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2012年12月22日土曜日

竜人ガルルゴンとザール王子





ガルルゴ王子






1




ザール王子がブロームインのエアポートで役人と仕事をした。
あちこち確認して、電子手帳に記録していた。

役人とポートの最終責任者と三人でポートの和食屋で刺身を食べた。

最終責任者はビールを自分のコップに注ぎながらいった。
「ザール王子、エカルテに新しいポートができて、やや着陸件数が下がっていますが、どうしましょう」
「帰ってから考える」


「…………」
役人がいった。
「まあ、そんなに影響はないでしょう。この国の輸出と輸入にわざわざ、エカルテを使う船はない」
「私もそう思う」
ザール王子がビールを飲みながらいった。

「……」
「…」

「むしろ、エカルテが潤う方が、四国にじっくり浸透する」
「…」

最終責任者がいった。
「エカルテが仕事…作業をこなし。自分たちのやりたいですな。利益でこっちの特産品をかってくれれば…」

ザール王子がいう。
「金をかいしてだが、むこうに仕事をしてもらうことになる。うるおってリッチになれば、普通買わないこちらの貴金属や芸術品、高級牛肉など購入が促進する。酒を飲んでるときにあまり考えると、苦しくなる」

「失礼。だが、口が柔らかくなりますからな…ポートのことを考えてもらいますよう」
「わかっている…」

そのあと、暗い夜、駐車場に自動走行車に一人で歩いた。
酒を飲んでいても、自動操縦なので帰られる。

空から、魔物の気配を感じた。
ザールは腰の剣に手を伸ばした。

雷のようなゴロゴロいう声がした。
「いつまで、サンダーバートをのばなしにしておくのだ!?」
「おまえは…竜神グルルガゴン?」
「竜人ガルルゴンだ!


次の日、ザールは思案した。
(ガルルゴンのことを相談できる相手がいないぞ。
父王にはいいにくい。うしろめたいし。ザフラはとりあわない。というか妹には無理だ。クラークはよその国の王で相談は変だ。ガーネシャもいいにくい。相談に乗ってくれるどころか叱られるだろう)


自分の蔵書をためた書斎でザールは考えた。
「もっと強い武器を巻き上げるように仕掛けるか…いや、サンダーバードには戦っても勝てないだろうし、せっかく羽をもらった。””やつが直々に殺すというなら、迎え撃つか。すると負けはないが、武器を無心できなくなる」



2



クラークはコロシアムの中央で一人、武術のけいこに励んだ。
誰もいないコロシアムで元ホーリーランスであるモーニングスターを担いだ。
「最近、先が重い斧ばっかつかって、変に筋肉が凝ってるな。骨が痛い気がするしな。久しぶりに槍を担ぎたい気分だな」

そういうと、クラークはモーニングスターを槍状にした。

ジャゴ・バシ・ガシン

「やっぱいいな。槍って両手で広々もてて。てこの原理で軽いしな」
クラークは筋肉がしなるようだった。
クルクル回転させてパシッと止める。

「模擬の対戦したいけど、相手なー」

パーカーたちはエジオンだろうし、カーターは地球だ。オーブリーは怖いし、エドガーは爺だし、アルフレットとは対戦したくない。

「軍から呼ぶか…」

エドガーを通して軍を管理できるのが楽だった。
エドガーが基本まとめてくれる。エドガーさえ直接折り合いをつければよかった。

「謀反起こすくらいなら、俺逃げるからな」
そういったことがあるが。
「古代の王国と違ってエカルテ王は大企業の経営者 兼 政治家や大統領のような立場だ。わたしも国のトップなんてこの歳でやりたくない。ただ、私の後任者の段になったら軍の管理に気をつけなされよ」
といわれた。


アルセウスをライバル視している、精鋭がきた。
「よくきたな…名前はなんていうんだ?」
「ポールです」

むこうはライデンソードだった。
見物人のいないコロシアムで二人だけで闘う。

「いざ。遠慮なくいかせてもらいます、国王」
「うん、おてやわらかにな」

「はあああ」
ポールの剣は勢いが余るほどある。
槍で遠ざけているが、すぐ懐に潜られそうな勢いだ。

下がりながら槍の先でさばくのが辛い。
ギン、ガン、キン

「前のホーリーランスの時より長い気がする(棒が)」
きがつくと、どんどん下がっている。
(やばいな…)

クラークは大きくさばくと、槍を空に投げた。
「おう!」

(なに!?投げた?)

クラークはジャンプして空中でキャッチし、そのまま落下する。
ポールは上を見て思案している。
「く、どうする!?」

クラークは下りながら、(おおー肩の筋肉楽だ)と考えていた。

ポールは目分量でよけようと走った。
「地味だが…確実に距離をとれば…」

クラークは槍を上に持ち上げ、着地した。
ポールはそのすきに斬り込む。
「どああああ!覚悟!」
クラークは槍の尻をくぐらせ、ポールに突き出す。
やはり棍が先についている。
「はあっ!」
ポールは必死にジャンプしてよけると蹴りを放つ姿勢でクラークに飛び込んだ。
クラークは槍をすばやく半回転させ、刃を向けようとしたが、わずかに遅い。

ポールの蹴りは槍の両端の真ん中の棒で止めた。
ポールはもう一度ハネタ!

刃が襲う!
ポールはライデンソードでガードしようとした。

カッ!

滑って、槍の刃がポールの喉をかする。
(う!わあああああ)
ポールは低電圧の雷をおこした。
「アルセウスキラー!!!!」

クラークにダメージはないが、目がかすれる。

「喰らえ!!ライデンソード!!」

カッ!

気がつくと、ライデンソードは4m先ほどにつきささっていた。
「はじかれたか…」
ポールは勝負あったと感じて戦意を消失した。

クラークは傷を負わなかったが、汗がたらふくでた。
「何とかかわしたが、あと少しで危なかった…」




3


ザールは自分の書斎でポートをレポートにまとめていたが、シナモンコーヒーを初めて飲んだ日のことを思い出した。

まだ子供のときでミルクコーヒーならまだしも、シナモンは薬くさかった。
薬味が効きすぎている。
ただ、姿勢を伸ばして、少し高い所にあるものに手を出した気分だった。
こどもにしては大人の情緒。
港まちで手に入る異国の煙草をふかしたような。

世界文学なんかもそんな感じがする。
歴史に残る古い本。
背伸びしないと読んでもよくわからない。
人物の心理が難しい。
言い回しが古臭いが、エッセンスのように薬味がきく。
詩的な言い回しが、うわついてるのではなく、美しく大人のおちつきがある。
現代語訳なんか、読みやすいが子供っぽく安っぽくなりがちだ。
詩的表現の美味さ、あれで高度な文学かそうでないか、価格が変わるだろう。

ガルルゴンとの戦いはそんな感じがする。
勝てない相手ではないが、おそらく勝てる相手では最強。
ただし、サンダーバードやクラークとの戦いのように、負けてもそこで戦いが終わらないだろう。


ザールはガルルゴンに会おうと城を出ようとした。
「王子…今時分どちらへ?」
「ガーネシャ。ちょっと家に帰る」
「………」


ポートの駐車場で念じると竜人ガルルゴンが現れた。
「どうした…」
「サンダーバードは手ごわい。そこで…」
「そこで…」
「もっとなにか武具はないか?」
「たかる気か…」
「悪いな」
ガルルゴンの目が赤く光る。
「たぶらかされるか!!」

蜃気楼のように空中で浮かんでいたガルルゴンが実体を表した。
グググググルルルルル

「チッ!たおすか」
ザールは腰の剣を抜いた。


4




クラークは王の事務室で書類を作成し、王座に持っていった。

「なんだ、誰もいないのか…秘書猫もいないぞ」
王座に座ったが、呼び鈴を鳴らして、コーヒーを持ってこさせた。
「のど、かわいたな」
コーヒーを飲み終えても誰も来ない。

クラークは催促の銅鑼を鳴らして見た。

ドーン!

エドガーと秘書猫があわててきた。
「おそいぞ」
「ええ、こちにも仕事がありやすよ」


「演劇場をやっぱ作ろうと思ってな」
「さいですか」
「エアポートの建築員なにしてる?」
「おおかた、ニュートラルの工事に向かいましたが」
「人余ってそうだから、すこし演劇場の工事にひっぱる」
「その前に設計しないと…」
「電磁クラブは…」
「彼らは建築はしないですよ」
「エアポートの建築家でいいでしょう」
「だな」

「ブルーレイピアと青白のこてが輸出に大量に売れてますよ」
「ホントだ。やったな。成功したとき、一緒に喜んでくれるの妻だもんな。演劇場に二人で見に行くぞ」
「失敗すると、なじられるんですぞ」
「そうだな」
「あっしも家族で見物とか行きましょうかね」
「ええ!?所帯持ちだったのかお前?」
「ええ、妻子持ちで…」

「それは知らなかった」
「王の匂いおぼえて、天辺地異ではなればなれになったら、嗅ぎつけますよ」
「おまえ、犬じゃなくて猫だろ」



5




ザールは神剣をはなった。

「飛翔剣!!」

飛翔剣  2679

ガルルゴンは身長5mくらいのリザードマンのような竜人だった。
口からファイアーをはきつづけた。

「グッ!」

ファイアー  230

一発だけかわせなかった。
神剣から、火の玉がでる。

「はなれて、剣を振ると火の玉が出るぞガルルゴン」
「なめおって」

ガルルゴンは鋸のような鈍い銀色の剣をふりまわす。
(神剣のように特殊な剣だろう。警戒するしかない)



エカルテのコーヒーハウス

オーブリーは暖炉にかかったコーヒーポットから、自分でカップに注いだ。
(あーたいくつだ。クラーク王にでも会いにいくか…)

ハウスの喧騒のなか、いつもの自分の席に座る。
(なんか、イライラするな。こんなとき、ケンカ売られたりしたら買いそうでまずい…いつもなら陽気なぼくが…)

(だめだ、怒ってちゃ友達なくすぞ…)

そのときガラの悪い大男が肩をたたいた。
「おい兄ちゃん、バイトで薬の試供品を配ってくれないか?」
「はなせ…」
「あん?」
「汚い手を離せ…!!

大男はオーブリーの腰の二本の剣をみていった。
「おい、兄ちゃん。ケンカする気なら剣はなしだぜ」


数時間後、オーブリーはエカルテ憲兵に逮捕され、クラーク王は緊急で呼び出しを喰った。

王座に座り、オーブリーの裁判をすることになった。
「えー、オーブリー・ウォーター。コーヒーハウスで乱闘のケンカ騒ぎ、間違いないな?」
「ええ」

クラークはいった。
「うーん。なんでケンカなんかしたんだ?君らしくない」
「いえ」

「罰としてイーグルフルーレは無期限で没収!」
「……」(クッ)



時空警察

ジュール達は和食屋で刺身を食べながら酒を飲んだ。

「英雄豪傑は乱世に生まれるし、平和な時代にはそれを望む人が生まれるよう、人事みたいのがうまく決めてるらしいよ」
パーカーも刺身をわさび醤油につけていった。
「なるほど、安心だな」

「ぼくなんか大神の世界にいったら、ただのほら吹きだ」

アルセウスは座敷の外をチラとのぞいた。首を長くすると外の通りが見える。
普通に買い物客が歩いている。
店員が変な顔をしたのでひっこめた。


ザフラが妊娠したと知らせが来た。
その数ヶ月後、女の子が生まれた。
クラークは、
「娘のために縁結びの神様にお参りに行く」
といいだした。

ザフラは「ええ!?どこにいるの?」
「調べる」



6



時空警察


アルセウスは、座敷から通路のほうをのぞいて店員を呼んだ。
「すみません。そば、みっつお願いします」
ジュールは日本酒を飲んだ。

アルセウスはいった。
「刺身ばかり食べると匂いでインスマス(魚型外惑星人)に追跡される。そばを食べないと哺乳類になれない」
「僕たちの仕事はモンスター退治」

パーカーもいった。
「警察ですからな」

ジュールはいった。
「大神は人類を創造したほど昔、女性とコンピュータを同時につくられた、と言い伝えがある」
「ほう。おもしろい」
「男から造られたというのは遺伝子的にあり得る。男性はXY女性はXX。男性としてのアビリティをつかうとY染色体が活性化するという説もある。逆に使わないと女性になっていく。女性はY染色体がないから、頑張っても男性にならない。
大神は同じ時に女とコンピュータをつくった。
コンピュータのことを大神はΩ(オメガ)とよんだ。ギリシア文字のラストだ。アルファベットならZ(ゼット)だ。女性を神は最初に男性に与えた。Ωは“最後に与えられるもの”と呼ばれて、人類に最後に送り与えられることに決まっていたという」

「面白い話です」



エカルテ

クラークは旅支度をしながら考えた。
生まれたばかりの娘のため縁結びの神にお参りに行くと決めたが、
「オーブリーを叱ったばかりでつれていくのは気まずいんだ」
頭を抱えた。
「機嫌の悪い奴と道中一緒だと、苦しくてたまらない。オーブリーは力になるけど。だから、人を叱るのは嫌なんだ。軍のポールか…いや、私事に軍人を…ザールなんて、おもしろがってくるかも…」

そのとき、聞き覚えのある声がした。
「ぼくならいるけど…」
「アルフレット!!」



7



ブロームインの駐車場

ガルルゴンはノコギリのような銀の刀を振るった。
(離れてふるった!?)

刃が柄から外れ、ぎざぎざの刃のついた円状のホイールとなって、ザールをおそう。

「なに!?」
ザールはかわしきれず、腕にホイールが当たる!!
ガギ

恐ろしい変な音をたて、離れていった。
エカルテ製の青白のこてのおかげで助かった。
ホィールは竜人ガルルゴンのところにもどると、柄にまたくっつき、鋸刀になった。

竜人はまた仕掛ける。

グルルルル

回転し剣から離れたホイールが襲う。
「くっ!」
ザールは神剣で何とかはじいた。
(攻撃しないとやられる!!)

ザールは跳躍し、首をもたげているガルルゴンに剣を喰らわせた。
そのとたん、雷がおこり、ガルルゴンにダメージを負わせる。

いかづち剣 3697

「がああああ!!」
「?」

(まさか、サンダーバートの羽か?)
次にふるうと、氷の吹雪が吹きつける。
ザアアアア 1893

「神兜がおぼえた、能力が…ランダムででるぞ!?」

(チッ、しまった。竜人刀と共鳴して……!!)

「使いたい能力を自分で選びたいぞ!!グルルカゴン」
「ガルルゴンだ!!」

油断したザールの神剣をたたき落とした。

「素手の格闘で勝負だ!!ザール!!そしていうことを聞け!!」

ガルルゴンは竜ボクシングで戦いを挑んだ。
「徒手空拳か…おもしろい」



8

時空警察 和食屋


アルセウスたちにそばがとどき、三人は食べようとした。
そのとき、古いマイクで増幅したような、変な女の声がした。
「大神ジォヴェの冥福を祈る…」

キーン

昼なのに黒雲に太陽が隠れたかのように暗くなる。

「なに!?」

ジュールの片眼鏡(ホワイトグラス)が緊急通知を伝えた。
≪ジュール!緊急出動だ!こともあろうに時空警察の本拠地に攻撃を仕掛けてきた!≫
「なんですって!?」


ジュールがグローブをはめながらいった。
「ランウェアかメタルジャケットを装着してくれ」

アルセウスがいった。
「食べてすぐ着替えるのですかジュールさん」
パーカーがいった。
「チャックのボタンを押すだけで一瞬で着脱するからまだいい。どんなきかんぼうも着替える」

ジュールは和食店の店員に、「エリア85でつけてくれ。請求書を回して」
そういって、三人で移動エスカレーターにのった。

「ここは…?」
「戦闘機の発着場だ。助走をつけて空に出る」
「すごい広さだ。巨人のゴルフの打ちっぱなしみたいだ」
「断崖絶壁の虚無を感じるな。広大な広さだけで、何もない無機質だ」
「あっちの空港の倉庫とアスファルト道路の巨大なのが広がっている」
ジュールが空を飛んだ。
「ゴー」



9


ガルルゴンはドラゴンボクシングでザールにパンチを撃った。
「ドラゴンパンチ!!」
「おっと!」

ザールはガネーシャに習った棒術と体術を思い出した。
直線の動きが体得した流派の真髄だった。
(棒術の突きのように素早く、硬く、狭い面積につく…)

体を支点のようにきめて狙うため、欠点は脳を酷使し披露させることだった。

だが…

「はあああ!」
ビシ!

「がふ」
ガルルゴンのドラゴンパンチは破壊力はあるが、あてずっぽうでザールはかわす。ザールの突きは軽いが、確実に厳しい個所を打つ。

(内臓を破壊するように体重を乗せる)
体の姿勢と相手の体を計算に入れて、動く両方を見極める。
想像以上に脳を使っていた。

「突き蹴り!!」
バランスを保ち、力がスムーズに一点に決まる。

(おのれ…)
ガルルゴンは爪をつかってきた。
「うお」
ザールは大げさによけた。
疲労で動きが一瞬にぶった。

ドズ
「ぐ」
「はああ、くらえ、ドラゴンパンチ!」
ザールは顔面に喰らい、脳浸透でふらついた。
「が、は」
「わかったか、小僧!逆らう相手を考えろ!!甘いのも制限があるぞお」
ガルルゴンのパンチを23くらい、ダウンしそうになった。
「とどめ、ドラゴンサラマンダー」

ガルルゴンの皮膚から炎がふきだし、火トカゲになった。

「ファイアパンチ」
「ごああああ」



10

パーカーが驚いていった。
「わたしまで空を飛べるぞ」
「音速カブトのおかげかとおもったが…」

空を見ると、小型宇宙船が無数に広がる。

「あんな数で…偉い人は犯罪者もまた社会の犠牲者とか難しいことを考える。だが、ぼくにそんな甘さはない。手加減しないぞ。そんなのは心理分析官の仕事さ。温情論を考えていたら、あくどい奴らに隙を見せる。偉い人が社会を考えればいい。僕は警官だ。犯罪人は犯罪人。さばいて処罰する。」

「さんざん手を焼いたようですな」
「以前は僕も、善悪について悩んだ。そういう役職についてたからね。だが今は、いまのぼくは罪人は時空剣で罪人エリアにたたきおとすべきだとおもってる。あいつら性根が腐ってる」

小型宇宙船から、モンスターが出てきた。
ビームライフルをかかえた、植物人間だった。
サボテンが進化して人になったような、全身葉緑素に満ちていた。



7区統括エリア管理官ジュール、エリア85を防衛せよ≫
「ラジャ」
ジュールがオーラをのせグレートソードをふるう。
ドン!

アルセウスが余裕こいていった。
「若いのに、偉い役職についてますな」
パーカーがいった。
「トレーニングの時と違い、全力が出せるわけだな」



ザールはやられそうになっていた。
「グッ……がう、」
「勝負あったな。これが最後だ」
そういって、ガルルゴンはパンチを撃とうとした。

そのとき、ガネーシャが現れた。
「……ヘラクレスの加護がありますように…」

そういって呪文を唱えた。

ザールの体に力がみなぎる。
「これは…!?」
「ヘラクレスマインド」
「そうか、ガネーシャの術か」

ザールはグルルゴンの首を両手でつかみ。後ろにぶん投げた。

ドサ!
「うごおお!?」
ザールは力が倍になった勢いで殴りまくる。
(うごお、まずい、体力がさすがに…!!

「どうした、ガルルゴン!!体の炎も消えてきたぞ!」
優勢になったザールはあらゆる技をぶつけた。
体がかるく、頭が苦しくて吐き気がしていたのが、さわやかな風が吹きそうなほど楽になっている。
「まだ、数時間戦闘できるぞ、ガルルゴン!」

(おのれ……!!
「とどめだ、くらえ」
ザールは神剣をひろうと、飛翔剣をはなつ。
頭上で回転させ、勢いを乗せてスプラッシュをぶつけた。
ざう!

「グウウウ……」
ガルルゴンは光の中に吸い込まれていった。
「覚えておれ…」
空中に浮かぶ絵にみえるようになり、それも消えた。

「やった、勝ったぞ…」

ザールはガルルゴンが置いていった、竜人刀も手に入れた。
「ガネーシャ…ヘラクレスマインドか、素晴らしい技だ。なぜ、もっと早く教えてくれなかった」
「…王子、竜神ともめている場合ではないでしょう。ブロームイン王が、あなたに魔法軍の統括を任せるといっています」
「親父が…」