセウスがいった。
「魔王は結界を破らなければ私たちを出さない」
「ヘラクレスが切るさ」
アランは寝ころんでいった。



11


エドアールがいった。
「オレたちには頭がないのか。これじゃやり手の詐欺師にうまいことだまされてボコられそうだ」
「おひとよしはこういうとき苦労するものだ」アルフレットもいった。
オーブリーもいった。
「なんか正義の味方だから、足もとみられるというより、力で解決してばかりの頭の悪い人みたいなんだ」
「『関係者以外お断り』のドアに侵入するか。聞かれたら『おとしものありませんか』って」
アルフレットがいう。

従業員入口をあけてみた。
係員がいる。
「なにか…?」
「いえ」アルフレットが弱気になった。

「ハッ」
オーブリーが突然とびかかり、あっという間にブルーレイピアを突き立てた。
「なに!?」
「オーブリー!!?」

制服をはぐとフレッシュゾンビの体だ。
「これは」カーターがいう。
「なぜわかった」エドアールがきいた。
「クラーク王にいただいた、ラッキーストーンが共鳴した」
「ガサ入れだ!手掛かりを探せ」元・現役警察官のアルフレットがいう。
「なるほど聖なる力が抵抗を受けたのか。コイルと磁石で発電するみたいな」カーターが納得した。
「まえにあった。ラッキーストーン…」エドアールがいう。


室内には機類がある。
「通常見慣れた端末じゃない」アルフレットが少しいじってみる。
「時代が古いのさ。今の時代のスマホはみんな似かよってるだろ。軍事用コンパスでなんとか」
「ならないだろ」オーブリーがいう。
「レバーが重い。油圧式か!?アルフレットパワー」
ゴリ
遠くの奥で扉が開く音が聞こえた。
ガガン



12


「やはり扉か」
「ぴったりしてるけど、すきまがみえてたもんな」

中をくぐると下りの階段がシンプルにある。
目の前を広い面積のウォールがバーンと広がっている。

おりると、ドアが狭くある。
「開くぞ」

なかをとおると、ドーンと上まで吹きぬけている。
「…床はそんな広くないけど、高さが極端だ。だから異様に見える」
「普通は何かの意図があるけど、意味不明だから見慣れないんだ。何のために天井が高いんだ」
「軍事用…!?」


さらに歩くと体育館の冷凍庫のようなエリアにでた。

改造ゾンビ、フレッシュゾンビ、ゾンビトロルが蜂の巣を壊したように群がってきた。
「なんの施設なんだ!」
「ゾンビ工場だ」カーターがライオンソードをふるって、先陣を切ってショットを送った。

ウゥウウンン

ライオンショットは複数のゾンビに衝突してはじけた。
「ライオンソード…ぼくの右腕だ」アルフレットが懐かしそうにいう。

「一番でかいのが赤男だ」
よく見るとダイダラボッチだった。



13



エドアールがオーバーランスをかまえる。
「こいつら、全部葬り去るまで帰れないぞ」
無数のゾンビに飛び込み、槍を繰り出す。

カーターは囲まれないよう距離をとってショットを撃つ。

アルフレットは一番端の入口に腕を組んで、立って黙って見ていた。

オーブリーはイーグルフルーレをマシンガンのように撃った。

だがすごい数がいる。むこうもダイダラボッチが立ったまま待っている。

「君も手伝えー」オーブリーがアルフレットにいう。
「アウトセーバー抜きで手伝おう」
アルフレットボールをシルクハットから飛び出す兎のように連発する。

チュドーンボボボボン!!!

ゾンビの腐肉が焼ける匂いが、迂闊に焼き肉にも似ていて、胸に吸い込みそうになってあわてた。

鉄拳!
アルフレットは雪崩のように向かってくる敵兵に鉄拳をたたきこみつづけた。




14


エドアールに改造ゾンビやフレッシュゾンビが次々つかみかかる。
「く、おおおお」
バカ力でオーバーランスをふりまわしてひきはがす。
槍をゾンビの頭に直下におとす。
べし、びぎゃ!
半分腐った頭が卵のようにつぶれる。
拍子をはずして、エドアールは思いっきりランスの尻を後ろに引く。
ドガ
後ろのゾンビの腹にランスの尻が直撃する。
「おおおおお」

オーブリーがさすがにしんどくなるほど、ゾンビ達にしがみつかれた。
ラッキーストーンがキーンと鳴る。
ゾンビの動きがのろくなるか一瞬静止する。

「いまだ」
オーブリーはフルーレを相手の頭に直撃してはかいする。
一撃一撃で頭がもげるほど力を入れる。
「だんだん体力が持たないぞー」


カーターはライオンソードを的確な位置に計算して効率よくショットする。
複数のゾンビがカッターで粉砕されていく。
素早い身のこなしと跳躍をコンビネーションさせて動く。
近くのゾンビは軍靴でかかと落としを喰らわせる。
オーブリーもカーターも鎧のせいで体は傷をうけないが、顔や腕をひっかかれ、毒も受けていたかもしれない。


アルフレットがスキーのジャンプのように、腰をかがめた姿勢のまま、拳を一本突き出す。そのままオーラで滑るようにゾンビの群れを突き破る。
火花が足から腕からバチバチはじけていく。
不安定な体勢でサーフィンのようにゆれながら拳のオーラでゾンビをはじいていく。
最後に無理な姿勢のままジャンプしてダイダラボッチにとびかかる。
エドアールが叫んだ。
「おう?なんであんな動きができるんだ!?」

アルフレットは跳躍しオーラを込めて手刀をたたき込む。
「があ」

ダイダラボッチは3102のショットを喰らった。
ゾンビの数は減ってきたがまだいる。

エドアールが「おおっ!」と叫んでオーバーランスを力いっぱい投げた。
勢いよく飛んでいき、ダイダラボッチの右肩につきささる。
「がああ」
ダイダラボッチは左手でランスをぬいてほうりなげた。

エドアールはソードロックのホルダーをすばやく指でスライドさせ、ロックを解除する。
カシィイイン

グッド・ソード刀身であたりが光る。
「おおおお」
袈裟掛けにゾンビを肩から半分にぶち切る!

「ひさびさの鉄兜!」
ゾンビの頭が砕け散る。
「あばだま!」

アルフレットが適当に回転してソバットを巨人に叩きこんだ。
「おおおりゃ」
さらにオーラを流し込む。
巨人は快力でつかもうとするが、輝くアルフレットはつかまらない。
反対に左手を空中状態のアルフレットは巨人頭にのせ右手の鉄拳を顔面に炸裂させる。

ドシ


敵はとうとう全滅した。


15


ゾンビの死骸や腕などの残骸が散らばっている。
骨と腐った血みどろの体育館のようなエリアを抜けると、また無機質な白銀の通路が続く。

みな、汗だくになっていた。
荷物もある。
傷も手当てしたい。
敵の返り血で、服も何も汚れていた。

てごろなスペースに地面に座り休憩をとった。
「敵もそう襲ってこなさそうだ」
カーターは荷物をごそごそしている。

「大群がいるような、シーンとしているような。夏の田舎の駅とかみたいだぜ」エドアールが水筒に入れた水薬を頭からかける。
「なんで手りゅう弾みたいな水筒なんだ」オーブリーが擦りむけをなでながらいう。

アルフレットが「ホラ、薬草」といって何枚か荷物から出して床に置いた。「深い傷の奴はいるか」
「オーラで治療しろ」オーブリーが薬草を傷に貼った。
「それはダメだ。受験生が東大入試問題20問解くほどめまいがする」
「?オーラを使うと精神疲労が!?」「そうだ」

「イスカンダールの鎧を着てるからな。ほとんど顔や手足だ」カーターは固形燃料に火をつけ、アウトドア用のポットで湯を沸かしだした。「インスタントだが、コーヒーをいれよう」
「オレは鎧がないからな、かなり引き裂かれたが水薬をつかえば、むずがゆいくらいに癒えるさ」
ステンレスの軽いカップにコーヒーをいれてお湯を注ぐ。
湯気が出ている。
「疲労したからだにコーヒーはきくな」アルフレットがいった。
「のどが渇いていたから、一気に飲んでしまった」エドアールがカップを置いていう。
30分以上その場で休んだ。



16



一行はさらにすすむ。
直下におりていく螺旋階段がある。
「かなり深く降りるぜ」エドアールはかなりつめこんだ荷物をもって、さらに大量のゾンビとの戦闘で、すこしふらついてきた。

「体力がないぞエドアード君」アルフレットがいった。
「ふー大丈夫だ」


バイオテクノロジーの研究施設がある。
実験器具、水槽、水道、薬品、試験管、フラスコ、書籍がある。
だが、研究員は見当たらない。

さらにさきに、さっきのような広い部屋にでた。

あかあかと肉の鍋が煮られ、ぐつぐついっている。
DNAカーターともうひとり同じくらいの身長の男が立って見ている。
ふりかえった。

「報告は確かだったようだ。ハーランドからの邪魔ものが来ると」
「今日は戦力のゾンビも研究員もあまりいない日だが」

カーターがきいた。
「おまえたちは?」
「魔王アリスタンダーの分身体。ゾンビ工場の管理者だ」
そういうなり、レバーをおした。

巨人の檻からぞろぞろ、赤男とダイダラボッチがでてくる。

カーターはアロンの剣を握った。
「一、二、三、全部で六体いるぞ」

オーブリーもテレポートソードを握った。
「こっちは四人、向こうの巨人は6…」

「ぼくが二体相手しよう」アルフレットは赤男とダイダラボッチをあいてにする。

「オレも二体だ。だが、後ろの男はまかせた」



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