ページビューメ-ター

2011年8月25日木曜日

二層式洗濯機置き場のさりげない恐怖


二層式洗濯機置き場のさりげない恐怖

昭和40年代。

さびれたコインランドリー。

夜の2時半にやってきた二人。

「やめてくださいよ、営業マンさん。オレこういうの本当に怖いんですよ」

「俺じゃねぇよ。こんな恐ろしいことできるかよ」

「誰ですかね。ただでさえこんなさびれたコインランドリーなのに」

「和風人形だよ。ヤバいよ。

人形って人の形してるだけで魂っていうか人権があるんだよ。

うかつに動けないよ」


「…」

「…」

「いや、落ち着かないですよ」

「なんか緊張するよな」


「ビールとかないんですか」

「ない。いや、怖いと思うからダメなんだよ。

悪気はないんだしさ、こうフレンドリーにな」

「うわわわぁぁあああああ」

「脅かすなよ。だからビビンなっての」

「いやそうだよな、ホント。仲間がいると思えばいいんですよ」

「だからさっきからそう言ってるて」

「洗濯終わりましたよ」

人形を拝む営業マン。

「俺たち帰ります。じゃあまた今度きますので」



二層式洗濯機置き場の怪人


二層式洗濯機置き場の怪人

 


 
昭和40年代。

2時過ぎ。

しなびたコインランドリーで洗濯をする二人の男。

「俺って、長時間労働が売りなんだよ。夜中の11時まで働いてますよって」

「まあそうですかね」

「ところが仕事がえり駅に行くと、中学生がたむろしてるんだよ。

テストがどうのっていってるから塾のかえりなんだよ。

ベンチに寝そべってる女子高生は不良だな。営業の立場がないよ」

「今どき、みんな塾にかよってますよ。

僕も受験の時は3時間しか眠らなかったなぁ」

「四当五落ってもののたとえなんじゃないの」

「僕たちなんか夜更かしのうちに入りませんよ」

「世の中勤勉なんだよ、日本人」

「すもうとりの手のひらぱちんってやって踊るのあれなんなんですか」

「あれ、なにも武器をもってませんてお互い確認してるの」

「なるほどなぁ」

「うああああぁぁぁぁああああ」

「あれはなんかあやしい客だな」

いかにも怪しい客が入ってきました。

「へい!おっさん、ポケットから手を出して、

パチンてこうやってみ。

はい、はい、はいポケットになに隠してるんだよ。

ダメだよこれ、メリケンサックって刃モノじゃないけど危険だよ。

おじさんが預かります。

おまえリーサルウェポンだろ」

いきなりサックをはめてみぞおちに喰らわす営業マン。

「オラッ!

ボフッ!!

「いや、こいつ金めあてだよ。

こんなしなびたランドリー狙うってことは洗濯機のなかになんかあるな」

二層式洗濯機のふたを開ける二人

「これだよ$の札束だよ」

「またこんなもんが入っちゃってるんだな」

「リーサルウェポンのポッケにつめて外に捨てとこう」




二層式洗濯機の事件


二層式洗濯機の事件

 
 
昭和40年代。

しなびたコインランドリーに洗濯をしにきた大学生。

「あっ、チャンピオンしかないはずのランドリーにちがう雑誌が。

営業マンさんだな。月刊ポーカーフェィスか」

雑誌をめくる大学生

「トランプの雑誌か」

40前後の営業マンが遅れてきました。

「おい、学生」

「営業マンさん」

「ついにでたぞ、缶ビール」

「いや、いや、いや、いや、ビールまで缶ですか?

プシュ

「いや、酒もワインもピンキリじゃん。高いのもあるし安酒もある」

「これ、瓶よりコクはないけどキレがありますよ」

「聞けよ」

「え」

「いや、庶民から金持ちまで

みんな同じ値段のビール飲むんだなっておもって」

「そういやビールはそうだな。

こんな貧乏学生も政治家や官僚も同じのおいしいって飲むんだよな」

「昔はビールって薬局で売ってたんだよ」

「嘘ですよ」

「いや、マジで。オロナミンCの親戚にして先輩」

「いや、いや、いや、あり得ないですよ」

「しかし、缶だと回るの早いな」

「トイレに行きたくなりました」

「おい、学生!よろけんな!

消火器につまづく大学生。

プシュ~

「やっば、それ、古くて噴射しやすいんだぞ」

ボボボボボボボボボボボボボボボボバババババ

「ゴホッゴホッ!

「おい、学生、窓と戸、開けろ!

「これ、チョークの粉見たいのそこらじゅうにたまってますよ」

「やべぇな、ずらかるか、いや、ほうきと塵取りで掃くぞ、この粉」

「ゴホッゴホッ」