ページビューメ-ター

2013年5月22日水曜日

闘志を燃やして


闘志をやして












1


クラークは服をめくり腹に薬草をもんではりつけた。その上から包帯をぐるぐる巻き、水ぐすりを三口飲んだ。
兵士がいう。
「手ごわい敵ですね」
「ああ」

スフィンクスに電話がはいった。
「ああ、エドアールか」
≪どこに向かえばいいのですか。クラーク王…≫
エドアールはマクスウェルアーマーの機能のひとつで通話している。
「ちょっとまってくれ。スフィンクス、エドガーの携帯に通信してくれ」
≪わかりました。通信しております≫
エドガーが出た。
≪はい≫
「そっちはどうだ。戦力はいるか」
≪城門で侵入を防いでいるが強い勇者がいるとたすかる≫
「そうか、ならエドアールをおくる。ラグナロクの隊長の」
≪助かる≫
エドガーは通話を切った。
「エドアール…エカルテ城の門に飛んでくれ」
≪了解しました≫
スフィンクスが電話を受信した。
≪クラーク王。ゴールド・ウィン方面から…ヘラクレス氏からお電話ですが?≫
「よし、繋いでくれ」
≪わたしだ。かつてアリスタンダーをたおした英雄のヘラクレスだ。まにあうかそっちに助勢に行く≫
「お願いするな」
≪高速で空を飛ぶが、30分じゃ無理だ≫
「わかった。ついたら判断して助けてくれ」



2


城門まえ

「アルセウスクロス!!」
スネークナイトが剣を撃つ。

ガギギギギギン!
互角!

「くそ、こんなんじゃ埒が明かない」
マジカルサタンが呪文を放つ。
ライトニングカッター!

あたりに閃光が輝く!
「うお!?」
「おおう」
「ぬおお」

フーンズビビビシィ

あたりの数人に1000程度のダメージがおよんだ。
アルセウスとポールはまだ後ろにいたためダメージがなかったが、何人かのエカルテ兵がたおれた。
「まずい…」
「いちどにこんなに…」
エドガーがさけぶ。
「なに、ぼーとしている!次の攻撃が来る前に剣を向けろ!」
そういって手本を見せる。

エドガーの抜き打ち。
黄龍刀がさやからスラッと流れ出る。
786
マジカルサタンから青い血が噴き出る。
「!!」

さらに、追撃!
上段落とし!
ガッ・クン

897
だが、その程度では死ななかった。
「フレイム・ボム!!」
ボボボオボボボボオ
炎が炸裂した。マジカルサタンの手のひらから炎はやまなかった。
「ぐおおおお」
炎の嵐の中からエドガーの叫び声が聞こえる。
「隊長!」
「エドガー隊長!大丈夫ですか」
ポールがアルセウスキラーを放った。
「くそ、難題があってもあきらめない腐らない心だ」
雷にちかい電撃が発生した。

「しつこいだけだ」アルセウスがいった。次の攻撃を構えている。

アルセウスキラー!! 1210

ポールが1000ダメージをこえた!
マジカルサタンの呪文はやんだ。
アルセウスクロス!
897
さらに…!
ジェットキック! 978
ボゴン

さらにポールがとどめをさす。
「おおお快進撃」
ライデンソードは敵の体をつらぬいていた。

だが、スネークナイトの狡猾な剣がアルセウスの体を切り裂いた。
978
「ガッ!」
アルセウスがたおれる。
手当の余裕がない!
ポールが動揺する。
「おおおお…隊長!アルセウス!ほどんど兵士が残ってないんだぞ」

空から何か降りてきた。
「うおお!?また敵か」
エドアールだった。
「以前のお返しだ。協力する」



3


エカルテ城―王間

クラークは兵士のビデオカメラや写真画像をスフィンクスでみて、戦況を判断した。
「うおお、まえより惨事になってる気がするぞ。医者が診察してるみたいにわかる」
秘書猫がいった。
「しろうとでもわかりますよ」
「でもどうすればいいか、がわからない」ホワイトがいった。
「そうだな…」クラークがいった。


城門前

エドアールはスネークナイトに斬りかかった。
ガッ!
「グッドソードのでかさなら折れるかと思いきや硬いな」
一番弱い、ステンレスソードなら真っ二つだったかもしれないが、スネークナイトの剣は硬質だった。
「ならば!」

エドアールがスネークナイトに春雨をうつ。
ガガガガ
3400
スネークナイトはふっとんでたおれた。

「すごい鎧だ。青白く輝く!」
ポールは戦闘をエドアールにまかせて自分は手当をはじめた。

エドガーの体に水薬をドボドボかけて温度をさました。
「まだ水蒸気が上がる…」
薬草をちぎって口に入れて噛ませた。
それからアルセウスの切り傷に水薬をかける。
やはり薬草を傷にもんでお灸のようにすえた。

ほかの兵士も同じように手当てする。

かなり巨大なガーゴイルが三体現れる。

「マクスウェルアーマー!」
軽く宙にういて、滑るように突撃する。
グオオオオオ

さらにジャンプ。
鉄兜! 3410

防げない超音波を敵は放つ。
超音波 290
キュラン!
他の二体も超音波できた。
「ぐああ?」
320280
ガーガー

「腕力も体力もありそうだな…」



4



マドラ星

ビューティナイト、ライオンナイト、サンドグラスの三人が、レベルラハムの居住する間にあらわれた。

アルフレットのスペースブレイクで受けた傷は回復し、クッションで休んでいる。
白檀(びゃくだん)・香根・樟脳・サフラン・アロエなどの香り漂う間。

三騎将とはいえ、ここより奥に入れない。
現代風にいうと王座兼、レベルラハムの休憩所のような感じだ。

甘露水灌頂(アビシェーチャナ)を飲んで、変わったデザインの小テーブルにコトンとおいた。
「アリスタンダーとコインメカトリーが戦争しているとな?」
「ハッ。我々としてはどういう態度をとるか」

甘露水とは五種類の霊液で、乳、擬乳、酪油、蜂蜜、砂糖水のこと。
仙香ただよう室内は燦然たる雰囲気に輝く。

手足に装身の輪をみにつけ、祭火壇には火が照らしている。
梵の世界(ブラフマ・ローカ)が近く。神の息吹きが吹いてくる。
カーテンが揺れるすきまから、幻力(マーヤー)がこぼれだしている。

「あのアリスタンダーなど悟りに置いて我らに遥か劣る。善と悪が対発生した悪魔」
「そう存じております」

蒟醤(きんま)という口香剤(インドなどでチューイングガムのように噛んで味わう習慣がある)が蓮の上に並べられてある。

「我らが悟りの境地に今一歩至れぬというのなら、すべてをはらんだ総和はゼロ。それが魔王と善神の正体。コインメタトリーの戦士たちに、一度だけ力を貸すがいい。アリスタンダーがこのあたりでうろつくのも無粋」
「そう考えておりました。では」
「我がかつての夫…ラフムとラハムのような現存する国は三神のむこうにある。はるかな維持しがたい世界。苦・楽・生、すべてを克服することが新の世界に至る道…」



5


アルフレットの前に現れた四天王…
というよりその幻影は

『ガドプレバス』 首をもたげたカバのような竜。マリットよりは小柄だが、肉体に力が宿る。筋肉の隆起が勇ましい。だが顔は知能が低そうによだれを垂らしている。

『アークトゥルス』 熊の背中にのって両手に道具をもった細身の騎士。兜の奥に輝く眼光がみえる。

『キルケー』  処女の上半身に、腰のまわりにムク犬が数匹まとわりついている。翼が片方は鳩、反対はコウモリ。ハーピー(鳥女)を従える。

『ヘビーウェア』 悪魔巨人。人間の星座にはないが悪魔たちの星座で重戦士であり、あらゆる重い武器をふりまわす。神々ですら扱いかねる。神々の力により星座に封印されていた。

驚いているアルフレットから四つの幻影はだんだん遠くに消えていった。
さっきまでなかった星座にみえる。
アルフレットは窓のそとをみた。
「昼間なのに星座に見える…」
きのせいかもしれなかった。




6


ヘラクレスが到着するより早く、敵は退却した。
エドアールは奮闘した。


エカルテ城―王間

クラークが本を閉じていった。
「皇帝アウグストゥス(オクタビアヌス)…三人目の奥さんは子連れの再婚だった、そうだったのか」
クラークは王座で手を広げて遠くを見た。
もういちど本を開きめくった。
「本当か…この連れ子を次期皇帝にしたいがため、リヴィアという妻に毒殺されたって?あとでネットでひろってよむべな」

クラークは感慨にふけった。
猫がいった。
「ゴールド・ウィン王から、アリスタンダーについて質問が来てます。メールで」
「メールな。あとで回答書いて送るな」

軍人にも死者は出なかった。民間人もけが人は出ず、建物も壊れなかった。
「上出来だな」
だが、軍人に重症者が出て入院となった。
「討伐部隊を編成するしかないな」
アルフレットがいった。
「クラーク君。僕も行こう」
オーブリーがいった。
「でも、どこの星が基地なんだろう」
「RPGみたいに自分たちで情報を会得してくれ。二組の部隊に分けるぞ。ゲームでもそうだ。やつら数人で敵陣のりこんで勝つんだ。軍隊とか使えないのな」
「数人だと体力が持たなくなったら終わりだ」アルフレットがいう。
オーブリーも「長旅になりそうだ」
「それも後で決めるか。決めること多すぎるぞ。誰かに決めてほしいな。決めるのうまいやつな。下手なやつに決めれれるとやり直しかけられるからな」
アルフレットがいった。
「クラーク君。事務仕事は任せた」




7


ジュールは店の親父にいった。
「デカポリスにある遊園地は敷地内が広いんだ。小さい街より大きい」
「遊園地か、やっぱり向こうにもそういうのあんのかアンちゃん」
「そうだよ。チェーン内でつかう仮想通貨を買ってホテルに一週間くらい泊って全部見て回るんだ」
「へえ」
「そのくらい見ごたえがあるよ。ぼくも一回だけいったことがある。三日しかいなかったから全部は見られなかったけど」
「ホテル代も食事も仮想通貨かい?」
「そう。そことチェーンでしか使えない。余ったら次に来たとき用にためる」

ジュールはフリードリンクを飲んだ後、ガンショップに足を運んでいた。
ジュールは特別職や特殊任務をいくつも勤務した実績があり、また実店舗の代理店長など兼務しているため高給取りだ。特別手当がいくつもつく。
時空警察の給料も新入りは安いし、なにか特別な地位につくとか職務をこなす、賞をとってメダルやトロフィーをもらうなどで副収入が加算される仕組みだ。

ストロービーム銃
7000
5000
銃。カラフルな虹色のビームで攻撃
ビックガン
13000
どでかい銃。普通に玉を発射する
レジスタンスガン
5000
二発しか玉がない。レジスタンスの隠し武器
ライトフレームランチャー
24000
カラフルな銃を連想させないデザイン。ノズルから火焔弾を撃つ
オーバーランス
19000
巨大すぎて扱うには特殊な力が必要な槍。サスペンダーがしこまれている
プロペライニングホーン
17000
プロペラのカッターが宙を舞い四方から斬りつける。機械槍
ヘルメットホワイトグラス
20000
補佐・通信、ゴーグルにデータが。ヘルメットによって頭部を保護




「うーん。プロペラ…ゴールドエクスカリバーより威力は下かい」
「そうだ。うちでかうとストロービーム銃が2000安い5000で買えるぞ。どうだ?」
「オーバーランス…グッドソードより強力かあ」
「サスペンダーがしこまれている。でかい分強い」
「バネでショック吸収したらダメージがへるんじゃないのかい」
「使ってみればわかるさ」



8



アーリアルケトスはすべての魔法を極めたという、世尊をたずねた。
「世尊よ我に最強たる魔術をさずけよ…」
「若者よ、して、その魔法とは一体何か?」
「とぼけるつもりか?世尊よ、主(ぬし)はすべてを極めた魔術師と名高い」
「下界にいたときは、そのようなものを会得していた気もするが、どういうものだったか忘れてしまった。若者よ、その手に持つ道具は何か?」
「世尊よ、武器を忘れたか?戦争も」
「若者よ、戦争と狩りなら覚えている。わたしはもはや戦うことも、働くことも、苦も、修行も、夜が来ないため寝ることもない。すべて悟りを開いて涅槃にいたったからだ」
「ならば、その涅槃とは何か?無へと帰依したのか世尊よ。混沌(カオス)へ。あなたは何をするというのか。何もするべきことがなくなったというが」
「若者よ。森羅万象をさぐり、学んで不可思議に思わなかったか?なぜこのようにカラクリができて、自然現象が営まれるのか。わたしはないものを創り上げる。想像できないものを描けるか若者よ。ないものを創造し、カラクリを敷き、道を用意し、あなたが学ぶ原理を一から作り上げる。それが今の私だ。学ぶことも働くことも苦もない」
「あなたは新しい世界をつくるのか?世尊よ」
「難題で災難な事業だ。この世にあり得ないものをゼロから作る。想定して描けるか若者よ。基本は無だ。カオスだ。なにをしてもよいが、何をしていいのかだれにも決められない」
「…楽しい天を構築されよ」
「すぐ飽きる」
「…」

「人は三日で飽きて寝坊するだろう若者よ」

0 件のコメント:

コメントを投稿