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2012年12月19日水曜日

オーブリーの幽閉の塔脱出奇譚




オーブリーの幽閉の塔脱出









1

イカルス城

の西にある塔。

カロリーナ姫が幽閉された部屋でピアノを弾いている。
♭♫♩♪♬
「もう、あきたわ。ああ、新しい楽譜がほしい…」
女性の獄使兼召使いがいう。
「失礼ながら、幽閉中の身という身分をわきまえていただきたく…」
「ギロチンにかけたら…」
「イカルス国王がコインメタトリーとの…」
「政治の取引に使うんでしょ?ビリヤード室にいくから、鍵を開けて」


レジスタンスのアジト

ユキがきいた。
「それじゃ、お兄ちゃんのいた、世界は4つの国があるの」
「ああ、そうだ。ゴールド・ウィンの王は子供が一人もいない。エカルテの前王の娘王女はブロームインに嫁いだ。ブロームイン王には息子と娘がいて、娘のザフラ姫はエカルテのクラーク王の妻になった。ラグナクロクの王には娘がひとりいる。カロリーナ姫だ。ぼくは彼女をさがしだすよう使命をうけている」
「3人の王女様と1人の王子様だ。1国にはあと取りがいない」
「さらわれたの?」
「おそらく、イカルス城のどこかに…」
「見取り図ならおじいちゃんが…」
「それだ!」

エカルテコイン

クラークは王座で思案していた。
「オーブリーから連絡がこないが、大丈夫かなあいつ」
「電話しますか」
秘書猫がいう。
「いや、かけずらいんだな。なんかあいつだと」
「ザール王子のほうが連絡しやすいですかな」
エドガーがいった。

「待つしかないか…」

秘書猫がいった。
「エアポートの着陸件数ですが…」
「ふえたか…」
「横ばいよりは斜め上かと」
「そうか…」



2


朝、寝室で目が覚めたカテリーナは自分が別の部屋にいるのにきがついた。
ねぼけてはっきりしなかったが、化粧鏡が違う。そこの棚に並ぶ、小箱や小瓶も自分のと違う気がしたが、みたこともあるようだ。

朝食が運ばれてきたが、それを見て思いだしてきた。
さらわれて、この西の塔に幽閉されているのだった。

楽しみといえばピアノとビリヤードくらいで、TVやラジオネットは禁止されている。当然外部との通信を恐れてだ。
(改造するかもしれないでしょー)
あとは、コーヒーとかチョコレートくらいだった。

「本の差し入れくらいないの…?」
女性の獄使は答えた。
「それは気がつきませんで。ご注文の図書を大図書室から運んで置きましょう」
「そんなに、丁重に扱えっていわれてるの?」
「そう存じております」
「リスト(図書)がないと」
「楽譜も自分で作曲なされては…リストまでは、本は数え切れないほど蔵書してありますので」
「ええ!?」

獄使はでていった。
「嫌がらせなのかしら…?」




3



カテリーナ姫はビリヤードで玉を突きまくり、おやつのチョコドーナツをたいらげ、午後すぎ、読書をしていた。

窓をオーブリーがコツコツたたく。

カテリーナは開ける。
「カテリーナ姫ですか?ぼくはラグナクロクからエカルテをとおして救助を依頼された…」
「窓から逃げるなんて危なくて嫌よ」
オーブリーは宙返りして室内に入る。
「ぼくも、自分が忍び込むので精いっぱいだ。とても2人分は…」
「じぁあ、正面玄関まで降りるの?」
「そうするか…そのまえに、なにか食べるものが欲しいけど」
「ないわよ」
「ああ、そう……そりゃ残念だ。幽閉されてるのにそのかかとの高いくつ。あまり速く走れなさそうだぞ。番人確実に倒しながら外に出るか…」

オーブリーはブルーレイピアを抜いた。

「ドアには鍵がかかってるわよ」
「そういうのは…ヘアピンで…」

ドアをこじ開けた。

女性獄使はすぐきがつき、呼び笛を吹いた。
「賊が侵入した。であえ!」




4



すぐ、兵士が数人やってきた。

オーブリーは獄使を手刀で眠らせ、ブルーレイピアで兵士と斬り合った。
向こうは軽装で比較的楽に倒せる。

オーブリーは棚に飾ってあった、小型の金彫刻をひとつ懐に入れた。
「ぬすむの?」
「売れば金になる…。今回の報酬の手付金」


階段を降りる。

少し広い間があり、室内なのに重層歩兵のように鎧を着こんだ騎士がガードしている。
「やっかいそうだな。さがって」

グリフォンナイト

片手に頑丈な長剣をもち、反対の手がない。
海賊の船長なら、かぎつめをつけていそうだが、金属の覆いをまるくかぶせ、真ん中に穴があいている。

「おそらく銃を仕込んでるな」
オーブーリーはブルーレイピアで応戦したが、向こうの重い武器に小ぶりのレイピアでおされはじめた。
「チッ!」
オーブリーは靴の裏でグリフォンナイトのひざを蹴った。

グラ

隙を突きてオーブリーが仕掛ける。

「スカラムーシュ!!」

スカラムーシュ  1600!!

グリフォンナイトは左手をオーブリーに向けた。が、固まったまま動かない。

(そうか姫にあてるわけにいかないのはお互い様か!!
オーブリーはそのすきに懐に飛び込んだ。
「キャロムゲーム!!

だが、かろうじてかわされる。
オーブリーとカロリーナ姫の間にナイトがはさまる格好になった。
反対を向いた、グリフォンナイトは、今度は遠慮なく腕の銃を撃った。

パン!

ブルボンマグナム!!

オーブリーのほほをかする。血がほおをつたう。

決死の勢いでオーブリーは技を繰り出す!!
スヌーカー!! 1396 

ナイトはもろに喰らう。

「とどめ!! 当局の厄病神!! Zの刻印!!

Z 
2765!!
グリフォンナイトは兜越しにひたいにZの刻印を押された。

二人は塔を無事抜け出した。

連絡を受けて、クラーク王はラグナクロク国王とも連絡し、救助船を惑星イカルスに派遣した。

無事、カテリーナ姫は母国に帰ることができた。


5

エカルテ城 国王謁見の間

クラークが王座に座り、両脇にエドガー、ホワイトとならぶ。
秘書猫が洒落た小型のトロフィーをもって、オーブリーの活躍を表彰する。

「さすがだな。助かったぞ」
「はい」
「褒美のトロフィーと…他に欲しいものとかあるか…?」
「うーん。イカルスですが、あの国の圧政を何とかできませんか?クラーク王」
「ええ、!?そんな、姫の誘拐で訴えることはできるかもしれないが…政治に口を出すと内部干渉になるしな。圧力をかけると戦争仕掛けるのと同じだ。俺だけの判断でな…経験ないし、どうしていいか判断つかないぞ…」
「そうですか…」

「残念だけどな…それと、ラグナクロク国王から、この剣とお礼をよろしくっていわれている。よかったな」
クラークは宝剣をひとふりオーブリーに手渡した。
「これは…!」
「えーと、イーグルフルーレだそうだ」

柄にワシの彫刻がついている宝石のように輝く細身の剣だった。
「ブルーレイピアと二挺しこんどけ」
「はい…」 

秘書猫がいった。
「エカルテ王国はこれからどうするんですか?」
「コロシアムで武術会をひらこうとおもったけどな…。そんな無駄金使うなって国民に叱られるしな。疲れるし…ニュートラルブリッジまだかな」
「まだですな」
「疲れましたね」

「演劇場つくって喜劇とか悲劇上演するか。オーブリーおまえ役できるか?」
(何考えてるんだ、こいつ。ぼくは役者じゃないぞ)

「いや、ごめん。道化(ブッフォ)とかやとうか。俺ってなんでも屋派だからついよ」
(なに!?初耳だぞ…おもしろい、クラーク王の前歴をあらってみるか)
「それでは失礼いたします」
「ああ、ありがとな」



オーブリーは城をでて空を見た。

ケンタ、ユキ、がんばって生きてくれ…



カロリーナ姫はアルフレットと違うんだ。
わかるかな。
転落して地位が下になっても対応できる。
カロリーナ姫のモデルはマリア・テレジアの娘、マリー・アントワネットだ。
「パンがないならケーキを食べれば?」といったとか、いわなかったとか。

彼女は貧乏人と金持ちに交互に生まれ変わっている感じがする。
処刑されずに、一生幽閉の身だが生きたという説もある。
公には処刑されたが、秘密に生きた。政治犯なんかありそうだ。
モーツアルトが楽譜を手紙に入れ会いに来たこともあるとか考えたが書けなかった。
それをモチーフにした小説が、「オーブリーの幽閉の塔脱出奇譚」

ゲーテとシェイクスピアなんか、貴族や王公を目で見てるが、自分たちは大衆との中間層なんだとおもう。視点が中間だ。だから両方を蔑視している。王公も大衆も、どっちも離れて見てる中間人間だから、あんな文学ができるんだと。