ページビューメ-ター

2012年7月17日火曜日

デスク上の海岸





ラヴクラフト模倣作

夏の小説祭り


デスク上の海岸





1

ワトソンの独立記念日のことだった。
「あ¨あ、僕は一人前の警察官さ。オレゴン州の盾と呼んでくれ。アメリカ国民は海で泳がない。あ¨あ、子供や女性は別さ、妻や子供たちやガールフレンドは泳ぐ、しかし、健全なアメリカの成人男子は決して海にはいらない。ビーチでペーパーバックを開くんだ」
ワトソンが答えた。
「僕はそのペーパーバックを書いている」
「ペリカンさ。いやごめんペンギンだ。あっちは日本の万年筆だ」
「あ§あ、万年筆で書いてるさ。ソーリー…文明には逆らえない。ぼくもノートパソコンさ」
「日本の文庫本は紙が薄いのに丈夫だ。アメリカのペーパーバックはなんか四角いしでかい。紙が分厚いんだ。でも日本の文庫もてぬきがある。上をみろ、えりあしがそろってないんだ。ここで経費を削減してる、奴らは」アルフレットはシガレットをもくもくいわせた。
ワトソンはソーセージにフォークをさしていった。プス「アメリカの文庫本は挿絵が表紙しかない。しかもアメコミ画だ。あれが、日本人にはうじけるらしいぜ」
「あ¨あアッ、ゴホ!!ガッ!!」
「アメコミの怪獣は迫力がある。円谷プロを思い出すんだ。ジャパニーズの30代と10代は。子供はネットで円谷を知ってる」
「ああ、おもちゃのおまけだ。あの絵は屋台とかにある。最後の絵がネクロスの要塞だ。そのあとデジタルのドラゴンクエストに進化した」
「役所を引退して小説で喰わなくちゃならなくなった。役所の経験で分かってる。気温が上がったとき、暑苦しいとかんがえると作業がすすまないんだ」「ほお」「逆に海辺でさあ、暖かくなってきたぞと考える。このくらいでないとデスクワークは無理だぜ。すぐドリンクに頼りたくなる」
「ぼくはサツだ、マクドナルドからスタバ、シガレット、ガラナ、レッドブルなんでも活用してきたさ」
ワトソンが白い厚手の(生地の…?)ワイシャツをまくった袖からでている腕時計にチラと目をやった。帰りの電車がすく時刻じゃないか…?
「脱サラていうんだぜ…役所を引退して、いや中退だ。ラグビー部も中退したけ。アメリカの文化は戦争中の偉人の作品がまぜこぜでできあがったんだ。真空管コンピュータ、いや電磁石でコネクトを切り替えるフェニックスだったか、画家…ピカソ、シャガール、ダリ、あれと中世ヨーロッパのインテリ画、これらの影響でできたのがアメコミだと思ってる。古いヨーロッパの絵は構図にこるうえ、登場人物が劇場化してるんだ。劇を演じている。お姫様はそれ、ナイトは闘い。モンスターは躍りかかる。ダリの高級感、宝石のような価値観。ピカソのデザインと見せない刺激。シャガールの色合いとラブリーさはカレンダーに。アルフレッド、おい」
「ああ、きてるさ、戦争中のストレスはありもしないものを0から作り上げた。バカげたオヤジどもだ。はったりだけで使い物にならなかった。そうでもない、動くんだモーターが」
「乾電池で?」
「現代のストレスは元祖を実際に実用化すること、それと何に活用できるか、突き詰めることにはしっている」
「そして、現代病を生んでいる」
帰りの電車はまばらだった。
質の悪いイスに座り、夕刊の新聞のきれはしが車内に舞っている。
ワトソンは丸眼鏡をかけなおし、新聞の見出しを見た。
日本は戦闘になりそうになったら、アメリカから核ミサイルをすぐ移動できる態勢をとったらどうだと考えた。時間がかかるし妨害を考えると無理か。条約だけで金や労力がかかるが、抑止効果もあるのが事実だ。双方の国のペンによる署名の羊皮紙が、本当に人の命をコントロールし、経済活動に何らかの変化を加える。
原爆といえ、信管をぬくと誘爆しないものなのか?
そんなことを考え家に着いた。


2


ワトソンはワードプロセッサーを起動した画面から、os画面に切り替えた。海辺のよくあるデスクトップアートだった。
が、絵か写真か、画像の海から魚人間の腕が…
丸眼鏡をかけなおし、洗いざしの白ワイシャツのネック(?)をゆるめ。
カーターはいつも言う。『ペーパーバックはペリカンでもフェニックスでも、同じだ。裁判員なんだぜ。だから海で読むのさ』
カーターはコンピュータをカタカタいわしてる時間は少ない。だか、彼はストレスと常に戦う。会社の自室で、管理職だからとかではない、会社のビジネスがそういうタチなんだ。
人のストレスを金で引き受ける。
客は自分のやることを手なれたサービス会社が危険をクリーンに避けてくれる、教えてくれる。安心しきる。代行業のような補助が仕事だ…。
そのかわり、カーターは常に安心できない。部下がトラブルを回避できないのではないか?予測不可能の事態が電話で来る。一人で、あるいは数人で話し対策を口頭で、電話機にむかって、早口でわめく。
「そんなのはこの前の、トラブルとタンスの引き出しが違うだけだ。前にもいったろ…!!☚タッ!!」
海でとはまとまった休暇のことで、裁判員とは、本の中の出来事が他人事なので、中立で無関心な冷静な見方ができる。第三者の目線で、第三社なのに当事者よりむきになって口出ししてる仕事中の自分から、ほどとおい久しぶりの休暇が降ってくる。
熱から冷めた本の中の世界は三文であるほど、正常な世界だ。
その世界の住民は裁判員なんだ。客観的で無関心な。


ワトソンはさっきまで真夏の海のような暑さが冷過ぎたように感じ、ぶるっと震えた。
「カーターが、正常にする。トラブル嫌いの対策室かかりなら、僕はありもしない波風をスリラー小説のなかでまきおこすのが仕事だ。イベント…犯罪や悪や不経済な出来事が僕のなすべきイベントなんだ…」

アルフレッドはそういや、生きていた。
アメリカ、オレゴン州の海岸でオレゴン農科大学の女の子の学生が早朝ランニング中に発見。
「海中神殿を破壊したとかなんとかいってた。海の駐車場でふざけてる若者ともめたんだろうな。警官なのに。そうとう飲んでたな」


3

ダゴン神。旧約聖書に出てくる。ペリシテ人の神。青い目と金髪。男も女も美男美女の雰囲気がある。
魚。半魚人、貝、カニ、タコ、イカの姿など。
ワトソンは揺り椅子で考えながらパイプをふかしていた。
『僕の神は争わない。攻められない限り。ただ居心地を求める。強い快楽はたまにでいい。考えても見ろよ、クラーク!(ヘンリー・クラークはカーターの会社の重役だったが独立して何か始めたらしい)理想郷なんか、そう簡単に実現できるものじゃないぜ。心地いい。人間、秦の始皇帝みたいに不老不死を求めるか?あれは古代人は寿命が短いからさ、人生50年。
短すぎるだろうな。50で長いきすぎるくらいなんだ。普通もっと短い。現代人は長い。あきるほど生きるんだ。でも死ぬ。目的がないなら日本の漫画見たいに死なないで、理想郷で暮すんだ。クラーク。残念だが飽きることには死ぬ。寿命だ。これは越えられないが、越える必要もない。そこまで楽しく暮らし、有意義に働いて稼いだら!?だから神はダゴン神と戦わない神なのさ』
カーターがいってた。

破壊の神はむ遠慮に殺戮する。ダゴン神やツアドガは計画性がない。何回かに一回は攻撃してくる。子殺しの神はなぜだか、自分の子を取って喰う。

ラヴクラフトはインスマウスなんか、どういう資料を調べたんだろう。
クトウルフとダゴンの関係など、全集を半端にしか読んでいない。
アルフレッドに言わせると、インスマス・やツアドガでもダゴンやクトウルフがどんな存在なのか詳しく知らないという。というより、ラヴクラフトの創造なのか?古代フェニキアとかアッシリア、ペリシテ人やカナン人の伝承があるのか?


4

真の芸術なんか理解できない。それがいい。
書道のあれだ。墨…、棒きれの…水でとくと炭になるんだ。
すずりで何回も…。だんだん水(ただの水だった)黒ずんでくる。墨の誕生だ。意味不明を通り越して面白くない。
ピザを喰いながら、塩ホルモンを喰いながら、監督が話しあう。
だけど、小説家は、専門家に任せて台本をかく。ワトソンはそう考えながらカスケードケーキをほおばった。
スポーツの試合。かっこいい。勝つために頑張る。わかりやすいんだ。勝つ!目的が簡明で、どうゲームを組み立てるかだ。
いったいどうやって勝つのか?
想像もバスケの素人には無理だ。
だから、楽しい。
女性は観客にしかならない。だから、悔しいんだ。参加しないから口を出す。男なら…「なら自分でやれよ!!」これで完封だ。
だが、選手はいないが監督はセミにいる。
小学低学年の時、アラブのオイルマネーで喰ってる御曹司がいた。
一目でわかる。こいつアラブの富豪だ。
『トド家族を知ってやがる…』
オイルマネーといえビジネスだ。値決めで稼ぐ。肝心の部分を握る。
ソファでだらしなく、ポテトチップスを喰い、TVでも閲覧する。
家族で…それができるのはアラブの富豪だからだ。いや、息子。
普通の民族だ。しかし…。
『海で百々をやるのが経営者だ。映画であるだろ。本当にできたらゲームセットだ』クラークはいってた。




5

アルフレットは追い詰められていた。
インスマスとツアドガ複数に囲まれ、武器といえば拳銃と警棒のみだった。
ガン!ガン!
弾の残りの数を気にしながら二発、発砲した。
二刀流の半魚人がめちゃくちゃに両手の剣をふりまわしてくる。
ギン!キーン!
魚の頭が二つ、尾っぽが二本、腕は二本だが、足は四本ある。
勇敢なアルフレッドは震えながらも、対策を考える。
でたらめな太刀筋だが、銃弾は剣にはじかれた。
漁場の倉庫の隙間に入る。
幸いなのは連中の足ののろさだった。
待ち伏せし、連中が横切った。きづいていない。
ガン!
銃が火を噴く。
(ワトソン…ドロシーと兄のカーター!見ててくれ)
チュオン!
命中した。頭部に。魚の頭のひとつがくだけた。生魚の粉じんみたいに砕けた肉片が飛び散る。
アルフレッドは躍りでると、拳銃をポケットにしまい、代わりに警防をとりだした。
グラグラいってる双頭のインスマスに力いっぱいくらわせる!
ドシ!
水分が汗のように飛び散る。生臭く、思わず吐き気がし、呼吸困難になる。自然、力はいらなく、隙を生んだ。
ガツ!二本の腕でつかまれた。
(ドロシーは気がきいた。自分を喜ばせてくれた。そして喜んでくれた……自分はなんでこんなところで戦ってるんだ?そうだ、オレゴン州を守る…盾の警察官…)
自由のきく足で奴の腹を思い切りける。
インスマスもさすがに倒れた。
ほかのインスマスはあたりを囲むが襲ってこない。なぜ?
ピストルを抜き発砲する。
ガン!
頭が砕ける!
双頭が両方とも死ぬと動かなくなった。
剣の二刀流のやつが斬りつけた。
ザシ!
鈍い音がして、制服ごと、アルフレッドの肉を切り裂いた。
「あ¨あ!ぼくは…」
半分以上、気を失いかけた。だいぶ興奮していて、カフェインを大量摂取の上ランニングをし、そのあとでエクセルで帳簿を7枚こなした見たいだった。時速75kmで車の目を走りぬくみたいな。手に汗握って、ハンドルが滑れば、(これはゲームや遊びじゃないんだ)タイヤも確実に滑る。
受験勉強にコーヒーがぶ飲みして、机に向かう。演習問題をこなし、学参(学校の参考書)を逆さにして読み、マフラーを巻きなおし、背中を伸ばし、時計を見ると夜の130。あと1アウアー。たばこを一本吸い。受験日までにはやめよう。さて、ノートにドイツ語の単語を制限時間いっぱいかきつづけ。目がくっつくまで、現代高地ドイツ語のポットキャストをiPodで耳学(耳学問)面接のため音読ニュース…
その瞬間!
バチッ!!
30cm定規で頭を精いっぱい叩かれる。
そんな程度の痛みだ。
でも…怖い。おもちゃなんか音が迫力あるだけで…気がつくと痛くない。
しかし、今度のは剣だ。刃のついた。生暖かい。痛さは定規の不意打ちくらいの痛みだ。
アルフレットは恐怖が先に気を失った。
…☆§★§☆§★……!!
「アルフレッド……」
カーターの声…安心も気絶にねむり薬を煎じた。
ガク!
カーターはアルフレットを助けようとしたが、容赦なくインスマスが二刀流の刀をふりまわす。
めちゃくちゃだが太刀筋はムカデの足が決して絡まないよう計算されているように、規則正しいランダムで動く。
カーターは落ち着き払って、自分の愛刀を一太刀静かに前に出した。
ギン、ザン!
カーターの剣は一本といえ、めちゃくちゃに動く二本の剣はおのずからぶつかって動きを止める。
二本の刀でカーターの剣を挟む形になる。
しかし、インスマスは自分の両方の腕の力でギリギリと動きを止めたままになる。
カーターは剣を手前に引いた。インスマスはバランスを崩し前につんのめる。
カーターの軍靴を履いた足が双頭の一つの顔面にもろに食い込む。
ドガ!
プギギギ!
その瞬間、稲妻のようにカーターの剣は閃き、両方の頭の首?をちょん切っていた。
インスマスの落ちた剣を二本とも拾うと、上半身を起こすと同時に、インスマスの群れに投げつけた。
カーターはおどりかかる。回転するように二刀流で斬りかかる。
ザッザッザッ…
敵から奪った刀は敵の腹に突きたて置いてきた。
流し斬りをつづけ、特攻する。
足の遅い群れを置いてきぼりにすると、ドラム缶のたまり場に行き、手当たり次第に足でけって転がした。坂になってる。
ドラム缶は勢いを増し、ころがっていく。
インスマスの群れは押しつぶされ、カーターはその勢いに乗じ、ドラム缶に乗っかる。上から串刺しにするように、インスマスに剣を突きたてる。
とうとうツアドガが動き出した。
鋭い爪の腕がグーンと伸び切り裂く。
ザク!
「グッ!」
カーターの薄ピンクのカラーワイシャツの袖が破れ血液がほどばしる!
左手がマヒした。
「毒か…凍傷みたいに感覚がないな」
距離はあるが、ツアドガは腕が1mほどは伸びる。うえに何か能力がある。この半魚人とカエルのあいの子のような生き物は、思考の読めない目をして、不気味な動作を繰り返す。
カーターは投げやりのように剣を投げた。
ツアドガは手のひらで受けた。ザ!突き刺さる。が反対の手で払い落す。
カーターは飛び込んでいた。蹴りを一発顔面にくらわすと剣を拾って走りぬけた。
ったたたたたたたああ―
ピ!
生き残りのインスマスが落ちてる剣を拾い後ろから襲った。
ガッ!
「くそっ」かろうじて、剣の柄でカーターは受け止めた。
反動を利用して切り返す。インスマスはそのまま海に吹っ飛び落ちた。
ツアドガの爪が背中を切り裂いた。
ザザザ!
ツアドガは嬉しそうに舌を伸ばし、落ちた血液をなめた。
悲鳴を上げる暇もなくカーターは攻撃をしようとしたが、後ろからアルフレッドが二刀流でツアドガの頭を斬りつけるのが見えた。
二人をささえるのは、自分たちは名誉のため。自分たちの生活を守るため戦っている。そういうプライドだけだった。
『州の警察として国民の平和を守る。ああ、名誉なことじゃないか』
ザシ!ザシッ!
ツアドガは両手を乱暴に振って背中にいるアルフレッドを払いのけようとする。と、顔面にカーターの剣が飛んでくる。片目に命中!今度はツアドガが悲鳴を上げる!
ギギギギピー
飛んできたカーターが軍靴でとび蹴りを喰わせ、剣を力の限りレバーを引くように下に斬りつける。アルフレッドも片剣を突き刺し、両手持ちで斬りつける。
ギヤヤヤヤヤヤアアア
海の駐車場の平和は守られた。
朝日がさし、カモメが鳴きはじめた。
インスマスやツアドガの死体はなにか魚の皮やつぶれた死体に変化して転がっていた。海猫(鳥でなくて、海をうろつく朝猫)が喰いつき地面から引っ剥がしてた。



6

そのとき、頭上から飛行音が聞こえた。
みると、ものすごい数のドラゴンにまたがった兵が槍をもって黒い鎧をきこんで飛んでる。
そのときテレパシーのように話しかけてきた。が、頭痛がノイズのように頭に感じる。
≪いま、われわれに手を出すな!おとなしくしていれば、今は攻撃しないで通り過ぎる≫
一方的に語って、連中は低空飛行を続ける。
「…誰が標的だ?」
≪あまり詮索するなよ…シカゴだ…≫
連中がとおりすぎると、アルフレッドがいった。
「勝てないよなあ。こんな貧弱な剣じゃ」
カーターもいった。
「警察の本部に掛け合って強い武器を開発してもらえ」
アルフレッドはシカゴの州知事に電話した。
「What?」
「…だから奴らは強力だ。有無を言わせぬ迫力がある。インスマスやツアドガとは違う奴らだ。気をつけろ」
「そういうとき正義の味方は戦ってくれるもんじゃないのか!?」
「いや、勝てない…強力すぎる。それにオレはオレゴン州の警察だ。シカゴ警察かペンタゴンにかけあえ」

次の日、新聞やニュースでシカゴが爆撃されたと報じられた。

警察のトップにアルフレッドは武器の開発を進言にいった。
「わかった。予算を組もう」
「いや、トップはどこでも嫌な人かと思ってましたよ。話の分かる人でよかった」
「話がわかるのと、予算をたらふく組めるのとは違う。開発予算は限られる…きみ、コーヒーにバジルと塩をいれるとオレンジジュースの味になる。やってみたまえ」
「ええ、予算がないんです。いや、時間がないんです。オレンジというより、缶入りの柑橘類の味です」
「それで、黒の鎧の連中とインスマスの関係は…?」
「はっきりとは、ただ、奴らはインスマスともども人類を踏みにじるつもりのように……」
「なるほど、国家警察と州の警察の規律の違いがわかるかね。君は階級を勉強したほうがいい。昇進試験に出る」


7

アルフレットの顔面にこぶしが飛ぶ。
「ぶっ!……なあ、カーター、今手は出さないって通り過ぎて…確かにその通りだが、1週間もしないで、もう来るんだぜ。話が違うぜ」
ワトソンがカーターにかわって答えた。
「ああ、武器が完成してよかったよ。ペンは剣より強し。僕までいつの間にか巻き込まないでよ」
厚手の白ワイシャツは汗をにがし、敵の攻撃をセミに防ぐ防御効果があった。
「ハアハア…」
「クラーク今何時だ?腕時計を見ろ」
カーターが叫ぶ!
「もうすぐ日ずけが変わるさ…」
敵は黒い鎧をきたまま、槍をつかわずこぶしで来る。
「ブッ!くそ、チェーンソード」
ガガガガガ
小型エンジンのチェンソーを剣にしたアメリカ警察と軍が開発した武器だった。
アルフレッドは戦いながら考えていた。
(剣や槍の攻撃ならかわせる…腕は、神経がかよっている。器用に操れる。足なら…!?パンチほど器用に人間はキックをコントロールできない。よほど訓練した人じゃなきゃ。指でキーボードをタイピングできるが足の指では無理だ。剣は体のように動かない。ふりまわすだけで、意志でそのまま動かないんだ。もっというとムチ。あんなの素人は攻撃できない。自分が絡まるだけさ。弓矢…専門家じゃないと当たらないんだ。腕…パンチは素人でも自在に動く。だから喰らうんだ。刃モノなら喰らってない。ただ、パンチは喰らっても斬れないが…)
クラークがジェットソードのハンドルをひいた。
グオン!!
ジェットが噴き出し自動で剣がふらさる。
「そら!いけ!」
ギン!
敵の鎧にあたるが、鎧に傷がつくまでで中まで斬れない。
「ぶ!」
敵のこぶしが来る。さらに回転して回し蹴りが来た。
「くそ」クラークは剣を楯のようにかざした。
敵は蹴りを切り替え、足の裏の靴で剣を止めるように蹴った。
クラークはハンドルをバイクのようにふかした。
ウオン!グオン!
「クラーク!ふかせ!止めるなふかせ!」
アルフレットがいった。
グオオオオオオオ!!ンン
敵はバランスを崩しころがったが、鎧がこんどはじゃまして、身軽に起き上がれない。
すかさずクラークは剣を喉に突き立てた。
ザク!
敵はのどをおさえながら、はって乗り物にしていたドラゴンに近ずく。
「おお!軽く光る!」
ドラゴンと融合した騎士はツアドガに似た体格の肥った黒いドラゴン人間になった。
≪アメリカ全土はわれわれが支配することになった。おとなしくしたがえ≫
「…なんだ!?やつら声がないのか」
「どうやらテレパシーが言語らしい」ワトソンが額をぬぐいながらいう。
カーターも剣を止めいう。
「保障は…?ぼくらのアメリカを君たちが支配するなら、相応の保証をいただきたいが!?」
「そりゃそうだ。当然の権利だぜ」クラークは鼻を鳴らした。
「ヨーロッパやイングランドは支配しないのかな!?」ワトソンもいう。
≪………≫
「大統領はどうする。引退かい」クラークがいう。「それに悪の法が支配するのか」
≪おまえたちのことは自分で決めろ……必要なときに限りこちらから指図する……お前たちの法律など理解していない…ただし、武力でくれば武力で抑えつける≫
「なんだ…悪い話じゃないんじゃないかと思ったが…」カーターが悪態をつく。
「どんな世界になるのかおもしろそうだったのに…」クラークが残念そうに言う。
「力には力ね。うちらと同じ。どっち道アメリカ政府とたがわないぜ」
アルフレッドがぼやく。
「以外と馬が合うぜ」クラークが剣のエンジンをかけながらいう。
「それ。決戦だ」



8

「クッ!パンチを喰らいすぎてクラクラくるぜ」カーターがこぼした。
クラークがアドバイスした。
「バントの構えだ、カーター」
「なるほどね」
「そして、腰を低くしろ。バスケのでフェンスの構えだ」
「小刻みな動きね。しんどい構え」
チェーンソードをバントのように構えた。
「ホッホッ!」
敵はこぶしを出そうとするたび、ソードの刃が動いて手が出せない。
≪くっ!≫
たまりかねて槍をとりだした。
槍の先がチェーンソードの刃にぶつかって止まる。
カーターはアクセルをふんだ。
ガガガガアガガ
槍の先がこそげ落ちた。
敵は槍をひくと真上からたたき落とした。
グオ!
受け止め、アクセルを踏むと、チェンソーの刃が動き槍は切れた。
数時間後
カーターがいった。
「おたがい、ボロボロになった…アメリカのクソ野郎の支配権に限り君たちにゆずろうと思う。埒が明かない」
クラークが叫んだ。
「ヘイ!正義の味方にあるまじき発言だぜ」
アルフレットが補った。
「クソ野郎とは…つまり罪人のことさ。俺はアメリカの警察として国民の安全を厳重に保護してきたさ、だけどクソ野郎どもはあざ笑うかのように、俺の仕事を冷笑しやがる」
クラークが叫んだ。
「まったくやりきれないぜ」
≪正義の味方もお手上げというわけか…≫
「そうだ、あんたなんか話がわかるぜ、やつらは、その、なんだクソ野郎なんだ。始末に負えない。あんたに任せた方が教育になる」
≪いいだろう。罪人に限りわれわれが支配する≫
「あ¨あ。いいさ。でも、警察が途中で国民を売ったなんてセミに問題だ」
そういうと、アルフレットは人間の姿の敵のひとりに特攻した。
鎧の男は柔道の一本背負いのようにアルフレットをぶんなげようとした。
宙に浮いたまま、アルフレットは逆さの体制で、鎧の男の首をホールドした。足を開いて、なげ落ちると同時に着地した。
首をホールドしたまま、片手で機雷のスイッチをひねった。
「アメリカ警察はあくまで最後まで戦うのね」
ピカ!
あまりにまぶしい閃光が全員の目を焼いた。
しばらくは誰も目をあけられなかったが、焼け野原に、敵陣は一人残らず退却していた。
黒い兜が、半分壊れてころがっていた…
ワトソンはメガネをはずし目をこすると、白ワイシャツのボタンをかけなおし、ばったりとその場に倒れた。ガク。
カーターはいった。
「アメリカ本土、いや地球上の罪人は今から奴らが支配することになった。覚悟しろ…やつらは俺たちみたいに甘くないぞ!」
次の日テレビとSNSでアメリカ警察は非難と賞賛の嵐だった。
【あーあー、アルフレットです。ええ、それは命を賭して、ハイ、ハイ、ええ、闘いましたとも。え?嘘じゃないです。見て下さいこの傷。サングラス?これは機雷の閃光で目が焼けました】



デスク上の海岸 終わり