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2013年6月25日火曜日

サーベル・ブリング saber bring



会社マンガ小説

時空小説を休んで…  未完成作品集








 
 サーベル・ブリング saber bring

サーベル・ブリング saber bring







1      サラリーマン想像図


隣の新入社員の女の子がきいてくる。
「うちの会社、なにやって稼いでるんですか?」
僕のいる人事課だと、制服が女子社員でもない。
制服がある課もあるらしいが。
「うーん。時代が時代なら、○○商事とかいう社名なんだろうけどさ」
「サーベル・ブリング?ネーミングがいいから選んだの一つの理由なんですけどね」
「はあ、人事課だし」
「課長、会社に来ないし?なにしたらいいんですかね」
そういや、新入社員がはいる415日から、課長がいない。
ミーティング室のホワイトボードをみると、出張とある。
「人事の課長って接待なんてあるんですか…」
パソコンをネットに切り替え、年間スケジュールをみる。
?やっぱり、出張。
「僕にもわからないな…やる仕事といえば…課長になにさせるか、会議に行ってトップと決めてくるんだろ」
「人事って企画するんですかね?人事課できて今年からなんですよ…何する課なのか、トップがよくわかってないんじゃないんですか?」
「確かに要項に『不必要なことまで既存の他社を参考にしない』ってある。なら人事なんていらないんじゃ!?」
「『オリジナルで自社の強みとマッチする会社体系をめざす』って」
「うーん。よくいえば、オリジナルで無駄がないけど…いきあたりばったりなんだよ。僕も3月くらいから、人事にきたけど、できたてで、机並べて、ミーティング室とか、カレンダーとか、応接間とか、なんか居場所作っただけで」
「ゴタゴタしてるけど、仕事がはっきりしないと」
「まあ」
「切り替え時ってあたふたするから、おちついてから新入する侵入社員とかサラリーマンの基本だってマニュアルに書いてあるけど…逆にすることないのも給料ドロみたいですよね」
「うーん。そうだね。掃除でもしたら…」
「たばこ吸ってきてもいいですか?」
「うーん。どうせこんなじゃ」
彼女は本当に喫煙室にいった。
人事課は本社と離れてはすむかいのオフィスに設立された。
喫煙室はテナントの共同フロアだ。
金のありすぎる会社なら気も病まないが、うちの会社大丈夫なのかな?
アメリカのあまり聞かない企業。
お、もどってきた。
「僕も吸ってくるかな」
そういって、二階のフロアに移動する。
エレベーターをおりて、喫煙室に入ると、他社の人間に声をかけられた。
「おたくの女子社員、威勢がいいね。胸ぐらつかまれたら、ライターで腕こがしてやればいいんだって」
「ゴホッ!あはは、うちの会社だいじょうぶかな。あんなの採用して、ははは」
「人事が危ないんじゃない!?」
そういって三人の男性サラリーマンがでていった。
テナントのビルとはいえ、しみったれている。
喫煙室もすすだらけだし、かえって汚さないか気を使わないのがいいかも。
はすむかいの本社も似た程度だ。
缶コーヒーを買って、ふって飲む。
デスクに戻る。
また、話しかけてくる。
「面接のとき社長がいたんですけど」
「ああ、そう?ぼくの時も同じだよ。これから人事がやるのかな」
「こんな人数少ない……課長と三人しかいませんよ。本社は?」
「いるよ、ダーッとデスクが並んでたよ。前の課」
電話が鳴る。
課長からだ。
「いや、社長と会議していたよ。人事なにするか」
「はい。それで決定しましたか…?」
「今から戻って、いや、向かいのビルだよ。低空飛行のアメリカ摩天楼だ。ケーブルで窓から渡っても落ちて死なないよ」
「はあ、結構アメ車が走ってますけど。ここ(人事課)で会議でしょうか」
「そうだ」
そういうなり、ドアが開いて課長が入ってきた。
「ジム。それと新入社員のえーと」
「マキシマム・マリクです」
「マリク…とジム。ミーティング室にはいれ」



2 空中会議



「社長と直につながったぞ」課長がいう。
「でも、人数少ないですよね」マリクが座りながらいう。
「そうだ。人事課がしばらく休業なんで、赤字覚悟だとかいってた」
僕はだまっていた。
「社長はなにかというと、『いや、株主がうちはそういうのいやがるんだよ』で逃げるんだよ」
「クラーク氏とかいう」僕は大きいテーブルのセロハンテープの跡をかきながらいった。
「そうだ。子供みたいなしゃべり方をするが、中身は禁物だ」
「声が子供みたいでしたよ」
「会議で人事課の仕事を決めて、ワープロファイルにまとめて、送れという」
僕はいった「一からですか」
「いや、ある程度、おおざっぱにある。サーベルブリングに人事課なんてはじめてだ」
そういうと部屋をでて、しばらくしてプリントした紙を持って戻ってきた。

1.    面接を人事課でするかどうか。
2.    社員名簿をつくる。履歴書のファイルをプレスして、保存する。
3.    配属記録を帳簿する。
4.    社長にデータを送る。
5.    三人分の給料が重たいのではやく人事課を役立たせる









3 業務開始


次の日から、思いつく業務や人事の決まり事を考えて、レポートする。
200から休憩をとり、そのあと、ミーティングする。
そのスタイルになった。

小学校の作文の時間をおもいだす。
何を書いていいか思いつかない。
ネットで人事課を検索したりして午前中過ごした。
となりでも、頭をかいている。夏はまだなのに、春風が湿度がある気がする。
排気ガスのせいか…

隣のビルの換気扇のダストが風向きにより、窓からくる。
閉めたら、扇風機一台の室内が、くるしい。
「まだ、4月なんだから、節約」
課長がボールペンをつきだして、とめた。
ネットでヒントになりそうなものがあると、メモ用紙にペンでちらとメモる。

マリクが課長に聞いた。
「社長のクラーク氏ってなにものなんですか?」
「わたしより、年下だよ」
僕も口を出した。
「人事課になんていってました?」
「自分がトップダウンで指示しないから仕方ないが、なるべく早く業務を始めてほしいといってたよ。面接でも全部自分がしてたら切りがないし、社長の手間を省くための組織だって言ってたな」
「CEOっていわないんですか」マリクがいった。
「『CEOというほどの組織じゃないさ』とかいってた」
「たばこ吸ってきます」僕は隙を見て二階に下りた。

自動販売機でいつもの缶コーヒーと違う、ニュータイプを選ぶとコインを投入して、ボタンを押す。
喫煙室の煙を吸い込む機械(クリーナー?)にコーヒーを乗せて、煙草を取り出す。
もう一人、よれよれの背広をきた男性がいた。
煙草を吸って軽く頭を下げる。にっこりしたような、中途半端な笑顔だった。
「なに、新しい缶コーヒー?」
僕よりほんの少し年上の男は話しかけてきた。
「ええ、おいしそうなんで」
「ふーん。背広あんまりきないからさ。しわがよっちゃって」
「アイロン…というより、サイズがでかいですよ」
「そうなんだよ。試着する時間なくて…。人事って今のオレの仕事浮かせるためにつくったんだけどさ、金がえらいでるうえ、代行できるまでいつまでかかるか…」
僕は面接のときの社長を思い出そうとしたが、雰囲気が違ったが、よく覚えていなかった。緊張してたし10分か15分くらいしかなかったのだ。
「もしかして、サーベル・ブリングの社長ですか?」
「CEOっていうなよ。そうさ、僕の会社だ。君は察するところ人事課の…」
「ジムです」
「ああそう。心臓に悪いんだよ。それじゃ、ちょっとここのビルみてみようとおもってさ」
そういうと、あたふたとでていった。



4 

明日、課長が、人事課長として本社のクラーク社長と会議に出る。
昨日最後までミーティングをして、第一案をまとめた。
対して力作でもないけど、僕のプランも入っている。
今日は課長が書類をもういちど確認するだけで、たぶん僕らは手ぶらだ。

マリクの案は面接を人事が行い。レポートを社長か、その代理が判を押すというものだ。人事は人事で面接のノウハウを蓄積し、社長は書類に目を通す。危険を察知するのは二段階だ。(NOの信号)
パートジョブが多いらしい。この会社、なにで利益を出すんだろう。

僕は「型にこだわらない」会社なので、業務を実行しながら、そのつど企画を本社に持ちかける方式がいいんでは、と。

マリクがきていない。
課長が「ああ、彼女退職したよ」そういった。
(やめたか…はやいな)
「退職金は出るんですか」
「でないだろ」
「どこにいったんですか?」
「モバイルメーカーをあたるとかいってたよ」
眼鏡をかけ書類をみている。
(あまり、うるさくしちゃいけないな)
かばんをおいて、イスに座る。
「ジム君……マリクが抜けた代わりを採用するのが、最初の面接になるかもしれないよ」
「ハハハハハハ!そりゃいいや」






(2012.未稿)




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