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2010年10月19日火曜日

二層式洗濯機の恐怖夜話

二層式洗濯機の恐怖夜話



昭和40年代。

薄汚いコインランドリーで洗濯しているのはこの間の大学生と40前の男。

「おい、今何時 ?

「夜の2時半ですかね」

「おまえ大学生のくせにいい腕時計してんな」

「これ買ったから、お金を節約するために

こんなところに来ているんですよ。

ここじゃ気持ちでお金を払えばいいし」

洗濯機を使った人がお金を入れるポストの貯金箱がキラリと光る。

「甘いよ。俺なんか時々ここからお金借りちゃってるよ」

「それは犯罪です」

「後で利子つけて返せばいいんだよ。

それにしてもなんでこんな夜中に洗濯に来るわけ?

「昼間は学校とアルバイトで忙しいんです」

「俺は営業の仕事が11時半まであるから、夜中しか来れないんだよ。

 ? おまえ今、そんなこと聞いてないって顔しただろ」

「別に思ってませんよ」

「あれだろ。

営業の仕事さぼってパチンコとかサテンで

涼んでるだろって思っただろ」

その時洗濯機が、ぐわん・ぐわん揺れだしました。

「おまえ脱水のとき抑えるアレいれなかっただろ」

「あぁああああああぁぁあ!!! やばい入れ忘れたー」

そのときもう一人の客がランドリーに入ってきました。

40歳前の営業マンは小声で大学生に言いました。

「なんで夜中にくんだよ。人が少ないからいいんだよ」

「うわっ手が巻き込まれるぅ!!

チラッと新客を見た営業マンは青くなりながら、大学生に囁きました。

「こんどこそマジやばいよ、俺ら」

「やばいですよ絡まって取れませんー」

「そうじゃないよ、見ろよあれ、

こんな夜中にあんなうら若い美人がこんな荒んだランドリーに来るかよ。

絶対に幽霊だよアレ」

「ええー!? また溺れちゃうんでうすか。

溺れた次の日、学校休まなきゃならないから単位あぶないんですよー」

「もうし、もうし」

「来たよ。いいか絶対目を合わすなよ。シカトでいくぞ」

「うぁああああぁあああっははぁああ!!!! 

もう手遅れですよ!!   刺されちゃってますよー」

「嘘!? マジかよ。

言うなよ。痛くなってきただろ。

言わなきゃ何も感じないで気絶したたんだよ」

営業マンは血を流して洗濯機に抱きつくように気絶しました。

「もうし、もうし?

「うはぁあああぁああぎゃああぁ!!!

次の日の朝、血だらけで倒れている二人を

ジョギングついでの客が発見しました。

『二層式洗濯機の怪』

二層式洗濯機の怪




昭和40年代。

深夜1時。

しなびたコインランドリーのお客は女性一人とこの間の大学生。

薄汚れた二層式洗濯機の洗濯機が3台置いてあります。

「ちょっと、洗濯機止まっているよ。はやく中身どかしてよ」

リボンシトロンの瓶をテーブルに置いて、大学生は返事をします。

「これから脱水なんです。ちょっと待って下さいよおばさん」

「おばさんじゃないよ。まだ30直前だよ。

全く最近の学生は学校で何を教わっているんだか」

「学校にそんな授業はありません。

そっちの洗濯機を使えばいいじゃないですか」

「こっちは、ちょっとヤバいものが入ってる」

「またですかー?もう何があっても驚きませんー」

「ホントに?札束。しかも$で」

「うわっほんとにお金だ。水浸しになっちゃってるけど」

「やばい金だよこれ」

「それはそうですね。こんなところにしかも$で」

「あんた学生だろ1 $って何円?

「たぶん1 $350 \くらいですかね」

HEY !

サングラスをかけた洋画にでてくる感じの外国人が

ランドリーに侵入し、ピストルを二人にむけました。

「うぁあああああああああ拳銃だー!!

「マズイよ。見たい映画来週放映だよ。

西洋映画じゃこういうとき、両手を上げるんだよ」

二人が両手を上にあげると外国人が叫びました。

「マネー・イズ・サプライ!!

二人の顔を洗濯機に沈めると$をもって外国人の男は出て行きました。

次の日の朝、洗濯機で溺れている二人をその日の客が見つけました。

『二層式洗濯機』

『二層式洗濯機』


昭和40年代。

一浪しそうでしなかった怖いもの知らずの大学生。

夜中の2時過ぎにしなびたコインランドリーに洗濯に来ました。

古くて汚れた、薄緑色の二層式の洗濯機が3台。

しみだらけのソファ。

お金を入れるポスト型の貯金箱。

夜どうし点いている円形の蛍光灯。

一人前に傘がついているが、

2000年代も10年を過ぎた今から見れば古臭くてダサいデザイン。

蛍光灯はぶーんと唸り声を静かにあげています。

大学生は、貯金箱に律儀にお金を入れると、

誰が置いたのかわからない、半分湿気た缶入りのピースを一本取り、

テーブルの上に散らばっているマッチで火をつけました。

これも、誰が置いていったかわからない、

数週間前のチャンピオンをめくり、ピースを吸い終わってから、

二層式洗濯機のふたを開けて洗濯物を放り込みます。

いくら怖いもの知らずの大学生でも、

ふたを開けるとき少しためらいがちになります。

ただでさえ、汚れている洗濯機に変な遺物が入ってないか怖いのです。

タイマーを回し、洗濯機を準備すると、

また缶ピースの蓋をあけ一本もらうよ!と心で感謝し、

火をつけ、チャンピオンをめくります。

ガダッと戸が開き、もう一人客が入ってきました。

「うぉっ ! なんですか、こんな夜中に!?



「いや、そっちこそ。洗濯、洗濯。たまっちゃってさ」

「ああ、そうですよね」

もう一人の客は40歳前くらい。

洗濯機のふたを開けたとたんびっくりした声をあげます。

「うおっ!!

「わっ! なんなんですか?

「いや、やばいよこれ。大変なモンがはいってるよ」

とうとう出くわしたかというような顔をして、大学生は

「なんですか。やばいものってなんですか?

「見る?

「見たくありませんよ」

「ジャーン!!

「うわっ ! え? ぬいぐるみ ? クマの !?

「ホントやばいよ」

「ただのぬいぐるみじゃないですか。

ぬいぐるみも洗濯くらいしますよ。

誰か忘れていっちゃったんでしょ」

「血がついている。ホラ」

「うわわわわあああああぁぁあああぁあ!!!!

「ウソーン!! ジャムだよこれ、

洗ったんだけど取れなかったんだろうな。こんな古臭い洗濯機じゃ」

「脅かさないで下さいよ。もう、たばこもう一本吸っちゃお」

「あっ、俺にも一本取って。縁起悪いからこっち使うか」

「縁起悪いとか言わないでください。はいピース」

「あーっ、こっちもだよ。やられた !

「もうだまされませんよ」

「灰皿とってくれる? 吸い終わるまでダメだよ。あー、ソファで休むわ俺」

「怒りますよ。プンプン!!

「見ないほうがいいって」

「うあああああぁ!!!ああああああはあああはあはあはあ!!!!

「な、いったろ!?

「血がー、血がたまってるうぅううううぅうぅうぅー!!

「バカ、絵の具だよ、絵の具。図画工作の絵の具」

「え? 絵の具? なぁんだ早く言ってくださいよ」

「おい。血か絵の具か見分ける方法知ってるか ?

「知りませんよ」

「これ、リトマス紙」

「アルカリ性か酸性かでわかるんですか~うわわわあああぁあああぁあ!!

「バカ、それ俺がやった技だよ」

「あれー!!

「うっわ、やば!! 洗濯機から血が溢れてる!!!!!

「戸が開きませんよ!

「バカ早くあけろって」

次の日の早朝、大学生と男が洗濯機でおぼれ死んでいるのを

最初のお客が見つけました。