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2010年10月10日日曜日

『医学的法律相談所』

ラジオ小説 医学的法律相談所

どうぞ、そこに腰かけてください。

一般的な病院などよりは、高価なイスを用意しておるつもりでございます。

え?言われてみれば、病院の診察室か、法律会計事務所のようですと?

そうですな。そういうものをモデルにしておりますし、

医学から法律までいろんな分野を勉強して難関資格を得ましたからな。

それで、あなたの相談内容は?漠然としていてもかまいません。

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なるほど、それではこちらからいくつかの質問をいたします。

下手に、事実を曲げて回答なさりますと、問題解決に支障をきたします。

なに、そんな答えにくい質問は基本的にございません。


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ふむ。なるほど、しかし、結論から言いますと、

あなたの相談内容にある悩みは、実に人口の97%が

抱えている悩みと同一ですので、

あなたが取り立てて不幸であるという結論にはなりませんな。

人それぞれ、いきさつは違いますが、

同じ結果になるのがむしろ普通といったところですので、

気にしないことが処方箋でしょうな。

なに?それでは相談した意味がない?

当方では診断をした段階でして、

「これにて解決」を言い渡したわけではありませんので何とぞ御辛抱を。

それでは、『あなたが望む問題が解決したあなたの世界』を小説風でも、

日記風でも、いまどきのブログ風でもよろしいので、

次回の診察相談時に1400字以内でご持参下さい。

今日は長い時間ありがとうございました。

初診相談料は無料ですが、次回必ず来られることが条件であります。


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やはり、こられましたな。いや、なんでもありません。こちらのことです。

いや、初診相談の段階で放棄されるお客さまがいられますと、

収益になりませんので。

それでは拝見しましょう。

ワープロソフトで書かれておりますな。

ありがたい。字が下手なお客さまの直筆文章は診察相談以前に

いかんともいがたいことがありましてな。

ふむ。あなたの望む世界は形は違えど、実現可能でしょうな。

その代り、努力するか、あるいは何かをあきらめる。

理想通りの世界は物理的に矛盾しており実現不可能ですが


肝心の望みは全くの無理ではありません。


つまりオプションを切り捨てるしかありませんな。

それは今にはじまったことではなく、

人口の99%が生まれたときから同じでしょうからな。

実現している人は何かをあきらめて現実を知っている。

ただそれだけでしょう。

だから、他人に聞かれれば、

「そんなにいいものじゃない」そうこたえるのでしょうな。

なに?そこまでいうのなら相談料を無料にしろ!?

いや、それはそうですけど、こちらも商売でしてな。

働いてためた貯金をはたいて、



先輩の医学的法律相談所で教育相談をうけ、

訓練してですな。

テナントですが、いまの相談室を借りて、家賃も結構なものですし、

初心無料で今回のみの相談でたった5万円ですよあなた。

そう、おちついて。

おわり

『鎧の騎士』


伯爵の唯一の道楽は骨とう品集めだった。

新しく手に入れた、騎士の鎧を骨とう品部屋に飾ると、

うれしそうに眺めた。

娘のアンナは「お父様はまたどこからか、

変なものを集めてきたわね」と言った。

ある晩、夜食を食べた後、

骨とう品部屋を覘いた伯爵はコレクションの

一つである古い草稿をめくっていた。

ガタガタいう音が聞こえ、驚いて振り向くと、

騎士の鎧が動いてこっちに向かってくる。

鎧は、スピアで伯爵を突いてくる。

伯爵は壁に飾られている剣をとっさに手にすると、応戦した。

鎧の騎士は動きは鈍いが、執拗に伯爵に攻撃を仕掛けてくる。


(やられる…!!

そう思ったとき、ドアをノックする音が聞こえた。

「お父様、騒々しいわよ。何を騒いでらっしゃるの?」

ドアが開くのと同時に、

鎧の騎士の動きがとまって、動かなくなった。

伯爵はで鎧を突き刺した。

鎧の騎士は激しい音を立てて、倒れた。

娘のアンナが驚いていると、伯爵は注意深く鎧を調べた。

鎧の中からは4年前に死んだアンナの夫のが出てきた。


『罪人墓地』

ラジオ恐怖小説 罪人墓地




「肝試しをしよう!」フランクリンがそういった。

「夏だから、お墓とかに行きましょうか」フォローラがいった。

「普通のお墓じゃ面白くないから、罪人墓地にいってみよう」ジャクソンが決定した。

車に乗っての夏の夜のドライブは3時間ほどかかった。

車から降りて、罪人墓地の門を開け三人は中に入っていった。

三人は一応手を合わせると、ずかずかと中に入っていった。

突然、けたたましい笑い声があたり一面に響いた。

「囲まれているぞ!!」フランクリンが叫んだ。

ジャクソンは拳銃の撃鉄を起こした。

二、三十人はいそうな、ゾンビが三人を囲んでいた。

ジャクソンが拳銃をぶっ放すのと同時に、フランクリンも拳銃を撃った。

ガン・ガン・ガン!!

ゾンビの二、三体は頭部が木っ端みじんに砕け散った。

二人は銃を撃ち続けた。

ガン・ガン・ガン・ガン!!!

ゾンビは砕け散って倒れてゆくが、二人とも弾丸が切れた。

「畜生!!ばけものに喰われてたまるか!

ジャクソンは腰のサーベルを抜くと一体のゾンビの頭部を突きさし、

腹部に思いっきり蹴りを入れた。

「走れ!!自動車までたどり着くんだ!!

三人は車のあるところまで走ると、急いで車を発車した。

フォローラが後ろを見るとゾンビがものすごいスピードで追いかけてくる。

フォローラはバッグからダイナマイトを取り出すと、フランクリンに渡した。

フランクリンはジッポで火をつけると窓から後ろに放り投げた。

「アデュー」三人は言った。

BON!!

50年後

キャサリンはインターネットでおもしろい記事を見つけた。

「半世紀も前の記事よ!墓地爆破で有罪の三人組ですって、

しかも今じゃ爆破した墓地に埋葬されているらしいわ」

カルロスはいった、「その罪人墓地に墓参りにでも行ってみるか!」

おしまい