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2011年3月19日土曜日

かぶき坊主 番外編

かぶき坊主 番外編



サムライ「かぶき坊主殿。上様がお呼びでござる」

かぶき坊主「なんだろう。この間のし返しかなぁ」

殿様「かぶき坊主。これは、未来の世界から届いた、

『ぱぁそなる・こんぺぅてぁ』じゃ。

この箱のなかの絵にトラの張り子がある。これを縛って見せよ!!」

かぶき坊主「殿様払いで、このトラの張り子を注文するよ。

住所はお江戸・江戸城・上様の客間・時代はお江戸時代、八代将軍、トノサマ将軍。

これでよし!」

越後屋「注文のトラの張り子です」

かぶき坊主「上様、このとおり、ひもでトラの張り子を縛り終えました」





ちゃんちゃん



かぶき坊主 その八 

かぶき坊主 その八



かぶき坊主「お侍さんも無事に元に戻れてよかったね」

サムライ「このたびのことは、拙者、まことに感謝するでござる」

かぶき坊主「しかし、お侍さんも完全に丸腰だね。冷酒は城に置いてきちゃったし」

サムライ「拙者はこれから刀狩りでござる。

業物の刀をどこかの賊から奪おうと思うでござる」

かぶき坊主「悪人だね。お侍さん」

サムライ「かぶき坊主殿も悪人なのに、なんで坊さんをやっているんでござる?」

かぶき坊主「僕は破壊僧なんだよ。だから、お刺身も食べ放題なのさ。

僕も武者修行の旅に出ようと思うよ」


おしまい

かぶき坊主 その七 サムライ小僧

かぶき坊主 


その七 サムライ小僧



用心棒「水牢と言っても、水の入り口が狭くてすいとんの術でくぐれないでござる」

かぶき坊主「お侍さんの死体がくくられているよ」

用心棒「もう、帰ってこないでござるな。

これからは拙者がサムライ用心棒としてサムライ殿のかわりに生きるでござる」

かぶき坊主「お侍さんと融合してみるよ。それしか助ける方法はない」

用心棒「ちょっと気味が悪いでござるな」

ズルン

サムライ小僧「融合した分だけ前より力が増したよ、でござる」

用心棒「腕が三本、お腹にサムライ殿の顔があるでござる。

それでここをどうやって脱出するでござるか?」

サムライ小僧「まどろっこしい事をしなくても、水牢ごと破壊するよ、でござる。ぬん!」

ドゴォ!

用心棒「すごいでござる。殿様をそのパワーでねじ伏せにいくでござろう」

サムライ小僧「殿様編は飽きたから村に帰って、一話完結平和物語にもどるよ、でござる」



かぶき坊主 その六 氷柱の弔い

かぶき坊主 その六





ギィイイイイイイイイン!

殿様「グッ! 右肩が…釘!…いつの間に。おまけに今の一撃で腕が痺れて刀が当分振れん」

かぶき坊主「治りきってない腕を狙ってきたか…ガマの油じゃ直せないな。

家に帰るまで、こっちは片腕だよ」

用心棒「であえ!であえ!狼藉者がいるぞ」

かぶき坊主「てめぇ…寝帰りやがった…」

殿様「ちぇっく・メイトだ。囲まれたぞ。どうする?」

用心棒「とりあえず牢に入ってから、脱獄を狙う…この方が歩があるはず」

殿様「希望どうり水牢に放り込んでやれ」

用心棒「座敷牢のほうがいいでござる」

かぶき坊主「無理だよ。水牢ですいとんの術を使おうよ」



かぶき坊主 その五 氷柱の弔い 前篇

かぶき坊主 その五




サムライ「クラェエェエエエ!!二頭オロチ!

ザシャ!

かぶき坊主「やった!かすった」

用心棒「小手あり!」

殿様「チッ!油断したわ。だが、かすり傷。これで終いじゃて」

ズドン!

サムライ(…貫かれた…心臓を…完全に…イカン!意識が…かぶき坊主殿…ガマの油を…」


かぶき坊主「お侍さん。後は引き受けたよ。行くよ、殿様。弔い合戦だ…」

サムライ(ェツ!?

サムライ死亡…

かぶき坊主「殿様…あんたの刀だ。受け取りなよ。俺はお侍さんの遺刀…冷酒でいくよ」

殿様「よかろう。小僧。言っておくが、手加減はせぬぞ」

かぶき坊主「いざ、尋常に…勝負!!

殿様「ヌァアアアアアー!! 最終月光剣」

かぶき坊主「コオオオオオオー!! 秘剣―氷柱(つらら)落とし―」

ギィイイイーン!



つづく



かぶき坊主 その四 「血も凍る刀、冷酒 後編」

かぶき坊主 


その四 「血も凍る刀、冷酒 後編」



かぶき坊主「このふすまを開けば、いよいよ殿様の間だよ、お侍さん」

用心棒「土器怒気するでござるよ」

サムライ「異国風でありながら和風な表現でござるな」


三人「殿様殿。民を欺き私腹を肥やした罪、今ここに問うでござるよ」

サムライ「上様、致し方あるまい。この度の行為、士道不覚悟。

血も凍る刀、冷酒のさびにしてくれよう。いざ、尋常に覚悟!」

殿様「夷狄と防戦するための火器を調達するための越後谷との商談。

それほど気に食わぬか。余も気に食わぬな。お主の職務怠慢し放題。

くわえて余の愛刀『満月』の窃盗罪。

ほれ、その証拠にお主の腰の刀はなんじゃ?なんぞ、申し開きあるかやのう?」

サムライ「武士道に恥あるまじぬようこの二刀流で答えよう。

上様、己の刀の切れ味!徳と味わうがよろしい」

かぶき坊主(お侍さん、何か考えがあるんだね。

ここはあたたかく見守るよ…万が一の時は…その時は…お侍さんを縛って手柄をあげるよ)

用心棒(勝てば官軍…勝てば官軍…負ければ賊軍)

サムライ「必殺ゥ!凍りつく満月の月見酒ェ!」

殿様「西洋火器!四十四まぐなむ!」

サムライ「ハグッ!西洋手裏剣!恐るべし!

職務怠慢は濡れ衣ということにしておくでござるよ。今月の給金!」

殿様「まだわからぬか。お主の給金で『満月』など買えるか。『冷酒』はお主の…」

サムライ「隙アリ!クラェェエェー二頭オロチ!!!」



つづく


かぶき坊主 その三 『血も凍る刀、冷酒 前篇』

かぶき坊主 


その三 「血も凍る刀、冷酒 前篇」





殿様「お主も悪よのう」

越後屋「上様こそ」

殿様「いやいや、お主こそ」

越後屋「いやいや、上様こそ」



サムライ「……と上様と越後屋が話していたでござる。

かぶき坊主殿、これは何やらよからぬ悪だくみの匂いがするでござる」

かぶき坊主「匂いがするどころじゃなくてそれそのものでしょ」

用心棒「なんでまた、わざわざサムライ殿の前でそんな話をするでござる?」

サムライ「さむらい言葉をマネするなでござる」

用心棒「拙者はサムライでも忍びでもなく用心棒でござる」

かぶき坊主「それで、なんでお侍さんの前でそんなやり取りをしたのさ?」

サムライ「上様が言うには、誰かが観ていないとやっても意味がないそうでござる。

いわゆる時代劇のお約束らしいでござるよ」

かぶき坊主「なるほど、間者も誰もいないとやってもむなしいよね」

サムライ「そこで、二人に密偵として、上様と越後屋を調べ上げてほしいのでござる」

用心棒「しかし、その会話だけで十分証拠になるのでは」

かぶき坊主「状況証拠にしかならないよ。ただのジョークだと言われたらお終いだ」

サムライ「それだけではなく二人に上様の愛刀『満月』を盗んできてほしいでござる」

かぶき坊主「やめたほうがいいよ。

お侍さんの愛刀『冷酒(ひやざけ)』はもう油がとれたんだろ」

サムライ「これからは二刀流の時代でござる」



つづく


かぶき坊主 その二「茶店騒動」

かぶき坊主



その二 「茶店騒動」



茶店でサムライとかぶき坊主が団子を食べながら、茶を飲んでいた。

「ときにお侍さん、刀の調子はどうだい?」

「だいぶ油がとれてきたでござる」

「それじゃまだ、当分脇差一本だね」

「お茶も飲んだことだし、そろそろいくでござるか。親父、お礼はいらないでござるよ」

「僕もお礼はいいよ」

茶店の親父が言った。

「お侍さん。世の中そう甘くないんだよね。

そうゆう客のために用心棒を雇っているんだよね。おい。頼むよ。」

山のようにでかい、山男がぬっとあらわれた。

サムライが言った。

「かぶき坊主殿。ここは任せるでござる」

サムライは脇差を抜くと山男に向かって、飛びかかった。

「必殺 ‼ 脇差十文字斬り ‼」

山男は掌を広げて突き出した。

「ぬん!」

ザシュ!グサッ!

山男の掌が十文字に斬れた。

サムライが言った。

「どうでござる。拙者の脇差十文字斬りはガマの油以外斬れぬ物はないでござ…」

「ぬん!」

山男は素手で脇差をつかみ竹藪の中にほうり投げた。

山男が言った。

「そっちは丸腰。こっちには金棒がある。それでも降参しないか」

かぶき坊主が言った。

「其が参る!」

かぶき坊主は飲み残しの茶を山男の顔にかけた。

「天誅技!茶ノ湯眼つぶしつぶし!」

かぶき坊主はさらに茶碗を顔面めがけてぶつけた。

山男は言った。

「グワッ!卑怯者め。眼つぶしは反則なり!奥の手!金棒叩き!」

かぶき坊主が言った。

「身代わりの術。天誅返し!」

ズドン!

茶店は山男の金棒で元に戻らないほど潰れた。

「身代わりの術とは卑怯な。弁償はお主がしろ」

サムライが竹藪から脇差をひろって後ろから斬りつけた。

「甘いわ!喰らえ!天誅坊主一文字突き!」

脇差は山男を貫いてかぶき坊主にまで突き刺さった。

「グワッ!まさか後ろから来るとは甘く見たわ!ガフッ」

「グワッ!お侍さん。最後に勝ったものが弁償しなよ。ガフッ」

サムライが言った。

「親父、この脇差を売って、店を建て替えな。

ついでにそこの金棒も足しにしてくれでござる」

茶店の親父は言った。

「それはいいけど、お侍さん。刀がなくてこれからどうするんだい」

サムライが言った。

「武士はくわねど高楊枝でござる」

茶店の親父は言った。

「最初から御代を払った方が…

いや、団子を食べずに高楊枝の方がかえってよかったんじゃないですかね」




おあいこ